小川哲のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
日露戦争前後から第二次大戦終了後までの満州の地を巡る人々、国々のが絡み合った歴史を力強く再構築した歴史改変もの。孫悟空という人物が出てきたり戦争構造学研究所と仮想内閣という要素があることで歴史改変SF的ではあるのだけど、史実のifを描くことが主題ではないので満州を巡る歴史や戦争、それらにまつわる人々の人生や感情に深く引き込まれる。
全編に渡る大きなテーマはタイトルにもなっている「地図」と「拳(暴力、戦争)」。戦後80年となる現在も世界では多くの拳が振るわれていることはもちろんだが、この物語ならではということでいうと「地図」の現在についても色々と考えることになった。日本国内に限れば「拳」と共に並 -
-
Posted by ブクログ
面白かった。とにかく圧倒的なスケール感。
多くの人物が交差する群像劇が、下巻で一気に広がりと深みを見せ、息をのむような物語の密度に引き込まれた。
10頁にも及ぶ参考文献リストにも驚かされる。
架空の物語でありながら、史実に裏打ちされた圧倒的なリアリティがあり、物語に説得力と重みを与えていた。
決して読みやすい作品ではない。登場人物の多さや専門的な描写もある。
でも一度世界に入ると、ページをめくる手が止まらなくなる。
読み終えたあとには、深い余韻とともに、歴史を“どう描くか”“どう見るか”という視点を問い直される感覚が残る。
歴史小説でも戦争文学でもない。これは、歴史を語る“構造”そのもの -
Posted by ブクログ
タグにディストピアって入れたけど、
本来この小説の世界では、舞台となる近未来アメリカで開発された【アガスティアリゾート】という街はユートピアのイメージなんだと思う。
個人の情報を全て売り渡す見返りとして、何から何まで管理され安全で働かなくても生活できる街への移住ができる。
そんな一見夢のような街、だけどそこに住む人は全て幸せになれるのか?
そのシステムに対してちょっと疑問を持った人たちの視点で各章ごとに、正解がなんなのかを考えさせられるお話。
解説にもあったんだけど、ドーフマンの笑える章がなかったら眠くなる小説だったって印象になりかねない。
SF小説ってあんまり読まないし、苦手な気持ちも -
-
-
-
-
Posted by ブクログ
上下巻感想。
カンボジアを舞台に、ポルポト政権発足前の時代から現代までを描く壮大なエンタメ小説。
なぜ買ったのかも思い出せないまま読み始めたから、カンボジアが舞台ということも知らなかったし、どういう方向に進んでいく話なのかも分からないまま手探り状態で読み進めることになった。
キャラクター視点の切り替わりがあまりにも頻繁に行われるので、話の目的が中々見えてこないだけでなく、上巻の途中まで主人公が誰なのかすら分からない。
けれども、カンボジアという滅多に見ない舞台ということと、輪ゴムで未来を予知する少年や泥を食べて泥と会話できるようになった男(その名も"泥")などの独特