藤岡陽子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
幼い頃の交通事故で父を亡くし、弟も車椅子で生活するように。
母がシングルマザーとして働き出したため、主人公の成道がヤングケアラーとして家事や弟の面倒をみる毎日が続く。
そんな中、特待生として看護学校へ進む成道。
そこで出会った仲間や教師、実習先の担当の患者達との触れ合いの中で、悩みもがきながらも看護の意義を学び感じていく物語。
長男の親友が男性看護師として新生児科で働いていて、彼もこんなにたくさんの実習と勉強を積み重ねていたんだなと感無量。
成道みたいに、男性は嫌だと拒否された事もあったのかな。
うちの三男は重度障害児でしょっちゅう入院するけど、基本同性ケアで、それを嫌だと思った事ないなぁ(体が大きくなると、男性看護師さんの力強さが安心できる。排泄ケアも同性だと抵抗がないし)。
女性だからできることもあるし、男性だからできることもあるよね。
それぞれの良さを、病棟で発揮できるとよいな。
全国で8%しかいないという男性看護師。
彼らに続く人が多くなる事を願います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレstart 2026.8.8 finish 8.10
自分の経験と似てることって、読むスピードが自然と早くなるね!
2日だ読んじゃうなんてびっくりだ!
<あらすじ>
中卒であることがコンプレックスの菜月。私立中学を合格したい夢をもつ息子に影響されはじめ……?
トレセンに落ちた俊介が、塾に通って中学受験をしたいと言い始める。
p18 「おれ、中学受験がしたいんだ」
p36 夫婦の会話がリアル。自分が働きに出て、俊介の塾の費用を稼げばいいと思うが、これから小学校に上がる美音は、学校が終わったらまっすぐおうちに帰りたいという。それを聞いたときの浩一と菜月の会話。
俊介、自分の夢を言わない強さ、すごいな。
夢が何かを言わないから、何だろうと気になって、次を読もうと思う。
p64 俊介「加地先生がいつも言うんだ。頑張る子どもの頭には、金の角が生えてくるんだって」
p69 自分の知らない話がきけて(保育士になるには専門学校とかいかなくてよくて試験を受ければよい)専業主婦じゃなくて、外に出てよかったと思う
菜月は純粋だと思う。p72 「思いがけず花束をもらったかのようだった」
p86 俊介「お母さんさぁ、いまから夢を持てばいいじゃん。お母さんのやりたいこと、なんかないの?」
p115 加地先生「自分史上最高に頑張る五日間を過ごすように」
p119 倫太郎「俊介、下剋上だよ」 いいやつだな。
p129 「聴覚を共有できるロボットをつくりたい」
p136 「最近は高卒認定試験というものに合格するため、美音を寝かした後に勉強もしている」
p175 「これまでとは違った景色」が少しだけ見えるようになってきたのかもしれない。
p177 (A組に昇格したあと)一番後ろの左端に用意されていた俊介の席からは、A組のみんなの背中がとてもよく見えた。(夏合宿のホテルで組み分けされたあと p119 と逆 ホワイトボードが遠かった。ここからだとみんなの背中しか見えない。あとどれだけ努力すれば、自分の前に座るやつらに追いつくのか。果たして追いつくことなど可能なのか。嫌でも視界に入ってくる、いくつもの背中に目をやる)
<キャッチフレーズ>
金言が散りばめられた、夢を追いかけている人に勇気をくれる一冊
周りの大人もいい人がいる。
こっそり志望校を変えたいと言いに来た父親や、中学受験を否定する豊田先生などもいるが。
加地の父親は痴人に弟直也のことを「親が甘やかすから、いくつになっても子どもが自立しないのだ」と忠告され、無理にでも子どもを家から出すべきだ、と言われてそれを実行してしまうと、直也は自死を選んだ。
加地先生は、いい意味で力が抜けていていい。
加地先生が、弟直也の面倒を見なかった自分を許せなくて中学受験の講師をしているように、俊介は自分のせいで美音が先天性の難聴になった自分を許せなくて中学受験に挑もうとしている。「自分を許せない」って何かをする動機だったりするよね。
<登場人物の年齢>
加地36歳
直也(加地の弟)33歳 中学で兄のように勉強ができず13歳で社会と断絶
猿渡28歳
<キーワード>
中学受験 自信 夢 勇気
<どんな人におすすめ?>
・中学受験を控えるお子さんを持つ方
・育児中の方
・家族モノが好きな方
・教育関係の職業の方
・人の本気は美しい
・かつて受験を経験した大人の人 -
Posted by ブクログ
◼️ 藤岡陽子「リラの花咲くけものみち」
ドラマシーズン2あるそうで嬉しい。獣医を目指す女性・聡里の北海道での奮闘・成長。
