あらすじ
大学受験失敗と家庭の事情で不本意ながら看護学校へ進学した木崎瑠美。毎日を憂鬱に過ごす彼女だが、不器用だけど心優しい千夏との出会いや厳しい看護実習、そして医学生の拓海への淡い恋心など、積み重なっていく経験が頑なな心を少しずつ変えていく……。揺れ動く青春の機微を通じて、人間にとっての本当の強さと優しさの形を真っ向から描いた感動のデビュー作。
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Posted by ブクログ
千夏もやめないでよかったし、実習で別の患者ならとかせんのない想いがあるし、初日止めるはずの瑠美が主席卒業して世渡り上手な遠野が止めるし亡くなったし、藤岡陽子さんの本はホントたくさん過ぎる詰まった中身、お父さんの鬱病の心情まで書いてるので、看護学生の体験から病院に患者に書かれてるが体験談からリアル感が抜群。遠野との距離感に千夏との距離感に書くのが上手ですね、留学や経験が積み重ねなんだろうな、海とジイで出会ったがホント読めて良かった
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「リラの花咲くけもの道」も良かったけれど、
こちらの方が心にグッときました。
この作品がデビュー作とは驚きです。
3年間共に学んだ友人達の最後が
なんともやるせない結末で
言葉になりません。
医療関係者にも、そうでない方達にも
お勧めの一冊です。
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これが藤岡陽子さんのデビュー作なのか。
主人公瑠美のハニキヌキセナイ生き方に、青春の真っ直ぐさと苦味を感じた。苦味は他でもない自分自身の苦い記憶。自分の考えが正しいと信じて権力に媚びないこと、それが自分らしさだと思っていた時期があったから。
瑠美の親友千夏は、包容力満点の看護師にピッタリの女性だった。屈折した正義感あふれる美女遠野も魅力的だった。二人のお子さんがいる佐伯も。
思わぬ展開で幕を閉じたこの物語。なのに読後感が無念や喪失感、哀しみに沈まないのはなぜだろう。
4人の選んだ道、レールがみんな重ならなくても、それぞれが自分の意志で選んでいったからなのかもしれない。
看護師さんを目指すこの話を読んで、父が亡くなった日の病院の一コマを思い出した。
父が亡くなった時に泣き崩れていた看護師さんを。
救われた。ありがたかった。
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不器用だけれど真っ直ぐな人、この作品に登場する人たちはみんな正しさのセンスがある。辛く悲しいことがあっても、挫折をしても、そのあとどう生きるのか、どんな風に考えるのかで、未来はいくらでも変えることができるのだと思う。
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看護学生ならではの、実習や実技試験の辛さ、理不尽な教員の言い分など…瑠美と同じく看護師に憧れていなかった看護学生だった身としては、まさに絶望感がよく分かる。瑠美のような自分を曲げない姿勢と、それにより偽りのない人間関係を築けることや自分の進む道を拓いていったことが尊敬できるし、瑠美は強いと思った。白衣の天使という言葉に対する純真で潔白というようなイメージを払拭してくれる、すっと腑に落ちた物語だった。
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藤岡陽子さん、「手のひらの音符」に続いて2冊目です。
「手のひらの音符」も本当に良かった。この本もとてもいいです。
何と言うか、2冊とも納得しながら読めるんです。
人にはそれぞれいろんな人生がある、いろんな感情がある。それを経て、強い意志や思いやりが芽生える。
今回もいいセリフがちょこちょこ出てきて、読後は勇気づけられます。
おすすめの作家さんです。
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藤岡陽子作品、二作目
この人の小説は何がどうなのか分からないけど、最初の数ページで掴まれる
特に個性的な文体でもなく、比較的平易な言葉を紡いでいる
でも、はじめから言葉が私に染み込んできて、あっという間にページを繰ってしまう
不本意ながら看護学校へ通うことになった瑠美が主人公
看護師は病院に勤務するし、人の命についての描写もある
でも、私にはいわゆる「人が死ねば悲しいよね、泣くよね」という最近ありがちなストーリーには思えず、とても良かった
私も家庭の事情で望む進路に進めなかったので、当初の瑠美の投げやりな感じはすごく分かったため、特に感情移入しやすかったのかも
でも瑠美が時折吐く毒(正論)は気持ち良い
思っても言えなかったり、そもそも頭の回転のトロい私にはその場で思いつかなかったり
