藤岡陽子のレビュー一覧

  • 森にあかりが灯るとき

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    登場人物達が介護施設で働く理由が、徐々にわかって自然に涙が溢れた作品でした。リアルなお話だと感じました。
    延命治療に関しても当事者ではないときは、苦痛や虚しさを分かっているのに、実際家族がそのような状況に追い込まれると流れのまま管で繋いでしまう。本当にそうなるだろうなと思っちゃいました。
    これからの加速する少子化、人手不足。介護に携わる方々や利用者さんにあかりが灯りますように。

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    2025年08月24日
  • 金の角持つ子どもたち

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    中学受験を舞台に、その親、本人、塾講師の視点からなる3部構成。受験期独特の空気感が蘇ってきた。受験云々ではなく、生きる武器として学力をつけること。あまり重要視されていないが、確かにそれで救われる子供は多いように思われる。まだ先があるからこそ嫌悪され、先で取り返しがつくからこそ挑戦できる中学受験。今何かを頑張っている人にも、頑張れなくて苦しい人にも読んで欲しい。その人の金の角が生えてくるきっかけをくれるかもしれない。

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    2025年08月21日
  • 海とジイ

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    瀬戸内の島が舞台三つの短編集はちょっとだけ繋がってたり。不登校になってしまったひ孫に大事なメッセージを伝える95才のジイ。東京のクリニックを閉めて島の先輩診療所を手伝いに来た医師のジイ。ある約束を果たすため石の私設博物館館長を務めるジイ。瀬戸内の美しい景色が目に浮かびます。

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    2025年08月20日
  • おしょりん

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    明治時代の福井、眼鏡作りで産業化をめざす。努力と商才で着実に事業を発展させていく前向きな物語。藤岡さんの作品は、何かを失ったり辛い時間をカットしたり、通常は引き算の美が多いのですが、本作は足し算。

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    2025年08月17日
  • 金の角持つ子どもたち

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    中学受験がテーマの物語。
    親、子供、塾講師目線で書かれた藤岡陽子さん、らしい前向きになれる作品。
    母親、子供、塾講師の人間性が素晴らし過ぎて感動。


    この本と出会う前は中学受験の必要性はないと考えてました。
    もちろん、必要のない子が大半だと思う。
    ですが、受験で得られるもの価値に同意。
    周りより3年先に競争社会に参加する。
    良い経験ですよね。
    小学生の子を持つ人以外でも、オススメの一冊です。

    中学受験って素敵だな〜

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    2025年08月15日
  • きのうのオレンジ

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    ネタバレ

    これといった特技がなく、また自分をそっちのけに他人のことを考えてしまう遼賀に自分を重ねてしまった。遼賀ほど清らかな心は持ち合わせていないけれど…。
    病気や命、生死をテーマとするストーリーは涙なしには読めない…遼賀も、遼賀を支える家族、友人、職場のアルバイトも暖かい人ばかりでそれぞれの視点で書かれていることもあって余計に。
    生まれてきてよかった、なんて最期に思えたらそれ以上のことはない。自分らしさを大切に毎日を生きていけたらそう思えるようになるのかな。

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    2025年08月11日
  • 晴れたらいいね

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    日赤から戦地へ派遣された従軍看護婦の物語。
    看護婦目線で戦争について少し知ることができたように思います。

    終戦間近のフィリピン。
    様々な地域で負傷兵の救護活動(包帯の洗濯、隔離病棟での世話、死んだ兵士の遺品整理、防空壕へ患者の移送、食料探しなど)している姿に心が痛くなりました。

    生きている時代が違うだけで、なぜここまで苦しまないといけないんだ、何のために戦っているのか、国のために?ふざけんな…静かな怒りみたいな感情が溢れてきました。亡くなった兵士や看護婦さん達、その家族に想像を絶する悲しみや辛さを負わせてまで国が得たかったものは何なんだろうか。。

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    2025年08月12日
  • 金の角持つ子どもたち

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    中学受験の話。
    物語は母親の目線から始まり、夏は子供本人の目線、最後は塾講師の目線で受験を迎える。
    単なるお受験物語ではなく、それぞれに背負ってきた過去と今があり、明日に向って前を向いていく厚みのある展開で、力をもらいました。

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    2025年08月11日
  • きのうのオレンジ

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    いい小説だった。
    闘病生活というほどではないが、30代半ばで癌を患いそれからの生活模様が描かれ、家族の暖かさが伝わってくる。
    しんどい描写などはないので、暖かい気持ちになりたい人におすすめ。

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    2025年08月02日
  • いつまでも白い羽根

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    看護学生ってこんなに大変なのか。
    看護師の皆さんはこれを乗り越えてきたんだな。

    「常識というのはその場にいる人間で作られるの。だから常識が正しいことだとは、限らない。」
    わかる。医療の現場に限ったことではない。おかしいと思ったら声を上げることができる人は貴重だ。そこにずっといると慣れちゃうから。

    それにしてもそんなにみんな辞める?と思ってしまった。看護学校ってそうなの?
    でも登場人物みんなに魅力がある。それぞれの選択を応援したい。
    個人的には佐伯さんが一番好き。空港での場面、よかったな。

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    2025年07月27日
  • 金の角持つ子どもたち

