藤岡陽子のレビュー一覧
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子どもの頃の友達の家族のことって、どのくらい知っていただろう。ほとんど全く知らないのが普通じゃないだろうか。中学生になってから知り合った異性の同級生なら、なおさら。
登場人物のそれぞれは、一見おしゃれな女子だったりイケメンだったりスポーツマンだったりするのだけど、それぞれが家族に何か背負っていて。
正浩くん、ええ子すぎる…
そして、小学生が自分たちと違う子を見つけた時のえげつなさ…
高校生の恩師のありがたさ…
いつも藤岡陽子さんの本の中に勇気付けられる言葉を拾うのだけど、
ドッジボールでボールを受けられずに怯えるせいでいじめられる弟の悠人に正浩が言う台詞。ボールを受けなくていいから、相手を見ながら走って逃げろ。
『これが悠人の闘い方や。人によって闘い方はそれぞれ違うんや。だから、自分の闘い方を探して実行したらええねん』
その言葉が、弟たちと水樹の人生を後年切り開いていく。 -
Posted by ブクログ
ペンは剣より強い。
私が読後、真っ先に思い浮かんだのがこのフレーズ。
著者の知り合いの教員から聞いた話を元に、構成されたストーリーなのだと言う。誰かが書かないと、という著者の正義感なんだろうなぁ。私はそういうの嫌いじゃない。
虐待されていたり、ネグレクトだったり、移民だったりで、小学校に通えないとか、どうにか通っても馴染めない子どもたちと、それをなんとか救おうとする若い教師。
フィクションではあるけど、こういう家庭は確実にあるし、社会的に守られていない弱者がいるのだと知ることはとても重要だと思った。
作中に出てくる児童の中で、印象に残っているのは文香だ。私の子どもの頃と重なる。
子どもを育てていると、本を読んでいると、心の中にしまっていたどす黒い箱が開く時がある。
その箱があること自体、忘れていたのに。
私が藤岡作品を読むのは3作目。
この本は、『きのうのオレンジ』を読み終えたタイミングで知って、娘が小学生になる前に読みたいと思っていた。
何より、主人公の名前に吸い寄せられた。
娘が保育園の担任に注意されることが多く、私自身がダメ出しばかりされているように思っている。
先日ついに「こういう、生きていく上で大事なことって、やっぱりご家庭でちゃんとお子さんとお話して欲しいんですよ」と言われてしまった。
保育園の先生は子どものプロだから。
私などが、解決策を導けるはずもない。
何でも教えてやってください。よろしくお願いします。
そんな風に、子どもたちを保育園に預けてきた。
ここまで、赤ちゃんのときからずっと。
先生たちに教えてもらったことは、本当にたくさんある。
というか、娘たちは、大事なことや必要なことを全部保育園で教えてもらった。
私は、つくづくダメな母だと思う。
作中で、大河の母のセリフに泣いた。
私は彼女とは真逆に高齢出産なのだけど、それはそれで「アナタ、何年生きてきたんですか?」「これだけ生きてるんだから当然できますよね?」という圧をいたるところで感じる。
何歳で産んでも初めてのことはわからんし、向いてないものは向いてない。
まぁでも…開き直ってばかりはいられない…。
これを読み終わって、自分の子どもたちへの関わり方を考えざるを得ないな…と思っている。
夫は、保育園の先生からの指摘を「先生自身の支配欲を満たしたいだけ」「担任との相性が悪いだけ」と全く聞かない。先生との相性が悪い…それは…アンタや。
先方もそれを感じているから、先生から子どものトラブルを聞かされるのは、いつでも私の役目だ。
「よく見てくださって、ありがとうございます」
「様子をお知らせいただき、ありがとうございます」
私の、先生へのセリフ集である。
これを、泣かずに、喧嘩せずに、言えるようになったのは年を重ねた成果かもしれない。
藤岡作品は、温かい。
「誰か一人、がいるかどうか」
水野先生のこのセリフも、私は泣いた。
