小川哲のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ6編からなる短編集。
「文藝」が主ではあるが、発表時期も媒体も異なりつつ、そこはかとなくテーマが通底していて、面白い。
「神」、「宗教」を扱いつつ、そこに潜む虚偽や、なにかにすがらずにはおれない人間の愚かさを冷ややかを皮肉っているかのようなお話。
核となる、というか、どの物語も発端は、ここにあるのでは? と思う記述が下記;
「地球が誕生したのも人類が誕生したのも偶然だ。何億年、何十億年という時間をかけて、さまざまな偶然の連鎖の果てに、私たち人類は存在している。だが私たちはその事実に耐えられない。だからこそ神を創造した。自分が生きていることは必然なのだと考えようとした。私たちは幸福 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ『地図と拳』、『君のクイズ』、『君が手にするはずだった黄金について』と読んできた身からすると「どした?」という感じが否めないのが正直なところ。
ただ、元々がSF作家とのプロフィールだったり、書き下ろしというわけでもなく、それなりの期間で様々な掲載先に掲載された短編を集めてきたもので本作が出来上がっている点なんかも考えると、本当はこういう把みどころがないような物語が書きたいのかなー、なんて思ったりもする。
宗教(歴史あるものもあれば、危うい新興思想のものもある)、神なるものをテーマとした6編からなる短編集。
登場人物や世界観は全く重ならないが貫くテーマがある。
小難しい理屈、理論、設定の中に -
Posted by ブクログ
神と宗教、信仰についての短編集。
特に好きだったのが『神についての方程式』『啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで』の2篇。
『神についての方程式』
これぞ小川哲。遠い未来、宗教が滅んだ後の世界。過去存在した最後の宗教についての調査録。数学に絡めて神を定義していく、「0」に秘められたロマン。頑張れば少し分かりそうなレベルから始まり、最後は分からないけどすごい気がする、に持っていく。自分が賢いと思っている人間が一番ハマるラインの宗教の解像度が高い。どこかに存在していたのか、あるいはこれから存在するのかもしれない。そんな実在性を持った物語こそ小川哲の真骨頂。
『啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで』 -
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