あらすじ
「君を殺す」――復讐の誓いと訣別から半世紀。政治家となったソリヤは、理想とする〈ゲームの王国〉を実現すべく最高権力を目指す。一方のムイタックは渇望を遂げるため、脳波を用いたゲーム《チャンドゥク》の開発を進めていた。過去の物語に呪縛されながら、光ある未来を乞い願って彷徨うソリヤとムイタックがゲームの終わりに手にしたものとは……。 第38回日本SF大賞&第31回山本周五郎賞受賞作品
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Posted by ブクログ
上巻はたしかにカンボジアの歴史的背景をもとに共産主義の破綻や翻弄される国民を描いていたはずだった。
このテイストで物語が続くのかと思いきや、下巻に入った途端、2023年という現代に突然移り変わる。
そして、何より脳波を使ったゲーム「ブラクション・ゲーム」を基準に人の思い出や社会とゲームの違い、勝利と敗北…色んなところに話を展開する。最終的な場面はゲームの情景を説明しているのかムイタックとソリヤが思い出を懐古してるのかもぐちゃぐちゃなんだが、たしかにSF小説であり、でも読み手を置き去りにしてるような感じで…。
なのに、なんだこの満足感。
Posted by ブクログ
ようやく上巻の複雑に交錯する登場人物らと舞台設定に慣れたと思ったら、物語は突然のリセット(半世紀の時が流れる)。
アルンとリアスメイに世代交代、ムイタックとソリアの神話(ゲーム)はようやく幕を下ろした。
本書の雰囲気や読後感はマルケスの『百年の孤独』っぽい。
先に『地図と拳』を読んでいたが、本書のほうが好み。
Posted by ブクログ
(上下まとめての感想)
とんでもなく面白かった、、すごい作品に出会ってしまった、、、
カンボジアを舞台にした近未来SFといった感じ
そこまでSF要素はなかった
色んな話が並行して進んでいくけど、話の中心人物として大きくスポットを浴びているのが、ムイタックとソリヤ。
最後まで読んでようやくわかったような気がしているけど、この小説は2人の壮大な追いかけっこだったんじゃないかと思った。
人生をかけた壮大なゲーム、素晴らしかった。
1度会ったきりなのに、お互い無意識下で執着してしまう。もっと掛け合いがみたいなとも思いましたが、余韻を残したこの終わり方が1番美しく儚い、素晴らしい終わり方だったと思います。
上はひたすらカンボジアでの共産革命を巡った話で、面白いけれどどういう話なんだろう?どう展開していくんだろう?と全く先の読めない展開でとても楽しめました。
残虐なシーンも多かったけれど、キャラが立っていて、面白いシーンも沢山あり、どこか憎めない愛すべき登場人物がたくさん。カンボジアについてはほとんど知らない状態で読みましたが、描写が非常に細かく、読みやすくてとても想像しやすかったです。
下はガラッと雰囲気が変わり、ゲームにかなり焦点の当てられたストーリーに。
時代はポルポトを一気に通り過ぎており、どういうことが起きたのか少しずつ追体験していくところも大変良かったです。
最後の最後まで展開を読ませない構成力。圧巻でした。
ゲームの王国を実現しようとするソリヤとそれを防ごうとするムイタックという構図が明確で、かなり読み進めやすかったです。
とにかくめちゃくちゃ楽しくてめちゃくちゃ面白かった!
久々にこんなに展開にワクワクさせられました。
素晴らしい。
Posted by ブクログ
クメールルージュ、ポルポト、カンボジアの話?
作家はカンボジアに住んでいたのか?
