あらすじ
介護の現場に、光の種を撒く努力をしたい。お笑い芸人の夢に挫折し、特別養護老人ホーム「森あかり」で介護士として働くことになった星矢は、初めての夜勤の日に、利用者の鼻に酸素を投与するためのチューブが人為的に切断されているという医療事故に遭遇。さらにその原因が星矢にあるのではないかと施設長から疑われてしまう。介護士としての将来に自信を失くし、仕事へのやりがいも感じられないまま過ごしていた星矢は、ある日、施設で厄介者扱いされている医師・葉山彩子を街で見かけて、意外な場所に連れていかれる。お笑い芸人になる夢に破れた新人介護士、自分の信念が周囲に理解されない医者、過去に利用者の遺族から訴えられた施設長――。それでも彼らがここで働く理由とは。吉川英治文学新人賞受賞の著者が贈る、感動長編。
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Posted by ブクログ
現在の社会におけるこれだけの重いテーマを、しかも現実感満載で描いているのに、今回も藤岡さんには何度も泣かされてしまいました。大変な思いをしながらそれぞれの立場でそれぞれが考えを信じて最善を尽くす介護業界で働く人たち。私も仕事柄そのご苦労を目にしていますが、国の仕組みがお粗末すぎて彼らの犠牲がなければ成り立たない状況と分かっています。彼らが背負わされている理不尽な負担が、利権に群がる寄生虫のような政治家や経済団体に吸い取られるのではなく、介護を必要としている高齢者のためになっていることを祈っています。でも、本に登場した区議会議員よりも意識の低い女が総理大臣の国では無理でしょうね。
Posted by ブクログ
老人養護施設の話。訴えられた経験を持つ福見の気持ちは医療従事者としてよくわかる。でもそのトラウマが原因でスタッフを追い詰めてしまうのが、なんか痛々しい。とはいえすごく前向きに終わったのが素晴らしい。よく着地させたものだと思う。
特別養護老人ホームで、介護士だった福見節子は他の利用者に呼ばれてしまったために数十分目を離してしまった。その隙に脳出血で倒れられてしまい、訴えられた。
第1話 お笑いを目指してきた星矢は、今は星あかりという介護施設で介護をしている。恋人の未奈美の部屋に行くと、相方の太尊がいた。彼はまだYouTubeなどでお笑いを続けている。恋人に別れようと言われる。何をやっても報われない。
第2話 2人の子持ちの好美は出勤するだけで一苦労。好美は介護施設の看護師だ。夫は家事も育児もしないくせに外に飲みに行っている。子供が育ったら離婚すると決めていた。
第3話 星矢は浜本さんの鼻カニューレを切ったと思われている。今日は全体会議におっさん議員が来て、日本の介護業界の現状について話していった。恋人の未奈美には仮病とか居留守を使われる。医師の葉山に連れられて最先端の特養を見に行く。面白かった。まだ諦めていないんだなと思った。
第4話 葉山彩子は介護施設の常勤医である。今の介護施設が旧態然としていると思っている。今の施設の延命至上主義には疑問を抱いている。そうこうしているうちに浜本さんの鼻カニューレを切った人物が浮かび上がる。
第5話 福見は同じ劇団に所属していた箕輪の助演女優賞お祝いパーティーに出席した。福見は自分が施設長としてよくやってきたと思っている。延命至上主義で何が悪い。仕事をするのは生きていくためだ。それ以外の理由はもう思い出せない。
第6話 星矢はあと1週間でかこの施設を去る。公園で弁当を食べていたら、医師の葉山が声をかけてきた。カニューレを切った犯人を聞いたことを伝える。利用者の桐谷さんのところに振込め詐欺がかかる。息子は着信拒否にしてあったのを忘れたようだ。警察を呼び対処する。
Posted by ブクログ
藤岡先生の本を久々に読んだ
先生の本は、私が読んだ全ての本が、読後必ず心が温まる
介護士さんや看護師さんは、ほんと並大抵の意思では出来ない職業だと思う
介護はやってみた事がない人には、わからないと思う
やったことがない人に限って、口先ばかりの事を言う
この本を読んで、なお一層、介護士さんのお仕事に感謝しかないと思った
Posted by ブクログ
初読の作家さん。テンポがよく、文章もお上手で、介護の世界にもかなり精通されているのかなと思い、調べたら、元記者で現看護師兼作家とのこと。多彩すぎる。生半可な気持ちではつとまらない介護士だが、それでもやはり働いている当事者にしか味わえない介護士のやりがいがある。介護施設の中での日常を美化しすぎず、かといって、嫌なところばかりに焦点を合わせるわけでもなく、一日また一日と時が流れていく描写がとても面白かった。素敵な作家さんと巡りあえた。おすすめ!
