藤岡陽子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
重苦しかった。
これはないわ、と思った。
貧困層の学校に一人の誠実な先生が一生懸命生徒たちに関わっていく。
学校に教師として勤めたことのある人なら、この学校はリアルではないと思うのではないでしょうか。
生徒たちの大変さより教員集団の崩壊をこの小説から感じました。
実際は生徒はもっと大変だし、教師はもっと助け合うものだと思います。
学校を大変にしているのは一人一人の教員の狭量です。この物語の学校では。
大変な子もいるけど、いい子も多い。こんな子どもたちなら教師が協力すれば学校は変わるはずです。
こんな学校もあるのでしょうが。
心温まる勇気の出る感動を与えてくれるいつもの藤岡さんの作品らしからぬシニカルさで、読んでいて辛かったです。
困難校に勤める教師一人一人の気持ちをもっと描いてほしかった。教師だって心折れて理想が追求できないことがある。少なくとも初任の時は理想を持っていたでしょう。相庭先生だけは事情がわかりましたが、これもなんだかなあ、という感じです。
できれば、主人公だけでなく同僚の彼らとともに変わっていってほしかった。
読み終わった後ストレスが溜まりました。
作者は一人の女性教師の頑張りを際立たせるためにだめ教師をたくさん作った?
藤岡陽子さんらしからぬ作品でがっかりでした。 -
Posted by ブクログ
藤野陽子さんの作品は何作か読んだが、
本作は現実的で地に足がついたイメージの他作品とは全く異なった趣の作品だった。
『この世界で君に逢いたい』
おや、もしやラブストーリー?なんて思いながら読み進めたが、素敵で不思議なスピリチュアル物語だった。
前世の記憶や、転生、沖縄地方のユタ、といった目には見えないものが醸し出す独特の透明感と幻想的な雰囲気が広がる。
物語の舞台は日本の最西端にある与那国島
更に、京都と東京を跨いだ3拠点で繰り広げられるのだが、やはり注目したいのは与那国島。
与那国の方言や地域性に加え、あの世との繋がり方や捉え方など独特の風習に引き込まれた。
ただ、出来れば京都や東京との対比の意味でも、与那国島ならではの圧倒的な風景美を五感で感じられる位の描写が、随所に欲しかった。
物語の柱は、
与那国島で出会った花が何を探しているのか?
花のことがどうしても気になる周二とは、
どんな縁があるのか?
の2点だが、私は周二の彼女である夏美の存在が気になって仕方なかった。ラストは感動よりもヤキモキさせられた。笑
終盤で一気に物語が動き出す構成なので、展開は穏やかで読みやすい。
表紙の装画が全て物語っているので、ネタバレは避けるとして突如涙腺を刺激してくる終盤は要注意です。
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Posted by ブクログ
長年連れ添った両親の離婚。きっかけは父親の失踪だった。
別の女性と暮らすことにしたという書き置きを残し、姿を消した父親。知らぬ間に自宅を売り払っていたことから、父親の計画的な出奔だったことを知ったひとり娘の香織は、戸惑う母親を説得し、小さな弁護士事務所を訪れるが……。
ある一家を襲った悲劇を中心に、強い絆があるようでいて、実は簡単に崩壊してしまうという、家族や夫婦の関係の脆さを描いたヒューマンドラマ。
◇
娘たちに夕飯を食べさせ終わった香織が後片付けに入ろうとしていたとき、電話が鳴った。小学3年になったばかりの綾乃がすぐに出てくれたが、顔が急にこわばるのを見て香織はすぐに電話を代わった。
電話は警察からで、石巻章という人を知っているかと言う。聞けば石巻章の手帳には連絡先として香織の電話番号が書かれていたそうだ。
すでに香織の母親である園原聡子には連絡をとったと断ったうえで、中川と名乗った刑事は「石巻さんが亡くなっているのが発見された。ついてはお母様と一緒に遺体の確認をお願いします」と言った。
詳細は直接お話しますということなので、香織はとりあえず池上警察署に向かうことにした。( 第1章「2012年6月」) ※全25章。
* * * * *
物語は、石巻章が孤独死したという警察からの連絡を香織が受けたところから始まります。
章は香織の父親ですが4年前に妻の聡子を捨て、他の女性と一緒になるために失踪しました。その際、章は預貯金をすべて持ち去っただけでなく、無断で自宅の売却までしていました。女性に貢ぐためです。
そうまでして老いらくの恋にのめり込んだ末の孤独死に、聡子も娘の香織もことばがありません。
