あらすじ
長年連れ添った夫が突然失踪し、思い出の詰まった家も失った。理不尽な状況に、園原聡子は戸惑い絶望の淵に立つが、娘や姪、誠実な弁護士たちの支えで、新たな生活に向かって歩み出す。そして、夫を奪った不倫相手・沼田和恵と、法廷で対峙する日がやって来た。底知れぬ悪意に翻弄されながら、それでも強く生きる人びとの姿を通して、家族、夫婦の在り方を問う感動の長編!
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Posted by ブクログ
面白くて一気読み
私は聡子や香織のように最後は許せるだろうか…
遺体引き取らないかも
レミはどうなったのか?それなりの制裁がくだされてますように
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裁判、離婚、嘘と、暗くて辛いものがテーマにあるのに読んでいて温かい気持ちになる不思議なお話でした。
藤岡さんの描く優しい心を持った登場人物のおかげでこのあたたかさが生まれてるんだな、と思います、
人の不幸はみんな同じ数、だけど幸せの数は掴もうとするほど増える、この言葉がすごく沁みました。
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読み始めたところ、場面設定がとても暗くどん底のような気分になるが、中盤に差し掛かる頃からさらに先が気になり一気に読んでしまった。どうしてこんなに、人物像がありありと浮かぶリアルな文章が書けるんだろう。幸福の量はその人次第、という言葉が出てくるが、それも聡子さんの生き様からしっかり感じられるし、希望のある作品だった。
藤岡陽子さんという人の本、色々読んでみようと思う。
Posted by ブクログ
ある夫婦に起きた突然の出来事を中心に様々な夫婦の形態を描き出し、私達に考えさせてくれる作品です。
なんの予備知識もなく読み始めたのですが、ちょうど私自身が離婚を考えていることもあり非常に興味深く読ませていただきました。
俺はこんなに酷くない、とか、ここまでしても夫婦の絆は残るのか?とか、いろいろ思いを巡らせました。
一方で救いようのない人種が世の中にはいて、そういうのに引っかかってしまう不幸もあるなー、とも思いました。子どもたちがこのような人たちに出会わないように祈るばかりです。
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再読。
以前よりは、かなり客観的に眺めていたとは思いますが、やはり辛い読書でした。
和恵の悪意に絡め取られ、翻弄された家族。
長い夫婦の時間があればこそ、夫の不義理に対して、恨みがあってもどこか許してしまう気持ちもあったのかもと、聡子の心根を想像する自分がいました。
家族に支えられ、自分の足で立ち上がった聡子の強さが、最後は章を受け入れたのだろうと思います。
幸せは自分しだいで増やせるものだと気づいた聡子のこれからを応援したいです。
2021/11/11
再読。
家庭を省みることなく仕事第一に生きてきた団塊世代の廉太郎。自分よりも人という我慢が習い症になっていた杏子。
この時代の夫婦では平凡で当たり前で、感情を素直に出せない様子が切なかった。
杏子の病状が進み、廉太郎が鎧を脱ぐが如く杏子に感情を見せるようになる姿に何度も涙し、妻として残していく夫が心配で、家事や近所付き合いなどを教えていく様に、同じ女として尊敬の念を覚えました。
家族のお別れの時に、互いの尊厳を尊重し、その時を迎えることが出来る、そんな時間をもてたらいいなと私も望みます。
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最初は重くて気が滅入る…と思っていたが徐々に好転。心に残るセリフもあった。
自分の人生のダイジェストを辿った時に、必ずその場にいる人間が家族。確かにそうだと思ったしそうでありたい。そう思うと少し優しい気持ちになれる気がする。
以下は沁みた部分の引用。
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「家族になった人間とは、いろんな局面を共有できる凄さがあるぞ。人生においてこれ以上嬉しいことないっていう局面 とか、これ以上ないっていう悲しい局面とか。自分の人生のダイジェストを辿った時に、必ずその場にいる人間ってのは貴重だぞ」
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もしかすると、苦しみの量というのは、誰にも一定なのではないだろうかと。幼い頃に母親を失った優子の苦しみ、若くして妻を失った信一の苦し み、高齢の両親が離婚した香織の苦しみ・・・・・・。苦しみのない人生などなくて、貧困や病気や介護や孤独や不妊や育児・・・・・・人には言わないけれど、人の前では笑っているけれど、その人にしかわからない苦しみが存在する。自分はその苦しみがこれまで少なかったのかもしれない。だから今少し、その苦しみがやってきたような気がする。