そんな事を思いながら、それはそれは不思議な登場人物達のそれぞれの人生を読み進めていく。
カンボジアを旅行した事はなかったけど、作品を通して情景が目に浮かぶ。
それぐらい描写が細かい。
いつかテレビでクメールルージュの虐殺を特集した番組を観たことを思い出した。
土臭く、地に這いつくばって生きているキャラクター達。
最後交わったのか、全てが回収されたのか、それはわからないけど、未完のような、ただ、作者の情熱が伝わってくるこの作品、読み終わり、ただ余韻に浸る。
日本人で、外国を舞台にここまで書き切れるだろうか、と圧倒されながら。
あとがきを読むと更に驚かされる。
面白い作家さんを見つけた。
Posted by ブクログ
上巻に引き続き、あっという間に読み終えた。すごい筆力だ。久々に世界観に没頭できるフィクションだった。下巻を開いた瞬間、上巻とは別世界のようで、それも面白かった。ノーマークの著者と著書だったので、読み終わってすぐに、家族や友人におすすめしまくってしまった笑
下巻も変わらずカンボジアが舞台だが、上巻が1950-1970年代のポルポトやクメール・ルージュの史実を元にした時代だったのに対し、下巻は2000-2020年代に一気に飛ぶ。下巻になり、SFというジャンル設定がはじめていきてくる。脳波でコントロールできるメタバース的なゲームが登場する。どのように物語が着地するのか、誰かの命がいつ奪われるかわからないスリルを味わいながら読み進めた。
時代が行きつ戻りつしながら物語は進み、主人公の一方が政治家になった経緯、もう一方が教授になった経緯が少しずつ明かされ、そこに新たに登場する若い世代の登場人物たちが絡んでゆく。
新しい時代だが、時折上巻の登場人物が上巻の時代の価値観のままで登場しては不穏な空気を醸し出す…
今のカンボジアで生きるということは、そういうことなのかもしれない。つまり、新しい時代の顔をしてるが、古い時代の悪しき遺物がそこここに根を張って生活を支配している。負のスパイラルから抜け出すのはたいへんだ。カンボジアでNPO, NGO活動をする際の徒労感や、背徳感のない不正の横行や、悪意のないルーズな働き方の常態化など、どうしようもない状況がよく伝わった。
ちなみに、上巻のラストで袂を分かった主人公の少年少女は下巻では、老齢に差し掛かっている。上巻の最後のページまでは少年や少女だったのに、下巻の1ページ目をめくってすぐに、彼らが初老を迎えていることに気づく構成。それなりの地位にいる彼らを確認しながら、人の一生ってすごい!という気持ちになった。どのような人生を送ってそこにたどり着いたのか。人生ってあっという間だし、千差万別だし、予想もつかないものだよね…と、人生まだ道半ばの私は不思議な感覚に。日々の積み重ねがどこにたどり着くかなんでわからなくても、きちんと積み重ねていくことが、子ども時代の自分に対する誠意かなぁという気持ちになった。全然この話の本筋とは関係ないのだけれど。一生懸命生きていた子供時代の自分に、報いなくてはね…
作者のあとがきも良かったです。
半分アマチュアな時に描いた作品とのことで、今の自分にはなぜこれが書けないのか、について、作者の素直な言葉に触れた気分。このあとがきも含めて、読後感の良さがある。
Posted by ブクログ
上下巻の二部作をようやく読み終えました。
歴史小説然とした上巻は自分がカンボジアの歴史について不勉強な事もあり、重苦しい歴史の追体験も辛すぎる上、数の多さと読み慣れない名前で登場人物が覚えられず、中々読み進められず断念しそうになるほどでした…
しかしながら、登場人物達が時代のうねりに翻弄され続ける上巻を通して自分の中に蓄積された「記憶」のような何かが、下巻で2人の元少年少女の愛の物語の結びを読むためのエッセンスだったと思うと、とてもくたびれましたが最後まで読み切って良かったと思える作品でした。
Posted by ブクログ
