小川哲のレビュー一覧

  • 地図と拳 下

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    日中戦争の泥沼に突っ込んでいく日本軍。
    混迷を極める中国戦線の前線近くに日本が満州国の理想郷となるべく作った人口の都市、仙桃城はあった。
    計画に携わった天才建築家の明男は理想とはかけ離れた建築を要求する関東軍と自らの思想の乖離に苦しみながら、街のシンボルとなる公園の建築を手掛ける。

    しかしそこも戦乱の兆しがすぐそこまで迫っていた。

    日本、中国、ソ連がいずれも現代につながる形で変貌していく。

    意外と知らなった日中戦争がなぜ米英との関係悪化につながったのか、そしてそうなる事を知りながらなぜ日本は南方を攻めたのかが理解できた。

    後半でぞっとしたのは八路軍の自国民に対する振る舞い。敵は日本軍で

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    2025年09月28日
  • 地図と拳 上

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    国家間で弱肉強食の掟がまかり通った19世紀~20世紀前半の中国東北部が舞台。

    伝統的な大国ロシアと技術的な新興国である日本は一触即発の危機にあった。その上、清政府は力を無くし、中国東北部は誰のものでもない空白地帯であった。

    そこに日本からの密偵として2人の男が送り込まれる。

    という所から始まる。
    現地中国人やロシア人の蛮行も描いているが、特に日本軍による蛮行も凄惨に描かれているのが珍しい。

    と、凄惨な暴力の時代を経ながら時代は下っていき
    義和団事変が起きた後に、日露戦争が起きる。
    その後、戦勝した日本は満州鉄道の権利を得て実質的な植民を始める。
    そして何も無かった土地に欲に駆られて街を

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    2025年09月11日
  • ゲームの王国 上

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    面白いというと不謹慎な気がするが、非常に興味深い本だった。

    カンボジアの革命 クメール・ルージュを題材としていて、革命 大虐殺の歴史を学ぶ上で、非常に学びの多い内容だった。
    それだけでなく独特のキャラが際立っており、物語として読み応えのある面白い内容だった。ファンタジーと実話を掛け合せたような感じだった。
    話の展開も上巻の半分過ぎくらいから、どこを読んでも急展開で、読むのが楽しかった。この怒涛の展開で下巻が続くのだとしたら、下巻は相当に面白いと思うため、下巻を読むのが非常に楽しみである。

    物語の視点がコロコロと変わるため、始め読むのに苦労したものの、慣れれば苦では無かった。

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    2025年09月10日
  • GOAT

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    大好きな尾崎世界観の名前があったから買ったんだけど、まずはありがとう。このご時世にこの価格でこんなに素晴らしいものを出してくださって。今まで読んだことないジャンル、読んだことない方の作品を知れて良かった。昨日の夜、悪の方も買いに行った。ゴートくん可愛い。
    『終末の愛』、すごくよかった。そしたら次に来た『五十歳、ロスジェネ、ギバーおぢ』でもっと持っていかれた。なんだこの衝撃は…

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    2025年09月05日
  • GOAT

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    初文芸誌!カルチャー要素がたっぷり詰まった新世代文芸誌って感じなんかな?
    短いながらに猛烈な印象を残す文章たち。
    言葉を紡ぐ人たちに脱帽。

    特にコンビニアイスの話好きだったな〜♪
    1個目はスーパーカップのチョコで2個目はサクレな私。本命は濃厚で王道なガッツリメンで、浮気相手はサクッと爽やかで後味を残さない人かぁ〜(とかね

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    2025年09月02日
  • スメラミシング

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    初めて小川哲の作品を読まれる方にはおすすめしません。なんだこいつ、って感想になりかねない。そういう本でした。
    「ユートロニカのこちら側」を読まれると良いと思います。そうして水が合った方向け。

    一歩引いて飄々とした作風から一転して、熱量のある作品たちでした。
    いつも根底に哲学的な姿勢を取られますが、それがいつになく強く、キャラクターより構造を重視したものになっています。ですので読後感はすっきりしません。しかし咀嚼していくに従って、この単行本そのものが小説のていをとった哲学論だという理解をすると、腑に落ちる気がします。
    虚構を信じる力に善悪はない。貨幣経済や信仰をはじめとした道徳という実体のない

