藤岡陽子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読む人によって感じ方が変わる作品であると感じた。
【私が考えさせられたこと】
•恋愛について
•貧困について
•男女のキャリア形成について
•いじめについて
•教育について
•日本の産業について
•ファストファッションについて
•障害について
•ヤングケアラーについて
などなど…..
もし、以上のような視点で作品を読めていない人がいるならもう一度読み直してほしい。こんなにも美しい小説という形で私に様々な問題提起をしてくれた著者には感謝の気持ちでいっぱいだ。おそらく著者の多様な職業を通して培った経験がこのような作品に繋がったのではないだろうか。
話は変わるが、私は久々に関西出身の著者の作品を読んだ。所々にクスッと笑えるような会話が見受けられるところも気に入っている。
また、作品の細部で「こう表現するのかぁ〜!!!」と驚かされるような表現技法がたくさん使われており、小説そのもの全てを楽しんで読むことができた。
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Posted by ブクログ
ネタバレとてもよかった。
俊介の純粋で真っ直ぐなところ。苦しさを抱えているところ。
中学受験は経験していないし、学校の先生のように12歳がこんなに大変な思いをしてまで頑張るべきものなのか疑問を持ってしまう。けれど、やっぱり自分で意志を持って励む姿は応援したくなった。結果はダメだったけど、1年間ひたすら頑張ったこと、悔しさや嬉しさ、達成感、色んな感情に出会ったこと、人の努力や思いやりを知ったこと絶対に無駄にはならない。
俊介の母が高卒認定と保育士資格に挑戦することも加地の弟が勉強を始めること、契約社員になることも全部応援したい。
頑張っていれば、金の角私にも生えてくるかな。
転職を考える中で、塾の裏方も興味出た。ただ、勤務時間が遅くなるから厳しいかな。 -
Posted by ブクログ
ちょっと油断すると泣いて泣いて嗚咽。
仕事前には読めないし、昼休みにも読めないしで、読む時間を選ぶので要注意。
つまり、超刺さったってこと!!!
成道がとても真っ直ぐで、努力家で、優しくて...
車椅子で生活する弟のお世話をし、家事もして大学も行って実習も頑張っていて...
ここ最近は、「成道も頑張ってるから自分も頑張ろう」って思えた。
「人は頑張ったぶんだけ強くなれる。頑張らなくていいって言葉を慰めに使う人は、本気で相手のことを考えていないんだと思う」という松原かなみの言葉には深く共感した。
頑張りたくて頑張ってる時にそう言われると、ノイズでしかないんだよね。
「岡崎くんは、かけひきをしない人間だ。きみは相手を見て態度を変えたりしない、まっすぐな人間です。だから一緒にいると安心できた」という西田さんの言葉もグッときた。
私も、「あなただからこそ」「あなたのおかげで」と言われて最期を迎えられる人生にしたい。 -
Posted by ブクログ
現役で看護師をされている藤岡陽子さん。
今回は看護師を目指す男子学生の物語。
看護師は男女比でいうと9割以上が女性。年々男性が増加傾向にあるはいえ、圧倒的に女性が多い職業だ。
そんな女性優位な職場で、看護師を目指す主人公の岡崎成道。本作は、その過程を描いた作品だが、看護師という夢を抱いたキッカケに思わず涙してしまう。
ここで涙腺がゆるんだのを皮切りに、もうラストまで何度泣いたことやら…
また、プライベートではヤングケアラーとして自分の事は後回しにして一家を支えている。その途轍もない優しさと、一人で抱えてきた責任の重さに、何度も胸が押し潰されそうになった。
看護という現場での患者との関わり方や、命と向き合う仕事の難しさ、学生から社会に出る若者の奮闘ぶり、同志と切磋琢磨しながら深めあう友情、大事な家族だからこそ向き合うことの大切さなど、見所がたっぷり詰まった本作。