お友達とのコミュニケーションでトラブルを起こす娘に、私は言ってしまう。
おうち帰ったら、たくさん好きな絵本読もうか、と。
甘やかしているだけなのかもしれないけど。
その一人を見つけられるか。出会えるか。
今は出会えなくても、いつか出会えるよ。
今、ひとりぼっちなら、たくさん本が読めるよ。
ひとりぼっちでも、たくさん本は読めるよ。
私の中のちいさい人に、そう声をかけた。
藤岡さんは、すっかり私のお気に入りの作家さんの一人だ。たくさん読めば、いろんなことと繋がれる。
だから読書はやめられない。 -
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ネタバレサッカー一筋だった俊介がとあるきっかけから中学受験を目指す小説。
俊介の母、俊介、俊介が通う塾講師の加地
それぞれの視点から構成されている1年間
家庭の事情から自分が夢を抱くことを諦めていた俊介の母が、俊介の夢を応援しようと父や義母に真っ向から立ち向かうところ、そして自分の夢を見つけ俊介と共に夢に向かって進み始めるところがよかった。
俊介が受験をしたいと思ったきっかけ、妹に対して長年抱えてきた思い…そしてそれを解放してくれる加地先生の言葉もよかった。
そして、第3章は涙なくして読めなかった
加地先生の過去、そして生徒たちに対する思い…
受験直前に俊介を送り出す際にかける言葉もよかった。
自分が受験した時の気持ち、夢に向かって頑張りたい気持ちを思い出し、苦しかったり嬉しかったりした感覚が甦った。 -
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人生これからって時に胃癌になって
生きる為に治療に望んで頑張って
でも願い叶わず身体の限界がきてしまって
残された時間を自分らしく生きる。
そんな遼賀と
それを支える家族や幼馴染みが描かれている。
フィクションだから
誇張されてる部分もありそうと思ってたけど
全然そんなことなくて
私が看護師として働いてきて
ずっと目の当たりにしてきた現実が
そのまんまこの本の中にあった。
突然の癌の告知。
告知から治療の選択まで時間が短いし
気持ちの整理もつかないままとか
現実感を感じないままとか
患者の立場にたったら過酷だと思う。
でも
治療は1日も早い方が良いって知ってるから
早く選択してもらいたくて焦るし
本人の気持ちを置いてきぼりになりそうになるのも
すごく分かる。
がん治療は終わりが中々見えないし
どんな選択が正解か悩みながら
患者も家族も選択していることを知っているから
どんな選択をされても
その選択を支持し支えるつもりでいるけど
状況によっては本当にこの選択で良いのかな
後々後悔されないかなって思う時もある。
そんな思い通りに進まない治療、
治療の終わりが見えない不安や恐怖、
治療や辞める選択をする葛藤などが
患者・家族や看護師視点で描かれいて
読みながら色々考えさせられたし
自分が行っている看護を振り返ってた。
結末は亡くなってしまうけど
悲しい・辛いだけじゃなくて
家族の繋がりや温かさ
QOLを維持することの大切さなど
もっと沢山のことが伝わってきて
読んで良かったと思える本でした。 -
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ネタバレ『きのうのオレンジ』は、死と生に向き合う物語でありながら、不思議と重苦しい雰囲気はありませんでした。主人公や周囲の人たちの葛藤や辛さはしっかりと描かれているのに、現実世界まで差し迫ってくるような苦しさは感じませんでした。
この作品は、死や生を「鋭く突き刺すように」描くのではなく、その部分に優しく触れてくるような印象がありました。その優しさが心に沁みて、気がつけば涙があふれていました。
物語に登場する人たちは皆、思いやりを持っていて、苦しい状況を抱えながらも優しい世界を形づくっていました。その温かさが、作品全体を柔らかく包んでいて、読む私自身もどこか救われるような感覚を覚えました。