Posted by ブクログ
売れないお笑い芸人から介護士になった星矢。特別養護老人ホーム「森あかり」で働きはじめ、介護の仕事の現実に直面していく。
綺麗事だけでは済まされない、介護の現実が物語に反映されています。そのため、楽しいだけの話ではありません。現実の重さにしんどくなるような描写もあります。しかし、そこに微かにでも希望を見出せるような光を灯してくれているのが、藤岡陽子さんらしい作品だなと思いました。
看護師として働いていると、特養ほどではありませんが、介護の仕事も担います。その身体的な負担感はよくわかりますし、命を預かるという重大な責任に押しつぶされそうになる時もあります。星矢が、新人の頃の自分と重なって見え、それも合わせて感慨深い小説でした。
Posted by ブクログ
うん、介護士さんの抱える問題は、本当に山積みだと思う。
どの人の章も、考えさせられる問題ばかりで、現代社会の象徴のような気がしました。
ちゃんと、介護の社会が、安心して回るように、早く良くしてほしい…いや、人ごとみたいに言っちゃダメだ‼️
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たまらなく響いた。介護士の星矢はもちろん、施設長の福見、配置医の葉山、看護師の古瀬、利用者さんたちそれぞれの切実な現状と思いが、単に是非とか善悪とかを問うのではなくて丁寧に編まれる。介護に対して他人事だった若きころ、両親が衰えて自分なりに寄り添ったつもりでいた先ごろ、そして介護をはっきり我が事として感じ始めた今日このごろ。あれほど気丈夫だった父母が老い先を案じて気弱になったとき、ひたすら励まして気力を奮い立たせようとしたあの対応をここに省みる。この手の本にはもう少し早く出会っていたなら、といつも思うのだ。
Posted by ブクログ
介護業界の光と闇が書かれていた
高齢者になるとできることが減って人に頼らざらなくなる
暗い森をずっと歩いてるだけどどこからか光が見えてくる
それが介護の人たちというセリフは心に残った
おばあちゃんのことを介護してくれて優しかったケアマネさんのことを思い出した
Posted by ブクログ
施設の実際………
闇の部分が多くて……
でも、本当のことだよなって思いながら読みました
私たち職員にミスなんて許されなくて
なんで転んだんですか?ちゃんと見ててくれないと困ります、とか
認知症だってわかってるはずなのに
こういうことを言ってくるけど、どうなってるんですか?とか
歩けなくなったら困るので、動かしてくださいとか
無理難題を言われる家族、多いんです……
施設は何でも屋ではありません
できること、できないことがあります
施設にいるから必ず安全、というわけでもありません
でも、楽しく、穏やかに、危険なく過ごして欲しいという気持ちは間違いなく持っています
笑顔やありがとうという言葉に
間違いなく私たち職員も救われるのです
じゃないと、やっていけませんよ
Posted by ブクログ
リアルな介護現場の話だなと思う。
「もし、今の会社をクビになったら。。」という不安を払拭するために、介護福祉士実務者研修を受講したのだが、結局、自分はまだ介護業界ではないところにいる。
研修で出会った方々とは今も繋がっており、研修から3年、すでに何人かが職場を離れている現実がある。
つい最近、緩和ケア病棟や、在宅医療が舞台の本を読んだ。
その中でも言われていたのが、「最期まで自分として生きる」こと。
延命治療は、治療をして元気になるならば必要だろうが、最期を迎える線上にいるものには、苦痛ではないだろうか。
まあ、その方の家族として考えると、やはり、親はいつまでも元気でいてほしいよね。
Posted by ブクログ
なかなかに辛い介護の現場を、それでもあかりを灯そう、希望を見つけようとする物語。
看護師経験のある作者だけに、リアルな介護の現場が伝えられているように思う。
『ここまで介護職員を責め立てるのなら、もう二度と、自分の家族やあなた自身が施設に入ることはないですよね』
プロローグから重い。
本編で登場する特養スタッフたちは、元お笑い芸人の星矢、二児の母の古瀬、何か信念を感じさせる医師葉山や施設長福見など皆レジリエンスが高そうなのだが、徐々に疲弊し、肉体的、精神的に追い詰められていく。