穏やかな展開の中でも見せ場がしっかり作られているので、何度も何度も涙があふれた。読みながら、公私にわたって成道に熱いエールを送りたい気持ちに満たされていた。タイトルにつながるラストもまた、温かな余韻に包まれた。
将来に希望がもてなくなりそうな過酷な現状でも、しっかり悩みながら自分をみつめて夢をつかんだ成道。
特に、これから社会に出ようとする世代に読んでほしい。そして、社会に出ている世代には、涙なしでは読めない感動の一冊になると思う。
多くの方にオススメしたい素晴らしい作品だった。
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Posted by ブクログ
中学受験に対するイメージがまるごと塗り替えられた一冊。もちろんこれは小説だけど、加地のような先生に10代前半のうちに、いや生涯のうち一度でも出会えたら、その人の人生や物の見方は大きく変わるだろうなと思う。子どもに武器を与えたい、というだけでなく、その武器を周囲の人のためにも使ってほしいというところまで考えられる大人は強い。
藤岡陽子さんの作品は、自分の役目を静かに果たしている、日々をきちんと懸命に生きている人を見逃さないところが特に好き。
俊介や加地だけではなく、みんなと同じようにピアニカを吹くために人の何倍も努力を必要とする妹や、自分の辛い思いは息子の盾になれたかも、と思う母親。塾のプリントのコピーを毎日毎日大量にとってくれる事務員に加地がきちんと感謝しているところ。
派手に活躍しなくても、静かに、その人その人の頑張りに確かなスポットライトを当てる。大好きな作家さん。 -
Posted by ブクログ
心が揺さぶられる、大変優れた小説だった。
物語は、主人公の聡里(さとり)が獣医学を学ぶため、付き添いの祖母と共に北海道の大学に到着する場面から始まる。
山場は入学して間もなく訪れる。聡里は入寮してすぐ、同室の綾華から理由もわからないまま嫌われていることに気づく。
ある日、そのことで二人は対峙し、聡里は自分が嫌われる理由を知ることになる。けれど、その理由となった「ある物」には、これまで誰にも語ることのなかった、他人には計り知れぬ背景があることが聡里の口から明かされる。ここで私たち読者は、孤独で凄惨な時期を過ごしてきた、聡里の人生の一端を知ることになるのだ。
そして、その事実を知った綾華の態度はここから一変する。二人の間には確かな友情が育まれてゆき、お互いの存在が大学生活のかけがえのないものとなっていく。
聡里の大学生活は、学業の厳しさと経済的な制約もあり、決して華やかなものではない。登場人物もかなり限られているせいか、物語はある意味で淡々と進む。けれど、胸が締め付けられ、涙があふれる場面が何度かあり、いつの間にか聡里に強く感情移入していた。
この物語を通じて、自分のことを本当に思ってくれる人の存在がどれだけ生きる力になるのか、そして、人と交わり、他人の人生の歩みや考え方を知ることがどれだけ自分の生き方に彩りを与え、心を育ててくれるのかを深く教えられた。
そして、今の自分の悩みや苦しみも、聡里のそれと比べたら大したことではないと思えるし、聡里のように心優しい人間でありたいと思わされた。
作中で、鳥好きの同級生・残雪君が教えてくれたいくつかの知識もおもしろかった。「鳥は羽の模様で互いを見分けている。空を飛びながら自分と同種の羽の模様を見分けて、つがいになる」という話。
真偽のほどはわからなくとも、人間もまた、目に見えない共通の「模様」のようなもので惹かれ合っているのかもしれないな、と想像が膨らむ。
偶然だが、聡里が学んだ実在する大学には、私の周囲に縁の深い人が多く、個人的に強い思い入れがある。
私自身は遠く離れた場所に暮らしているが、小説に出てくる江別や野幌といった場所には何度か訪れたことがあり、親しみ深い。私にとっても、青春時代の一端を織りなす場所ともいえる。
そういう意味でも、心の底から「読んでよかった」と思える大切な小説になった。