読書「体験」とはよく言ったもので、時たま自分の見ている世界を一変させるような本があると思います。私にとって「ゲームの王国」はそんな作品でした。
時代や国を隔てれば、あらゆるものが今とは違う
。文化、価値観、経済。枝先の違いを見つめれば、それは遠くの物語。
でも、生と死だけは変わらずそこにあり、祈りはいまもここにある。
日々の、仕事の、生活の、スケールの小さいルールのなかで生きる自分を顧みながら、それでも人生というゲームのルールに「楽しむ」を組み込んで生きていきたいと、そう思いました。
この理の彼岸で、彼と彼女が幸せでありますように。
Posted by ブクログ
オレ頭良い!オレ変人!的な中2感満載のストーリーだが、史実であるポル・ポト時代のカンボジアと絡めることでなんか真面目に正座して読まないといけない雰囲気になってて面白い。
Posted by ブクログ
小川哲さんの作品を書かれた順に読み始め、ユートロニカに次いで2作目。この方の作品は科学、政治、宗教とか哲学、犯罪が織り交ぜられていて、深い。
田舎の村では昔からの流れ(風習)で運営されているが、掟のようなものは存在する。何か問題が起きると呪術とか祈祷のようなものが判断に大きな影響を与え、村長の判断が全てだったりする。
これが国の単位になるともう少しルールができてくるが、ルールが不完全だったり、ルールはあっても正しく運用できていなかったりする。他国との外交とかが絡むとさらに複雑化する。
ルールに従ってどう勝つか、どう楽しむかを考えるのがゲームだが、国の運営はゲームほど明確なルールが決まってない。というより守られていない。胴元が得する仕組み。
国のルールが良くないとき、ルールが正しく運用されていないとき、その状況を変えたければルールを作る立場になればいい。ただ、そこに行き着くまでに、すでに権力を持っている者たちに反則技で潰される。うまくやったとしても時間がかかる。時間を短縮しようとすれば自分が汚い反則技を使わざるをえない。
人の記憶は頼りない。不確実なものをつなぎ合わせている。概念を視覚的な刺激に置き換えて勝手にイメージしているかもしれない。さらにそれをあたかも本当の記憶として保存してしまっているかもしれない。逆に都合の悪いことは完全に記憶から消し去っているかもしれない。
この小説の中ではさらに何かを求めて強く記憶を呼び出そうとすると、他人の記憶を自分の脳に取り込んだり、自分の記憶を他人の脳に渡すことができる可能性を言っている。(完全なフィクションなのか、本当にそういう研究が進んでいるのかは、残念ながら私には良くわからない)
ただ、どんなに科学が進んでも人間は最後には神に祈ったりマジナイの類(輪ゴムとか頭の中の綱引きとか勃起とか)を信じたりするのだろう。
●勝手にキャスティング
・サトロ・サル 市村正親
・ソリヤ 芦田愛菜
・ムイタック 櫻井翔
・チリト 泉谷しげる
・ティウン ユースケサンタマリア
・フオン 生瀬勝久
・ソム 西島秀俊
・泥 山田裕貴
・鉄板 眞栄田郷敦
・輪ゴム 劇団ひとり
Posted by ブクログ
個人的には上巻よりも面白かった。
重畳的に奥深く世界感が構成されており、まとめて一気に読みたい作品(途中で時間が空いてしまうと、この作品の世界から離れてしまい、再び奥深くに入り込むことが難しくなる感覚がある。また、一度奥に入り込んでしまうと中々出てきにくいので、一気読みの方が楽しめるように思う)
著者の一作目、ユートロニカのこちら側に続いて読んだが、確かに指摘されている通り、史実をベースとする展開や狂気を孕んだ人の表現の具体性が、ごつごつとした手触りをもたらし、前作に比べて人工的な洗練さからの脱却が見られて、著者の進化を感じられる。
自分自身が研究者であること、またメカニズムデザインを齧っているということもあり、ゲームの王国という設定自体がより面白く感じられた。
Posted by ブクログ
SF最高!
