小川哲のレビュー一覧

  • GOAT

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ふだんなかなか文芸誌を読むことがないのですが、どのお話もとても面白くて興味を惹かれました。
    特に気になったのは市川沙央さんの「音の心中」です。
    ふだん読まない系統の作品なので、うまく感想を言えないのですが惹きつけられる内容でした。作中に出てきた芸術館、実在している場所なのですね。
    私にとってはまだ難しい「愛」でしたが、
    こういう愛もあるのか、と知ることができた作品です。

    0
    2025年10月13日
  • 地図と拳 下

    Posted by ブクログ

    日中戦争の泥沼に突っ込んでいく日本軍。
    混迷を極める中国戦線の前線近くに日本が満州国の理想郷となるべく作った人口の都市、仙桃城はあった。
    計画に携わった天才建築家の明男は理想とはかけ離れた建築を要求する関東軍と自らの思想の乖離に苦しみながら、街のシンボルとなる公園の建築を手掛ける。

    しかしそこも戦乱の兆しがすぐそこまで迫っていた。

    日本、中国、ソ連がいずれも現代につながる形で変貌していく。

    意外と知らなった日中戦争がなぜ米英との関係悪化につながったのか、そしてそうなる事を知りながらなぜ日本は南方を攻めたのかが理解できた。

    後半でぞっとしたのは八路軍の自国民に対する振る舞い。敵は日本軍で

    0
    2025年09月28日
  • 地図と拳 上

    Posted by ブクログ

    国家間で弱肉強食の掟がまかり通った19世紀~20世紀前半の中国東北部が舞台。

    伝統的な大国ロシアと技術的な新興国である日本は一触即発の危機にあった。その上、清政府は力を無くし、中国東北部は誰のものでもない空白地帯であった。

    そこに日本からの密偵として2人の男が送り込まれる。

    という所から始まる。
    現地中国人やロシア人の蛮行も描いているが、特に日本軍による蛮行も凄惨に描かれているのが珍しい。

    と、凄惨な暴力の時代を経ながら時代は下っていき
    義和団事変が起きた後に、日露戦争が起きる。
    その後、戦勝した日本は満州鉄道の権利を得て実質的な植民を始める。
    そして何も無かった土地に欲に駆られて街を

    0
    2025年09月11日
  • ゲームの王国 上

    Posted by ブクログ

    面白いというと不謹慎な気がするが、非常に興味深い本だった。

    カンボジアの革命 クメール・ルージュを題材としていて、革命 大虐殺の歴史を学ぶ上で、非常に学びの多い内容だった。
    それだけでなく独特のキャラが際立っており、物語として読み応えのある面白い内容だった。ファンタジーと実話を掛け合せたような感じだった。
    話の展開も上巻の半分過ぎくらいから、どこを読んでも急展開で、読むのが楽しかった。この怒涛の展開で下巻が続くのだとしたら、下巻は相当に面白いと思うため、下巻を読むのが非常に楽しみである。

    物語の視点がコロコロと変わるため、始め読むのに苦労したものの、慣れれば苦では無かった。

    0
    2025年09月10日
  • GOAT

    Posted by ブクログ

    大好きな尾崎世界観の名前があったから買ったんだけど、まずはありがとう。このご時世にこの価格でこんなに素晴らしいものを出してくださって。今まで読んだことないジャンル、読んだことない方の作品を知れて良かった。昨日の夜、悪の方も買いに行った。ゴートくん可愛い。
    『終末の愛』、すごくよかった。そしたら次に来た『五十歳、ロスジェネ、ギバーおぢ』でもっと持っていかれた。なんだこの衝撃は…

    0
    2025年09月05日
  • GOAT

    Posted by ブクログ

    初文芸誌!カルチャー要素がたっぷり詰まった新世代文芸誌って感じなんかな?
    短いながらに猛烈な印象を残す文章たち。
    言葉を紡ぐ人たちに脱帽。

    特にコンビニアイスの話好きだったな〜♪
    1個目はスーパーカップのチョコで2個目はサクレな私。本命は濃厚で王道なガッツリメンで、浮気相手はサクッと爽やかで後味を残さない人かぁ〜(とかね

