小川哲のレビュー一覧
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以前から読んでみたいとは思っていたが、別のジャンルに興味があったので読むのが少し遅くなってしまった。
この本に興味を持ったのは小説を書かれている作者がどのような考えや意図を持って執筆されているかを知りたいという思いがあったからだ。読み進めてみると、自分の中で日常に生かしていきたい言葉があった。それは机の上で一生懸命考えても答えは出てこない、答えではなくて、問いを見つけ、問いをすることで広げていくといったことといった言葉だ。
小説を書かれる才能のある方であっても机の上で一生懸命考えようとしても、考えがなかなか思いつかないのかと私は驚いた。また、そうであれば才能のない自分は問いを常に作り出し、アイ -
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話題書。あの小川哲が書いているということで、ただの王道の指南本ではないだろうと期待して購入した。期待通りだった。ただHowが並んでいるのではなく「なぜそのHow」の発見に至ったのか? という経緯まで書いてくれているので、強い納得感がある。ストーリーを作る多くの人にとって役立つだろう。何より、創作術の書籍でありながら読み物としても面白いのが素晴らしい。永遠の素人モノ書きの自分は行き詰ったら何度か読み返す本になりそう。
というか、最近名前を見かける「君のクイズ」って小川哲だったんだ。私のなかの小川哲の記憶がずいぶんと昔で止まっていた。驚いた。今の小川哲も読みたいと思わされた。 -
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小説家の「言葉が生み出される時の思考の動き」を具体的な「小説の一部」と合わせて読めるので、物語誕生の瞬間に立ち会う感動がありました。
特に最後の短編である小説家と編集者の物語である「エデンの東」では書きたいことと伝えるべき相手を明確にすることで、改稿が進むと物語内の小説のストーリーはガラッと変わる。この変化があまりにも大胆で清々しい。
つまり、小説において重要なのは物語のストーリーではなく誰に何を伝えたいかの軸がブレないことだと理解した。その軸さえ明確であればどんなストーリーでも大丈夫とまで言えるかもしれない。もちろん最大限効果的に伝えるためには適切なストーリーがあるのかもしれないけれど。 -
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いつも高いクオリティで作品を提示してくれる小川哲さんの考え方に触れることができる一冊。どのように考えて文章を書いているのか、なぜその文章にしたのかまで書かれていて、思考の深さに驚かされる。作家として人間として考えが深いのは、これまで数多くの書籍を読んでいるからこその裏付けがあるのだろう。
個人的には答えのない時代に考え続けることは重要で、そのためにもエンタメだけでなくたくさんの人文知を得ることで、健全に生きられると信じている。
小説思考と銘打っているわけだから小説について書かれていたわけだが、なぜか読んでいるうちに自分の思考がどこにあるのかについても考えてしまった。 -
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ネタバレ小説は、書き手と読者がいて存在する一種の「芸術」である。
作者は、小説を「人間の認知を、言語に圧縮した芸術」と定義している。
言語の圧縮方法は人それぞれであり正解はない。
しかし、小説を書く上で忘れてはいけないことは、圧縮された言語を紐解くのは読み手であるため、書き手は読み手を意識すること。
読み手にこれが伝わるか?この説明でいいのか?説明しすぎていないか?考えさせるためには?
小説を書く上の材料として、目の前で起きたことの普遍化と個別化を行い、さまざまなスパイスを自分の中に保管しておくことも重要!
全く小説家になるつもりはないですが、頭が良い文章ですごく勉強になりました〜!
特に美容室 -
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テレビのクイズ大会『Q−1グランプリ』の決勝で行われた早押しクイズに負けた主人公。優勝した選手が見せた『ゼロ文字押し』は、ヤラセだったのか、それともクイズだったのか。
クイズプレイヤーに焦点を当てた作品であり、クイズに対する哲学が非常に興味深かった。クイズプレイヤーは、たった数文字を聞いただけで回答する姿を見るが、それなりの理論があって納得のいくものであった。
早押しクイズってただ膨大にある知識を素早く答え検索するだけではなく、そこに経験なんかのエピソードを絡めて答えを導いている。これってAIだとどうなるんだろう、とちょっと気になった。世の中にはAIを使ってクイズを研究している人もいるみた -
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ネタバレ小説を書くときに、自分の中にある思いを表出して形づくり、至高の芸術作品として多くの読者に理解してもらうこと、という考えではうまくいかない。
思いをどうやって言語化するのか、著者の小説の書き方を読んでいくと、その答えが少し見えてきた。読み手である他者を理解しようとし、自分のための文を削り、出来事を書く順番を意識して読み手と視点人物の情報に差があまり出ないようにすること。設定や主張から文章を作るのではなく、書きたいことや考えたいことをまず書いてみること。書いてしまったことから展開を考えてみること。そしてそもそものアイデアを日常の中から見つける視点を養うこと。これらのことを意識して、自分の中の言語 -
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さぁ、冒険が始まる
舞台は火星、すでに人類はいくつかのコロニーで集団社会を作り鉱物資源の発掘をしていた。しかし、過酷な上に採掘された資源も投資に見合うものは無く、ここで暮らす意義は次第に少なくなっていた。
そんななか、一人の少女が地球に観光に向かおうとして……
フランス革命、ロシア革命、辛亥革命、大政奉還。
革命前夜には若い人たちの群像劇が良くにあう。
絶望感に渦巻かれ高揚感に湧きたつ若者達は、使命感という鎧を纏って革命を叫ぶ。
多くの文豪達がその題材で名作を生み出し、今も読み継がれている。
「火星の独立のためには火星に住む人のアイデンティティが必要だ」
皮肉な見方をすれば、アイデンティ -
Posted by ブクログ
『言語化するための小説思考』は、「小説とは何か」「面白さとはどこで規定されるのか」という、誰もが漠然と抱きながらも明確な答えを見出せずにきた問いに、真正面から向き合った一冊である。小説は天才的なひらめきによって書かれるもの——そうした先入観を覆し、小説とは思考と試行錯誤の累積によって成立し、読者と作者のあいだに構築されるコミュニケーションであると、著者は提示している。
本書が一般的な「小説の書き方」指南書と異なるのは、文章技術や形式的作法ではなく、作家が創作過程においていかなる思考を巡らせ、どのような判断を積み重ねているのかという、その核心を言語化している点にある。読みやすさや説明の在り方