小川哲のレビュー一覧
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ネタバレ 購入済み
自分を構成するもの
自分を構成するもの――それを円グラフで表す。
それが元素であれば、炭素、水素、酸素、窒素、その他金属。
ハガレンのエドに言わせれば、子供の小遣いでも材料は買える。
だが、他の要素でグラフを書くとしたら?
エントリーシートとか懐かしいし、いきなり自己分析しろと言われても困ったことを思い出す。 -
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クメールルージュ、ポルポト、カンボジアの話?
作家はカンボジアに住んでいたのか?
そんな事を思いながら、それはそれは不思議な登場人物達のそれぞれの人生を読み進めていく。
カンボジアを旅行した事はなかったけど、作品を通して情景が目に浮かぶ。
それぐらい描写が細かい。
いつかテレビでクメールルージュの虐殺を特集した番組を観たことを思い出した。
土臭く、地に這いつくばって生きているキャラクター達。
最後交わったのか、全てが回収されたのか、それはわからないけど、未完のような、ただ、作者の情熱が伝わってくるこの作品、読み終わり、ただ余韻に浸る。
日本人で、外国を舞台にここまで書き切れるだろうか、 -
Posted by ブクログ
上巻に引き続き、あっという間に読み終えた。すごい筆力だ。久々に世界観に没頭できるフィクションだった。下巻を開いた瞬間、上巻とは別世界のようで、それも面白かった。ノーマークの著者と著書だったので、読み終わってすぐに、家族や友人におすすめしまくってしまった笑
下巻も変わらずカンボジアが舞台だが、上巻が1950-1970年代のポルポトやクメール・ルージュの史実を元にした時代だったのに対し、下巻は2000-2020年代に一気に飛ぶ。下巻になり、SFというジャンル設定がはじめていきてくる。脳波でコントロールできるメタバース的なゲームが登場する。どのように物語が着地するのか、誰かの命がいつ奪われるかわか -
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購入済み
読みやすい
ふーーーむ。小説家って普段こんなこと考えてるんだなぁという気づきと、小説家だからなのか日常の些細な出来事をきっかけにして物語を作っていくのがすごく上手いと思った。作中に出てくる80億を回してるとかいう見栄っ張りの元同級生や、真偽は謎だけど偽物ブランドを身に着けてるだとか作品のネタ等すべて他人から盗んだものだとか言われてる漫画家など、本当にいそうだよなこういう人って感じで普通に話としては面白かった。それに対する主人公(作者?)の見方も面白い。
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Posted by ブクログ
何かの書評をみて、何気に買ってみた本。ジャンルはSF?小説?とにかく引き込まれました。話の内容は、想像と全く違う笑 ポルトガルについて全くの無知!なので、頭が追いついていかない、、、でも途中から、どんどん進む速さが速くなります。
カンボジア
ポルポト
革命
聞いたことあるけど、全く知らない世界の話
でも、それは確かに存在した事実が含まれていて
事実の上の物語だからこそ、現実に
重ねることができたと思う。
人生で、カードを最後まで引き続けるのは
怖いことだし後悔することもあると思うけど
引かないとそれもわからない
人生のルールは、つくられてるけれど
つくってもいける
自分の物語は、あるようで -
Posted by ブクログ
ユートロニカのこちら側
近未来、監視社会ディストピア。
複数の視点からの物語で構成されている。
各々の事情でアガスティアリゾートという居住特区に関わり、サーヴァントと呼ばれる個人情報を収集し情報を基にアルゴリズムされたAIと自己意識の葛藤を描く群像劇S F ストーリー。
人々は個人情報を提供することで労働から解放され、日々の選択もサーヴァントに依存する生活で、日々の様々な選択からも解放される。
果たして自らで考えることを図らずも放棄した人々は、自由といえるのろうか。そこに意識としての自己は存在するのかを考えさせてくれる。自由とは何か。不自由があるからこその自由。自由の定義。意識と無意識。やがて -
Posted by ブクログ
小川哲さんの作品を書かれた順に読み始め、ユートロニカに次いで2作目。この方の作品は科学、政治、宗教とか哲学、犯罪が織り交ぜられていて、深い。
田舎の村では昔からの流れ(風習)で運営されているが、掟のようなものは存在する。何か問題が起きると呪術とか祈祷のようなものが判断に大きな影響を与え、村長の判断が全てだったりする。
これが国の単位になるともう少しルールができてくるが、ルールが不完全だったり、ルールはあっても正しく運用できていなかったりする。他国との外交とかが絡むとさらに複雑化する。
ルールに従ってどう勝つか、どう楽しむかを考えるのがゲームだが、国の運営はゲームほど明確なルールが決まって -
Posted by ブクログ
プライバシーと引き換えに労働から解放されるという世界があったとき、人はどう行動するのか?全ての行動を見張られている環境で、ヒトは人間らしく生きていけるのか?見張られているから犯罪も予防できる。起きない。全ての情報を持ち、膨大な情報から論理的に、客観的に正しい判断ができるサーバントに頼り切り、自分の頭で考えなくなる人間。本来人間の召使いであったはずの彼らに取り締まられ、奴隷化して行く。そんな世界を理想と考える人間と、間違っていると考える人間との対立。全てを見張られるという不自由を受け入れることで自由が得られるという矛盾。そんな状況で「自由って何なんだ」と悩んだときに、何千年も信仰され、人間の考え
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Posted by ブクログ
シハヌークからロンノル、そして革命により誕生したポルポト政権。
移りゆくカンボジアの情勢を史実とフィクションを混えて描かれた作品。
これスゴい、、
まだ上巻だけど、めちゃくちゃ読み応えあって引き込まれた。
ポルポト政権って言葉は聞いた事あったけど、無知で詳しい事は全く知らなかった。
歴史に残る独裁政治家。
だけどこれって1970年代の話で、そんなに昔ではないという事が衝撃だった。
凄惨で痛ましい描写にゾッとしながらも、混じえられた個性的なキャラの魅力にクスっと和まされたり、嫌になる事なく夢中で読み終えた。
上巻の話の軸になってたソリヤとムイタック。
2人のこの先が気になる。
下巻が楽しみ