瑠美の若さであんなふうに波風立ててでも正論を言うって、なかなか難しいとは思うけど、でも瑠美みたいな気の強い人(そして正義感の強い人)が看護師になってくれるのは心強い
ラストがちょっと駆け足で、千夏のことも遠野のことも、サラッと過ぎてしまったのが残念
とは言え、読んで良かった
藤岡陽子作品、買い集めました
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日々色々な葛藤と戦いながら、自分の思いを貫き、仲間や友達を思う主人公らの、強く真っ直ぐな姿に心打たれた。
看護学生の大変な実態を、実際に経験された著者から学べたと思う。
生と死と常に隣り合わせの医療現場では、マニュアルはなく試行錯誤の世界だと思う
そんな中でも、自分の信じたことを信じ続けたいと思ったし、自分が見たことだけ信じたいと思った。
仲が良かった千夏、遠野さん、佐伯さんらと一緒に卒業できなかったことが悔やしいけど、それぞれ自分が選んだ道だから応援したいと思った
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看護学校の学生の青春物語かと思ったが、もっと過酷な看護の世界や、真っ直ぐに生きていくには時に残酷で理不尽な社会が描かれており、読み終えてやりきれない気持ちになる。
唯一明るい気持ちになるのは、ヒロイン瑠美の看護学校の親友である千夏が登場した時である。
千夏の明るくて大らかで優しい人柄が物語に光を差し込んでくれる。
登場人物たちの決して交わらない一方通行の恋心も、繊細で切なく描かれている。
何よりも尊いのは、彼女たちのまっすぐな心が不当に曲げられることを許すことができないこと、間違っていないのに間違ったと修正できない生き方。
社会の中で大人たちは心がすり減って行くが、何色にも染められていない若物の心は瑞々しく眩しい。
この作品は藤岡陽子さんのデビュー作であるが、心の奥にスッと入ってきて、飽きることなく400ページ以上の長編を読ませる筆力はさすがだ。
ますます藤岡さんの作品をもっと読みたい気持ちになる。
Posted by ブクログ
木崎瑠美
大学受験に失敗し、看護学校に進学する。看護師になりたいという願望は特にない。卒業式では卒業生を代表で答辞を読んだ。
平野亜矢
二年の夏まで一緒にアーチェリー部に所属していた。
山田千夏
瑠美と同じ看護学校の同級生。瑠美と同じ班。父は自衛官。父と三歳下の妹と三人で暮らしている。看護記録の訂正を先生に言われたが拒否し、看護学校を退学する。
佐伯典子
瑠美と同じ看護学校の同級生。瑠美と同じ班。三十代半ば。離婚して看護学校を退学し、旧姓の須賀典子で出直す。
遠野藤香
瑠美と同じ看護学校の同級生。瑠美と同じ班。人を圧するほどの美貌。ひとつ違いの妹が十二歳の時に手術ミスで死んだ。病院側を訴えず、両親は離婚した。千夏への病院側の行いに対し教員に歯向かう行動をし、退学した。
横井ちえ
瑠美と看護学校のクラス委員。自分の発言を周りにいるすべての人に聞かせなくてはすまない勝気な性格。瑠美は苦手を通りこして嫌い。
日野瞬也
千夏の友人。大学の剣道部。保育園から高校まで一緒だった。瑠美に告白する。
原さとみ
大学の剣道部のマネージャー。瑠美の一つ年上。
佐藤
大学の剣道部。背が高い。兵庫県出身で、インターハイで優勝経験あり。
三田
大学の剣道部。高校から剣道を始めた。
新田
大学の剣道部。面打ちが得意なイケメン。
林
横井ちえといつも一緒にいる。
菱川拓海
大学四年生。図書室で勉強をしている瑠美に声をかけた。母と弟の三人暮らし。かつての父親は小学校の時に別れていて、それから一度も会ってない。
瑠美の初恋相手で瑠美達の実習病院と同じ系列病院の小児科医。
波多野
瑠美や千夏の担任。
佐伯の夫
建築士。
佐伯の娘
拓海の父
京都に住んでいて森林を研究する施設で働いている。
湯川さつき
澄川ヌイ
鍼灸師。
池尻
年配の教員。
千田仙蔵
瑠美が臨地研修で担当した患者。
浜野
病棟の指導看護師。
篠原
千田を担当する看護師。
野木佑太
千田の孫。手紙を花房チヨを探して手渡すように依頼される。
花房チヨ
六十年前、千田の母親が働いていた都内の病院の同僚。
矢部
担当教員。
八木友香
瑠美が担当した小児科入院患者。
越野
八木友香の担当。
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看護学生ってこんなに大変なのか。
看護師の皆さんはこれを乗り越えてきたんだな。
「常識というのはその場にいる人間で作られるの。だから常識が正しいことだとは、限らない。」
わかる。医療の現場に限ったことではない。おかしいと思ったら声を上げることができる人は貴重だ。そこにずっといると慣れちゃうから。
それにしてもそんなにみんな辞める?と思ってしまった。看護学校ってそうなの?
