藤岡陽子のレビュー一覧
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介護にあたる介護士、介護される方に光をあてた作品であり、重いテーマの中でも温かい読後感で終われたのがよい。先日、おばを亡くしたばかりで延命措置についても真剣に考えるきっかけになった。
P99…溝内がいう、人生は上書きの連続であると。昨日、嫌なことがあっても今日、いいことがあれば人生は良いものだと思える。
P108…働いている自分たちが楽しくなければ、介護される利用者も不幸だと。大切なことは介護士達の環境を改善すること。
P270…福見さんは、なんのために働いているのか。
この本は、介護に携わる方の現実を語ってくれていると同時に、続けている方たちは最後の砦としてふんばっていることがよくわかる。
なんのために働いているのか、自分自身に問うてみる。
お金のためだ…だけど、それでいいのか?
何が自分としての価値で貢献できるかを考えさせてくれた作品でした。
「月の光をかりて照る大いなる月たらんよりは」
「自ら光りを放つ、小さな灯火たれ」
この最後に節子が放つ声こそ、1人1人ができる働く意義や矜持なのだと理解する。 -
Posted by ブクログ
介護施設での話。自分も介護業界に携わっているので、すんなりと内容が頭に入ってきた。
知らない知識も得られて良かった↓↓↓。
下顎呼吸が始まると、酸素が少なくなり、二酸化炭素濃度が上がる。そうすると、脳内麻薬のエンドルフィンが分泌され、苦痛が和らぐ。下顎呼吸が始まると、見ている人は苦しそうだと思い、心配する。しかし、この状態の時に、酸素を吸引させると、エンドルフィンの分泌が無くなり、苦痛を味わうことになるため、酸素吸入は行わないほうがいい。
介護施設では入所者の介護にあたる身体的な大変さと、排泄介護の匂いや入所者からの心無い言葉などによる精神的苦痛がある。また、入所者の家族から訴えられたり、不信感を抱かれることもある。
しかしながら、やりがいも多くある仕事でもある。
この本では、介護施設のリアルがよく書かれているなぁと思いました。介護士がなぜ辞めていくのか、なぜ人手不足なのか、この本を読めば理解できると思います。
未来の介護施設が、今よりもっと質の高い介護が提供できるようになっていることを願っています。
介護に関係のある人、興味のある人はぜひ読んでみてほしい作品です。
素敵な作品に出会えて良かったです。
ありがとうございました。 -
Posted by ブクログ
教育現場のリアルな実態に衝撃を受けた。
新米教師の奮闘ぶりを描いたハートフルな物語だと思ったが、知らなかった、知ろうとしてこなかった教育現場の実態を、まざまざと思い知らされた。
4月に水柄小学校に着任したばかりの主人公「ひかり」の受け持つ6年2組には、大きな問題を抱えた生徒が大勢いる。どんな時も生徒一人一人に寄り添い、生徒の目線で動くひかり。
そんな彼女は同僚から時に疎まれ、上司からは厳しく叱責を受け、保護者からの理解も得られない。
それでも強い信念を持ち、心が折れそうになりながらも、自らを叱咤し、辿り着いた先にみえた光とは・・・
物語全体を包むミステリー要素も効果的で、どんどんのめり込んでしまった。
弱者であるこどもの問題も勿論だが、巻末の解説にもあったように、若干26歳、教師5年目のひかり自身も弱者だと言わざるを得ない。
彼女の直向きな働きぶりがあまりにも眩しい・・・
だからこそ、このままの姿勢で教職が長く続けられるのかと、色々思いを膨らませ、心配な気持ちになってしまった。
唯一の救いは、ひかりの味方でいてくれる養護教諭、水野先生の存在だ。たった一人、この存在がいるかいないかは、天地ほどの差があると思う。
教師の高い離職率、休職者の多さ、教師不足の実態。
プライベートと仕事の区別なく働いている私の知人もいるが、その現場の過酷さをどこまで知っていただろうか。
まずは知ること。そして自分の考えをもつこと。
必要なときは力を尽くそうと気付かせてもらえる素晴らしい作品だった。
ラストの希望のある温かな締め方に、藤岡陽子さんのお人柄を感じた。
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Posted by ブクログ
看護学校の学生の青春物語かと思ったが、もっと過酷な看護の世界や、真っ直ぐに生きていくには時に残酷で理不尽な社会が描かれており、読み終えてやりきれない気持ちになる。
唯一明るい気持ちになるのは、ヒロイン瑠美の看護学校の親友である千夏が登場した時である。
千夏の明るくて大らかで優しい人柄が物語に光を差し込んでくれる。
登場人物たちの決して交わらない一方通行の恋心も、繊細で切なく描かれている。
何よりも尊いのは、彼女たちのまっすぐな心が不当に曲げられることを許すことができないこと、間違っていないのに間違ったと修正できない生き方。
社会の中で大人たちは心がすり減って行くが、何色にも染められていない若物の心は瑞々しく眩しい。
この作品は藤岡陽子さんのデビュー作であるが、心の奥にスッと入ってきて、飽きることなく400ページ以上の長編を読ませる筆力はさすがだ。
ますます藤岡さんの作品をもっと読みたい気持ちになる。
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Posted by ブクログ
介護問題を真正面から描ききった作品。人生とは、生とは、死とは?主人公の星矢と共に読み手にも深く考えさせられる。お笑いコンビの相方である大尊、過去に縛られて生きる施設長の福見、ALSの父を介護し看取った葉山、それぞれ事情を抱えた入居者達、などが星矢の人生観を変えていく。
人生は上書きだ。
辛いことがあっても翌日良いことがあれば、「良い人生だ」と思える。
人の最期も、そうなんじゃないか?
失敗もある、
納得のいかないこともある、
不条理、妬み、回り道、
いろいろあっても、
いいじゃないか。
上書きなんだから。
最後に笑えれば。
星矢は様々な経験を通じて
自分らしく
自分の足で
自分の道をのっしのっしと歩くことを決意した。
決して軽い小説ではないけれど、
星矢の明るさと
真っ直ぐな気持ちがあるから、読んでて辛くならない。
自分の生き方に
良き視点を与えてくれる一冊。