小川哲のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
小川哲のデビュー作。
巨大情報企業による実験都市アガスティアリゾート。
その都市で暮らす為には自らの視覚や聴覚、
位置情報などプライバシーの全てを提供しなければならない。
ただし、その代わりに得られる報酬で平均以上の豊かな生活が保証される。
そんなアガスティアリゾートに纏わる人々の6つの物語。
デビュー作で日本ではなくアメリカ、しかもディストピアを描く、
まさに挑戦的とも言えるし、トチ狂ってるとも言える。
そんな規格外な発想を実現させた小川哲に賛辞を贈りたい。
ビックブラザーのいないオセアニアの様な世界。
すごく乱暴に言えばそういったところか。
不都合な真実は見向きもされない。
人間は -
Posted by ブクログ
0文字解答の謎を解明をするミステリーとして読むと想像の範囲内を超えてはこない。
本作は謎の解明という要素より、クイズそのものの面白さを物語形式で語るような本だった。しかしそのクイズの解体や内部の話は既に何度か聞いたことがあったため、大きな楽しみにはならなかった。といってもその話を聞いたきっかけが恐らく本作の流行だから、少し勿体無い順番になってしまったという気持ちがある。
話は面白くて、軽いタッチで書かれたスラスラ読める文章がとても良い。恐らく多くの読者がクイズをやってみたい!と思っただろうし、それが出来る作品は良い作品だと決まっている。 -
Posted by ブクログ
ネタバレNHKドラマ化原作の書下ろしSF小説。
著者だから面白くないわけがないと思いましたが、期待を裏切らない出来だと思います。
NHKサイトの登場人物を見ると小説とは異なっている部分があるので、あくまで小説は原作として扱われるのでしょう。
火星に人が移住できるようになっている2125年あたりが時代背景となっていて、火星で生まれ育った人もいる状況下での地球からの束縛とその反発という政治的な話に新発見物質が絡んで物語が大きく動き出します。
独立とそれを阻止する大国という現代でも見られる構図を宇宙物語に反映させる壮大さはさすがで、戦争にならないで先送り的ではあるが平和的なエンディングはうれしい。