藤岡陽子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
結婚を機に仕事を辞め、京都にある婚約者の実家に移り住んだ美咲。
しかし、京都のしきたりに慣れず、家業を継いだ婚約者との関係性もぎくしゃくする中、時間があった美咲はミシンでTシャツに自らデザインした刺繍を始める。
それが影響力のある人物の目に留まり、あれよあれよと売れっ子デザイナーになっていく、夢のある物語。
なのだが。
まず序盤。
婚約者を含め、京都の人たちの意地悪さに辟易。
美咲の一挙手一投足に嫌味を言い、読んでいて、気分が悪くなる。
そもそも婚約だけで、美咲は京都に行く必要があったのか?
きちんと籍を入れてから、仕事を辞めても良かったのでは?などと、小説にアドバイスをしたくなってしまうほど。
そして、中盤。
決別を決めた婚約者のストーカー化。
それを受け入れてしまう美咲。
美咲の芯のなさに、ここでもイラっとさせられる。
さらに後半。
信じていた瑠璃の裏切り。
結局瑠璃は何をしたかったんだろう?
仕事の腕は確かでも、無知の美咲を騙すような行動は個人的には受け付けない。
それでも、最後はハッピーエンドだったから、ま、いっか、って言うのが感想。
この作者の優しい感じの作品が好きだっただけに、今作はかなり裏切られた感じがする。
決して悪い話ではないんだけど、悪意のある人の比率が多いと、やっぱり読んでいて辛くなる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ感想
物語を読みながら赤ちゃんの可愛らしい姿を思い出してしまった。
後半からは不倫の末に無理矢理流産させられたことを訴えるという方向に話が逸れていった。純粋に助産師がどれだけ頑張っているかを知りたかったのでちょっと残念。
あらすじ
美歩は助産師6年目でローズ産婦人科病院で働いている。病院の規模に対して助産師が4人しかおらずいつもいっぱいいっぱいで働いている。院長はやる気も手技もなく、師長も院長の不倫相手でやる気がない。そんな中、飛び込み出産や様々な問題を抱えた人たちに向き合う。
無愛想な佐野という医師が秘めた赤ん坊を救いたいという真っ直ぐな想いを美歩は知る。後輩の戸田が調子が良くないと休むことが度々あった。ある日突然、戸田に呼び出されて自宅に向かうと流産していたようだった。どうやら院長の弟と付き合っており、その弟から無理矢理に流産させられたという。美歩は戸田を支え、彼女と一緒に院長と戦うことに。 -
Posted by ブクログ
シングルマザーの新聞記者、久平可南子。
子供は男の子が1人…この息子の父親をこれまで明かさずにきた。
息子の為どんなに辛くても仕事はやめない!
周りに自分の本音は明かさず生きてきた可南子の前に、戦力外通告を受けたプロ野球選手、深澤翔介が現れる。
彼との交流が少しずつ可南子の心を溶かし新しい道に導かれ始める。
前に読んだ2作もそうだったけど、ところどころに心を突く言葉が散りばめられている。
深澤の言葉がチクチクくる!笑
頂点もどん底も知る人間の強みなのか深澤の人生の厚みがそのまま深澤という人間の厚みとなる。
その厚みこそが彼の強さだなぁと思わされる。
強い気持ちがあれば…覚悟があれば周りの人間にどう思われようと自分の人生を自分の足で生きていける!
