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「君を殺す」――復讐の誓いと訣別から半世紀。政治家となったソリヤは、理想とする〈ゲームの王国〉を実現すべく最高権力を目指す。一方のムイタックは渇望を遂げるため、脳波を用いたゲーム《チャンドゥク》の開発を進めていた。過去の物語に呪縛されながら、光ある未来を乞い願って彷徨うソリヤとムイタックがゲームの終わりに手にしたものとは……。 第38回日本SF大賞&第31回山本周五郎賞受賞作品
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Posted by ブクログ
2回目聴き終わった。むかーし読んだ吉里吉里人とどことなく印象が被る。百年の孤独みもある。あとがき含めて人生ベスト級に好き
面白かった。 上から時間が経って、20年後の話だった。 上から、ポルポトをソリヤとムイタックが協力して打倒する話になるかと思っていたが、意外な内容だった。読み始めて、半分までは、人が切り替わるごとに内容がとびとびになる感じで、ついていくのに苦労することもあったが、物語終盤になるにつれて、それが一つ...続きを読むに集結していく感じが、上と同様で気持ち良くて、面白くなっていった。
下巻は変人キャラクターたちのクセがますます強くなっていた。 本人たちは至って真面目なのがまた良い。 私の中で完全に主役を食ってしまってたのが、ヘモグロビン先生。 あまりに好き過ぎて、該当シーンだけ5回も聴き直してしまった。沈んでいた気持ちまで一気に元気になった。 一度でいいから私もヘモグロビン先...続きを読む生に診察してもらいたい。予約でいっぱいなのは、多分私みたいな患者がいるからだろう。 もはやヘモグロビン先生に会うために下巻を読んだ気さえしてきた。 普通の小説だと「この先どうなるんだろう」というハラハラ感で読みたくなるけど、個人的に小川さんの作品は少し違う。 ストーリー展開や結末そのものよりも、次から次へと溢れ出てくるユニークな思考に脳が刺激されて、ワクワクする。 下巻の方がそれがより強くて、とにかく楽しかった。 人間の記憶って不思議。 たぶん私の脳は、この作品の内容を忘れても、ヘモグロビン先生のことは絶対に忘れない。 Audibleにて。
自分が今まで読んできた作品はある程度起承転結に沿って書かれてた。無駄に思えるような描写は多少あるにしても、全体通して見れば「結」に向かうような流れが存在していて、次の展開をイメージしやすかった。 この作品はごっちゃごちゃ。結はもちろんあるにしても、時間軸、場面、キャラクター、幾度となくかき回された...続きを読むし、「これいらなかったのでは?」という描写も多々。 『言語化するための小説思考』に感銘を受けた身からすると、回収されない伏線が多くて腑に落ちない。 けどあとがきで > ひとつだけ言えるのは「今の自分には書けない」ということです。本書の節々に、まだアマチュアだった僕が、暗闇の中で何かを見つけようと格闘した痕跡が残っていました。 納得した。そして、 > その格闘は、登場人物たちや物語の力を借り、時として僕の実力を超えた次元に到達していました。そういった意味で、本書にはかけがえのない価値があります。 万人受けはしないが、「時として」特定の誰かにはブッ刺さる、そんな作品でした。 映像化不可能でこの小説を読むことでしか味わえない体験ができたという喜びと同時に、「書きたい」という意思だけでカンボジアについてめちゃくちゃ調べきったある種の狂気を感じた。 小川さんに対して畏敬の念が高まった。
思考力と感受性は両立できるんだなと驚かされた作品。小川哲の文章には新しい価値観をインストールしてくれる力がある。複雑な物事を単純化せず複雑な状態のまま理解させてくれる魔法のような文章。
長年、今まで読んだ中で1番面白かった本はコニーウィルスの航路と言い続けてきたが、ゲームの王国は、航路を読んだ時のようなインパクトがあった(航路に似ている部分もある気がする) 若い頃に読んでいたら人生観が変わっていたと思う 本当に素晴らしい小説でした
