小川哲のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
小説家がどのように物語を編み上げていくのか、その手の内をここまで詳らかに書いてくれるとは本当にありがたい。単なる文章の書き方だけでなく、書く順番や物語が進んでいく方向、そして筆者がどのような立場で物語と向き合っているのかといった核心にまで触れられている。この本を読んでいると、小説の世界はもちろんのこと、映画やドラマ、さらには自分の何気ない日常までもを、思わず物語的な視点で捉え直してしまう。
また、小説とは読者との対話であり、読者が面白いと思う作品をいかに構築していくかというプロセスが、実際の作品を用いて丁寧に紐解かれている。それはまるで、手品師が鮮やかな手品の種を一つひとつ明かしていくかのよ -
Posted by ブクログ
本書のことは、ゲンロンのイベントで便所サンダルの話を聞いて知った。
最近はAIが生成した「意図のない文章」を読む機会が増えた。自分が命令してAIに書かせた文章ならまだしも、同僚の謎プロンプトによって生み出された物量だけ多くて何も伝わってこないテキストを解読しているとき、言い表せない虚しさを感じる。
本書で説明される小説観にのっとれば、優れた小説の構成要素には「象徴的で影響力の大きな出来事」と「その出来事の伏線」しか存在しない。空間をどう立ち上がらせるかの設計に従って、書かれる情報の順番が丁寧にコントロールされる。無限に生成されるAI生成テキストで食傷気味になった自分には、そんな意図に満ちた -
Posted by ブクログ
ネタバレ様々な登場人物の視点から日露戦争〜第二次世界大戦頃の主に満州を舞台に地図と拳、つまり地図と戦争の話がテーマで描かれている。一度も主観的な視点が描かれない細川の行動が常にキーで日本のために活躍、時に暗躍する。常に気になり続ける存在だった。ただ、私が好きだったシーンは別の人物、中川のシーンだった。彼は非常に頭がキレて、反戦主義で左翼活動までしているキャラで戦場にいっても人をなるべく殺さないようにしていた。そんな彼が度重なる行軍で疲れ果て、暗闇の中で尿意を催した時に、明かりをとりトイレするために他人の家を燃やす。建築学生として優秀だった彼は家の価値を知っていたのでそれは彼を軍人として覚醒させてしまう
-
Posted by ブクログ
ネタバレ「Q -1グランプリというテレビでのクイズ大会で、なぜ本庄絆は一文字も聞くことなく正解を口にし、優勝できたのか?」に対戦相手であった三島の目線から迫っていく推理小説。
クイズプレイヤーが主人公の一人称小説ということもあり、主人公の思考がすぐにクイズと結びつき脱線することもあるが、それがリアルに主人公の考えを追っている感覚になれておもしろい。
なぜ本庄絆が優勝したのか?に「出題者の意図や考えていることを事前に想定し、出題される問題を予測した上で、問読の口の形から早押しをした」という一定の納得のいく答えがきちんと用意されているのもモヤっとならなくてよかった。大掛かりな仕掛けがあるわけではないが、主 -
Posted by ブクログ
ネタバレエッセイ的な要素もある。
分かる分かると頷くとともに、こんな精度で物事を捉えて整理しているのかという驚き。
小川さんの脳内にお邪魔させてもらうことで、自分にも起こりうることを、著者の専門性、主観から垣間見させてもらった感覚。
エッセイとか小説って、認知はしているんだけど、手触り感の無い事象とを橋渡ししてくれるから好き。
小説を書く人は小説が好きだと思う。何かの小説を読んで感動し、自分でも同じような ことがしたい、と願って小説を書きはじめる僕もその一人だ。 とはいえ、小説で得た感動を、小説で表現しようとする行為は間違っている。
実は 「間違っている」という強い言葉を使う自信はないのだけれど、 -
Posted by ブクログ
【どうして読もうと思った?】
よく小説を読むが、実は読めていないんじゃないかと思って、読み方を知りたくて手に取った。
【感想は?】
おもしろい!小川さんも小説の書き方を知らないと言っていたり、桃太郎のお話がとんでもなく興味をそそられる冒頭から始まったり。
【印象に残ったことは?】
いらない文章なんてない(私は情景描写をいらないと思っていたのだけど、それにもちゃんと意味がある)
【どんな影響を受けた?】
・本はもう少しゆっくり読もう
・小説には問いがある。それが何かを感じられる読み方をこれからしたい
・小説の読み方を知りたかったけど、読み終わった今では小説を書きたいと思っている。