小川哲のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
どちらかと言うと私小説のような、そんな感じを匂わせる短編集。
ふとしたことから就活を始めた主人公。
そんな主人公が小説家になるまでの経緯を描いた『プロローグ』
2011年3月11日、東日本大震災の日。
あの日あの瞬間、自分が何をしていたかはしっかり憶えているのに、
その前日3月10日、何をしていたかは一切思い出せない。
果たして自分は3月10日に何をしていたのか、
そんな記憶に纏わるエピソード『三月十日』
高校の同級生の奥さんが突然仕事を辞め、小説家になると言い出した。
その背景にはオーラリーディング占い師の存在があった。
奥さんの洗脳を解くために、占い師のインチキを暴こうとする『小説家の鏡 -
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Posted by ブクログ
小川哲のデビュー作。
巨大情報企業による実験都市アガスティアリゾート。
その都市で暮らす為には自らの視覚や聴覚、
位置情報などプライバシーの全てを提供しなければならない。
ただし、その代わりに得られる報酬で平均以上の豊かな生活が保証される。
そんなアガスティアリゾートに纏わる人々の6つの物語。
デビュー作で日本ではなくアメリカ、しかもディストピアを描く、
まさに挑戦的とも言えるし、トチ狂ってるとも言える。
そんな規格外な発想を実現させた小川哲に賛辞を贈りたい。
ビックブラザーのいないオセアニアの様な世界。
すごく乱暴に言えばそういったところか。
不都合な真実は見向きもされない。
人間は -
Posted by ブクログ
ネタバレ本書は、小川哲がパーソナリティを務める(務めた?)ラジオ番組でのゲストとの対話をまとめたもの。作家、映画監督など表現者との対話が主であり、なかなか錚々たる顔ぶれだ。1年半ほどの番組の中からセレクトした12人、12章が並ぶ。
ざっと見て、万城目学、逢坂冬馬、九段理江、加藤シゲアキとその著作を読んだことのある作家が目立つ。芸能人作家でもある小泉今日子に太田光も、どちらの著書にも触れたことがある。映画監督濱口竜介は、ちょうど『悪は存在しない』が上映されていたころの対談か。映画も観ているので話が分かりやすい。
そう、登場人物たちの作品にある程度触れていないと、その会話の深みが味わえない部分もある -
Posted by ブクログ
大雑把に言えばタイムトラベルと歴史に関しての短編集といったところか。
各短編の良し悪しにはかなりの差を感じた。
だが概ねどれも興味深く読めたのは確か。
名馬スペシャルウィークの血統に我が身を重ねる『ひとすじの光』は
競馬好きにはたまらない内容。
自分が一番競馬に熱を上げていた時期の名馬に関する物語が読めるとは。
そしてこれほどまでに熱い血の浪漫が読めるとは、そういった感動があった。
そして表題にもなっている『嘘と正典』
これは長編で読んでみたいと思うぐらいの出来だった。
マルクスとエンゲルスの出会いを阻止することで共産主義の消滅を企む。
構成とオチは完璧。勿論、その結末には驚かされたに決 -