『きのうのオレンジ』は、重いテーマを描きながらも、優しさをもって生や死に寄り添ってくれる物語でした。私にとってこの本は、「生きる意味を問いながらも、優しさを見出せること」を教えてくれる一冊だったと思います -
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__あらすじ__
夜勤中に地震に見舞われ意識を失った看護師の紗穂。気がつくとそこは1944年のマニラで、さっきまで病室にいた老女の若き日の姿になっていた!困惑を抱えたまま、従軍看護師として戦争に巻き込まれる紗穂。それでも、持ち前の明るさで数々の理不尽に抗いながら、過酷な日々を駆け抜けていく。反戦の意思と、命を背負った女たちのかけがえのない青春が紡ぐ圧倒的感動作。
再読だが、この本を初めて読んだ後、映画が放送されることになり、あまりドラマの見ない自分だか、文庫本に感化されドラマを見た。
当たり前だが、ドラマも原作と違った面白みがあり、とても興味深かった。
戦争は「国」で戦うものであり、いざとなれば自決してでも自分の名誉を守るという昔の考えと、紗穂の何がなんでも「命」が大切であるという、時代による考え方の違いによってこんなにも行動が変わるのかと思った。
この物語内では戦争の戦いにフォーカスを当てられた話は出てこない。あくまで主人公は看護師である。でも、看護師目線でもわかる、戦争の惨さや残酷さがひしひしと伝わってくる。
戦後80年となる今年、戦争の悲惨さ、この悲しみを決して繰り返さないということをもう一度思い返してはどうだろうか。 -
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綺麗なタイトルとは裏腹に
読み進めると怖い言葉がちらほら現れる!
あれ?この本ってホラーだっけ?と
思わせるようなニュアンスが。
今までの藤岡作品とちょっと違うけど面白い!
もう寝ないと、と思いながらも
眠い目を擦りながら先が気になり止まらない。
お陰様で寝不足です。
舞台は沖縄の与那国島と京都と東京。
メインは与那国島 最西端の孤島。
海や自然が綺麗なのはいうまでもなく、
ご飯も美味しいそうだ。
一度行ってみたいと思うが時間と先立つ物がない。
だけど、怖い面も!
昔話で人減らしをする儀式を行う場所、あの世とこの世の境の場所、死者が海へ旅立つ場所とかあったようだが怖くて近寄れそうにない。
こういった目に見えない何かの力が物語のなかにうっすら漂っている。
ストーリーの軸となるのは「探し物」!
不思議な少女「花」の探し物はなにか?!
主人公周二と花の関係は?
その他にも幾つもの謎が大きな渦となって周二らを巻き込んでいき、先の見えない展開に夢中になってしまう。
友人の黒田の存在も見逃せない。彼の意外な家業と知識、行動力にも驚かされるが、周二へのアドバイスがめちゃくちゃいい。何者なんだ!
美羽の事件には本当に心が痛む。
周りの人がもう一歩踏み出していれば美羽の居場所がなくなることはなかっただろう。
社会に殺されたようにもとれる。
榮門のように大地になれるような人が必要なのだと思う。
一郎と美羽の絆、想いには涙をこらえるのが大変だった。
特に一郎が美羽を見付けた時と、花が一郎を見付けた時、電車で読んでいたから涙我慢するのに顔がくしゃくしゃになっていたのではないだろうか。
表紙の絵もよく見ればヒントになってたのね。
ラストのタイトルの意味、そういうことか!
と思いつつ周二気付くの遅いよ。
「前世でやり残したことを成し遂げるために
現世に還ってくる。」
花のように人は皆何か探し物をしているのではないだろうか。幸せとか愛とか目に視えないものを。
また自分の生きている意味って何なのだろうか?と考えさせられるがきっと答えは死ぬまで出ない。
だから今を一生懸命生きて幸せだったと思えるような人生を送りたい。
神秘的な世界観で読み応えのあるとてもよい作品でした。