藤岡陽子のレビュー一覧
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夫の不倫で離婚騒ぎとなり、奈緒は逃げるように実家のある京都府の丹後地方に10歳になる息子の涼介とともに帰ってくる。
ペーパーナースだった奈緒は、地元の病院で働く事になる。病院で診療のほかに、地域の訪問診療を続ける三上先生と奈緒と涼介は知り合い、祖父の実家の近くに住む高齢者と仲良くなっていく。
好奇心旺盛で、明るく、いい子の涼介と、トクさん、早川のおばあさんらとの交流が微笑ましい。
病院でクダに繋がれて、長生きする事でなく、最後まで自分を持ち、人間として、生を全うすること。段々と当たり前なりつつあるが、そのためには、医療従事者の協力、信頼関係が欠かせない。 -
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ネタバレまさか泣くとは思わなかった。
「努力をする人はかっこいい」と思える一冊。
保育園児だった俊介は、クラスで風疹(ふうしん)をもらってしまい、それを妊婦だった母に移してしまった。
それが原因でお腹にいた赤ちゃんは生まれつき難聴(耳が聞こえない)状態で生まれてきてしまった。
俊介は親たちの話を偶然聞いてしまい、妹が耳を聞こえないのは自分のせいだと激しく後悔する。
将来はロボットを作って、妹のように耳が聞こえない人を助ける人になりたい。
そうやって、懺悔とも贖罪とも取れる感情から自分自身を追い込み、大好きだったサッカーを辞めて塾に行きたいと親に懇願する俊介。
親も驚くが、その理由を俊介は決 -
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ちょっと勘違いしてて…看護師さんのお仕事小説かと思いきや、看護師さんを目指す看護学校でのお話でした。
都内の具体的な地名が沢山出てくるので…モデルになっている学校や大学病院があるのかと調べてリアリティを感じながら読むことができました。
あとがきで著者のプロフィールが紹介されていたのですが…実体験に基づく内容と知り、納得感がより一層深まりました。
舞台となる看護学校は女性だけの学校なのでしょうか?いろいろな経験・人生を歩んでこられた方が集まっているので、妬みや嫉みが渦巻いていて…そんなにお互いに足を引っ張らなくてもよいではないかと心配になる世界。
主人公の瑠美は望んで、看護学校に進学したわけでは -
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ローズ産婦人科病院で助産師として働く美歩は、キャリア6年目。
産婦人科の過酷な現状の中で、生まれてくる命だけではなく、失われる命も目の当たりにしている。
同僚の理央が、堕胎処置のきつさ、辛さを語る生々しい話。
看護師たちは命の芽を摘む残酷さを、妊婦本人よりも感じているのかもしれないと思った。
胎児に染色体異常の疑いがあり、産むか産まないか悩む妊婦、産む前に知ることができることが良いことなのか考えさせられる。
美歩の3歳違いの姉美生は、生まれながらにして脳性麻痺で障害があり亡くなってしまった。
美歩は大人になるにつれ、家族にとって姉美生の存在は尊いものであり、障害を持って生まれること全てが不幸 -
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「満天のゴール」という題名の意味するところが分からないまま読み始めました。読んでいる途中から「ゴール」の意味がわかり、満天になるまでの「星」一つ一つの積み重ねを経て「満天」になるという人生の歩みそのものだと徐々にわかってくる。
最後の方は「満天のゴール」を迎える圧倒的な、しかし、静かな感動で心が揺さぶられ、同時にジワリと涙腺が緩みそうになりました。(帰宅途中の通勤電車の中だったので、あわてて途中で読むのを止め、駅を出てからマックでアイスコーヒーを買い、マックの中のカウンタ一席で(マスクをして)続きを読み終えました。)
少子高齢化、地域医療、特に過疎化が進んでいる地域の医療現場の実態。これら -
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藤岡陽子作品、二作目
この人の小説は何がどうなのか分からないけど、最初の数ページで掴まれる
特に個性的な文体でもなく、比較的平易な言葉を紡いでいる
でも、はじめから言葉が私に染み込んできて、あっという間にページを繰ってしまう
不本意ながら看護学校へ通うことになった瑠美が主人公
看護師は病院に勤務するし、人の命についての描写もある
でも、私にはいわゆる「人が死ねば悲しいよね、泣くよね」という最近ありがちなストーリーには思えず、とても良かった
私も家庭の事情で望む進路に進めなかったので、当初の瑠美の投げやりな感じはすごく分かったため、特に感情移入しやすかったのかも
でも瑠美が時折吐 -
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ネタバレ45歳独身の水樹が大好きな服飾の仕事を失いそうになり、その道に進むきっかけになる高校時代の恩師を訪ね、過去を振り返る。
水樹の子ども時代は懐かしく尊い思い出でもあるが、苦しんだ記憶でもある。貧しさといじめは幼い彼女ではどうすることもできないことだった。ただそこにはいつも信也がいた。体育祭のリレーの場面、カメムシの場面、自転車にイタズラされる場面など、どの過去を見ても優しい信也がいるから、それを思い出している水樹と同じ目線で熱い想いを持ちながら読める。
現在と過去を行き来しながら物語は進むが、過去にはいつも信也がいて、現在にはいない。この構造は読者に時の残酷さを刻む。どんな人の中にも同じように -
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助産師の物語なので妊娠や出産の話は男性だと分かりづらいかと思ったけど、余計な心配だった。著者の丁寧であたたかく優しい筆致に、むしろ読みはじめてすぐに没入してしまう始末。
飛び込みの緊迫した出産風景や、出生前診断、新生児連れ去り、小さくか弱い命を必死に守る助産師達の奮闘する姿と命をめぐる様々な話にページを捲る手が止まらない。
特に印象的だったのが主人公・美歩の姉の美生の脳性小児麻痺の話だ。
不自由な身体を使って必死に美歩を慰めようとする姉。もう姉の姿はない。
母は「美生なら生まれてきてほしいな。病気だと分かっていたとしても美生と家族になれるなら産むと思う。ずっと四人家族のまま」もうじーんと -
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お笑い芸人になる夢が破れ特別養護老人ホーム『森あかり』で働く新人介護士の星矢を主に、施設の医師葉山彩子、施設長の福見節子の立場の違う3人の視点から介護とは、生きることの意味とはと、問われている気がする。
私も周囲に要介護や認知症の家族がいるので、とても興味深いことである。
人に迷惑をかけずに生きていくとか、自分も周りも幸せだったと思える最期を迎えたいとか、誰でも思うことではないか。
老いても人間の尊厳は失わずにいたいと思ってしまう。
寝たきりになって、自分の意思を伝えくことができなくなったら、命を絶ってほしいと頼む浜本さん、胃ろう(お腹に穴を開け栄養を流し込むこと)をしたくない、静かに逝かせ