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Posted by ブクログ
初めて小川哲の作品を読まれる方にはおすすめしません。なんだこいつ、って感想になりかねない。そういう本でした。
「ユートロニカのこちら側」を読まれると良いと思います。そうして水が合った方向け。
一歩引いて飄々とした作風から一転して、熱量のある作品たちでした。
いつも根底に哲学的な姿勢を取られますが、それがいつになく強く、キャラクターより構造を重視したものになっています。ですので読後感はすっきりしません。しかし咀嚼していくに従って、この単行本そのものが小説のていをとった哲学論だという理解をすると、腑に落ちる気がします。
虚構を信じる力に善悪はない。貨幣経済や信仰をはじめとした道徳という実体のない虚構を信じることは文明を発展させる源であるが、人々を分断させ憎しみ合わせることもできる。両義性あるその力こそが、人類の優れた才のひとつである。
そういう受け取り方をしました。どうでしょう、バラモンになれますか?(笑)
こういう読み方自体が術中なんだろうなぁ。
……うん。考えたら疲れたので、砕けますが。
コロナ禍前後で、色々思ったり傷付いたり腹立ったりしたのかな。
大なり小なり、みんなあの時期には色々思ったけど、小説家っていう職業であるからこそ、そしてヴィトゲンシュタインに文転させられたような人だからこそ、言葉が人を断絶させるっていう状況下にめっちゃ物申したかったんかな……。
そういう意味では、ここまで思想で殴ってきたのは、小川哲の生の感情の現れなのかなあとか。思ってた以上に苛烈な人なんかな、とか。って思わせるのも手法なのかなぁ。
色々余計なことを考えたりなどしました。
一番のお気に入りは「啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで」。仮説を立てること自体が神という虚構を信じるということ、文面にされるとくるものがあります。フィクション全肯定じゃん。思わず泣きました。ありがとう、小説読んでて良かった。
Posted by ブクログ
宗教や信仰をテーマにした6つの短編集。
『スメラミシング』
1番面白かった。面白くて2度読んだ。
この面白さを伝えたいけど、この作品は何も知らずに読んだ方がいいと思う。
1つだけ言いたいのは、ミステリ好きにも刺さるということ。
『七十人の翻訳者たち』
『神についての方程式』
『啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで』
自分の脳が理解を諦めてしまったのか、ちゃんと聴いてたのにいつの間にか違うことを考えていた。Audibleで文字を見てないからということにしておこう。きっとそうだ。
『密林の殯』
生々しすぎる描写に、自分のエロNGサイレンが鳴りっぱなしだった。完全に許容範囲を超えていた。
『ちょっとした奇跡』
地球の自転が停止してしまった終末世界を描いたSF作品。
SFの中に青春、ミステリ、哲学的でもあり、読後感も最高だった。
これは1番わかりやすいので、読んでいる間ずっと頭の中で映画のように映像が浮かんだ。
最後のシーンが今も頭に残っている。
遥か未来のSF設定なのに、ノスタルジーも感じるそのギャップも良かった。
『密林の殯』であれだけ引いていたはずなのに、最終話の余韻が良くて全部上書きされた。
Audibleにて。
★3.5
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