『三体』でSFの面白さを知って、『ゲームの王国』でやっぱりSFっていいなと改めて思った。
『ゲームの王国』は哲学的な思索に満ちたSFとして非常に面白かった。
「感情とは物語」ってくだりが好き。
キャラ設定はクレイジーでめちゃくちゃ異世界。
私もヘモグロビン改善しようと思う。
ただ、表現の一部には男性作家特有の癖を感じるところもあって、一歩引いて読んだ。
村上春樹的な・・・(個人の感想です。ハルキストの皆様、すみません。)
ポル・ポト支配のカンボジアの悲惨な時代を生き、その後の腐敗した政治を変えるために権力を手に入れようとしたソリヤ。
本当にポル・ポトの娘だったのだろうか。
「世の中を変えるためには、多少の犠牲は仕方ない」といって簡単に人を殺すことができる時点で、ソリヤはポル・ポト側の人間だと思う。
洗脳ゲーム、他人事ではない。怖いね。
Posted by ブクログ
上巻と下巻でガラッと趣が異なる。
上巻は20世紀のカンボジアの歴史を駆け巡る内容。不安定な政情と政府の弾圧・暴力が容赦無く民衆を攻撃する展開に思わず目を覆いたくなります。多少魔術的な要素を秘めつつも、SF的要素は皆無で、「あれ、この作品、日本SF大賞受賞したんだよな」と思うことしばしば。そんな極めて過酷な情勢下で生まれ育った神童ムイタックと人の嘘を見抜ける不思議な少女ソリヤは運命の糸に絡め取られるように出会い、そして宿命的な決別を遂げます。かなり怒涛の展開のなかで、悲惨なシーンを抱えて上巻は幕を閉じるのですが、下巻はそこから一気に半世紀も時を下ります。
ここからSF的要素が加わってくるのですが、冒頭のとおり、なんというか歴史の一端を垣間見ていた上巻と大きく展開が変わるので、正直、読み進めは戸惑いました。もはや初老に差し掛かったムイタックとソリヤは、それぞれ強い信念を抱えて前進します。ルールのなかで争うムイタックとルールを変える立場に挑むソリヤ。運命に翻弄された少年少女の行き着く先はなんとも悲しい結末。
善悪二元論で片付けられる話ではないのですが、正しい思いで前進するムイタックやソリヤが退場し、ラディーのような性根が腐った人物が蔓延る結末に、物語に対する多少の不満を抱きつつ、なんだか現実を突きつけられているような気がします。また、正しい思いといいつつも、この正しさを盲信する危うさを感じる場面もありました。物語は終盤、ソリヤが取り巻きに対して行った小さな演説に、ポル・ポトを重ね合わせたのは、もしかしたらソリヤが次のポル・ポトになり得るという警告を表しているのかもしれません。
そんな複雑な感情を抱えて読み終えた本書でした。
Posted by ブクログ
1970年代の地獄のカンボジア。
ポル・ポトの支配していた時代を駆け抜ける、史実を元にした物語の下巻。
大量殺戮の季節が生んだ、復讐の誓いと二人の訣別。そこから半世紀後。
政治家となったソリヤは理想とするゲームの王国を
実現すべく権力の頂点を目指す。
一方でムイタックは自身の渇望を完遂するため、
脳波測定を使用したゲーム『チャンドゥク』の開発を
早熟な少年アルンと共に進めていた。
過去の物語に呪縛されながらも光ある未来を
希求して彷徨うソリヤとムイタックが最後に手にしたものとは。
壮絶な歴史を描いてきた上巻とは打って変わって、
いきなり物語は50年後の現代、そして一気にファンタジー感を増す。
思ってもみなかった展開に最初は拍子抜けしたが、
根本は一応変わってはいなかった。
ゲームの王国というタイトルから想像できる内容になってきた。
それはつまり予想ができてしまう物語ということなのだが。
上巻の圧巻的な内容からは少し薄味かなという印象。
この下巻に記された物語をメインとして考えるならば、
上巻はそのためのセットアップといったところか。
だが、そのセットアップが歴史も相待って強烈過ぎたところが
下巻に対する評価の分かれ目だったのかもしれない。
とは言え、これだけの重厚な物語を
日本人の作家が描ききったという点は賞賛に値すると思う。
Posted by ブクログ
