小川哲のレビュー一覧
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物理的にも政治的にも経済的にも遠く隔たっている火星と地球。火星ではごくありふれた物質「スピラミン」の新たな性質が発見されたことを機に(?)、長年の燻りが勢いを増して……。
NHKのTVドラマ版(吉田玲子, 2025)から知った本作。「未知の物体」の代わりに「スピラミン」がキーアイテムで、マルは勤勉なISDA警察捜査官ではなく地球に帰りたがっている火星自治警察の非常勤捜査員で、キーパーソンであったタキマ・スズキやファン事務総長はほとんど登場せず……。両者の差異に少し驚いた。
ナショナリズムや異文化交流といったテーマはTVドラマ版と共通。また、小説版では“火星の女王”の意味に触れられている点が -
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小説家•小川哲×小説家(と漫画家)の対談集。
小説家の創作手法や思考回路が面白い(時に難しい)。小説家を目指す方は読んで損は無いと思う。どんなことから書き始めるか?無意識をどう使うか?読点をどう使うか?など、小説を書くためのヒントが随所に散りばめられている。
様々な小説家と対談しており、読者によってハマるゾーンは十人十色だろう。私の場合は今村昌弘さんとの本格ミステリ談義と、葉真中顕さんとのゲーム談義がストライクゾーンだった。
また、エッセイとは?純文学とエンタメの違いは?特殊設定とは?など、もやもやしていた本のジャンル分けに一定の解を提示してくれてすっきり。
小説をラーメン屋に例えたり、エ -
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小説家にもいろいろなタイプがあるのだろうなと当たり前な感想を持った。
"僕は「自分の作品の感想」ではなく、「自分の作品をどういう人がどういう経緯で手に取ったのか」という点を気にしている。" 74ページ
この部分が印象的だった。へー、そうなんだと思った。
著者ご本人が、こういうサイトを読まれるとか全く意識しないで好き放題書いているので、ちょっと反省というか、なんというか…
他の読者の方(全著者の全読者)はそういうことも意識して書かれているのだろうか。
読者に媚びないで好きなように書いて欲しいと願うのは、なんか違うのか。
せっかく書いたのだから、たくさんの人に読 -
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情報への無制限アクセス権を預ける代わりに、最高ランクの基礎保険が保証されるシステムの運用が始まった社会。その特別提携地区であるアガスティリゾートを舞台にした連作短編。一章ごと、話者が異なり、徐々にそのほころびが見えてくるしかけ。
一人目のジェシカは、八度目の応募でようやく楽園、アガスティリゾートへのパスポートを手に入れた主婦。喜び勇んで移住したものの、夫は家にこもるようになる。
二人目、リード。小さな田舎町に住む両親の遺言によって、過去体験サービス「ユアーズ」の提供を受けるため、日本を訪れる。
三人目、スティーブンソン。激務のため、妻との約束を反故にしてばかりの夫。アガスティリゾートの住民が -
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誤読の話、情報量の差を埋めていく話、抽象化と個別化の話、創作の過程で生まれるディテールの話、偶然目の前に転がってきたアイデアを掴み取る話。どれも面白く読めた。
「アイデアは生み出すものではなく、面白くなる瞬間を見逃さない視力である」
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知らない世界の話について堂々と語るには抽象化と個別化すること
読者がこの小説は私について書かれていると感じる時、小説家は自分の体験を抽象化して、抽象化した構造を個別化する作業に成功しているのだ。
マッチングアプリで知り合った大学生の女性と会社の面接会場で面接官と就活生という形で再会してしまった。私と目が合うと -
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ネタバレ個人的には、物語の展開スピードがちょうどよく読みやすかった。あまりにも詳細に場面を記述されると疲れるし、簡素に書きすぎると素人っぽく見えてしまう。そのどちらでもなくちょうど良い場面記述をしていたから、ストレスなく読むことができたのだろう。
また、小説のために参照した文献数が数多く、それだけ読んで頭に入れたからこそ、文献で得た知識と自らの想像力を駆使しながら、しっかりと必要な情報を適切に記述することができたのだろうと思う。
内容も面白かった。満州を主な舞台として、そこでさまざまな人種的な背景を持つ人々がそれぞれ置かれた状況から、満州で活動を行う。
個人的に面白いと思ったのは細川で、彼は日本 -
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火星と地球との間の光の速度を超えられないタイムラグのあるやり取り。同じ地球人なのに、物理的な距離が離れていて、リアルタイムで会話を成立させることがかなわない。両者の間に少しずつ溝ができ、広がり、あわや戦争か、という深刻な状況に。これって、いま地球上で起きていることと変わらないよね。私たちはタイムラグなく顔を突き合わせて対話ができるはずなのに…。
以前見たテレビドラマは私としてはイマイチで、原作である本書もあんまり期待していなかったんだけど、本書はストーリーもドラマよりずっと分かりやすかったし、登場人物も変にキャラ立ちせず、いい感じに個性があってよかった。おもしろかったです。 -
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小川哲こんな宇宙SFも書けちゃうのか!作品の幅広さに改めて驚き。すごい人だなあ。
火星居住が進む近未来が舞台で、テクノロジーというよりは地球居住者と火星居住者の政治的な問題を主に扱っている小川哲らしい視点のSF。
地球と火星の間の通信には往復8分ほどの時差が生じてしまい、意思疎通が難しく、コミュニケーションの摩擦が生じてしまう。
SFは夢のある内容が多いけれど、本作は火星に夢を見て冒険するものの、現実問題としてはなかなか上手くいかず、摩擦が起き...という個人的に好みな展開のSFだった。技術が進んでいるとはいえ、策略が飛び交う外交、統制システムの不備、政治に不信感を覚え抵抗する市民など、共同