ようやく上巻の複雑に交錯する登場人物らと舞台設定に慣れたと思ったら、物語は突然のリセット(半世紀の時が流れる)。 アルンとリアスメイに世代交代、ムイタックとソリアの神話(ゲーム)はようやく幕を下ろした。 本書の雰囲気や読後感はマルケスの『百年の孤独』っぽい。 先に『地図と拳』を読んでいたが、本書のほ...続きを読むうが好み。
クメールルージュ、ポルポト、カンボジアの話? 作家はカンボジアに住んでいたのか? そんな事を思いながら、それはそれは不思議な登場人物達のそれぞれの人生を読み進めていく。 カンボジアを旅行した事はなかったけど、作品を通して情景が目に浮かぶ。 それぐらい描写が細かい。 いつかテレビでクメールルージュ...続きを読むの虐殺を特集した番組を観たことを思い出した。 土臭く、地に這いつくばって生きているキャラクター達。 最後交わったのか、全てが回収されたのか、それはわからないけど、未完のような、ただ、作者の情熱が伝わってくるこの作品、読み終わり、ただ余韻に浸る。 日本人で、外国を舞台にここまで書き切れるだろうか、と圧倒されながら。 あとがきを読むと更に驚かされる。 面白い作家さんを見つけた。
あとがきまで全部読んだ唯一の本
すばらしい
クメール・ルージュ下の カンボジアを舞台にした壮大なSF。 第38回日本SF大賞、 第31回山本周五郎賞受賞。 クメール・ルージュ。 20世紀後半のカンボジアで権力を掌握し、 急進的な社会改造と暴力で 国家を統治した共産主義勢力。 1975年に首都プノンペンを制圧し、 都市住民の強制移動、貨幣や...続きを読む市場の否定、 集団農場化を推進。 その過程で粛清や残虐が広がり、 カンボジアの社会を根底から破壊した。 このクメール・ルージュ時代を生きた ソリヤーーーサロト・サル、後のポル・ポトの隠し子、 そして、ムイタックーーー貧村ロベーブレソンに 生まれた神童、 この二人を中心とした物語。 上下2巻の大著。 舞台はクメール・ルージュ以前。 シハヌークの圧政下のカンボジアで始まる。 前半、ムイタックの神童ぶりや ロベーブレソンの奇妙な能力をもった 村人たちが描かれる。 一方、ソリアは、シハヌークの秘密警察により 育ての親を殺されてしまう。 この二人、ムイタックとソリアが 首都プノンペンで偶然出会う。 二人はゲームをして過ごす。 その日。 クメール・ルージュは 首都を陥落させ、シハヌーク体制は崩壊する。 ソリアは窓を飛び出し、クメール・ルージュが 解放した街へと躍り出た。 そこから。 クメール・ルージュの悪夢が始まる。 ゲームをした二人は それぞれに生き抜く。 大人になった二人は 新たな邂逅を遂げるのだった。 シハヌーク時代から クメール・ルージュ時代が 奇妙な幻想と現実がないまぜになった 表現で描かれていく。 超能力を持つ人々が普通に描かれる。 どこか歪んだ現実。 ある人は書評で 中南米のマジックリアリズムに 酷似すると語った。 その言を意訳すれば 凄惨な現実に時空がたわみ、 リアリズムを超える描写がなされ、 超能力が現出されたということか。 ともあれ、ファンタジーのような、 ミラクルのような特殊な能力をもった 人々が続々と登場し、 クメール・ルージュの凄惨な現実と対峙する。 そして、後半。 大人になったムイタックとソリアは お互いを戦う相手としていた。 権力を手中に収めようとしているソリア。 一方、ムイタックは脳科学者となり、 脳波で操作するゲームを開発していた。 そのゲームをキーに、 カンボジアを舞台に かつての少年と少女は 再び対決しようとしていた。 シハヌークからクメール・ルージュへと続く カンボジアの凄惨な歴史。 その時代を舞台に 次々と現れる不思議な能力を持った人々。 彼らが淘汰された後に残る 少年と少女のカンボジアの未来をかけた戦い。 リアルとファンタジー。 現実とゲーム。 過去と未来。 さまざまな錯綜が混然一体となって、 整理のつかない、不思議で圧倒的な物語が生まれた。
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