小川哲のレビュー一覧

  • ゲームの王国 下

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    時代は21世紀に飛び、歴史小説から近未来思弁小説風に。SFとして特に目新しさはないものの、脳波を用いるPCゲームの設定に過去の記憶を絡めていく流れは面白かった。さて、肝心の主人公2人の〝対決〟の行方は…それこそ全て「無意味」と思えるような呆気ないラストだったが、後味は決して悪くない。著者のあとがきを読んで色々と納得した。選ぶ題材も作風も特異な作家さん。本作執筆中に30歳を迎えたという年齢をみても、やっぱり只者ではないと思う。

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    2023年10月18日
  • ゲームの王国 下

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    やっと読み終わった〜

    文量・内容、ともに大作だよね。
    カンボジアの革命を、小説として描く。時間のスパンは50年以上。
    魅力的で、中にはちょっと不思議な能力を持つキャラクターたちが登場。

    良作ではあると思う。
    クメール・ルージュとか、歴史の授業で習ったことの解像度が、今さらになって上がった。
    誰もが書ける内容ではない。

    それでも、惜しいと思ってしまう。
    てっきり、嘘を見抜くソリアと聡明なムイタックがさ、協力して体制に抗っていく、みたいな。そういうストーリーを期待していた。
    あるいは、50年の時間を経て、当時の秘密が次々に解き明かされていく、とか。

    そういうことはなく、物語はよく分からずに

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    2023年10月12日
  • ゲームの王国 上

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    小川哲さんの本はこちらが初めて。話題になっていたので、いつか読みたいと思っていたのですが、長編がよいかなと思い、プノンペンもシェムリアップも行ったことがあったので、親近感が湧いたこちらの作品を選びました。

    上巻を読んでの率直な感想。

    ・なんとなくクメールルージュについて知っていても、なかなかついていくのが大変。背景知らずに読んだらきっと話についていくのが大変そう。
    ・馴染みのない名前の登場人物なので、ついていくのが大変。
    ・かつ50年前のカンボジアを舞台としているため、登場人物に感情移入しにくい。はたして当時の人らはこういう行動をするのだろうか。
    ・内戦だけあり、状況はかなりグロい。気持ち

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    2023年07月17日
  • ユートロニカのこちら側

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    「地図と拳」から遡ること4冊目。究極の管理社会をテーマにした本作も、ただのSFではなかった。とても思索的で叙情的。ラスト近く「誰が勝つかは問題でなくて、何を求めて戦うかが大切」というメッセージが心に刺さった。デビュー作でこのクオリティー。小川哲さん、やっぱり只者じゃない。

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    2023年04月01日
  • 嘘と正典

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    小川哲さん、直木賞受賞おめでとうございます。SF界から直木賞が出たのは、半村良以来の50年ぶりかもしれない。でも「雨やどり」はSFではないし、この頃から路線を変更してしまった。私の大好きな恩田陸はSF大好き人間だけど、ジャンルはSF作家ではない。とすると、小川哲さんは初めての純SF作家としての受賞なのかもしれない。一方、芥川賞は結構いるようだ。

    積読、すなわち現在所有している本は、本作品「嘘と正典」、「君のクイズ」、そして受賞作の「地図と拳」の3つだが、どれから読むか迷った。「君のクイズ」は帯の紹介文がうるさく、「地図と拳」は分厚いので、まずは本作品から読むことにした。直木賞候補作品でもある

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    2025年02月14日
  • ユートロニカのこちら側

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    設定はとても面白いが、章ごとに登場人物が変わるのと、周りくどい表現が目立ちいまいち入り込めなかった。
    マイン社が運営するアガスティアリゾートという『楽園』では、あらゆる個人情報を提供する代わりに働かなくても暮らすことができる。
    犯罪予備軍はシステムによって事前に検知されるため、治安も良い。楽園と思われたリゾートであったが、精神が壊れる人が出たり、犯罪に至っていなくても悪意を持つだけで取り締まれる法律ができたり、情報から導かれる答えをサーバント(AI)に従うだけで自ら考えることを放棄することが当たり前になったり、、、
    このような環境で、人はどうなるのか?本作で語られるように意識は希薄化していくの

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    2023年01月19日
  • ユートロニカのこちら側

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    感想
    監視社会の停滞。人々が社会の要請する行動様式を受け入れた結果思考や行動の多様性は失われる。負のフィードバックが組み込まれた社会は崩壊する。

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    2022年09月20日
  • ユートロニカのこちら側

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    いわゆる監視社会もの
    色んな人の視点を切り替えつつテンポ良く話が進む
    が人物にあまり個性を感じられず、淡々とという感じ。

    「行動や思考の予測が難しい人間はコストがかかる存在として排除される」と言った旨の一節が印象に残った。
    機械学習による統計的な予測を用いた制度の下では、外れ値に当たる行動や思考は善悪以前にコストがかかるというのは確かにありそうだなと。

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    2022年05月09日