現実はそーうまくはいかない局面がたくさんあるけれど…なんか深澤からそんなメッセージを受け取った気がしてる。
-
Posted by ブクログ
/_/ 感想 _/_/_/_/_/_/
単純にバスケットボールのお話なのかと思いきや、いろんなところに話が飛んでいく感じでした。
不法滞在の家族の話や、奥さんが出ていってしまった家庭の話や、お母さんが亡くなってしまった家族の話と、バスケチームのメンバーの家庭が、いろいろな闇を抱えていて、そんな重いものに潰されそうな中で、バスケに望んでいくという話です。
さらには、メンバーとの別れが待っていたりして、なんとなく、すっきりしない、ストーリー展開でした。
そんなお話なのに、試合のシーンが結構なページ数です。なんか、バスケの試合だけにするか、バスケをもっと薄くするかしてくれていたら、よかったのにな〜と、思ってしまいました。
バスケ小説で熱くなりたかったんですが、微妙でした…残念。
藤岡さん3作目でしたが、次はリラに…か、空に…を読むので、そちらに期待します。
/_/ あらすじ _/_/_/_/_/_/
中学バスケットボールの小説。
バスケットボールだけでなく、その家族や、生き方、、、とても広い話に膨らんで行きます。
/_/ 主な登場人物 _/_/_/_/_/_/
■バレー部
春野暁 あかつき、女の子、中2〜3、転校生
吉田欣子 きんこ
本田薫 クロベエ
ブミリア・リモ 長身
野本亜利子
倉田七美
■家族
春野達夫 暁父
白木
ブミリア・サラ リモ母
吉田翠 欣子母
■先生
中林
奥村佳子 先生、女バスの副顧問 -
Posted by ブクログ
ネタバレ<本のあらすじ>
大学受験失敗と家庭の事情で不本意ながら看護学校へ進学した木崎瑠美。毎日を憂鬱に過ごす彼女だが、不器用だけど心優しい千夏との出会いや厳しい看護実習、そして医学生の拓海への淡い恋心など、積み重なっていく経験が頑なな心を少しずつ変えていく……。揺れ動く青春の機微を通じて、人間にとっての本当の強さと優しさの形を真っ向から描いた感動のデビュー作。
<感想>
進路で看護師を目指す人はどんな人でしょうか。純粋に看護師という仕事に憧れる人、身内に医療関係者がいる人、一人で生きていく、お金に困らない資格を得たい人などさまざまでしょう。コロナ禍で改めて「エッセンシャルワーカー」の職種としても考える日々を過ごしました。感謝や敬意を表し、メディアもこれを広く取り上げられました。しかし、エッセンシャルワーカーの重要性が広く認識されると同時に、日本では人手不足が顕著な職種である実態が問題視されています。
読んだきっかけは自分が看護師さんに患者として大変お世話になっている身だからかもしれません。
主人公は大学受験失敗と家庭の事情で不本意ながら看護学校へ進学する。
専門知識の習得はもちろん、実習や人間関係など、いのちと向き合う肉体的精神的にも大変な仕事だ。
看護資格を取得した作家のデビュー作として、とても実体験に基づき、思いが込められた作品だと思った。
瑠美と千夏。二人とも不器用で、「常識よりも大切な物」を抱く。「正しさのセンス」を持っている。
病院という生と死が凝縮された場で、患者として思うのは、看護師が重くてつらいものだろうし、献身的な努力も求められたり、そして患者や家族にとって、医師にとってもありがたい存在だ。
とはいえ、この物語を通して言えるのは、看護師としての在り方だけではなく、何のために生きているのか。何を根拠に人生を進むのか。私達が生きている限り、その意味を問いつづける事が人生なのだ。
答辞の言葉より
「白衣は白い色をしているが、その白は潔白の白さではないと。どんな色にでもなり得る白なのだと。
(中略)この先、何色の白衣をまとっているかは、それぞれの生き方にかかっているのです」
が物語っている。
グレーになったり黒になったり、何色にも染まる白だからこそ『いつまでも白い羽根』を持つ気概を持っていけたら、そんな生き方ができたら。テーマは重たいけれど励まされた作品だった。
+++++++++++++++++++++++++
本文で気になった文章
p224
「お父さんな、鬱病だった時期があってな・・・・・・。おまえも気づいていたかもしれないが・・・毎日毎日、生きるのが本当に大変だった時があったんだ。一日をやり過ごすのが驚くほど大変で、一日がこんなに辛いんだったら、あとの人生の何十年、どんだけきついんだと思うとまた滅入ってしまってな。本当に苦しかった。そんな風に思ってしまう自分が情けなくて、何よりおまえや母さんに迷惑をかけていることが情けなくて・・・。死んでしまおうと何度も思った」
「でも死ななかった。死のうと思うたびに、おまえのことが頭に浮かんだんだ。おまえが生まれた日のことを思い出すんだ。おまえが生まれた時、人はなぜ歳をとるのかという答えを、お父さんは見つけた。歳をとるのは、一日一日強くなっていくためなんだと。お父さんは、赤ん坊の顔を見ながら確信したんだ。自分は父となり、子どものおまえを守っていける強さを身につけようとその日強く思ったんだ。」