藤岡陽子氏は「手のひらの音符」が少しチクチクする感触だったのでやや暗い物語を書く人なのかも、というイメージがあった。ドラマを先に観て、SNSのやりとりでお互い「ドラマを観て椋鳩十「大造じいさんとガン」という作品が残雪という登場人物の名前の由来になっているから読んでみた、という話で盛り上がり、原作もぜひ読んで、と薦められていた。帯でドラマのシーズン2があると知り、楽しみにしている。
岸本聡里は小学生の頃実の母親を亡くし、継母が愛犬を嫌い処分するのを恐れて不登校に。15歳で祖母チドリの家に引き取られる。祖母の勧めで北海道・江別にある北農大の獣医学部に進学する。憧れを実らせた形だったが、実習期間の馬の出産で母馬を救うためのショッキングな措置にパニックを起こし、大学をやめる気持ちで東京のチドリのもとへ帰ってしまうー。
聡里は山田杏奈、最初はソリが合わなかったが後に親友となる綾華に當真あみ、同期で鳥の研究に入れ込む残雪が萩原利久、先輩で初恋の人・一馬は佐藤寛太、その恋人に石橋静河、チドリは風吹ジュン。それぞれ想像しながら読んだ。北の大地に若く爽やかなキャストは好感度大。
正直を言うと・・主人公の不幸な家庭環境、というのは最近の小説で多いなあ、軽いなあという感覚を持っている。しかし重要な意味を持つチドリとの関係性は、優しさと厳しさが相まって微笑ましく、そして哀しく、リアルさもある。
北海道の、本州とはまったく違った土地柄と、牛や馬などの大動物を育てる農家の環境、伴侶動物とされるペットへの人間の接し方を丹念に描き、その中で成長していく聡里。様々な考え方や態度、立場が盛り込まれている。知的好奇心が刺激され、思い入れも入り、北への憧れもあり、読み込んでしまう。
説得力のあるベースを積み重ねていて、主人公が自分の道を定める場面では、分かっていたけどやっぱり感動した。チドリや綾華、残雪ら心を許せる友人たちとの会話も軽妙でいて温かく、各シーンも絵が浮かぶように書かれてもいて、工夫を感じる。
口数も少なく、引っ込み思案、頼りなかった聡里の、本当の意味での"巣立ち"。読む大人はアオハル時代の自分を回顧し、大人への階段を昇る自分の姿、将来へ踏み出した時のことを思い出すのか。北の大地への憧れと、動物たちの息吹、生きる熱と死、溌剌とした若者たち。多くの要素が魅力的な小説世界を組み上げている。
ラスト、6年後のエピローグ。読後感が良い。ドラマは原作から少し飛躍しているようだが、それでも楽しみだ。小説も2をぜひ書いてほしい。 -
Posted by ブクログ
遼賀と恭平は15歳の時に遭難し、死を意識する
そして33歳になった遼賀 病に倒れながらも、生きること 生き切ることを決意する
死に向き合い自分は自分らしく生きたと受け入れていく また、家族や友人、自分と繋がっている人と共に
… 誰でも生まれて、生を終えていく 遼賀のように自分の生き方を肯定できるだろうか
本音は、治験の医師の説明は残念 本来の目的は治療じゃなくても、目の前の患者には効果の効果を期待する意味があることをはなしてほしかったし、遼賀にはもっとモッも生きて欲しかった 今おなじように病と戦っている人に希望を与えて欲しかった わたしにとっては辛い結果だった -
Posted by ブクログ
33歳の遼賀は胃がんの告知を受け絶望する。
病院で偶然会った看護師の矢田泉、弟の恭平、故郷の母と祖母に支えられ、闘病生活が始まる。
自分の余命をどう過ごすか、やり残したと思うことは何か、誰に何を伝えたいか、遼賀と一緒に考えさせられる物語だった。
12歳の時に父親と兄弟で登った冬山で、遼賀は父に買ってもらったオレンジ色の登山靴を履いていた。
故郷の風景が夕日にに染まる様もオレンジだった。
オレンジ色って温かさや希望を感じさせる。
矢田さんが最後に、遼賀と自分が再会した意味ってなんだろうと悶々とする。
きっとお互いにとって出会いそばにいることが必要だったんだよと私なら言うかな。
生まれ変わったら、今度こそ二人で幸せになってほしい。
短い人生でも、家族に支えられ、人に感謝して逝けることは幸せなことだなあ。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ最終章は涙なしでは読めませんでした。電車の中で読んでいなくて良かった、と思ったくらい、読み進めていくうちに泣いてしまっていました。急に小学校6年生の春にサッカー辞めて中学受験をしたい、と言い出した俊介を、わたしも読みながら、最初は俊介のお父さんと同じように思っていました。どうせ飽きたらやめるんだろうなぁ、と。でも、いつになっても投げ出すことなく、寝る間も惜しんで勉強している姿にいつの間にか俊介を応援している自分がいました。なので結果は残念だったけど、努力を一回経験した子は、この先の人生でどんな局面に立たされても諦めることはないのだろうな、きっとこの先の俊介の人生は素敵に輝くのだろうな、と思いました。中学受験って受かちなた、落ちたの結果よりも、そこまでのプロセスが一番大切なんだな、と気付かせてもらえた小説でした。