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    2025年08月27日
  • 地図と拳 上

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    1899年、日露戦争前夜に密偵として船に乗り込んだ軍人の高木と通訳の細川。満州を舞台に多くの人物が戦争に翻弄されがむしゃらに生きていた。長い歴史の物語はどうしても端折って書かなければならない為、なんか急に時代変わったなぁと思うことが多いが本作においてはそれがなく、それぞれの人物の待ち受ける運命に胸を高鳴らせて読み耽ってしまった。この淡々と進む展開と読み味は現代において小川哲さん独自のもので確立していると言っていい。歴史の残酷さも哀しみも、ただそこにあるものとして心に深く残るのは小川哲さんの文体だからだ。

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    2025年08月20日
  • GOAT

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    これだけの豪華な作家さんがジャンルレスで掲載されている文芸誌は初めてで即購入しました。私の大好きな西加奈子さんから始まってるなんて最高。買ってから西加奈子さんだけ即読みました。めちゃくちゃ好きな作品で大満足です。
    他にも小説などにとどまらず、インタビューや詩や俳句、エッセイなどジャンルレスに

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    2025年08月15日
  • GOAT

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    綺麗な愛から歪んだ愛まで、1冊に様々な愛が詰まっています。個人的に冲方丁著の「終末の愛」がめちゃくちゃ衝撃だった。文芸誌の短編の1つですが、ずっと忘れないと思う。

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    2025年07月20日
  • スメラミシング

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    ネタバレ

    小川哲の最新短編集。表題作「スメラミシング」を含む歴史、SF、数学、宗教を縦横に駆使した、言葉と物語による創造と救済、支配と欺瞞の世界の記録。



    面白かった。表題作「スメラミシング」をはじめ、「なぜ人は理由や物語を求めるのか」というテーマが通底する短編集だった。中でも「啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで」が印象的。

    科学至上主義を掲げる国家・理国を舞台に、神や信仰を否定する体制のなか、叙事詩の矛盾を暴く書簡形式で物語が進行する。

    ヴォネガット『タイタンの妖女』を思わせる壮大な構成と、理性と感情、客観性と直感が人間を形づくるという主題が胸を打つ。科学も信仰も“物語”として人を導くのだと感

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    2025年07月19日
  • スメラミシング

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    “宗教と科学”
    相反することでも相対することから、何かしらの関連性を感じさせること

    6編の物語では「過去」「現在」「未来」を行き来しながら、信仰することと探求することが線を引くことのできない間柄であるように感じてくる。

    『ゲームの王国』でのナイフのような感覚から少し滑らかにはなったけど、どこか金属的な味のする作者の物語

    これからも読み続けそう。

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    2025年07月18日
  • スメラミシング

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    小川哲は本当に作風に幅があって驚く。キリ教出身なので、神とか宗教とかテーマの短編集は見逃せない。お気に入りは、七十人聖書を巡る宗教裁判「七十人の翻訳者たち」と、天皇を運ぶ家柄の配達員「密林のモガリ」。表題作も雰囲気がかなり好き。

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    2025年07月13日
  • 嘘と正典

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    ネタバレ

    短編集でこんなに全部面白いことある!?ってくらい、良かった、とても楽しかった。

    ・魔術師
    マジックが文面でこんなに生き生きと表現できるんだと圧巻。思わず心を掴まれる臨場感のある演出描写、含んだ終わり方も全部好きだった。めちゃめちゃ好み。

    ・ひとすじの光
    競馬すぎて面白かった(笑)競馬好きとして非常に楽しめた。小川さんが競馬好きとしか思えないくらい熱意感じた(笑)血統のロマンがふんだんに描かれていて、ますます血統の魅力を感じました。

    ・時の扉
    ファンタジー要素強め。いちばんよく分からなかったけど、世界観や価値観を楽しめたかな。抽象的で少し難しめ。

    ・ムジカ・ムンダーナ
    音楽を通貨とする島

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    2025年07月03日
  • Street Fiction by SATOSHI OGAWA