でも登場人物みんなに魅力がある。それぞれの選択を応援したい。
個人的には佐伯さんが一番好き。空港での場面、よかったな。
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藤岡さんの小説が好きな方は、いつかは必読。生きること、家族や友人、恋愛についての価値観の原点となるデビュー作。派手でなくても、失敗しても、着実に前に向かって歩む姿勢には、やはり勇気づけられる。
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似た環境の人たちに囲まれていた高校生までとは違い
年齢も生き方も様々な人がいる看護学校で
成長していく主人公
人生のどの時点でどのような人と出会うかはその時にならないと分からないけれど
無駄な出会いはないと信じて
出会いを大切にしていきたいと思わせてくれた話だった
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著者4作品目。デビュー作との事ですが、完成度が高くワンクールを通してドラマの原作になりそうなくらいストーリーや登場人物達に魅力があります。
著者が看護師という裏付けもあり、おそらくモデルとなった人物がいるだろうと想像するくらい設定に説得力があります。
著者の文章は私の心に寄り添う距離感が絶妙で、常に優しく癒してくれます。
どれくらい読み続けても疲れないからいつまでも読んでいられます。
今更ながら、私にとって贔屓の作家さんの1人になりました。
Posted by ブクログ
なんの目標もなく進んだ看護の道を選んだ瑠美の、看護学生の生活を通して変わる心情の変化が読んでいて面白かった。その他の登場人物との恋愛絡みや病院実習中に起こった出来事を通して、それぞれ看護師として成長していくのかと思ったが、看護学校を卒業できるのは6割という伏線通り、実習の4人組であった瑠美、佐伯、遠藤、千早のうち瑠美を除く3人がそれぞれの理由で自主退学の道を選んだのも面白かった。まとめると、目標なく大学に入ったとしても、大学で学んで行く中で見えていくものもあるため、進んで自主退学する必要もなく余程のことがなければ退学のタイミングは、来る時が来た時で良いのではないかということ。
Posted by ブクログ
大学受験失敗と家庭の事情で不本意ながら看護学校へ進学した木崎瑠美。毎日を憂鬱に過ごす彼女だが、不器用だけど心優しい千夏との出会いや厳しい看護実習、そして医学生の拓海への淡い恋心など、積み重なっていく経験を頑なな心を少しずつ変えていく…。揺れ動く青春の機微を通じて、人間にとっての本当の強さと優しさの形を真っ向から描いた感動のデビュー作。
Posted by ブクログ
「これ読んでみ。きっと色々思い出して懐かしく思うんちゃうかな。」と、母からこの本を渡された。
私は自分には向いていないと思いながら、看護師を続けていた。
だから、この本を読む事に気分が乗らなかった。
しかし瑠美の姿勢と千夏の人柄に随分と心が救われた。
気分が落ち込み仕事に行きたくない日も、、私を持ち上げてくれた。
何か不思議な力を感じる作品。
Posted by ブクログ
看護師の方々からは現実はもっと違うとの批判もあるのでしょうが、医療現場の厳しさが私には感じられる作品でした。人柄の良い大人は登場せず、涙もありませんでしたが、これがデビュー作かと思うくらい読み応えがありました。日本人らしくない瑠美さん、今のままで頑張って!
