小川哲のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
下巻は変人キャラクターたちのクセがますます強くなっていた。
本人たちは至って真面目なのがまた良い。
私の中で完全に主役を食ってしまってたのが、ヘモグロビン先生。
あまりに好き過ぎて、該当シーンだけ5回も聴き直してしまった。沈んでいた気持ちまで一気に元気になった。
一度でいいから私もヘモグロビン先生に診察してもらいたい。予約でいっぱいなのは、多分私みたいな患者がいるからだろう。
もはやヘモグロビン先生に会うために下巻を読んだ気さえしてきた。
普通の小説だと「この先どうなるんだろう」というハラハラ感で読みたくなるけど、個人的に小川さんの作品は少し違う。
ストーリー展開や結末そのものよりも、次から次へと溢れ出てくるユニークな思考に脳が刺激されて、ワクワクする。
下巻の方がそれがより強くて、とにかく楽しかった。
人間の記憶って不思議。
たぶん私の脳は、この作品の内容を忘れても、ヘモグロビン先生のことは絶対に忘れない。
Audibleにて。 -
Posted by ブクログ
自分が今まで読んできた作品はある程度起承転結に沿って書かれてた。無駄に思えるような描写は多少あるにしても、全体通して見れば「結」に向かうような流れが存在していて、次の展開をイメージしやすかった。
この作品はごっちゃごちゃ。結はもちろんあるにしても、時間軸、場面、キャラクター、幾度となくかき回されたし、「これいらなかったのでは?」という描写も多々。
『言語化するための小説思考』に感銘を受けた身からすると、回収されない伏線が多くて腑に落ちない。
けどあとがきで
> ひとつだけ言えるのは「今の自分には書けない」ということです。本書の節々に、まだアマチュアだった僕が、暗闇の中で何かを見つけようと格闘した痕跡が残っていました。
納得した。そして、
> その格闘は、登場人物たちや物語の力を借り、時として僕の実力を超えた次元に到達していました。そういった意味で、本書にはかけがえのない価値があります。
万人受けはしないが、「時として」特定の誰かにはブッ刺さる、そんな作品でした。
映像化不可能でこの小説を読むことでしか味わえない体験ができたという喜びと同時に、「書きたい」という意思だけでカンボジアについてめちゃくちゃ調べきったある種の狂気を感じた。
小川さんに対して畏敬の念が高まった。
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Posted by ブクログ
ネタバレエッセイは小説に比べてカロリー少なく、楽しむことができるから、読書疲れの時に良いです。
このエッセイもページの上下に大きなスペースがあり、160ページほどの作品だが、実態としては100ページもあったのかと言えるほどあっさりと読むことができる。
好き嫌いは言語化しない方がいい
無理やりで言語化するとそれが本当に思っていたかどうかわからないようなこと。でも、それが真実になってしまう。自然に言葉が出てくるようになるまでは無理に言語化しなくていいのでは?
人間関係に悩むのは傲慢である
人間関係で気をつけているのは相手のことを嫌いにならないという一点だけだ。他人の感情はコントロールできないが、自分の感情はある程度コントロールできる
第1に嫌いになりそうな人と出会ってしまったら、なるべく会わない
他人の感情より自分の感情に気をつけること。
失敗は成功のもとではない
何かに成功した人はよく何度でも失敗しろ。
うまくいかなかった経験を次に行かせなどと口にする。でも、現実はそういう風に動いていない。5年間、塾講師を続けて分かったのは多くの子供は失敗を生かすことなどできず、そのままやる気を失ってしまうことだ。もちろん失敗した人にチャンスを与えることは重要だ。しかしたった1回の失敗によって縛り付けられてしまって、そのまま動けなくなる人もいるということを事実も覚えておいた方がいい。あなたが失敗を糧に生きてきたのならなおのこと。
正直者は嘘が得意
事件が発覚して解雇されたり、逮捕されたりするのは悪の中。ではどちらかというと知恵が回らない。人間で本当の悪というものは表に出ないで、ハラスメントを継続している。
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Posted by ブクログ
ネタバレ様々な登場人物の視点から日露戦争〜第二次世界大戦頃の主に満州を舞台に地図と拳、つまり地図と戦争の話がテーマで描かれている。一度も主観的な視点が描かれない細川の行動が常にキーで日本のために活躍、時に暗躍する。常に気になり続ける存在だった。ただ、私が好きだったシーンは別の人物、中川のシーンだった。彼は非常に頭がキレて、反戦主義で左翼活動までしているキャラで戦場にいっても人をなるべく殺さないようにしていた。そんな彼が度重なる行軍で疲れ果て、暗闇の中で尿意を催した時に、明かりをとりトイレするために他人の家を燃やす。建築学生として優秀だった彼は家の価値を知っていたのでそれは彼を軍人として覚醒させてしまう。このシーンがとても印象的だった。
地図は国を国の歴史を物語ると作中で言われていた。今、ロシアやアメリカが大きな戦争をしていることを思い出す。地政学を勉強したくなる本だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ人間とは不幸せ、不自由がなければ幸せとは、自由を感じられない
区画内の人間が享受している自由は、監視下におけるある意味の不自由であり、それを不自由だと感じなくなることで幸せになるという
ドアノブを意識なく(ストレスなく)回して扉を開けるように、幸せへの道は不感になることであることは一つの正解であるが、全てのストレスや不安が取り除かれた世界では自分の意思を持つことが減っていく。本人はそれに気づかない。
本を読んでいる我々や区画外の一部の人間から見るとディストピアと感じるが、区画内の人間にとってはこれ以上ないユートピアであり我々の意見は何もわかっていない妄言と捉えられてしまう。
新興宗教やマルチにハマってしまう現実の人もある意味アガスティアリゾートの一員なのかもしれない。
自己をアウトソーシングするのではなく常に自分として生きていきたい。