たちの悪い女に引っかかった。ひと言でいえばそうです。けれど、そんな女に引っかかるだけの隙が章にあったのも確かなのです。
妻と2人の平穏な生活が物足りない。老いを自覚する年齢になり、もうひと花と焦る気持ちもあったのでしょう。濃密な関係を築けそうな ( 素振りを見せる ) 沼田和恵の手練手管に籠絡されていきます。
こうして章は夫婦関係を崩壊させ、娘との親子関係まで壊してしまったのでした。
では、沼田和恵は根っからの悪女かというと、そうでもないようです。
思えば和恵は、性格的なものなのか幼い頃からかわいげがないと言われ、親にも愛されずに育ちました。
和恵は孤独に耐えて看護師の職に就き、出会った男性と結婚。子どもにも恵まれます。けれど和恵がやっと手に入れた家庭は、徐々に崩壊していきます。
風俗通いにのめり込み、稼ぎを家に入れなくなった夫。和恵を小馬鹿にするだけで金をせびることしか考えない2人の息子。
和恵が築いた家庭には、今や和恵を大切にしてくれる人間が誰もいない殺伐たる空間と化したのでした。
ならば自分も誰かを踏みつけにしてもいいだろうという思考に走ったのも、許されることではありませんが、少しは理解できます。
母親の聡子を支え、生活や訴訟の手助けをする香織。彼女も懸命に家庭の維持に努めていました。
パートをしながら幼い娘2人の世話をし、家事に追われる日々。夫は大して協力してくれないばかりか、聡子の支援で家を空けがちな香織に批判的ですらあります。
親子4人の平穏に見える生活。もし香織の忍耐の糸が切れることがあったら …… 。そんなことを考えさせられました。 ( 後半に2人の関係が持ち直すシーンがあり、ホッとしました。)
もう1人、聡子を支えてくれた人物がいます。聡子の姪の優子という女性で、聡子の兄の娘です。
母親を病気で亡くしたのは優子が14歳のときでした。以来、聡子が頻繁に訪ねてきては何くれとなく優子の世話をしてくれるようになりました。
思春期の優子にとって、父親では気の回らないところまで適切に手当てをしてくれる聡子の存在がどれほど大きかったかは言うまでもないことです。
それから現在までの26年間、優子は聡子への感謝を忘れた日はありません。
そんな優子は頭の回転が速く行動力のある女性に成長しましたが、気が走りすぎるところがあるせいか、40歳の今まで恋人ができても長続きせず未だ独身です。
母親の病死。聡子の悲劇。夫婦関係の脆さというものを目の当たりにした優子が、結婚することの意義を父親と話し合うシーンが印象的でした。
そして、シリーズのヒロインと言える人物が、芳川法律事務所に勤める沢井涼子という40代半ばの事務員です。
その涼子も夫の不倫が原因で離婚し、ひとり息子の良平を育てています。涼子の物語は本編の中心ではありませんが、夫婦や家族という関係の脆弱さを感じさせる要素になっていました。
テーマがテーマなので、いかに聡子が前向きに生きていけるようになるというラストを読んでも、少し胃が重くなるような内容でした。
ただし、終盤に涼子と芳川の間にロマンスが芽生えそうな描写が添えられており、続編に希望が持てるようになっていたのはよかったと思います。
個人的には、この園原聡子の案件を芳川と涼子からの視点で紐解いていくリーガルサスペンスを読んでみたかった気がしました。 -
Posted by ブクログ
【購入動機】
表紙がかわいかったため。あと京都にちょっとだけ住んでいたこともあり、京都を舞台にした作品を読んでみたくなったため。
【ざっくり概要】
結婚を前提として夫の実家がある京都に移り住むことになるも、向こうの家族と折り合いが合わず、さらに彼氏との関係も疎遠になり結婚の話がなくなってしまう。仕事を辞めて京都に来た主人公は途方にくれてしまうわけだけど、美大卒の経歴を生かしてハンドメイド作品の作製、販売をはじめる。京都で生活しながら、主人公は「自分の本当にやりたかったこと」を見つめなおす。
【よかった点】
なんやかんや障害をのりこえて主人公が前に進む姿は読んでいて気持ちいい。
【イマイチな点】
京都を題材としつつも、「鴨川ホルモー」的な京都の作品を期待していた自分としてちょっとイマイチだった。
あと主人公はわりと流されがちで、「周囲の強制力」によっていやいや前にすすんでいる感じがした。主人公が主体的に選択して行動する場名がそれほど多くないので、巻末の解説にある「この作者さんのかく主人公はいつも前向きで素敵!」という文言にはちょっとクエスチョンがついた。
【どんな人にオススメできるか】
とっても読みやすいので学生さんから大人までイケる。
ちょっと疲れていて、元気が欲しいなという人にオススメしたい。