小川哲のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
これは小川さんファンなら必携の1冊だと思うが、難しくて完全に理解できていないというのが本音。
複数の作家+漫画家と小川さんの対談形式の本作。小川さんは、どの人の前でも態度を変えることなく、一貫して「小川さん」で、安心できる。
印象に残ったのは高瀬隼子さんとの対談で、小川さんが小説家になるために応募する賞を調べあげていたことだ。そのおかげで『ゲームの王国』のような面白いSF小説が読めたのか。
また、佐藤究さんの『テスカトリポカ』は、帯で内容を知っていたから前半部分乗れなかったという呉勝浩さんの話を読み、私も常々同じことを考えていたなと。映画の予告にしろ本の帯にしろ、本当に余計なことだと思う。できる限り触れたくない。じゃあどこでその本の面白さを判断するのかと聞かれたら、フィーリングとしか答えられないんだけど。
魚豊さんとの対談において、小川さんが、作家になる前は、終わりがどんなに良くても途中がつまらない小説は許さなかったと語っており、これに関しては難しいと思った。世の中の多くの人は、物語の終わりを重視しているらしいのだが、そこに至るまで面白くなかったとしたら、時間の無駄だと思う。そう思いつつ、私はどんなに途中ダレてきたりしても最後まで読む主義なので、やっぱり「終わり方」に期待してしまっているんだろうな。 -
Posted by ブクログ
舞台は西暦2125年、人類が火星へ移住し始めてから約40年が経過した時代です。火星には13のコロニーが建設されていますが、当初期待されたレアメタル採掘の不振やコスト増大により「火星開発は採算が合わない」と判断されました。
国際機関「ISDA」は、火星に住む約10万人の住民を全員地球へ送り返す**「地球帰還計画」**を進めています。しかし、火星で生まれた「火星ネイティブ」世代や、地球へ戻りたくない人々にとっては身勝手な強制撤退であり、地球と火星の間には強い政治的・感情的な格差と分断が生まれています。
また、地球と火星の距離(通信に片道数分〜20分前後のタイムラグが生じる)という物理的制約が、お互いの意思疎通や対話をより困難にしています。
スピラミンの変異発見
生物学者のカワナベは、火星で採掘された新物質「スピラミン」が、離れた場所にある結晶同士で同時に異常な構造変化を起こす現象を発見する。これが地球外生命体の兆候なのか、新たな物理現象なのか、世界に波紋を広げる。
リリの誘拐
地球行きの宇宙船に乗る直前、リリが火星独立派・反ISDAの勢力によって誘拐されてしまう。
「火星の女王」として祭り上げられるリリ
実業家のマディソンは、カワナベの発見したスピラミンを「地球外生命体の発見(および新権益)」として大々的に公表・アピールし、火星の自立を宣言しようと計画します。 さらに、ISDA幹部(地球側)の娘であり、火星生まれで無欲な盲目の少女リリを誘拐劇の渦中から擁立し、**「火星の女王」**という政治的シンボル・象徴に祭り上げます。マディソンらは「地球に従属しない火星の自治」を盾に地球と対峙します。
「通信タイムラグ」をめぐる攻防
地球側(ISDA)は火星の暴走や独立運動を抑え込もうと試みますが、ここで最大の障害となるのが**「地球と火星の距離(光速の限界)」**です。 地球からの指示や交渉には常に何分もの遅延(タイムラグ)が生じるため、現場の火星側が先手を打ち、リアルタイムでの即座な武力鎮圧や介入を不可能にさせます。武力衝突の危機が高まる中、登場人物たちは「光は遅すぎる(=コミュニケーションが追いつかないことによる不信感)」という現実と直面します。
派手なスペースオペラ的な全面戦争や超常的なドタバタ劇に発展するわけではありません。
リリの対応
政治的意図によって「火星の女王」として利用されたリリですが、彼女自身は権力欲や欲心を一切持たず、極めて冷静かつ聡明に己の状況と周囲の思惑を把握しています。彼女の純粋でフラットな姿勢が、暴走しがちな周囲の熱狂を冷ましていきます。