それでも介護職に就く意味を考え、希望を探る。
介護の問題を少しだけ自分事として考えることができました。
藤岡陽子さんの作品は「満天のゴール」に続いて2作目。「満天」も過疎地の訪問医療や在宅看護など終末医療に関わる作品でしたが違う系列の作品もあるみたい。今度読んでみようと思います。
Posted by ブクログ
施設長の立場、看護師の立場、介護士の立場からそれぞれが理想と現実で揺れ考えさせられる
介護の現場では介護される側本人にとって何がいいか、よりその家族が希望することに偏りがちである
また施設にとっても理不尽な家族からの訴えなどの経験があると看取りも責任が伴い判断が難しい
文章もボリュームがあり読み応えがある
葉山のような理解のあるお医者さんに出会えると嬉しい
ロボットができるところは働いてもらって介護士さんたちの負担が減ることを望む
Posted by ブクログ
特別養護老人ホーム「森あかり」の介護現場のお話
元お笑い芸人の新人介護士と、そこで働く医師、施設長、利用者さんやその家族とさまざまな視点からの介護について描かれています
過酷な労働環境や本人の望まない延命治療、介護認定など気になるところがたくさんありました。
介護は多くの人が通る道、考えさせられました
Posted by ブクログ
お笑い芸人になる夢が破れ特別養護老人ホーム『森あかり』で働く新人介護士の星矢を主に、施設の医師葉山彩子、施設長の福見節子の立場の違う3人の視点から介護とは、生きることの意味とはと、問われている気がする。
私も周囲に要介護や認知症の家族がいるので、とても興味深いことである。
人に迷惑をかけずに生きていくとか、自分も周りも幸せだったと思える最期を迎えたいとか、誰でも思うことではないか。
老いても人間の尊厳は失わずにいたいと思ってしまう。
寝たきりになって、自分の意思を伝えくことができなくなったら、命を絶ってほしいと頼む浜本さん、胃ろう(お腹に穴を開け栄養を流し込むこと)をしたくない、静かに逝かせてほしいと願う倉木さん、回復する見込みのない人たちの意思を尊重することが一番大事なことなのか、延命することだけが大事なことなのか、考えさせられる。
『延命至上主義、それが今の日本の介護現場を逼迫させ、そして将来的に崩壊させる原因になることをなぜ真剣に、切実に、問題視しないのだろう…』
もともと看護師である作者の言いたいことが伝わって来る。
介護現場では介護士の給料も安く重労働、人手不足も深刻な問題である。
だが、未来に希望がないわけではない。
作品の中に、介護用の人間型ロボットや介護のデジタル化を研究しているという話も出て来る。
将来実用化して、若い人たちのパワーも集まってくれば、介護の現場も変わっていくかもしれない。
誰もが安心して老後を送れるように、一人一人の気持ちに寄り添った社会になってほしいと願う。
Posted by ブクログ
これはもう将来介護に進みたい人におすすめしたいです。終末期医療ってその人の最期をどう考えるかで延命も変わる。その人らしい最期をと願うのか、経管栄養で延命するのか、その人と家族の考えを尊重しながら進めていくのが理想。しかしいざその時になると延命しないならば施設受け入れ困難という事態にもなっている。その人らしい最期をどう迎えるかは施設と利用者及び家族と十分に話し合って行く必要がある。
介護ロボットが当たり前に導入されてほしい。いつも事故と危険合わせで介護士休まる暇がない。
Posted by ブクログ
出だしから介護の現場の大変さが描かれており、
3Kどころか、倍の6Kくらいの過酷さに
ちょっとしんどい展開になるのかな、と
重たい気分になったけど、
読むうちにこの世界に引き込まれて、
介護する側、される側、両方に感情移入し、
胸を詰まらせながらの読書となった。
フィクションとはいえ、
ここに描かれる内容はほぼ日常で起こっていること。
年老いて、自分で自分の面倒が見れなくなった時の身の振り方は、ちゃんと考えておかないと。
意思表示ができるうちに紙に書いておくぞ、と決意。
介護の未来はどうなっていくんだろう?
