あらすじ
明治三十八年、福井県麻生津村。増永五左衛門は、この地に農業以外の産業を根づかせるべく苦闘していた。そんな時、大阪へ出稼ぎに出ていた弟の幸八が、当時はほとんど普及していなかっためがねに着目、村でのめがね製造を提案する。村人たちの猛反対の中、輝く地平を求めて、二人は困難な道を歩み始めるのだった――。「金の角持つ子どもたち」等で注目を集める作家・藤岡陽子の新たなる代表作の誕生!
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初めてのことに挑戦するのはなかなか踏み切れないものだが、この人たちはとても勇気のある人たちだ。こんな人たちがいたから今の日本があるんだと実感させられた。
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題材がとても良いわけ〜最高やった。歴史の大人物とかじゃないし自分でも高校生から眼鏡なので気持ちが分かるって事。おしょりんの方言も目に留まるし、親方3人制度が生きてラストで五座右衛門と共に喜び合う。むめも日本の女性の鏡だと思う、芯があって旦那さんを立ててくれる、現代ではない世界だろうなあーあっ女性蔑視では決してないです、自分だって女性に生まれたら現代の方が生きていける。幸八の道を作るのと五座右衛門の堅実な経営が絶妙だから
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何のことだろうと題名を見たときにはわかりませんでした。 おしょりんとは、福井地方の方言で積雪の表面が凍った状態 明治時代、福井で眼鏡を作ることを決断した増永五佐衛門、彼がいかに苦難の末に築き上げた眼鏡産業、この作品を読んで福井でなぜ眼鏡だったのかと理解しました。五佐衛門の妻むめが結婚相手の弟、幸八と間違えた時の場面は特に印象に残っています 心に残る印象深いセリフがたくさんあります。福井の眼鏡が人々に賞賛されるところまでを想像しながら読み終わりました。 すごくドラマ化してほしい作品だと思いました。
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明治時代の福井、眼鏡作りで産業化をめざす。努力と商才で着実に事業を発展させていく前向きな物語。藤岡さんの作品は、何かを失ったり辛い時間をカットしたり、通常は引き算の美が多いのですが、本作は足し算。
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面白かった。めがね作りの話はもちろん面白く感動的なんですが、兄弟の話、夫婦の話、師弟関係や教育についても触れられていて、本当に素晴らしかったです。
「おしょりん」最後にタイトルの意味が分かりました。そこもまた感動でした!
今の自分と通ずるところもあり、また頑張ろう、踏ん張ろうと思えました。やっぱり藤岡陽子さんの作品は大好きです。
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藤岡作品としては今回作風の色合いが他と違っている感がしましたし、描かれた時代が明治なので文化や価値観に戸惑いながら読み始めました。
が、やはり稀代のストーリーテーラー。
いつの間にか物語に引き摺り込まれてしまいました。
どの作品も共通して言えますが、藤岡作品はこの引き込まれる感覚がとても心地良いのです。
随所に伏線が散りばめられていてどれを深掘りしても一つ一つのエピソードが面白くワクワクさせてくれますが、物語が果てしなく長くなってしまうのでページ数の関係で収束させた感も否めません。
そういう意味でも2時間程度の映画ではなくて朝ドラの原作になり得た作品だったとおもいます。
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映画を見逃したので、原作を読んだ。
すごく面白かった。藤岡さんの本は、リラの花咲く獣道で初めて読み、すごく読みやすかったので、こちらも読みました。地に根差したモノとして、リラと共通します。
メガネなんて見たことない、視力という概念すら知らなかった時代の話。麻生津は現在でも超がつく田舎。そこで、こんな変なもの顔につけるか!と誰もが眉を顰める中、メガネ産業を興そうと奔走する兄弟の話。甘酸っぱい恋バナも含む!
実は、ワタクシ、福井在住。関東出身の私にとって福井は位置すら曖昧でしたが、「都会から来た」私(福井の人は訛りがないだけで都会の人扱いしてくれます)に福井の人は優しく、当時は何言ってるか7割ほどしかわからない訛りで、東尋坊、永平寺、恐竜、そしてメガネと福井の誇るものを教えてくれました。
数年前におしょりんの存在を知りつつ、時代モノかな?読みにくそうかな?と思い、寝かしていたが読んで良かった。
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東京の外苑、キラー通り沿いにある、お洒落な眼鏡屋さん。まだまだ眼鏡が地方では珍しい時代に、眼鏡で福井県の小さな村の産業を活気づけようと、懸命に時代に立ち向かい、人々のためをひたすら願い、真摯に人生を駆け抜けた兄弟の話に胸が熱くなりました。
まさか、この兄弟が、あのお洒落な眼鏡屋さんに繋がるとは…。新鮮な驚きと発見をさせてもらいました。
そして、ほんのひと昔前には、視力という概念がなかったため、視力が悪い人達は、頭が悪いということにされてしまっていた事実にあらためて衝撃を受けました。
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大阪の隆祥館書店という本屋で前から読みたかったこの本があったので購入。オーナーさんが対応してくれて、「これ面白いですよ」って声かけてくれた。そんな交流も楽しい。
題材はめがね創世記の福井の話。近代化に向かって走り出した人々がよかった。