「死にたいと思う今日の自分がいたとしても、明日また生きようと思えばいいじゃないかと考えられるようになった時、お父さんの鬱病は少しずつ良くなっていったんだ。これからはおまえや母さんや、自分を必要としてくれる人を信じて生きようと思う。瑠美のいうとおり、軌道修正はいつでも可能なんだ」
p.251
「ねえ瑠美、人の好き嫌いってなんだと思う?特別に自分に何かされたわけじゃないのに、どこかいけすかない人がいたり、逆に親切にされたわけじゃないのに好きだなと思う人がいたり。そういうのなんでだと思う?」
(中略)
「略 それはね、生きる姿勢なんだと思うんだ。その人の生きる姿勢が好きか嫌いか。それがその人を好きになるか嫌いになるかなんだよ」
p.254
死を目前にしながら、人に対して善意的に接することができるということが、自分には奇跡的に思える
「人は、最期までその人らしく生きるんだね」
p.296
「仕事をしている人はその中で小さな喜びがあって、その繰り返しが生きていく上での楽しさでもあり幸せでもあるでしょ。それは育児や家事においても同じなのよ。嬉しいことがあったら聞いて欲しいし、そんな自分の喜びを知って欲しいの。自分に関心を払ってもらいたいとは言わないけれど、せめて子供たちには本気で目を向けて欲しいと思っていた。」
p.340
「感じた疑問を口にして、きちんと答えを求めるような人よ。おかしいことをおかしいと言える人。常識というのはその場にいる人間で作られるの。だから常識が正しいことだとは、限らない。その場の常識だとか雰囲気に流されないでいられる人は、とても貴重だと思う。」
p.342
「略) 看護師として働いても働かなくも、それはどちらでもいいの。でもね、一度入学したなら、卒業してみるものよ。良いも悪いも、全部やり遂げた人にしか語る権利はないんだから。今途中で投げ出してしまったら、一生、あの先生達や病棟の看護師さんと対等に話せなくなるわよ」
p.362
子をもつ大人にとって、子の存在は人生そのものにもなり得ることを、瑠美は実習を通して知った。病に伏す高齢者の患者が思うことは家族と過ごしたこれまでの日々、自分がいなくなってからの家族の幸せ。人はこれほどまでに家族を想っているのか、親は子を愛しているのか、支えられているのかと、瑠美は何度も思い知らされた。そしてまた逆に、独りきりで病と闘う辛さ、亡くなっていく哀しさ・・・。人はとてつもなく強く、そして弱いものだということを、自分は患者たちに教えてもらった。
免許を手にして働き出すと、学生の間に感じたことを、日々忙殺される中で少しずつ剥がされていくのだろうか。剥がされて削られていくうちに、つるつるの何も感じない心の部分ができてくる。
p.370
どんなに高度な医療をもってしても治らない病気は世に溢れていて、そうした病を前には、医師も最新の医療機器も薬剤もただ無力な存在になるしかないのだった。
でも、何もできないわけではないんだと、瑠美はおっもう。治らない病を抱えた人に対しては、看護師が最も力を発するのだと教えてくれたのはどの教員だったか。
p.418 主人公の答辞より
「私たちはこの三年間、学生という立場で医療の現場に立ち会い、その清さも濁りも、この目で見てきました。医療の現場は壮絶です。人の生き死にの場ですから、もちろんきれいごとではすみません。その中で、自分がどういう仕事をするかということは、看護師としてというよりも人として、という問いかけになってくると思います。同じように看護師を目指していた友人に言われたことがあります。白衣は白い色をしているが、その白は潔白の白さではないと。どんな色にでもなり得る白なのだと。
(中略)
この先、何色の白衣をまとっているかは、それぞれの生き方にかかっているのです」 -
Posted by ブクログ
ネタバレあらすじ
恋人の松川夏美と与那国島へ旅行に来た須藤周二は、民宿の手伝いをしている久遠花と出会った。花は本人にも分からない何かを探しているのだという。周二は彼女を十歳の時に亡くなった同い年の従妹・美羽と重ねていた。京都に戻って二ヵ月、花のことが気になって仕方ない周二に、彼女が姿を消したという連絡が――
感想
本文で印象的だった言葉
「人は前世でやり残したことを遂げるために、また現世に還ってくる。」
「誰しも自分の流れに沿う力はあるんや。自分の周りにどんな人がいるか。出逢った人の魂をしっかり視てたら、流れを見失わずにすむ」
悲しい過去と向き合うことができた周二。二度も不幸な家庭環境、悲しい親の元に生まれてしまったけれど、今世は花は幸せの流れになってほしいと思いました。
「来世で君を探すようなことはしたくない。この世界で君に遭いたい。」
さて、夏美と周二はどうなるのか、それはわかりません。
周二とってはようやく流れ始めたのかもしれないけれど、夏美との流れはもう戻らない、別れの選択肢のままかかもしれないし、いつかまた出逢った人同士。魂の流れが沿うタイミングがあるのかもしれない。少なくとも過去から解放された周二はこれから自分の流れを見つめ、沿う力をだしていくのかも。
救いを願う終わり方でした。