わたしはロボットにお世話してもらうの、いやじゃないかも。
負担の大きい部分は
この物語に出てくる意欲的な人たちのように
どんどん改善していき、
介護というフィールドがもっとポジティブなものに変わっていったらいいなと思った。
みんなが自身の問題と捉え、考えていかなければ。
Posted by ブクログ
介護の現場を舞台にした物語。介護する人、される人、それぞれの現実や想いを感じることができた。現在、実家の母が認知症を患っているので、より我が事のように感じた。母を大切にしたい。
Posted by ブクログ
介護にあたる介護士、介護される方に光をあてた作品であり、重いテーマの中でも温かい読後感で終われたのがよい。先日、おばを亡くしたばかりで延命措置についても真剣に考えるきっかけになった。
P99…溝内がいう、人生は上書きの連続であると。昨日、嫌なことがあっても今日、いいことがあれば人生は良いものだと思える。
P108…働いている自分たちが楽しくなければ、介護される利用者も不幸だと。大切なことは介護士達の環境を改善すること。
P270…福見さんは、なんのために働いているのか。
この本は、介護に携わる方の現実を語ってくれていると同時に、続けている方たちは最後の砦としてふんばっていることがよくわかる。
なんのために働いているのか、自分自身に問うてみる。
お金のためだ…だけど、それでいいのか?
何が自分としての価値で貢献できるかを考えさせてくれた作品でした。
「月の光をかりて照る大いなる月たらんよりは」
「自ら光りを放つ、小さな灯火たれ」
この最後に節子が放つ声こそ、1人1人ができる働く意義や矜持なのだと理解する。
Posted by ブクログ
介護の現場が、介護士や看護師、医師、施設長といった複数の視点から描かれ、現場が抱える課題が自然と伝わってくる。読みながら、遠くに住む父の介護を支えてくれているスタッフの方々のことを思い、あらためて感謝の気持ちが湧いた。
物語は、誰もがいつか向き合うことになる終末期のあり方にも触れていく。延命を最優先とする介護ではなく、最期まで人間らしく生き、死を迎えることの大切さを考えさせられた。現実には簡単ではないのかもしれないけれど、それでも目を背けずに考え続けたいテーマだと思う。心に静かに残る一冊だった。
Posted by ブクログ
介護現場のリアルが描かれた作品。
自分自身も介護ではないが福祉業界で勤めているため刺さる部分もありつつ、介護の現状を重く受け止めた。
もう一つのテーマが「死生観」。
「延命至上主義」を掲げる介護施設と「その人らしい"死"」を叶えてあげたい1人の医師。
確かに自分も死ぬ間際になった時、苦しみながら医療で延命されるくらいならスッと逝かせてもらう方が有難いな…と思った。
これからの介護業界・福祉業界に幸あれ。
Posted by ブクログ
介護施設での話。自分も介護業界に携わっているので、すんなりと内容が頭に入ってきた。
知らない知識も得られて良かった↓↓↓。
下顎呼吸が始まると、酸素が少なくなり、二酸化炭素濃度が上がる。そうすると、脳内麻薬のエンドルフィンが分泌され、苦痛が和らぐ。下顎呼吸が始まると、見ている人は苦しそうだと思い、心配する。しかし、この状態の時に、酸素を吸引させると、エンドルフィンの分泌が無くなり、苦痛を味わうことになるため、酸素吸入は行わないほうがいい。
介護施設では入所者の介護にあたる身体的な大変さと、排泄介護の匂いや入所者からの心無い言葉などによる精神的苦痛がある。また、入所者の家族から訴えられたり、不信感を抱かれることもある。
しかしながら、やりがいも多くある仕事でもある。
この本では、介護施設のリアルがよく書かれているなぁと思いました。介護士がなぜ辞めていくのか、なぜ人手不足なのか、この本を読めば理解できると思います。
未来の介護施設が、今よりもっと質の高い介護が提供できるようになっていることを願っています。
介護に関係のある人、興味のある人はぜひ読んでみてほしい作品です。
素敵な作品に出会えて良かったです。
ありがとうございました。
Posted by ブクログ
介護現場の様子がかなりリアルに描かれている。ICTが導入されれば、介護は格段に楽になるが実際に最先端の技術を取り入れられる施設はほんの一握りだ。待遇も良くないし、給料も安い、たまにしか面会に来ない家族が文句を言うこともざらにある。しかし、介護は誰にでもできる簡単な仕事ではない。超高齢化社会の日本で、必要とされる専門職としてもっと地位が向上するべきである。
Posted by ブクログ
介護問題を真正面から描ききった作品。人生とは、生とは、死とは?主人公の星矢と共に読み手にも深く考えさせられる。お笑いコンビの相方である大尊、過去に縛られて生きる施設長の福見、ALSの父を介護し看取った葉山、それぞれ事情を抱えた入居者達、などが星矢の人生観を変えていく。
人生は上書きだ。
辛いことがあっても翌日良いことがあれば、「良い人生だ」と思える。
人の最期も、そうなんじゃないか?