でも、幸せの量は一定ではないのだと確信している。幸せは自分しだいで増やせるものだと聡子は気づいた。
「不幸せの量はみんな同じ。幸せの量はその人それぞれ」
Posted by ブクログ
ずっと信じていた人からの裏切りと、その原因になった女性の考え方が人として全く共感できなくてモヤモヤしてばかりだった。でも、どんな悲しみや絶望の中にいても、そばで支えててくれる大切な人がいれば必ず前を向くことができると教えられた。納得することはできなくても現実を受け止めて誠実に生きていくことは、辛くて難しいことだけど、人を強く魅力的に成長させることができるんだと思った。
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夫の裏切りと一家の崩壊から蘇生する物語。
ある日、警察から父親らしき男性が亡くなっているので身元確認をして欲しいと一人娘に連絡がきます。
その男性は数年前に突然、長年住み慣れた土地家屋を家族に黙って売却して出奔した父親だった。と、なかなかショッキングな出だしとして物語は始まります。
その父親を誑かす看護師がなかなかのクズキャラで、しかもその取り巻きもかなりのクズ。作品はそれらクズの独壇場で、これでもか!と、読み手の感情を逆撫でしてくれます。
シルバー世代の誰しもが陥りそうな男性の愚かさがリアルに描かれていて、著者のキャリアが絶妙なバランスで程よく作品に反映されていると感じますし、著者の懐の大きさを改めて認識させられました。
Posted by ブクログ
少し前に読んだこの作家さんの作品がとても良かったので、別作品も読んでみようと思い購入。真面目に一生懸命に生きてきた人の周りにはそういう人が集い、そうでない人の周りにはそうでない人が集まってしまう構図は、イソップ物語みたいでなんだか面白かった。ドロ沼化する裁判と、両者の暮らしぶりの描写が面白く、続きが気になってどんどん読めてしまう。面白かった。
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何なの、この旦那!!! 他人の人生に口出しはできないけど気分悪いわ。その気持ちにちゃんと向き合うことができたから、その後の人生がそう悪いものにならなかったんだろうな。
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長年連れ添った夫が突然失踪し、思い出の詰まった家も失った。理不尽な状況に、園原聡子は戸惑い絶望の淵に立つが、娘や姪、誠実な弁護士たちの支えで、新たな生活に向かって歩み出す。そして、夫を奪った不倫相手・沼田和恵と、法廷で対峙する日がやって来た。底知れぬ悪意に翻弄されながら、それでも強く生きる人びとの姿を通して、家族、夫婦の在り方を問う感動の長編!
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題名からサッカーものかな?と思いましたが、夫不倫からの失踪、家を失い路頭に迷う妻、家族の絆、誠実な弁護士との出会い、不倫相手との法廷対決というサッカーとは遠く離れた物語でした。ホイッスル自体はサッカーと少し関係は有りましたが。
若い女に絡めとられ家族をいとも簡単に捨てた夫。積み重ねた人生を「何もない」と言ってしまう所がしょうもないですが、結局は老境に若い女との恋愛を体験する事で、あっぱっぱーになってしまったという事なのでしょう。
不倫相手もどんどん転落していきますが、その転落っぷりが非常に勧善懲悪な感じで、作者もそういう気持ちになっているんだろうなあと感じる位に、ごろんごろん転落していきます。
捨てられた妻とその娘と姪、そして弁護士。この4人の聖性が強くアピールされるので、非常に分かりやすい話と言えるかもしれません。
とてもすっきりする話ではあるのですが、出てくる男が一部を除いてクズなのがなんともはや。
Posted by ブクログ
今まで読んだ著者の本とはかなり趣が異なる登場人物が多数登場。それでも根底のテーマはやはり同じなのかな。最後に醜態を晒し惨めに退場する総理大臣がまさに今いるが、この本でもどうしようも無い最低の爺さんが主人公のひとり。歳を取ってからの過ちはそれまでの人生を全て否定してしまう。変な女に引っかからないように気をつけよう。
Posted by ブクログ
ストーリーとしては、大変面白く一気に読んでしまいました。
ただ、辛すぎて、気持ちが落ち込みます。
看護師の母親は、そんなに悪者でしょうか?