クメール・ルージュへの迫害から、そのクメール・ルージュによる大虐殺までが描かれていた上巻は打って変わって、下巻では、2000年ごろから現代にかけてを舞台に、いまだ腐敗が続くカンボジアを救うために権力を求め、首相をめざすかつての少女ソリヤと、ソリヤが権力の中枢に近づいていく過程で、村の仲間や両親を見殺しにされたかつての天才少年ムイタックが(間接的に)戦う話が中心になっている。
ソリヤはカンボジアを救うという大きな正義を実現するため、腐敗した現実という「ゲーム」の中で権力を得ようとする。つまり、現実を操る。
一方、教授となったムイタックは、そんなかつての少女に対抗するヒントを、脳波を用いて仮想現実で戦う「ゲーム」に見出す。その「ゲーム」とは、プレイヤーは勝つために楽しい記憶を呼び起こすことが必要となるゲームで、開発が進むにつれて、人間は記憶を偽造することができると気づいた彼は、ゲームのクリア条件に絡む形で、プレイヤーがソリヤへのマイナスイメージを持つような記憶を偽造するように仕向けることでソリヤの支持率を下げ、彼女に勝とうとする。
最後は、現実と仮想現実それぞれの「ゲーム」で勝利をめざす彼らが互いに、子供時代の1日だけ一緒に「ゲーム」をしたことをかけがえのない思い出にしていることが描かれて、物語は終わる。
話の内容や登場人物の魅力だけでなく、さまざまな視点から作品世界が重層的に語られたり、「ゲーム論」「国家論」のようなものが散りばめられていたり、カンボジアの歴史について、おそらくかなりきちんと取材されたものが描かれていたりと、読むことの快感を味わうことができる作品だった。
上巻の感想にも書いたが、「テスカトリポカ」以来の興奮が得られた読書で、並べるのは両者に失礼かもしれないが、自分の中ではかなりイケてる。
「地図と拳」も気になっていたので、近いうちに読みたい。
※ 何人かの方の感想で「あとがきがよかった」とあるが、自分が読んだのは文庫版ではない。ハードカバーのバーコードが読めなかったので文庫で登録した。
Posted by ブクログ
2023年を過去のものとして読んでましたが、こちらの刊行は2017年であったと「あとがき」読んで気付きました。本書の内容良かったですが、「あとがき」もとても記憶に残る何かが届きました。
Posted by ブクログ
上巻は、カンボジアの現代史を巻末の参考文献を読んだりして、知識を広げたいと思わせる内容だった。
下巻はその時代のことが土台になって展開された、ゲームを開発する話がメインだった。
どちらにも知識が乏しい私としては、自分の理解の範囲で読むことしかできない。
それでいくと、ところどころに差し込まれた、政治や経済についてのセリフだったり、地の文だったりに、ハッとしたことが多かった。暗黒の時代を描いた小説や評論に、現代の日本を合わせてみるクセが付いている。歴史から学ばなければいけないことがたくさんあると思うし、想像力を広げなければと思っている。
Posted by ブクログ
上巻を読み終わり下巻を開いた時には、いきなり30年以上経った現代に飛んでいて少し不安にも思ったが、それは杞憂に終わり、上巻同様に楽しめた。脳波を計測して遊ぶゲームなど、SF要素が出てくるものの、人生や社会が物語のメインテーマであることは変わらず良かった。ムイタックが提示する「人生」と名づけた数字を選ぶゲームはシンプルながらメッセージ性が強い。
最後は唐突に終わった印象を受け、そこが少し残念ではあった。下巻から登場する人物も多く、日本人のNPO職員が語る途上国支援のあり方の話は興味深かったものの、本筋には深い関係はなく、そこにページを割くよりは最後をより深く描いてほしかったとも思う。
とは思いつつも、上巻、下巻あわせて800ページ以上あったものの長さを感じることはなく、面白かった。
作者のあとがきも良く、本作は30歳の大学院生が締切のない中書いたアマチュアの一作であるとのこと。
小川哲さんの作品は初めて読みましたが、他の作品も読んでいきたいです。