失敗もある、
納得のいかないこともある、
不条理、妬み、回り道、
いろいろあっても、
いいじゃないか。
上書きなんだから。
最後に笑えれば。
星矢は様々な経験を通じて
自分らしく
自分の足で
自分の道をのっしのっしと歩くことを決意した。
決して軽い小説ではないけれど、
星矢の明るさと
真っ直ぐな気持ちがあるから、読んでて辛くならない。
自分の生き方に
良き視点を与えてくれる一冊。
Posted by ブクログ
『森にあかりが灯るとき』
介護をテーマにした藤岡陽子さんの小説。藤岡さんの魅力は読後感のよさ。でも、そこに登場する人物はリアルだ。医療現場も報道現場もそしてこの介護施設現場も。
お笑い芸人を挫折し、特別養護老人ホームで働く星矢の眼を通して、介護施設の人間模様が描かれる。星矢自身も、努力が報われない現場に心が折れかかっている。介護のプロなのだから100点でなければいけない、24時間ミスなく過ごさなければとみんな疲弊している。
長年介護の現場で奮闘している介護士と施設担当医師葉山。そして思ったことをストレートに話す星矢が延命治療をめぐって対立する場面は重く迫る。
『命は大切と言いますが、
それはおそらく長く生きることではなく、
その動物らしく生きることなのだと思います。』
葉山が旭山動物園で出会った園のスタンス表れる言葉も印象深い。
一番グッときたのは、ベテラン介護士が、「彼の誠実な人柄はここにいるみんなが知っています」と警察に憤慨する場面。「背番号」を見つけることのできた星矢の自己肯定の安堵が嬉しい。
魅力的な葉山医師と新たな道を歩む星矢。またどこかで接点が生まれてほしい。
返却期限ぎりぎりで一気読み。
かなさんのレビューを拝読したら、どうしても最後まで読みたくなった。介護の現場で働く人達にも藤岡陽子さんにも感謝。
Posted by ブクログ
溝内星矢は島田太尊とお笑いコンビを組んでいたが、売れることなく、30歳前に諦めて事務所をやめ、大学で学んだ介護職についた。勤務する「森あかり」はユニット型特別養護老人ホーム。全て個室。夜勤では1人20室担当する。初めての独り立ち夜勤の時、呼吸のためのチューブが切られるという事件起こり、施設長から犯人と疑われる。それ以外にも心折れるような事が続く。星矢は辛いことあっても、基本的に介護の仕事を嫌いだとはおもっていない。なのに、辞めたくなるような、今の介護の現場を取り巻く状況が森あかりの入居者や職員の目線から明かされていく。
普通なら暗くて読みたくなくなるようなテーマなのに、重い気持ちに陥りすぎることなく読ませてもらえました。主人公の心持ちが良いことと、これからはこうあらねば、という未来を考えさせてもらえるからでしょうか。介護がこれからどういう職場であるべきかということと、終末に人はどう生きるべきか、生かされるべきかという2つが今一つ絞れていなかったことと、職員達のドラマが多岐に渡り、主役目線がぶれたことが気持ちの持っていく先がまとまりきれず、読んでいて惜しい感じありました。
私は両親ともに病気で入院して亡くなったので、介護施設にいれるかなど悩まなくてすみましたが、親しかった伯母が胃ろうしていた病院で、もうほとんどしゃべれなかったけど、キツいと言っていたのが忘れられない。生き長らえて治療できるとか、今会えないから最後の見とりまで生きていてほしいとか、そういうことに繋がらない人への胃ろうには賛成できないです。でも、今の医療は延命治療寄りだし、元気なうちにしっかり考えて伝えておかないと難しいのだろうな、なと、色々考えられさせました。
テーマが難しいと思うので基本は中学校以上。読みたがれば小学生でも大丈夫です。