小川哲のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
面白いというと不謹慎な気がするが、非常に興味深い本だった。
カンボジアの革命 クメール・ルージュを題材としていて、革命 大虐殺の歴史を学ぶ上で、非常に学びの多い内容だった。
それだけでなく独特のキャラが際立っており、物語として読み応えのある面白い内容だった。ファンタジーと実話を掛け合せたような感じだった。
話の展開も上巻の半分過ぎくらいから、どこを読んでも急展開で、読むのが楽しかった。この怒涛の展開で下巻が続くのだとしたら、下巻は相当に面白いと思うため、下巻を読むのが非常に楽しみである。
物語の視点がコロコロと変わるため、始め読むのに苦労したものの、慣れれば苦では無かった。 -
Posted by ブクログ
初めて小川哲の作品を読まれる方にはおすすめしません。なんだこいつ、って感想になりかねない。そういう本でした。
「ユートロニカのこちら側」を読まれると良いと思います。そうして水が合った方向け。
一歩引いて飄々とした作風から一転して、熱量のある作品たちでした。
いつも根底に哲学的な姿勢を取られますが、それがいつになく強く、キャラクターより構造を重視したものになっています。ですので読後感はすっきりしません。しかし咀嚼していくに従って、この単行本そのものが小説のていをとった哲学論だという理解をすると、腑に落ちる気がします。
虚構を信じる力に善悪はない。貨幣経済や信仰をはじめとした道徳という実体のない虚構を信じることは文明を発展させる源であるが、人々を分断させ憎しみ合わせることもできる。両義性あるその力こそが、人類の優れた才のひとつである。
そういう受け取り方をしました。どうでしょう、バラモンになれますか?(笑)
こういう読み方自体が術中なんだろうなぁ。
……うん。考えたら疲れたので、砕けますが。
コロナ禍前後で、色々思ったり傷付いたり腹立ったりしたのかな。
大なり小なり、みんなあの時期には色々思ったけど、小説家っていう職業であるからこそ、そしてヴィトゲンシュタインに文転させられたような人だからこそ、言葉が人を断絶させるっていう状況下にめっちゃ物申したかったんかな……。
そういう意味では、ここまで思想で殴ってきたのは、小川哲の生の感情の現れなのかなあとか。思ってた以上に苛烈な人なんかな、とか。って思わせるのも手法なのかなぁ。
色々余計なことを考えたりなどしました。
一番のお気に入りは「啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで」。仮説を立てること自体が神という虚構を信じるということ、文面にされるとくるものがあります。フィクション全肯定じゃん。思わず泣きました。ありがとう、小説読んでて良かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ小川哲の最新短編集。表題作「スメラミシング」を含む歴史、SF、数学、宗教を縦横に駆使した、言葉と物語による創造と救済、支配と欺瞞の世界の記録。
面白かった。表題作「スメラミシング」をはじめ、「なぜ人は理由や物語を求めるのか」というテーマが通底する短編集だった。中でも「啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで」が印象的。
科学至上主義を掲げる国家・理国を舞台に、神や信仰を否定する体制のなか、叙事詩の矛盾を暴く書簡形式で物語が進行する。
ヴォネガット『タイタンの妖女』を思わせる壮大な構成と、理性と感情、客観性と直感が人間を形づくるという主題が胸を打つ。科学も信仰も“物語”として人を導くのだと感じた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ短編集でこんなに全部面白いことある!?ってくらい、良かった、とても楽しかった。
・魔術師
マジックが文面でこんなに生き生きと表現できるんだと圧巻。思わず心を掴まれる臨場感のある演出描写、含んだ終わり方も全部好きだった。めちゃめちゃ好み。
・ひとすじの光
競馬すぎて面白かった(笑)競馬好きとして非常に楽しめた。小川さんが競馬好きとしか思えないくらい熱意感じた(笑)血統のロマンがふんだんに描かれていて、ますます血統の魅力を感じました。
・時の扉
ファンタジー要素強め。いちばんよく分からなかったけど、世界観や価値観を楽しめたかな。抽象的で少し難しめ。
・ムジカ・ムンダーナ
音楽を通貨とする島のお話。独特の世界観が面白かった!オチも好き。良い。
・最後の不良
星新一っぽい社会風刺めいた話。とても好みだった!これ短かったけど、もっとこの世界観楽しみたかったなあ。
・嘘と正典
共産主義の話は難しかったけれど、分かりやすく書いてくれていたので、話はすっと入ってきた。何よりタイムトラベル絡みなのが面白かった。話としては短かったけど、充実度がとても高い!クオリティの高い短編だった。
全体的に、嘘や歴史が共通しているような感じがして、繋がりも楽しめた。
どれも短編ではもったいないくらいに好きな世界観で、クオリティが高かった。
すっごく好きでした!楽しかった。
(オーディブルにて) -
Posted by ブクログ
ネタバレ上巻はたしかにカンボジアの歴史的背景をもとに共産主義の破綻や翻弄される国民を描いていたはずだった。
このテイストで物語が続くのかと思いきや、下巻に入った途端、2023年という現代に突然移り変わる。
そして、何より脳波を使ったゲーム「ブラクション・ゲーム」を基準に人の思い出や社会とゲームの違い、勝利と敗北…色んなところに話を展開する。最終的な場面はゲームの情景を説明しているのかムイタックとソリヤが思い出を懐古してるのかもぐちゃぐちゃなんだが、たしかにSF小説であり、でも読み手を置き去りにしてるような感じで…。
なのに、なんだこの満足感。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最近ハマっている作者。
舞台はカンボジアで、フランスやベトナムなどの様々な国からの圧力や思想が入り混じり内乱状態の時代背景。
共産主義を掲げ、実行するサロトサルやそれに対して密かに反乱を企てる娘のソリヤ、とある町で生まれ、激動の人生を過ごすムイタックとティウンの兄弟…。
とにかくいろんな人物の視点から思惑と理想、現状に対する不満などがひっきりなしに描かれている。
正直、カンボジアの歴史的背景を押さえていた方が絶対に楽しめるので読者の根本的な教養が問われる部分が多いため全てを楽しむには私の実力不足が否めないが割と面白いので下巻にも期待。 -
ネタバレ 購入済み
自分を構成するもの
自分を構成するもの――それを円グラフで表す。
それが元素であれば、炭素、水素、酸素、窒素、その他金属。
ハガレンのエドに言わせれば、子供の小遣いでも材料は買える。
だが、他の要素でグラフを書くとしたら?
エントリーシートとか懐かしいし、いきなり自己分析しろと言われても困ったことを思い出す。