Posted by ブクログ
世の中はルールがあり、そのルールの範疇で人生を生きていく。そんな当たり前だと思われることは決して当たり前でない。ゲームのようにルールを決めて、憎悪の世の中をいきるのはゲームへの冒涜にあたるのかもしれない。ゲームとはただ純粋無垢な勝負で、そこには崇高な勝ち負けしかない
Posted by ブクログ
Audibleで聴いた。
面白かったけど、最後の方、どうやってソリアが殺されたか、もう少し詳しく読みたかった…。
でもこの長編を読み終わってしまって寂しい。もっと読んで(聴いて)いたかった。
Posted by ブクログ
カンボジアを舞台にした混乱、残虐の時代を乗り越え、理想をかかげ時代をつなぐ物語。前半の悲惨な時代はかなり事実に近いのだろうか。ほんの数十年前にこんな悲惨なことが起きていたのかと思うと胸が痛む。ところどころにファンタジーやユーモアがあってよい。後半はまさに今現代でChatGPTとかAIを彷彿とさせるSFあり。章に日付が書いてあるのだが、色んな伏線が散りばめられていて、時系列に並べるとこういうことだったのかと話の構成の素晴らしさに感服させられたが、多分全部は理解できていないと思う。歴史のことのみならず、インテリジェンスにおいても、心のソウルにおいてもとてもよかった。この作者は天才だな。
Posted by ブクログ
上巻から一転、現代に舞台が飛ぶ。
異なる道を歩む2人が、最後に楽しめていたらいいなと思う。
脳波の部分はうまく理解できなかったのが悔しい。
神話的な要素もある、不思議な読後感。
後の作品に繋がるような記述もあって、それも楽しかった。
Posted by ブクログ
おもしろかったし中々すごかった。
が、期待しすぎた(俺の悪い癖だ)。
舞台はカンボジア。史実に基づくが、あくまでも小説なのでフィクションが大いに混じる。とはいえ自分がカンボジアの歴史に疎いためよくわからないが。
かなりざっくり言うと、上巻はポルポトが政権を取り国民を虐殺するまでを描く。下巻は国を変えるために動く女性ソリヤと、ソリヤを止めたい天才ムイタック教授が中心のお話。上巻は1950年代で、下巻は2020年代のお話になる。
上巻。
基本的にはソリヤとムイタックまわりのお話。どんな村でどんな風に生きてきたか。
ソリヤは赤ん坊の頃、ポルポトの隠し子かもしれないがよくわからず、まったく関係ない市民のもとに預けられる。成長するなかで育ての親が殺され逃げ、また別の人の元で育つ。人の嘘を見抜ける能力を持つ。
ムイタックは貧しい農村で生まれるが、子どもの頃から天才で、それゆえ誰にも理解されない。革命が起きるその日、ソリヤと出会いいくつかのゲームをし、はじめて自分より賢いと思う人間を知る。だがそれはソリヤから見ても同じ。互いに、初めて負けたが人生で一番楽しかった、という強烈な記憶を残す。
ソリヤ以外にも、特殊能力を持つ人間が何人か現れる。土の声を聞き土に命令できる男、輪ゴムの声を聞き未来を予言できる男、綱引きの天才で綱引きの神に愛されている男、など。
下巻。
現代。ある日本人女性がカンボジアのNPOでソリヤとともに働く話で始まり、ちょっとびっくりする。ソリヤはカンボジアを変えるため、まずはNPOで知見を深め、のちに政治家となる。
ムイタックは大学教授になり、脳波の研究をしている。彼が10代のころ、村の人間はほとんど殺された。その虐殺を容認したのは、軍人と結婚したソリヤである。ソリヤは自分が権力を持ち国を変えるため、ムイタックたちの村が蹂躙されることを必要な犠牲として選択した。ムイタックはソリヤを呪う。
大学教授になったムイタックは、ある学生の私的な研究からヒントを得てネットゲームを開発する。
それが下巻のキーとなる。
そのゲームは脳波によってプレイするもので、特定の脳波を検知すると、それに対応する強い魔法が出せるというもの。脳波を出すためには、基本的に過去を思い返すという行為が必要になる。その過程で、プレイヤーたちは無意識的に過去の記憶を書き換えて思い出すことになる。ゲームを攻略するために、記憶の無意識的な改ざんが、半強制的に求められるのだ。
