藤岡陽子のレビュー一覧
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子ども向けかと思うようなスタートでしたが、途中からは涙が止まりませんでした。やっぱり良い人がたくさん登場して、悲惨な状況の中でも深刻なトーン一色にはならず、前向きなエネルギーが途切れることのない感動的なストーリーでした。
この本は日本人から見た戦争の話ですが、以前マニラに行った際に現地の方から聞いた話しを思い出しました。「フィリピンはスペイン、アメリカ、日本と3回外国に支配されたが、スペインはキリスト教を、アメリカは英語を残してくれた。日本は…」とても恥ずかしい思いをしました。
戦争大好きな極右政党自民党の皆さんはこの本を読んだらどんな感想を持つのでしょう。安倍晋三さんも高市早苗さんも自分に命 -
Posted by ブクログ
突然、第二次大戦中のマニラへタイムスリップした紗穂。ひとまず日赤の従軍看護婦・雪野として生きることにしたが、傷つき運び込まれる人たちの治療に追われる毎日。
「元の世界に戻れるまでーー」
「終戦を迎えるまでーー」
死と隣り合わせの過酷な環境の中、共に生き抜いてきた従軍看護婦や陸軍看護婦たちとの絆。親友の三津、菅野婦長、佐治軍医の存在の大きさははかりしれない。
時代が変わっても自分を失わず、周りに明るさや希望をもたらす紗穂の強さがまぶしい。
初めて知った親友 三津の思い、
戦友会の写真、
表題「晴れたらいいね」の意味に思いを馳せ、目頭が熱くなりました。
『お国のために命を懸けて』
そんな戦時中 -
Posted by ブクログ
助産師を描いた医療小説+お仕事小説。最近メキメキと頭角を現している藤岡陽子さんの作品で、なおかつ生命の誕生を扱ったものなので、「泣かせにくるいい話なのだろうな」と思っていたのですが、いい意味で裏切られた感があります。
主人公である若手の助産師、有田美歩。彼女の勤める産婦人科病院はなかなかにクセがある。先輩や後輩の助産師は頼りになるものの、院長は腕は不確かなのに尊大。さらに看護師長は院長の愛人で、この師長も仕事は満足にしないのに、部下にはヒステリックに当たり散らす。
描かれるテーマも主人公が壁にぶつかって、そこから成長して……、というお約束の感じではなかった気がします。美歩自身、障害をもった -
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再読。
以前よりは、かなり客観的に眺めていたとは思いますが、やはり辛い読書でした。
和恵の悪意に絡め取られ、翻弄された家族。
長い夫婦の時間があればこそ、夫の不義理に対して、恨みがあってもどこか許してしまう気持ちもあったのかもと、聡子の心根を想像する自分がいました。
家族に支えられ、自分の足で立ち上がった聡子の強さが、最後は章を受け入れたのだろうと思います。
幸せは自分しだいで増やせるものだと気づいた聡子のこれからを応援したいです。
2021/11/11
再読。
家庭を省みることなく仕事第一に生きてきた団塊世代の廉太郎。自分よりも人という我慢が習い症になっていた杏子。
この時代 -
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中学受験をするために塾に通う子どもの話か、それならあまりそそられないなと最初は思ったのだが、読み進めていくうちに、とんでもなく深くて広くてあったかくて心の奥深くまで浸透してくる物語だった。
藤岡陽子さんは何を題材にしてもすごいレベルで読ませてくれる。
俊介は12歳にして、親にも言えないものを心に抱えていて、自分を許せないから、生き方を変えたいから難関中学の受験をしたいと塾の講師の加地にだけ打ち明ける。
俊介が葛藤しながら成長していく姿は、もはや12歳には見えず、こんな子たちが日本を背負って立ってくれたら、まだまだ日本もまんざらではないなと思った。
三章は加地先生の視点で描かれているが、加地