夫の愛情も金銭的な支援も無く、子育てしながら必死で働いて来たのに、最後の最後に全てを失ってしまうなんて。
息子のうち1人でも母親の辛さをわかって、助けてくれてたら違ったと思いますが、所詮子どもは、あてにならず。
結婚相手は、お互い 尊敬し、思いやれる人とでないと…ということですね。
Posted by ブクログ
底知れぬ悪意に翻弄されながら、自分を失うことなく強く生きる人びとの姿を通して家族の在り方を問う家族小説。
愛情とは人間の根幹から形成されるだけに、間違った経緯で誕生するとたちが悪い。長年連れ添った妻よりも、不幸な生い立ちの女性を守りたいという気持ちが、単純に誤っていると断言できないのが、この作品の怖いところ。関わる弁護士の言葉でタイトルを付けた巧さが光る。
Posted by ブクログ
突然の夫の家出と離婚と家を失うということから始まる。前半は暗く重苦しいことの連続で、読むのが少し辛かった。そこから周りの助けを得て、自分でも大きく変わっていく聡子。だんだん希望が持てる展開になっていくのが救いで、ホッとした。
Posted by ブクログ
長年連れ添った両親の離婚。きっかけは父親の失踪だった。別の女性と暮らすことにしたという書き置きを残し、知らぬ間に自宅を売り払っていたことから、父親の計画的な出奔だったことが判明する。
戸惑う母親を説得し、ひとり娘の香織は小さな弁護士事務所を訪れるが……。
ある一家を襲った悲劇を中心に、強い絆があるようでいて、実は簡単に崩壊してしまうという、家族や夫婦の関係の脆さを描いたヒューマンドラマ。
◇
娘たちに夕飯を食べさせ終わった香織が後片付けに入ろうとしていたとき、電話が鳴った。小学3年になったばかりの綾乃がすぐに出てくれたが、顔が急にこわばるのを見て香織はすぐに電話を代わった。
電話は警察からで、石巻章という人を知っているかと言う。聞けば石巻章の手帳には連絡先として香織の電話番号が書かれていたそうだ。
すでに香織の母親である園原聡子には連絡をとったと断ったうえで、中川と名乗った刑事は「石巻さんが亡くなっているのが発見された。ついてはお母様と一緒に遺体の確認をお願いします」と言った。
詳細は直接お話しますということなので、香織はとりあえず池上警察署に向かうことにした。( 第1章「2012年6月」) ※全25章。
* * * * *
物語は、石巻章が孤独死したという警察からの連絡を香織が受けたところから始まります。章は香織の父親ですが4年前に妻の聡子を捨て、他の女性と一緒になるために失踪しました。その際、章は預貯金をすべて持ち去り、自宅を勝手に処分していました。女性に貢ぐためです。
そうまでして老いらくの恋にのめり込んだ末の孤独死に、聡子も娘の香織もことばがありません。
たちの悪い女に引っかかった。ひと言でいえばそうです。けれど、そんな女に引っかかるだけの隙が章にあったのも確かなのです。
妻と2人の平穏な生活が物足りない。老いを自覚する年齢になり、もうひと花と焦る気持ちもあったのでしょう。濃密な関係を築けそうな ( 素振りを見せる ) 沼田和恵の手練手管に籠絡されていきます。
こうして章は夫婦関係を崩壊させ、娘との親子関係まで壊してしまったのでした。
では、沼田和恵は根っからの悪女かというと、そうでもないようです。
思えば和恵は、性格的なものなのか幼い頃からかわいげがないと言われ、親にも愛されずに生きてきました。そんな和恵がやっと築いた家庭は、とっくの昔に破綻していたのです。
