小川哲のレビュー一覧

  • ゲームの王国 下

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    下巻は変人キャラクターたちのクセがますます強くなっていた。
    本人たちは至って真面目なのがまた良い。

    ​私の中で完全に主役を食ってしまってたのが、ヘモグロビン先生。
    あまりに好き過ぎて、該当シーンだけ5回も聴き直してしまった。沈んでいた気持ちまで一気に元気になった。
    一度でいいから私もヘモグロビン先生に診察してもらいたい。予約でいっぱいなのは、多分私みたいな患者がいるからだろう。
    もはやヘモグロビン先生に会うために下巻を読んだ気さえしてきた。

    普通の小説だと「この先どうなるんだろう」というハラハラ感で読みたくなるけど、個人的に小川さんの作品は少し違う。
    ストーリー展開や結末そのものよりも、次から次へと溢れ出てくるユニークな思考に脳が刺激されて、ワクワクする。
    下巻の方がそれがより強くて、とにかく楽しかった。

    人間の記憶って不思議。
    たぶん私の脳は、この作品の内容を忘れても、ヘモグロビン先生のことは絶対に忘れない。
    Audibleにて。

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    2026年06月09日
  • ゲームの王国 下

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    自分が今まで読んできた作品はある程度起承転結に沿って書かれてた。無駄に思えるような描写は多少あるにしても、全体通して見れば「結」に向かうような流れが存在していて、次の展開をイメージしやすかった。

    この作品はごっちゃごちゃ。結はもちろんあるにしても、時間軸、場面、キャラクター、幾度となくかき回されたし、「これいらなかったのでは?」という描写も多々。
    『言語化するための小説思考』に感銘を受けた身からすると、回収されない伏線が多くて腑に落ちない。

    けどあとがきで

    > ひとつだけ言えるのは「今の自分には書けない」ということです。本書の節々に、まだアマチュアだった僕が、暗闇の中で何かを見つけようと格闘した痕跡が残っていました。

    納得した。そして、

    > その格闘は、登場人物たちや物語の力を借り、時として僕の実力を超えた次元に到達していました。そういった意味で、本書にはかけがえのない価値があります。

    万人受けはしないが、「時として」特定の誰かにはブッ刺さる、そんな作品でした。

    映像化不可能でこの小説を読むことでしか味わえない体験ができたという喜びと同時に、「書きたい」という意思だけでカンボジアについてめちゃくちゃ調べきったある種の狂気を感じた。
    小川さんに対して畏敬の念が高まった。

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    2026年06月07日
  • 火星の女王

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    <poka>
    火星モノが大好きなので。「火星ダーク・バラード」、「火星人先史」、「火星の人」。
    <だいこんまる>
    「スピラミン」なんか探すより、じゃがいもを作りませんか。

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    2026年06月07日
  • 火星の女王

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    ストーリーだけでも十分におもしろいのですが、登場人物がみんな淡白で冷静でちょっとユーモアがあって、いろいろ大変なことが起きるのに物語が淡々と進んでいくところがよかったです。

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    2026年06月06日
  • 火星の女王

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    これまで圧倒的に「読んでから見る派」だった私には珍しく、昨冬NHKのドラマを見てから読んだ本書。いや〜なるほどなるほど!そう来ましたか!「見てから読む」もなかなか良い。キャスティングも映像美も、それからストーリーも原作の雰囲気を損なわずとても良かった!読みながらどんどんイメージが膨らむ、好みのタイプの作家さん。『地図と拳』に続いて2冊目。

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    2026年06月04日
  • スメラミシング

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    啓蒙の光がすべての幻を祓う日までは、世界の仕組みを疑いたくなりました。社会のルールや自然の掟など、土台からひっくり返される感じがしました。また、ひっくり返すための道筋も驚きでした。矛盾に気づけるなんてすごいなあと。人々の知的欲求や疑問を解決しようとする姿勢にドキドキしました。

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    2026年05月18日
  • 地図と拳 下

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    歴史とファンタジーが8∶2くらいで融合した小説。日清日露戦争、日支事変から日米開戦そして敗戦までを描いた大河小説。人類は「拳」に頼るのを止められない愚か者。個人的に石本に惹かれた。

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    2026年05月16日
  • ゲームの王国 上

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    詳しくは下巻を読んでからにするが
    とんでもなくうまい話の進み方。
    こんなに登場人物がいて月日も経つのに混乱しない物語は久々だ。
    まだ上巻なのにこんなに事が起きている…とおもったら上巻ラストで衝撃。
    早く下巻読まないと…

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    2026年05月16日
  • 斜め45度の処世術

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    ネタバレ

    エッセイは小説に比べてカロリー少なく、楽しむことができるから、読書疲れの時に良いです。

    このエッセイもページの上下に大きなスペースがあり、160ページほどの作品だが、実態としては100ページもあったのかと言えるほどあっさりと読むことができる。

    好き嫌いは言語化しない方がいい
    無理やりで言語化するとそれが本当に思っていたかどうかわからないようなこと。でも、それが真実になってしまう。自然に言葉が出てくるようになるまでは無理に言語化しなくていいのでは?