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    学力が裏切らない武器となる。という加地先生の言葉に共感できた。加地先生と俊平のモチベーションのルーツをたどると、闇の部分もあるけど、2人ともそこをバネにして前向きに進めてるところが良かった。

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    2025年07月25日
  • 森にあかりが灯るとき

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    介護の現実が真に理解できる本。

    辛い状況が続く中で、介護士と入居者との暖かいエピソードもあり、自分が介護士になったかのように心暖まるシーンも多々。

    介護問題、文中にもあるように、厳しい現実しかないのにどうして改善されないのだろうか。
    年を取らない人もいないし、死なない人もいない。なのになぜ。
    これでもかというほどに
    介護問題や、尊厳死について追求している良書。

    星矢くんの活躍がもっと見たかった。正直で優しくて真面目で繊細な彼の仕事ぶりも心暖まる材料の一つであった。彼のような人が退職することなく職務を全うできるシステム作りを国は早急に進めて欲しい、

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    2025年07月23日
  • きのうのオレンジ

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    33歳でがんになってしまった笹本遼賀のお話。
    2章以降、遼賀の母、同級生の看護師、弟視点の物語で、遼賀への想いが伝わってきてずっと泣きながら読んでいた。
    みんなの視点からの物語を読んでいて、遼賀の周りにあったかい人が多いのは、遼賀があったかい人だからなんだなとわかる。

    病気のショックに戦いながらも、過去の体験から覚悟を決めた遼賀の姿に、
    生きようと進んだ経験が、未来の自分の背中を押してくれるんだなと感じた。
    頑張ろうってなった。

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    2025年07月22日
  • 金の角持つ子どもたち

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    子どもが中学受験をしたいと言ったら、応援出来るだろうか。
    サッカーに打ち込んでいた俊介は、トレセン不合格を機に受験を決意。彼の努力と家族や塾の先生の見守り方に、胸がいっぱいになる。
    特に、母である菜月の‘夢’についての考察に涙が止まらない。人はいくつになっても夢や希望を持っていい。頑張ったことは、後の人生に必ず良い影響を与えてくれる。子どもに社会を生き抜くための武器を持たせてやりたい。

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    2025年07月16日
  • きのうのオレンジ

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    主人公の遼賀は自分の事より相手の事を考えるような好青年なので、遼賀の周りにいる人たちも、遼賀の性格が呼び寄せるのか良い人ばかりで、闘病ものなのに暗くならず、とても温かい気持ちで読み終えることができました。

    藤岡陽子さんて看護師さんなんですね〜

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    2025年07月14日
  • 晴れたらいいね

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    現代の看護師が担当していた意識のない老女。
    大きな地震の際に老女に入れ替わって終戦前年のフィリピンにタイムスリップ。
    当時の従軍した赤十字看護師たちの苦悩が描かれています。
    最後はウルウルです。

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    2025年07月13日
  • きのうのオレンジ

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    もし、自分が癌になったとき
    何を思うだろうか?
    もし、家族が癌になったとき
    何ができるだろうか?
    そんな事を考えずにはいられない。
    病気を背負ってしまった側、
    病気の人を支える側の不安や苦悩がまざまざと
    描かれていて心揺さぶられます。
    看護師として働いてきた著者だからこそ、身近にみてきた生と死がリアルに表現されている。
    読後、切ないけれど不思議とあたたかな気持ちにさせてくれる物語。 

     主人公の遼賀が重い病と向き合い最期まで
    自分らしく悔いのない人生を生きた。
    この物語は看護師の矢田なしでは語れない。
    矢田は遼賀の元同級生でもあって、看護師と友人として遼賀を支えていきます。
    偶然訪れた病院に

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    2025年07月06日
  • 晴れたらいいね

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    戦争の話は読むのがつらい。
    だからなるべく避けるのだが、現代から看護師がタイムスリップする話だということでハードルが下がり読んでしまった。
    従軍看護婦なので「兵士」ではないが、過酷な状況なのは変わりない。
    看護婦の立場から見た戦地の様子がとても生々しかった。特に衛生面がひどい。自分たちも生きていくのがままならない中での看護。心も体もおかしくなってしまう。紗穂の生きることへのまっすぐな気持ちが仲間の看護婦たちの支えになっていた。

    終わり方がよかったな。恋愛ものではないけど
    「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」を思い出した。

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    2025年07月05日
  • いつまでも白い羽根

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    藤岡さんの小説が好きな方は、いつかは必読。生きること、家族や友人、恋愛についての価値観の原点となるデビュー作。派手でなくても、失敗しても、着実に前に向かって歩む姿勢には、やはり勇気づけられる。

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    2025年07月04日
  • 海とジイ

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    海と様々なお爺さんを軸として、次の世代への紡ぎをテーマにした3編の短編集。

    どの短編も良かったですが、個人的には海神がシンプルながらもグッときて好きです。


    以下、読んでて、気に入った言葉。


    ◾︎海神
    p27強くなりたいと願った時に、人はもう強うなってるもんじゃ。

    ◾︎夕凪
    p66年を取ることに対する先生の考え。
    心に関していえば二つほどいいところもあります。
    ひとつは、これから先どのように生きようかと言う悩みが少なくなるということ。これは単に選択肢が少なくなるからだと思いますがね。もう一つは大切なものが年々減ってくることによって、大切にするものへの比重が増すということ。

    ◾︎波光

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    2025年06月30日