風俗通いがやめられない夫からはまったく相手にされず、2人の息子たちにはバカにされ金をせびられるだけ。自分を大切にしてくれる人間が誰もいない家庭。看護師としての稼ぎもすべてむしり取られる生活でした。
ならば自分も誰かを踏みつけにしてもいいだろうという思考に走ったのも、許されることではありませんが、少しは理解できます。
母親の聡子を支え、生活や訴訟の手助けをする香織。彼女も懸命に家庭の維持に努めていました。
パートをしながら幼い娘2人の世話をし、家事に追われる日々。夫は大して協力してくれないばかりか、聡子の支援で家を空けがちな香織に批判的ですらあります。
親子4人の平穏に見える生活。もし香織の忍耐の糸が切れることがあったら …… 。そんなことを考えさせられました。 ( 後半に2人の関係が持ち直すシーンがあり、ホッとしました。)
もう1人、聡子を支えてくれた人物がいます。聡子の姪の優子という女性で、聡子の兄の娘です。
母親を病気で亡くしたのは優子が14歳のときでした。以来、聡子は頻繁に訪ねてきては何くれとなく優子の世話をしてくれるようになりました。思春期の優子にとって、父親では気の回らないところまで適切に手当てをしてくれる聡子がどれほど大きな存在だったかは言うまでもないことです。それから現在までの26年間、優子は聡子への感謝を忘れた日はありません。
頭の回転が速く行動力のある優子ですが、気が走りすぎるところがあるせいか、40歳の今まで恋人ができても長続きせず未だ独身です。
母親の病死。聡子の悲劇。夫婦関係の脆さというものを目の当たりにした優子が、結婚することの意義を父親と話し合うシーンが印象的でした。
そして、シリーズのヒロインと言える人物が、芳川法律事務所の事務員の沢井涼子という40代半ばの女性です。
その涼子も夫の不倫が原因で離婚し、ひとり息子の良平を育てています。涼子の物語は本編の中心ではありませんが、夫婦や家族という関係の脆弱さを感じさせる要素になっていました。
テーマがテーマなので、いかに聡子が前向きに生きていけるようになるというラストを読んでも、少し胃が重くなるような内容でした。
ただし、終盤に涼子と芳川の間にロマンスが芽生えそうな描写が添えられており、続編に希望が持てるようになっていたのはよかったと思います。
個人的には、この園原聡子の案件を芳川と涼子からの視点で紐解いていくリーガルサスペンスを読んでみたかった気がしました。
Posted by ブクログ
現実にこんなことはあり得るのだろうか?と思える老いらくの恋・・
自分だったらやっぱり立ち直れないかな、それともホイッスルと共に自分の人生を生きると切り替えられるかな~
どんな時も支えてくれる人がいるのは大切なことですね。
Posted by ブクログ
70を超えた夫に不倫された挙句
家も全財産も奪われた妻。
一人娘と義姉の娘と力を合わせて
不倫相手の女に立ち向かう。
夫の章が、ゲス看護師の沼田和恵に
溺れるのが、ただただ情けない。
同じ家族でもこうも違うのかと。
妻の聡子が言う台詞
「不幸はみんな同じ量だけど
幸せは心がけで変わってくる」
がグッと来た。
弁護士の芳川と事務員の話は既刊小説
「テミスの休息」で登場してるみたい。
まだ未読なので、そちらも読んでみたい。
タイトルの「ホイッスル」はなんかピンと
来なかった。
「余生」の方が良かったりして。