藤岡陽子のレビュー一覧
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藤岡陽子さんの著書、泣くだろうな、と思いつつ手に取った。
結果、3回は泣いた。あんまり感動屋じゃない私だけど、嗚咽した。
涼介のまっすぐさがたまらない。
聡明な子って、きっと、求められてるものに先に気づいちゃうんだよな。それをベースに自分を作っちゃって、「求められてる自分」が本当の自分であるかのように信じて、成り切っちゃうんだろうな。
涼介に、奈緒に、耕平が、三上がいて、心から良かったと思う。どうかこの物語の人々に、ずっと星明かりが灯りますように。
追記:「満点のゴール」という前作があるらしいことを、読んでから気づく。惜しかった!けど今からでも読みたいと思う。 -
Posted by ブクログ
虐待されていた主人公聡里が本来の自分を取り戻し自立するまでを描いた成長物語。
とても温かく、しみじみと「あー良い本に出会えたなあ」と思えた一冊でした!
身近な大人からの酷い仕打ちに聡里の心は死にかけていたが、救出してくれた祖母に愛情たっぷりに見守られ、やがて獣医師を目指す。また大学でも信頼できる先輩や友達に出会い、少しずつ心の殻を破っていく。聡里の成長っぷりが読んでいて清々しかった。
獣医師になるには動物が好きなだけではやっていけない面などもきちんと描かれている。そのために聡里は苦悩するが、挫折しそうな聡里と先輩の会話で、ヤマメとサクラマスの話が印象に残った。
生まれた場所で弱くても、 -
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Posted by ブクログ
獣医師を目指して北海道の大学に入学した聡里の成長を描いた物語である。
聡里は母を亡くし、父の再婚相手に虐げられ、愛犬と部屋に閉じこもって12歳から3年間を過ごした。
15歳の誕生日に訪ねてきた母方の祖母チドリが、その有様を見て驚き怒り、聡里は愛犬と一緒にチドリと暮らすことになる。
その愛犬も病気で亡くし、高校の教師の勧めで獣医師になることを決意する。
北海道の北農大学獣医学類の寮に入るところから話が始まる。
獣医師とは、小動物から家畜の大動物まで、それもさまざまな形態を持った生命に携わる仕事である。
聡里は最初に参加した臨床実習で、馬のお産に立ち会い、生まれてくることができなかった仔馬の凄惨 -
Posted by ブクログ
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『満天のゴール』の続編とは知らずに読み始めましたが、どこか既視感を覚える描写があり、途中で前作とのつながりに気づきました。舞台は七年後。奈緒や涼介の印象は前作から大きく変わっておらず、「人はそう簡単に変わらないものだな」と感じさせられました。
作中で印象に残ったのは、「亡くなる瞬間まで、人は幸せを感じることができる」という言葉です。その一節が何度も胸に響き、これからの限られた人生を、死を意識しながらどう生きるかを考えさせられました。
死を描きながらも、生の尊さと人のつながりを静かに見つめる作品でした。
前作に引き続き、涼介は