藤岡陽子のレビュー一覧
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子ども向けかと思うようなスタートでしたが、途中からは涙が止まりませんでした。やっぱり良い人がたくさん登場して、悲惨な状況の中でも深刻なトーン一色にはならず、前向きなエネルギーが途切れることのない感動的なストーリーでした。
この本は日本人から見た戦争の話ですが、以前マニラに行った際に現地の方から聞いた話しを思い出しました。「フィリピンはスペイン、アメリカ、日本と3回外国に支配されたが、スペインはキリスト教を、アメリカは英語を残してくれた。日本は…」とても恥ずかしい思いをしました。
戦争大好きな極右政党自民党の皆さんはこの本を読んだらどんな感想を持つのでしょう。安倍晋三さんも高市早苗さんも自分に命 -
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助産師を描いた医療小説+お仕事小説。最近メキメキと頭角を現している藤岡陽子さんの作品で、なおかつ生命の誕生を扱ったものなので、「泣かせにくるいい話なのだろうな」と思っていたのですが、いい意味で裏切られた感があります。
主人公である若手の助産師、有田美歩。彼女の勤める産婦人科病院はなかなかにクセがある。先輩や後輩の助産師は頼りになるものの、院長は腕は不確かなのに尊大。さらに看護師長は院長の愛人で、この師長も仕事は満足にしないのに、部下にはヒステリックに当たり散らす。
描かれるテーマも主人公が壁にぶつかって、そこから成長して……、というお約束の感じではなかった気がします。美歩自身、障害をもった -
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再読。
以前よりは、かなり客観的に眺めていたとは思いますが、やはり辛い読書でした。
和恵の悪意に絡め取られ、翻弄された家族。
長い夫婦の時間があればこそ、夫の不義理に対して、恨みがあってもどこか許してしまう気持ちもあったのかもと、聡子の心根を想像する自分がいました。
家族に支えられ、自分の足で立ち上がった聡子の強さが、最後は章を受け入れたのだろうと思います。
幸せは自分しだいで増やせるものだと気づいた聡子のこれからを応援したいです。
2021/11/11
再読。
家庭を省みることなく仕事第一に生きてきた団塊世代の廉太郎。自分よりも人という我慢が習い症になっていた杏子。
この時代 -
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ネタバレ6年生で突然サッカーを辞めて、塾に行くと言い出した息子の母親、その息子、塾の先生の三視点で綴られる中学受験物語。おそらくモデルは、早稲アカ?(夏季合宿があるので)で筑駒(日本一)を目指す話。
男の子がとにかくいい子で優秀すぎる。自主的に塾に行きたいと熱望して、最初に掲げた目標を諦めることなく貫き通し、罪悪感もあれど難聴の妹のために自分を変えようとする、こんな大人な小学生、果たしているのだろうか。結果としては残念だったけれど、彼の未来は明るいと思う。
受験する子どもにもオススメしたいけれど、カジ先生の弟が自殺未遂してるくだりが有るのでなんとも…。 -
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ネタバレ45歳独身の水樹が大好きな服飾の仕事を失いそうになり、その道に進むきっかけになる高校時代の恩師を訪ね、過去を振り返る。
水樹の子ども時代は懐かしく尊い思い出でもあるが、苦しんだ記憶でもある。貧しさといじめは幼い彼女ではどうすることもできないことだった。ただそこにはいつも信也がいた。体育祭のリレーの場面、カメムシの場面、自転車にイタズラされる場面など、どの過去を見ても優しい信也がいるから、それを思い出している水樹と同じ目線で熱い想いを持ちながら読める。
現在と過去を行き来しながら物語は進むが、過去にはいつも信也がいて、現在にはいない。この構造は読者に時の残酷さを刻む。どんな人の中にも同じように -
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助産師の物語なので妊娠や出産の話は男性だと分かりづらいかと思ったけど、余計な心配だった。著者の丁寧であたたかく優しい筆致に、むしろ読みはじめてすぐに没入してしまう始末。
飛び込みの緊迫した出産風景や、出生前診断、新生児連れ去り、小さくか弱い命を必死に守る助産師達の奮闘する姿と命をめぐる様々な話にページを捲る手が止まらない。
特に印象的だったのが主人公・美歩の姉の美生の脳性小児麻痺の話だ。
不自由な身体を使って必死に美歩を慰めようとする姉。もう姉の姿はない。
母は「美生なら生まれてきてほしいな。病気だと分かっていたとしても美生と家族になれるなら産むと思う。ずっと四人家族のまま」もうじーんと -
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またやっちまいました。本作は『満天のゴール』の続編だったんですね。でも、冒頭に主人公の回想場面もあり、前編未読も全く問題なしでした。
40歳の奈緒は、離婚し丹後の実家に戻り、父・息子(高2)と暮らす看護師です。
前半は、親子の絆の再構築が題材です。息子との会話不足と進路の問題、父の突然の体調悪化など、様々な困難に見舞われる中、奈緒が心を寄せ、涼介が尊敬し慕う医師の三上(父の主治医)が重要な役どころになっています。
一転し後半は、舞台が東京の緩和ケア病棟で、題材が終末期医療に移ります。作中多々「死」が描かれますが、身体や心の辛さを和らげ、患者が自分らしく過ごせるよう緩和ケアを実践する -
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努力する人には金の角が生えている。
主人公の俊介がサッカーの挫折から中学受験への挑戦の過程が描かれているが、困難な挑戦でありながら人一倍努力し、可能なところまで登り詰めたことや、妹のような聴覚障害の子を救いたいという夢を持ち挑戦していることにすばらしさを覚えた。
途中で諦めたくなるような場面あったが、カジ先生の言葉や存在、俊介のハートの強さにより最後まで粘り強く戦えたこと、今後の人生の糧になると思う。
母親、俊介、カジ先生、それぞれの主観から描かれており、それぞれの登場人物に感情移入してしまった。
夢を持つこと、希望を持って諦めないことの大切さ、努力するものには金の角が生えること、
自分の強み -
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お笑い芸人になる夢が破れ特別養護老人ホーム『森あかり』で働く新人介護士の星矢を主に、施設の医師葉山彩子、施設長の福見節子の立場の違う3人の視点から介護とは、生きることの意味とはと、問われている気がする。
私も周囲に要介護や認知症の家族がいるので、とても興味深いことである。
人に迷惑をかけずに生きていくとか、自分も周りも幸せだったと思える最期を迎えたいとか、誰でも思うことではないか。
老いても人間の尊厳は失わずにいたいと思ってしまう。
寝たきりになって、自分の意思を伝えくことができなくなったら、命を絶ってほしいと頼む浜本さん、胃ろう(お腹に穴を開け栄養を流し込むこと)をしたくない、静かに逝かせ