    人間関係に悩むのは傲慢である
    人間関係で気をつけているのは相手のことを嫌いにならないという一点だけだ。他人の感情はコントロールできないが、自分の感情はある程度コントロールできる
    第1に嫌いになりそうな人と出会ってしまったら、なるべく会わない

    他人の感情より自分の感情に気をつけること。

    失敗は成功のもとではない
    何かに成功した人はよく何度でも失敗しろ。
    うまくいかなかった経験を次に行かせなどと口にする。でも、現実はそういう風に動いていない。5年間、塾講師を続けて分かったのは多くの子供は失敗を生かすことなどできず、そのままやる気を失ってしまうことだ。もちろん失敗した人にチャンスを与えることは重要だ。しかしたった1回の失敗によって縛り付けられてしまって、そのまま動けなくなる人もいるということを事実も覚えておいた方がいい。あなたが失敗を糧に生きてきたのならなおのこと。

    正直者は嘘が得意
    事件が発覚して解雇されたり、逮捕されたりするのは悪の中。ではどちらかというと知恵が回らない。人間で本当の悪というものは表に出ないで、ハラスメントを継続している。

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    2026年09月13日
  • 地図と拳 下

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    かなり調べているなと思いました。
    登場人物が多い割にキャラが立っているのと入場退場のタイミングが良いので混乱少なく読めました。
    この辺りは作者の力量でしょう。

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    2026年04月18日
  • ゲームの王国 下

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    思考力と感受性は両立できるんだなと驚かされた作品。小川哲の文章には新しい価値観をインストールしてくれる力がある。複雑な物事を単純化せず複雑な状態のまま理解させてくれる魔法のような文章。

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    2026年03月25日
  • GOAT

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    読みやすいので、寝る前ひとつお話を読むのにいい
    様様な愛の捉え方があり、作家ごとに色んな観点があって読んでて楽しかった

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    2026年03月15日
  • ゲームの王国 下

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    長年、今まで読んだ中で1番面白かった本はコニーウィルスの航路と言い続けてきたが、ゲームの王国は、航路を読んだ時のようなインパクトがあった(航路に似ている部分もある気がする)
    若い頃に読んでいたら人生観が変わっていたと思う
    本当に素晴らしい小説でした

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    2026年03月15日
  • 地図と拳 下

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    ネタバレ

    様々な登場人物の視点から日露戦争〜第二次世界大戦頃の主に満州を舞台に地図と拳、つまり地図と戦争の話がテーマで描かれている。一度も主観的な視点が描かれない細川の行動が常にキーで日本のために活躍、時に暗躍する。常に気になり続ける存在だった。ただ、私が好きだったシーンは別の人物、中川のシーンだった。彼は非常に頭がキレて、反戦主義で左翼活動までしているキャラで戦場にいっても人をなるべく殺さないようにしていた。そんな彼が度重なる行軍で疲れ果て、暗闇の中で尿意を催した時に、明かりをとりトイレするために他人の家を燃やす。建築学生として優秀だった彼は家の価値を知っていたのでそれは彼を軍人として覚醒させてしまう。このシーンがとても印象的だった。
    地図は国を国の歴史を物語ると作中で言われていた。今、ロシアやアメリカが大きな戦争をしていることを思い出す。地政学を勉強したくなる本だった。

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    2026年03月12日
  • 地図と拳 上

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    ネタバレ

    上巻は下巻のための下拵えという感じ。主に満州を舞台に日露戦争前後の日本人やロシア人や現地人の登場人物が揃えられたという感じ。タイトルの地図と拳を思わせる地図や暴力・戦争の話が出てきたがこれからどうなっていくんだろう。細川は今後どう動き、須野や明男はどう巻き込まれていくんだろうか

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    2026年03月08日
  • ユートロニカのこちら側

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    ネタバレ

    人間とは不幸せ、不自由がなければ幸せとは、自由を感じられない
    区画内の人間が享受している自由は、監視下におけるある意味の不自由であり、それを不自由だと感じなくなることで幸せになるという
    ドアノブを意識なく(ストレスなく)回して扉を開けるように、幸せへの道は不感になることであることは一つの正解であるが、全てのストレスや不安が取り除かれた世界では自分の意思を持つことが減っていく。本人はそれに気づかない。
    本を読んでいる我々や区画外の一部の人間から見るとディストピアと感じるが、区画内の人間にとってはこれ以上ないユートピアであり我々の意見は何もわかっていない妄言と捉えられてしまう。
    新興宗教やマルチにハマってしまう現実の人もある意味アガスティアリゾートの一員なのかもしれない。

    自己をアウトソーシングするのではなく常に自分として生きていきたい。

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    2026年03月04日
  • ユートロニカのこちら側

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    登場人物たちの問いが頭をぐるぐるとまわる。なんて哲学的な小説なんだ!
    デビュー作ということで後回しにしてしまっていた小川哲作品だったけれど、圧倒され魅了された。
    名言もいくつか。
    作者はおそらくリベラルであり対話を諦めていないと勝手に信じ込んで(確信に変わった)、今後の作品を心待ちにしています。

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    2026年02月24日
  • 嘘と正典

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    ジャンルを超えて小川哲さんの筆力を感じたとても贅沢な短編集だった。テーマや文体も様々だけどやはり表題作が飛び抜けて面白かった。やはり基準点があってこそ均衡は成り立つのだと。最後の不良も個人的にとても好み。

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    2026年02月23日
  • GOAT

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    これで500円って満足すぎる
    読んだことない作家さんのも読めるし、
    また世界広がります。
    紙質だったりデザインもすごく凝っていて
    読んでて楽しい!

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    2026年02月22日
  • 地図と拳 下

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    上下巻にわたる長編小説ですが、そのボリューム以上の圧倒的な読み応えを感じる作品でした。めちゃくちゃ面白かったです。
    史実とノンフィクションの要素の融合具合や物語全体の仕掛けも見事で、物語として脚色しすぎていない感じがむしろリアルさをもって胸に迫ってくる作品でした。
    登場人物も個性的な人物が多く、特に細川の発言や行動は理知的なのに何故か予想不能で、ストーリーとしての面白さに登場人物の魅力も掛け合わさっていて、全体として違和感のない作品に仕上げてしまう小川さんの精緻な技に感動しました。これを機に小川さんの他の作品も読んでみたいと思います。

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    2026年02月22日