小川哲のレビュー一覧
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満州を舞台に時代は第二次世界大戦、そして終戦へと移り変わっていく。やはりこの作者は小説が非常に上手く、感傷的になりすぎず、さりとて倫理との距離を見誤ることなく、悲惨な戦争の実態とともに物語は進んでいく。戦争による破壊と対になる都市と建築がテーマであるのもバランス感覚に優れており、気候を読み建築の才のある明男は本作における主人公と言っても過言ではないだろう。また端々で暗躍する細川も魅力的であり、それ故に前回と書いたが時代のうねりが巨大すぎてそれに翻弄されるがあまり「個」としての人生やエピソードを見出すことができず、端折られているような感覚になったのは非常にもったいない気もする。史実のインパクトに
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Posted by ブクログ
日露戦争直前の、各国の思惑が入り乱れる満州という土地で繰り広げられる群像劇。激動の日本史という史実を舞台に架空の物語を挟み込む手法が非常に上手く、空想歴史巨編と言っても過言ではない圧倒的なリアリティとドラマ性を誇っている。どちらかといえば歴史ドラマ的な側面が強く、群像劇視点であるため明確な主人公がおらず、年月の経過による一個人の風貌や心境の変化を掴みにくい点にあり、ガラリと変わる政治情勢が見どころであり、良くも悪くもそれが持ち味なせいかそれに翻弄されっぱなしである。個人のドラマではなく、歴史の大きなうねりを通して浮かび上がる個人の生き様といったほうが正確なのかもしれない。
あと、これは難点の -
Posted by ブクログ
新しい文芸誌
表紙可愛い。
キャラクター(表紙の子)可愛い
毎刊テーマが決まってる(今回は愛)
紙の本の価値について熟考されている。
紙という素材にもこだわっている
識字困難な人も読める対応をとっている
ジャンル多彩
投稿作家多彩
等々とにかくてんこ盛りに盛りに盛った体制に携わった人たちの鼻息が聞こえそう。
値段が510円ってのが安すぎて気になるけど、四方八方から手にとって貰えるような配慮なのかも。頑張って欲しい。
とにかくビックリするくらい沢山の作家さんが投稿してるのに驚いた。業界のことはわからないし、小説しか読まないけど売れっ子作家さんがずいずいと並ぶ様は圧巻。一月に数冊読む位の自分 -
Posted by ブクログ
どちらかと言うと私小説のような、そんな感じを匂わせる短編集。
ふとしたことから就活を始めた主人公。
そんな主人公が小説家になるまでの経緯を描いた『プロローグ』
2011年3月11日、東日本大震災の日。
あの日あの瞬間、自分が何をしていたかはしっかり憶えているのに、
その前日3月10日、何をしていたかは一切思い出せない。
果たして自分は3月10日に何をしていたのか、
そんな記憶に纏わるエピソード『三月十日』
高校の同級生の奥さんが突然仕事を辞め、小説家になると言い出した。
その背景にはオーラリーディング占い師の存在があった。
奥さんの洗脳を解くために、占い師のインチキを暴こうとする『小説家の鏡 -
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Posted by ブクログ
小川哲のデビュー作。
巨大情報企業による実験都市アガスティアリゾート。
その都市で暮らす為には自らの視覚や聴覚、
位置情報などプライバシーの全てを提供しなければならない。
ただし、その代わりに得られる報酬で平均以上の豊かな生活が保証される。
そんなアガスティアリゾートに纏わる人々の6つの物語。
デビュー作で日本ではなくアメリカ、しかもディストピアを描く、
まさに挑戦的とも言えるし、トチ狂ってるとも言える。
そんな規格外な発想を実現させた小川哲に賛辞を贈りたい。
ビックブラザーのいないオセアニアの様な世界。
すごく乱暴に言えばそういったところか。
不都合な真実は見向きもされない。
人間は