事態の収束とスピラミンの未来
スピラミンの構造変化は、即座に兵器化されたり社会を一変させたりするような魔法の道具ではなく、「解明までにこれから何十年もかかる壮大な研究課題」として扱われることになります。
火星と地球の新たな関係
火星の完全な断絶・独立や、地球による全面屈服といった極端な結末には至りません。絶望的な物理的距離とタイムラグを抱えながらも、双方が「対話を諦めない手続きや交渉」を続けていくことで、緩やかに・時間をかけて新しい関係性を模索していくという、現実的かつ希望を含んだ余韻を残して物語は幕を閉じます。 -
Posted by ブクログ
上巻に続き、下巻も貪るように読破。正直なところ、上巻よりはちょっと迷走してしまったか…という感じがあった。下巻では、上巻の登場人物たちの20-40年後くらいを描かれている。その意外性も面白くはあったのだが、上巻の終わり地点からの空白の期間をもう少し見たかったし、時代的な飛躍が大きすぎて若干、主要人物たちの根底にある価値観や目的意識が何なのかがわからなくなってしまった。そして、ムイタックとソリヤの対立軸もイマイチぼんやりしていて、ムイタックのやっているゲーム開発の話自体はものすごく斬新な上に作者の天才性を感じられて読んでいてワクワクしたものの、これはどこに行く話なのか…というのが終始ぼやっとしたまま、突如として終わったという感じ。ちょっと食い足りなかった…、、カタルシス的なものがもう少し欲しかったかなーという凡人の感想。でもあれなのかな、貪るように読みすぎて呆気なく感じてしまっただけなのかもしれない…苦笑。いずれにせよ、小川哲は天才だった…
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Posted by ブクログ
神のような自然を超越した存在と、論理や科学とを対比したような物語という括りで、アイディアや背景や文体の違う6話を集めた本。
70人の翻訳者たち
密林の殯(もがり)
スメラミシング
神についての方程式
啓蒙の光が、すべての幻を祓う日まで
ちょっとした奇跡
正直に言えば難しかった。頭から読み進んだが、最初の「70人の〜」で挫けそうになった。というか何度か挫けて、別の本を読んでから戻ってまた初めから読むことを数回繰り返した。「啓蒙の光が〜」でも再び挫けそうになった。
内容が難しいためにそれを理解しようと気を取られている間に登場人物を忘れたり、時間の流れを見失うからだと思う。そこにさらにどんでん返し的に、私以外の私のような人が出てきたりすると完全に消化不良を起こす。
その苦労を乗り越えると、その先にある新しい知識や気づきや閃きのようなものを獲得できる。
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Posted by ブクログ
面白い作品、いまいち私には合わなかった作品、いろいろあって楽しかった。
「嘔吐」がとてもよかった。
本文に書かれていないところまで想像ができて、視点を移すことができて、面白かった。
ただ、気持ちの良い話ではない。
市川沙央さんの「音の心中」がよかった。
痛み・ゆがみを描くのがうまい。
対談が面白くない。
「ポルト」の良さが全く分からない。
読みにくい。
苦痛だった。
佐原ひかりさんの「出せなかった手紙」が切ない。
「チキンピアノ」の描写にひっかかる部分が多い。
言葉の繰り返しが多く、多少の矛盾した表現も含まれていて、気になる。
それでも、最後はよかった。
特別受賞作、なるほど。
「そんなに好きってわけでもない友達」
気持ちが悪い作品。
つまらない人間関係。
でも、心の隙や寂しさにつけこまれることって、多いよね。
ちゃんと独りでいることができる、ということは、とても大切なことだよな、と再確認できた。
【memo】
・ムカサリ絵馬(山形県)