Posted by ブクログ
藤岡陽子さんのデビュー作。人間模様を分かりやすく伝えてくれて、文体も読みやすいのはこの頃からさすがだと思う。
迷いながらもひたむきにがむしゃらに進む、が藤岡作品の主人公たちに共通するキャラクターであり良さだと感じていて、その点は今回も同様だった。また、社会の不条理を織り込んで、ご都合主義にならないストーリー展開も好きだな。
後の作品をいくつか読んだ身からすると、恋愛の進展を安易にストーリーに絡めない(あっても恋愛はサブのサブくらい)作品が多かった印象で、好ましく思っていたので、本作品は恋愛絡みの分量がやや多かった点が惜しかったかな。これは好みの問題かとは思う。
Posted by ブクログ
看護学校に通うことになり、そこで出会った仲間たちたとの看護師になるための勉強についてや恋愛、そして友情を描いた作品。
主人公の瑠美は看護師の仕事は厳しいと実習で痛感するが、それでも頑張れたのは友人がいたから…
凄く仲が良くなった千夏。
仲は良くないのに、頼りにされていた遠野。
様々な要素が盛り込まれていて、時に涙腺が緩んだ。
2024.7.11
Posted by ブクログ
<本のあらすじ>
大学受験失敗と家庭の事情で不本意ながら看護学校へ進学した木崎瑠美。毎日を憂鬱に過ごす彼女だが、不器用だけど心優しい千夏との出会いや厳しい看護実習、そして医学生の拓海への淡い恋心など、積み重なっていく経験が頑なな心を少しずつ変えていく……。揺れ動く青春の機微を通じて、人間にとっての本当の強さと優しさの形を真っ向から描いた感動のデビュー作。
<感想>
進路で看護師を目指す人はどんな人でしょうか。純粋に看護師という仕事に憧れる人、身内に医療関係者がいる人、一人で生きていく、お金に困らない資格を得たい人などさまざまでしょう。コロナ禍で改めて「エッセンシャルワーカー」の職種としても考える日々を過ごしました。感謝や敬意を表し、メディアもこれを広く取り上げられました。しかし、エッセンシャルワーカーの重要性が広く認識されると同時に、日本では人手不足が顕著な職種である実態が問題視されています。
読んだきっかけは自分が看護師さんに患者として大変お世話になっている身だからかもしれません。
主人公は大学受験失敗と家庭の事情で不本意ながら看護学校へ進学する。
専門知識の習得はもちろん、実習や人間関係など、いのちと向き合う肉体的精神的にも大変な仕事だ。
看護資格を取得した作家のデビュー作として、とても実体験に基づき、思いが込められた作品だと思った。
瑠美と千夏。二人とも不器用で、「常識よりも大切な物」を抱く。「正しさのセンス」を持っている。
病院という生と死が凝縮された場で、患者として思うのは、看護師が重くてつらいものだろうし、献身的な努力も求められたり、そして患者や家族にとって、医師にとってもありがたい存在だ。
とはいえ、この物語を通して言えるのは、看護師としての在り方だけではなく、何のために生きているのか。何を根拠に人生を進むのか。私達が生きている限り、その意味を問いつづける事が人生なのだ。
答辞の言葉より
「白衣は白い色をしているが、その白は潔白の白さではないと。どんな色にでもなり得る白なのだと。
(中略)この先、何色の白衣をまとっているかは、それぞれの生き方にかかっているのです」
が物語っている。
グレーになったり黒になったり、何色にも染まる白だからこそ『いつまでも白い羽根』を持つ気概を持っていけたら、そんな生き方ができたら。テーマは重たいけれど励まされた作品だった。
+++++++++++++++++++++++++
本文で気になった文章
p224
「お父さんな、鬱病だった時期があってな・・・・・・。おまえも気づいていたかもしれないが・・・毎日毎日、生きるのが本当に大変だった時があったんだ。一日をやり過ごすのが驚くほど大変で、一日がこんなに辛いんだったら、あとの人生の何十年、どんだけきついんだと思うとまた滅入ってしまってな。本当に苦しかった。そんな風に思ってしまう自分が情けなくて、何よりおまえや母さんに迷惑をかけていることが情けなくて・・・。死んでしまおうと何度も思った」
「でも死ななかった。死のうと思うたびに、おまえのことが頭に浮かんだんだ。おまえが生まれた日のことを思い出すんだ。おまえが生まれた時、人はなぜ歳をとるのかという答えを、お父さんは見つけた。歳をとるのは、一日一日強くなっていくためなんだと。お父さんは、赤ん坊の顔を見ながら確信したんだ。自分は父となり、子どものおまえを守っていける強さを身につけようとその日強く思ったんだ。」
「死にたいと思う今日の自分がいたとしても、明日また生きようと思えばいいじゃないかと考えられるようになった時、お父さんの鬱病は少しずつ良くなっていったんだ。これからはおまえや母さんや、自分を必要としてくれる人を信じて生きようと思う。瑠美のいうとおり、軌道修正はいつでも可能なんだ」
p.251
「ねえ瑠美、人の好き嫌いってなんだと思う?特別に自分に何かされたわけじゃないのに、どこかいけすかない人がいたり、逆に親切にされたわけじゃないのに好きだなと思う人がいたり。そういうのなんでだと思う?」