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    著者と様々な分野のゲストが語り合うラジオ番組を書き起こした本。著者があくまで小説家としてラジオを進めており、その中でフィクションとはなんなのか、全く関係のない他分野とどのような共通点があるのかといった洞察が散りばめられていた。

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    2025年06月27日
  • ゲームの王国 下

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    ネタバレ

    上巻はたしかにカンボジアの歴史的背景をもとに共産主義の破綻や翻弄される国民を描いていたはずだった。 
    このテイストで物語が続くのかと思いきや、下巻に入った途端、2023年という現代に突然移り変わる。

    そして、何より脳波を使ったゲーム「ブラクション・ゲーム」を基準に人の思い出や社会とゲームの違い、勝利と敗北…色んなところに話を展開する。最終的な場面はゲームの情景を説明しているのかムイタックとソリヤが思い出を懐古してるのかもぐちゃぐちゃなんだが、たしかにSF小説であり、でも読み手を置き去りにしてるような感じで…。

    なのに、なんだこの満足感。

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    2025年06月11日
  • ゲームの王国 上

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    ネタバレ

    最近ハマっている作者。

    舞台はカンボジアで、フランスやベトナムなどの様々な国からの圧力や思想が入り混じり内乱状態の時代背景。

    共産主義を掲げ、実行するサロトサルやそれに対して密かに反乱を企てる娘のソリヤ、とある町で生まれ、激動の人生を過ごすムイタックとティウンの兄弟…。
    とにかくいろんな人物の視点から思惑と理想、現状に対する不満などがひっきりなしに描かれている。

    正直、カンボジアの歴史的背景を押さえていた方が絶対に楽しめるので読者の根本的な教養が問われる部分が多いため全てを楽しむには私の実力不足が否めないが割と面白いので下巻にも期待。

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    2025年07月14日
  • ゲームの王国 下

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    ようやく上巻の複雑に交錯する登場人物らと舞台設定に慣れたと思ったら、物語は突然のリセット(半世紀の時が流れる)。
    アルンとリアスメイに世代交代、ムイタックとソリアの神話(ゲーム)はようやく幕を下ろした。
    本書の雰囲気や読後感はマルケスの『百年の孤独』っぽい。
    先に『地図と拳』を読んでいたが、本書のほうが好み。

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    2025年05月25日
  • ユートロニカのこちら側

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    その街ではお金はもらえる、仕事はしなくていい、犯罪は起きない、まさに楽園だというのに、はじめからディストピア感満載だ。
    小川哲さんのデビュー作は、すでに彼独自の文体、世界観が確立されており、唯一無二を感じさせる。ここから『ゲームの王国』や『地図と拳』等へと連なっていくわけだが、この淡々と進む物語はなぜか叙情的な読み心地にさせる。
    作品の根底に流れる哲学的な要素は、著者の岩波文庫を読破した下地があることは間違いなく、そこからの面倒くさい思考、さらに作品への落とし込みが、まさに魅力になっている。

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    2025年05月23日
  • これが最後の仕事になる

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    最初の一文目が同じアンソロシリーズ。お気に入りは、桃野雑派「「アイドル卒業」一穂ミチ「魔法少女ミラクルミルキー」岸田奈美「声」、そしてさすがすぎる米澤穂信「時効」。求めてる面白さ!の人もいればこんなのも書くの、な人もいるのが良き。

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    2025年04月29日
  • Street Fiction by SATOSHI OGAWA

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    ラジオで放送していた内容の書籍化。
    小説家を中心とした豪華な面々との対談は軽快で読みやすい。が、まえがきとあとがきは小川先生らしい捻くれた感じで、このスタンスで対談してるの面白いな。小泉今日子さん、千早茜先生、逢坂冬馬先生、太田光さん、加藤シゲアキ先生の回が好きです。
    最初は二人だけ挙げたのに、後からこの回も良かったなと書き足してしまい、今の段階でも(でもあの人の回も良かった……)と思っているので、それだけどなたとの回も面白かったということで。

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    2025年03月20日