人とルール
カンボジアの歴史。ルールをここまで大胆に根底から覆すゲームは、聞いたことがなかった。そこにどんな崇高な理念があっても、他者を踏みにじるルールが人々に受け入れられるはずがない。過去の日本にも通じるものがあると思う。
ルールは平等をもたらしても、自由を損なう。自由と平等のバランスは集団生活の永遠のテーマなのかもしれない。
個人的には、ルールは誰かから与えられるものではなく、一人一人が育んだものを持ち寄って作れたらと考えるが。
Posted by ブクログ
上巻はじっくりと、カンボジアの歴史なんかも検索しながら読み終え、期待しながら開いた下巻。「あれ?世界観が違う?」先が気になる展開には変わりないけど、私には理解するのが難しかった。
Posted by ブクログ
ムイタックとソリヤの関係性というテーマは綺麗に解決して終わったと思うんだけど、それ以外の全てが取っ散らかしっぱなしで終わった感じ。架空戦記じゃなくてSFだったってのも嬉しさより落胆のほうが勝った。出てきた様子のおかしい人たちも雑に死んだり放置されたりでもやもや…… 不思議と読後感は悪くなかったけど、うーん……
Posted by ブクログ
下巻…いきなり現代に切り替わり、日本人も出てきて「おぉ」と期待しながら読み進めたが、絡む事なくそのままカンボジア舞台の話が続く。上巻であれだけ面白かった場面展開や登場人物も下巻も同じパターンの踏襲にやや食傷気味に。ハッピーエンドは期待してないものの何か報われる、救われる登場人物がいても良かったような。ちょっと読むのが辛かったです。
Posted by ブクログ
小川哲さん「ゲームの王国」下巻
上巻から一変して現代の話がメイン。
上巻では「ゲームの王国」というタイトルの持つ意味が曖昧なものだったが下巻で明らかになっていく。
結果から書くと自分にはあまりはまらなかった。物語の中盤から後半にかけて面白味が得られなかった。
下巻の最初の方で展開と結末の予想ができてしまいその予想通りで終わってしまった。
もっとラブロマンスが深くてもよかったと思うし、逆に敵対するならばもっと敵対してもよかったのでは?という読後感が残る。
この作品の本質的な部分は何だったのだろうか?
独裁者、政治、国家、汚職、人命、人権等のテーマが空回りしていく。
そもそもこの作品はそういうものがテーマではなかったのかもしれないと思うほどほとんどが触れているだけで深く読み取る事ができなかった。
登場人物も非常に多く、関わってくる人間も多い。しかしその大半の人々に重要性が特別感じられなかった。あの人は何の為に登場したのだろう?という疑問が幾人にも残る。誰もが関わってくるようなもっと複雑な世界観を期待しすぎてしまったのかもしれない。
SF系の作品と言われればそうなんだと思うが、魔術的なオカルト色が濃くSFとも違う感覚を抱かされる。その辺りは好みの問題なのだが、上巻の史実全開の流れの継続され展開された下巻が読みたかった。本当に一変してしまい別の作品を読んでいるのか?と思うくらいだった。
「地図と拳」も読もうと思っていたが一旦白紙に。今は読みたいと思えなくなってしまった。時間をおいてから読む機会をうかがいたい。
Posted by ブクログ
ポルポト時代から40年後、ソリヤは野党の党首、ムイタックは脳神経学の教授になっていた。
ムイタックが作ったゲームでソリヤに勝つ。それが最後の目的。ラストはちょっと雑な感じがした
Posted by ブクログ
2024年 31冊目
上巻に続き、個性的なキャラがゲームや政治をテーマに駆け引きを繰り広げ、一冊読み上げるのになかなかの重厚感があった。あとがきが著者らしくて好印象だったものの、ちょっと読み疲れた。
Posted by ブクログ
正直ついていけなかった。上巻半ばで見せた革命×ゲーム論的な切り口を期待していたんだけど、完全に別物のSF。これはこれで面白いのだけど、上巻いらなかったのでは?と思わなくもない