(中略)
「略 それはね、生きる姿勢なんだと思うんだ。その人の生きる姿勢が好きか嫌いか。それがその人を好きになるか嫌いになるかなんだよ」
p.254
死を目前にしながら、人に対して善意的に接することができるということが、自分には奇跡的に思える
「人は、最期までその人らしく生きるんだね」
p.296
「仕事をしている人はその中で小さな喜びがあって、その繰り返しが生きていく上での楽しさでもあり幸せでもあるでしょ。それは育児や家事においても同じなのよ。嬉しいことがあったら聞いて欲しいし、そんな自分の喜びを知って欲しいの。自分に関心を払ってもらいたいとは言わないけれど、せめて子供たちには本気で目を向けて欲しいと思っていた。」
p.340
「感じた疑問を口にして、きちんと答えを求めるような人よ。おかしいことをおかしいと言える人。常識というのはその場にいる人間で作られるの。だから常識が正しいことだとは、限らない。その場の常識だとか雰囲気に流されないでいられる人は、とても貴重だと思う。」
p.342
「略) 看護師として働いても働かなくも、それはどちらでもいいの。でもね、一度入学したなら、卒業してみるものよ。良いも悪いも、全部やり遂げた人にしか語る権利はないんだから。今途中で投げ出してしまったら、一生、あの先生達や病棟の看護師さんと対等に話せなくなるわよ」
p.362
子をもつ大人にとって、子の存在は人生そのものにもなり得ることを、瑠美は実習を通して知った。病に伏す高齢者の患者が思うことは家族と過ごしたこれまでの日々、自分がいなくなってからの家族の幸せ。人はこれほどまでに家族を想っているのか、親は子を愛しているのか、支えられているのかと、瑠美は何度も思い知らされた。そしてまた逆に、独りきりで病と闘う辛さ、亡くなっていく哀しさ・・・。人はとてつもなく強く、そして弱いものだということを、自分は患者たちに教えてもらった。
免許を手にして働き出すと、学生の間に感じたことを、日々忙殺される中で少しずつ剥がされていくのだろうか。剥がされて削られていくうちに、つるつるの何も感じない心の部分ができてくる。
p.370
どんなに高度な医療をもってしても治らない病気は世に溢れていて、そうした病を前には、医師も最新の医療機器も薬剤もただ無力な存在になるしかないのだった。
でも、何もできないわけではないんだと、瑠美はおっもう。治らない病を抱えた人に対しては、看護師が最も力を発するのだと教えてくれたのはどの教員だったか。
p.418 主人公の答辞より
「私たちはこの三年間、学生という立場で医療の現場に立ち会い、その清さも濁りも、この目で見てきました。医療の現場は壮絶です。人の生き死にの場ですから、もちろんきれいごとではすみません。その中で、自分がどういう仕事をするかということは、看護師としてというよりも人として、という問いかけになってくると思います。同じように看護師を目指していた友人に言われたことがあります。白衣は白い色をしているが、その白は潔白の白さではないと。どんな色にでもなり得る白なのだと。
(中略)
この先、何色の白衣をまとっているかは、それぞれの生き方にかかっているのです」
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自分の思い通りにいかないこともおおいけれど、途中で投げ出さず最後までやり遂げてからさらに進んで行くことも大切なんだと思いました。
好きで選んだ道ではないとやめる機会をねらいながらも最後までやりとおした主人公に拍手。
Posted by ブクログ
大学受験を失敗して家庭の事情で不本意ながら看護学校へ進学した主人公、木崎瑠美の話。
看護学校へ進学をしたものの、大学進学も諦められず、学校生活もどこか冷めていた。
しかし、友達ができて親友になり、厳しい看護実習を重ねていくうちに頑なだった心が少しずつ変わっていく。
少し恋愛も絡んでいて、看護学生、木崎瑠美の入学から卒業までの「青春ストーリー」という感じかな。
主人公の瑠美が、ずっと冷静で強かったのが印象に残りました。
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初めましての作家さん。 すごく真っ直ぐな文章を書く方だなー。と言う印象です。
家庭の事情で不本意ながら看護学校に通う瑠美。
そんな瑠美の不器用な生き方が、なんだか読んでいてすごく痛々しいんですよね。
ダメなことはダメ。イヤなことはイヤ。って言えることは素晴らしいことなんだけど、でも実際は正義を貫くってすごく大変なんですよね。敵もたくさん作っちゃうし。
だけど現状への不満を抱えながらも前へ進む瑠美は、きっといい看護師さんになれるんじゃないかな。という気がしました。
私、何度か入院したことがあって、看護師さんって、白衣の天使なんかじゃないってかなりリアルに実感してるので、きれいごとばかりじゃなく現実と向き合ってる瑠美みたいな人の方が、他人の気持ちに寄り添えるんじゃないかな。という気がします。
瑠美の心の成長が、とても強く感じられる作品でした。