    0
    2025年09月02日
  • 地図と拳 下

    Posted by ブクログ

    最高に面白かった。

    なんという参考文献の量!
    戦後80 年ということもあって、
    太平洋戦争や日ソ戦の本を
    読んでいたことも、
    この本を手にするきっかけだった。

    総力戦研究所は「日本必敗」の
    結論を出していたし、
    東條も米国との戦争は回避したかった
    かもしれないが、
    もし米国と戦わなければ
    中国の利権は失っていただろうし、
    ましてや満州からも手を引かなければ
    ならなかっただろうから、
    いずれにせよ日本は戦争への道を
    突き進んでいたはず。
    勝てる見込みのない日露戦争に勝ってしまい、
    やっとの思いで手にした満州に固執したことが、破滅の元凶だったんだ。
    あの頃我々リーベンクイズが
    大陸でやった蛮行

    0
    2025年08月31日
  • スメラミシング

    Posted by ブクログ

    初めて小川哲の作品を読まれる方にはおすすめしません。なんだこいつ、って感想になりかねない。そういう本でした。
    「ユートロニカのこちら側」を読まれると良いと思います。そうして水が合った方向け。

    一歩引いて飄々とした作風から一転して、熱量のある作品たちでした。
    いつも根底に哲学的な姿勢を取られますが、それがいつになく強く、キャラクターより構造を重視したものになっています。ですので読後感はすっきりしません。しかし咀嚼していくに従って、この単行本そのものが小説のていをとった哲学論だという理解をすると、腑に落ちる気がします。
    虚構を信じる力に善悪はない。貨幣経済や信仰をはじめとした道徳という実体のない

    0
    2025年08月27日
  • 地図と拳 下

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    圧巻だった。世界大戦下の満州で、明男や細川、そして石本までもがこんなにも必死に生きていた。戦争とは?都市とは?地図とは?多くの思考のもと練り上げていく事象に、ただただ惹き込まれた。『ゲームの王国』も実際の歴史を背景としてフィクションを盛り込む手法だったが今回はさらに洗練された印象だ。満州を舞台にSF要素もあり、ジャンルを飛び越えた作品だった。
    ラストが物語の印象的な出来事とリンクして感動を誘うのだが、これだけの長い物語を読んできたからこそ感動できるのであり、読者に対するご褒美だと感じた。

    0
    2025年08月20日
  • 地図と拳 上

    Posted by ブクログ

    1899年、日露戦争前夜に密偵として船に乗り込んだ軍人の高木と通訳の細川。満州を舞台に多くの人物が戦争に翻弄されがむしゃらに生きていた。長い歴史の物語はどうしても端折って書かなければならない為、なんか急に時代変わったなぁと思うことが多いが本作においてはそれがなく、それぞれの人物の待ち受ける運命に胸を高鳴らせて読み耽ってしまった。この淡々と進む展開と読み味は現代において小川哲さん独自のもので確立していると言っていい。歴史の残酷さも哀しみも、ただそこにあるものとして心に深く残るのは小川哲さんの文体だからだ。

    0
    2025年08月20日
  • GOAT

    Posted by ブクログ

    これだけの豪華な作家さんがジャンルレスで掲載されている文芸誌は初めてで即購入しました。私の大好きな西加奈子さんから始まってるなんて最高。買ってから西加奈子さんだけ即読みました。めちゃくちゃ好きな作品で大満足です。
    他にも小説などにとどまらず、インタビューや詩や俳句、エッセイなどジャンルレスに

    0
    2025年08月15日
  • 地図と拳 下

    Posted by ブクログ

    上下巻の下巻。

    とにかくすごいものを読んだという実感が
    頭を覆って言葉がうまく出てこない。

    人がいる。
    建物が立つ。
    街ができる。
    国が興る。

    どれもが人の営みだけれど。
    どれもが人の営みだから。
    さまざまな思想がそこには宿る。

    いろいろな人物が登場したけれど、
    個人的には安井が深く印象に遺った。

    0
    2025年08月06日
  • 地図と拳 上

    Posted by ブクログ

    面白い!
    満州アヘンスクワッドという漫画を並行して読んでいて、タイムリーでちょうどいい!と思い手に取った本。
    細川さん、最初の登場ではなんだか頼りない学生さんだなと思っていたのに、あれれ謎めいた魅力的な登場人物っぽいぞ?!

