小川哲のレビュー一覧
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ネタバレ本書は、小川哲がパーソナリティを務める(務めた?)ラジオ番組でのゲストとの対話をまとめたもの。作家、映画監督など表現者との対話が主であり、なかなか錚々たる顔ぶれだ。1年半ほどの番組の中からセレクトした12人、12章が並ぶ。
ざっと見て、万城目学、逢坂冬馬、九段理江、加藤シゲアキとその著作を読んだことのある作家が目立つ。芸能人作家でもある小泉今日子に太田光も、どちらの著書にも触れたことがある。映画監督濱口竜介は、ちょうど『悪は存在しない』が上映されていたころの対談か。映画も観ているので話が分かりやすい。
そう、登場人物たちの作品にある程度触れていないと、その会話の深みが味わえない部分もある -
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大雑把に言えばタイムトラベルと歴史に関しての短編集といったところか。
各短編の良し悪しにはかなりの差を感じた。
だが概ねどれも興味深く読めたのは確か。
名馬スペシャルウィークの血統に我が身を重ねる『ひとすじの光』は
競馬好きにはたまらない内容。
自分が一番競馬に熱を上げていた時期の名馬に関する物語が読めるとは。
そしてこれほどまでに熱い血の浪漫が読めるとは、そういった感動があった。
そして表題にもなっている『嘘と正典』
これは長編で読んでみたいと思うぐらいの出来だった。
マルクスとエンゲルスの出会いを阻止することで共産主義の消滅を企む。
構成とオチは完璧。勿論、その結末には驚かされたに決 -
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クイズ小説であり、ミステリ小説であった。
クイズ小説としては、クイズの醍醐味やテクニック、競技としてのクイズの魅力をわかりやすく伝えている読み応えのある小説であった。一方で、ミステリ小説としては少し物足りなさを感じた。この小説におけるミステリポイントは間違いなく「ゼロ文字正答」が如何にして行われたかである。ここに対する答えが驚くべきものであればあるほど、ミステリ小説として際立ったものとなる。この種明かしに期待して読み進めた分、驚きの落差は大きくなかった。別に納得できないわけではないが、読者にとって公平かどうかは疑問が残る。どうも後出しジャンケンのような気がした。
クイズが好きな理由が少しわかっ -
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推理小説などを読む時、どこから考えてるんだろうと不思議でしたが人によるとはいえ作家さんたちがこんな風に考えて作品を作っているんだということがわかり、面白かった。
そして相当頭がいいんだということも。
商業作家として作品を生み出し続ける為には小川さんのように読者と作家の距離感を考えながら描かなきゃいけないのかと。
大変なお仕事ですね…。
と同時に、私たちの感想も作者の意図しない捉え方をされているかもしれない…という誤読の答え合わせをするためにも大事なんだと気付かされました。
これからはありきたりな感想じゃなく、私が感じた、作者に届ける感想、次の読者に向けた感想を書くことを頑張ってみようと思う。 -
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ネタバレクイズで同小説を?と思っていたけど、普通に面白かった。が、少し期待値が高すぎたかなぁとも。
主人公の視点で、0文字押しをしたクイズの相手が何故押せたのかを読み解いていく、一応ミステリ。
地の文が主人公の思考で、確かに飛躍するよなぁと、言葉の背景、似た音の言葉など思考が飛ぶのは共感と文章になると面白くもある。
クイズの内容は普通に難しく、知らん話もあるが主人公の解説(思考)があるので読みづらいことはない。
対戦相手について調べ、自分のクイズ歴について思い返して。何故解けたのかは過去にどちらかが解いたことのあるような問題が出ているという、まあ読み進めればそうだよなぁという結論に辿り着く。ラストはす -
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生放送のクイズ番組『Q-1グランプリ』決勝戦に出場した三島玲央は、対戦相手の本庄絆が一文字も読まれていない問題に正答し優勝したことに疑念をもつ。なぜ本庄は「ゼロ文字正答」ができたのか?
この冒頭がまず本当に面白い。本庄はヤラセを行ったのか。そうでなければなぜ一文字も読まれていない問題を答えられたのか。
私はQuizKnockの大ファンなので、どういうふうに確定ポイントが決まっていくのかや、「読ませ押し」というテクニック、自身の体験から基づいた記憶は強いことなどは知っていた(つもり)なので、そういったクイズの技術面がたくさん描かれていて、とても面白かったです。ゼロ文字正答に至った経緯もとても -