    0
    2025年08月02日
  • 地図と拳 上

    Posted by ブクログ

    第168回直木賞受賞作。

    舞台は満州。

    小川哲さんの長編といえば
    「ゲームの王国」があるけれど、
    それと比べても
    エピソードが多岐にわたっていて
    上巻はまだまだエピソードの断片を積み重ねている段階。

    下巻での盛り上がりが楽しみ。

    0
    2025年07月31日
  • GOAT

    Posted by ブクログ

    綺麗な愛から歪んだ愛まで、1冊に様々な愛が詰まっています。個人的に冲方丁著の「終末の愛」がめちゃくちゃ衝撃だった。文芸誌の短編の1つですが、ずっと忘れないと思う。

    0
    2025年07月20日
  • GOAT

    Posted by ブクログ

    小川哲著『嘔吐』(文芸誌GOAT Vol.1収録)

    遅ればせながら『宇垣・片桐の踊る!ミリしら会議』でGOATを知り、Vol.1&2を購入。その中の『嘔吐』がとにかく衝撃だった。

    テーマは「愛」なのに「嘔吐」?と思いきや、読めば納得。
    これは“推しへの愛”を描いた物語。でも、ただの美談じゃない。

    最初は語り手に共感すら覚えた。
    けれど、じわじわと距離感がズレていく違和感。
    少しずつ歪んでいく気持ち悪さと、応援がいつの間にか自己正当化にすり替わっていくリアルさ。
    「こういう人、ネットにいるよな…」と他人事のように読んでいたけど、どこかで自分にも刺さる。

    終わり方もさすがのひと言。

    0
    2025年07月20日
  • GOAT

    Posted by ブクログ

    初めての文芸誌で緊張していましたが、いい方向に予想を裏切ってもらえました。
    小説だけじゃない、文学そのものを愛する人たちの叡智の結晶と、本離れが深刻化した現代の子供達にも手に取ってもらいやすい価格設定(ほんとにありがたい)だなと思いました。
    これをきっかけに、麻布競馬場さんが好きになって来たので、これからのご活躍が楽しみです!

    0
    2025年07月20日
  • スメラミシング

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    小川哲の最新短編集。表題作「スメラミシング」を含む歴史、SF、数学、宗教を縦横に駆使した、言葉と物語による創造と救済、支配と欺瞞の世界の記録。



    面白かった。表題作「スメラミシング」をはじめ、「なぜ人は理由や物語を求めるのか」というテーマが通底する短編集だった。中でも「啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで」が印象的。

    科学至上主義を掲げる国家・理国を舞台に、神や信仰を否定する体制のなか、叙事詩の矛盾を暴く書簡形式で物語が進行する。

    ヴォネガット『タイタンの妖女』を思わせる壮大な構成と、理性と感情、客観性と直感が人間を形づくるという主題が胸を打つ。科学も信仰も“物語”として人を導くのだと感

    0
    2025年07月19日
  • GOAT

    Posted by ブクログ

    『愛』をテーマにした短編作品集。書店で平積みされているのを見て、装丁の可愛さに一目惚れ。しかも創刊号。雑誌の名前にちなんで、この分厚さで510(ゴート)円。この価格の裏側にはとてつもない努力があったのだと感じ…中身はほとんどわからないまま応援の気持ちで購入しました!

    『愛』というテーマを様々な角度や視点で描かれる作品は個性的で、どこから読み進めても面白く、各作品も10〜30分で読み終わるので就寝前にピッタリでした!

    紙や印刷にも工夫がされていて、オシャレで、途中で飽きない!また次号も楽しみです!

    0
    2025年07月19日
  • スメラミシング

    Posted by ブクログ

    “宗教と科学”
    相反することでも相対することから、何かしらの関連性を感じさせること

    6編の物語では「過去」「現在」「未来」を行き来しながら、信仰することと探求することが線を引くことのできない間柄であるように感じてくる。

    『ゲームの王国』でのナイフのような感覚から少し滑らかにはなったけど、どこか金属的な味のする作者の物語

    これからも読み続けそう。

    0
    2025年07月18日