藤岡陽子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
これが藤岡陽子さんのデビュー作なのか。
主人公瑠美のハニキヌキセナイ生き方に、青春の真っ直ぐさと苦味を感じた。苦味は他でもない自分自身の苦い記憶。自分の考えが正しいと信じて権力に媚びないこと、それが自分らしさだと思っていた時期があったから。
瑠美の親友千夏は、包容力満点の看護師にピッタリの女性だった。屈折した正義感あふれる美女遠野も魅力的だった。二人のお子さんがいる佐伯も。
思わぬ展開で幕を閉じたこの物語。なのに読後感が無念や喪失感、哀しみに沈まないのはなぜだろう。
4人の選んだ道、レールがみんな重ならなくても、それぞれが自分の意志で選んでいったからなのかもしれない。
看護師さんを目指すこの話を読んで、父が亡くなった日の病院の一コマを思い出した。
父が亡くなった時に泣き崩れていた看護師さんを。
救われた。ありがたかった。 -
Posted by ブクログ
主人公の可南子と、深澤の、愚直に頑張る姿に背中を押される気持ち。真っ直ぐに努力していてすごい。
私は自分が100%頑張ってることを認めるのが怖い。本当は100%かもしれないけど、結果が伴わなかった時にどうしようもなく落ち込んじゃうのが嫌だから80%だと思い込むようにしてるのかも、と思う。
でも結果なんて出る方が奇跡みたいなものだし、頑張ってることそれ自体がすごいことだからさ、自分を認めてあげたいなと思った。
終わりのために頑張る、頑張るのは終わりがあるから、ってセリフも沁みたな。
読んでいて背筋が伸びたり、
もっと前向きに頑張りたいと思えるようになる、
とても良作でした。 -
Posted by ブクログ
藤岡さんの小説は大好きですが本書もやはり…好き。
婚約を機に仕事を辞め婚約者の実家のある京都へ…が、思いもよらぬ京都のしきたり、家業を継いだ婚約者の変貌、何の為に好きな仕事を辞め京都へ来たのか、戸惑う十川美咲32歳。
東京で仕事をしている頃には持てなかった【時間】を手にした彼女が元々好きであった物作りへの衝動に駆られミシンを動かし始めたところから美咲の人生が大きく変わって行く。
自分は何がしたいのか、どうやって生きていきたいのか、事あるごとに立ち止まりながら、臆病になりながらも自分の気持ちと向き合い一歩一歩自分の足で人生を歩き始める…そんな美咲の人生から目が離せませんでした。
誰だって傷付きたくない、傷つく事は怖い、自分に自信が無くて臆病で決断が出来なくて自分には無理…と始める前に引いてしまう…美咲のそんな心の揺れが手に取るように分かる。
何か大きな新しい事を始めるのは想像以上に心の体力とエネルギー、覚悟と本気が必要だ。
そして時に才能、技術、資金も…。
それらの葛藤を抱えながら必死に動こうとする美咲の人生に気付いたらのめり込んでました。
運を良くしたいなら人に信用される事。
動かないと何も始まらない。
過去は変えられない、時間も戻らない、ならば今しかない、今をどう生きるか。
自信を持つ、自分を信じる、今の気持ちをまっすぐに口に出来る人間になりたい。
これらはとても印象に残った言葉たち。
そう、動かないと始まらない!
「考えるより動く」…が大事な時がある。考えると怖くて面倒で動けなくなるから。
そんな時はまず動く…動いたエネルギーでその先が変わるかもしれない…動いた事で人生が追いかけてきてくれる事もある。
慎重になる事も大事!でも自分の気持ちをきちんと口にし、気持ちに正直に動く事が人生を大きく変えてくれる事もある…美咲のように。
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Posted by ブクログ
藤岡作品はハズレが無い。ですから毎回「今度はどんな物語だろう?」と楽しみに予備知識を入れずに読む事にしています。
そして今回も期待通り「当たり」でした。
とある有名漫画家が「漫画は右上から始まり、左下までの間に次のページを捲る衝動をかき立てる様に描くのが基本です。」と語ってました。
藤岡作品も漫画とは異なりますが、物語のエピソードが次々と変化していくので「その先を知りたい衝動」をかきたてられてページを捲る手が止まりませんでした。
ちょっとだけネタばれ。
主人公は春野暁、中学生2年生の女子。友情と絆と成長の物語。
物語としては出来過ぎ感はあるので、児童書か?とも思いましたが、相変わらず優しい文章で涙腺を刺激してくれます。
これから読む人のためにも多くは語れませんが、映像でも漫画でも表現出来ない活字ならではの藤岡さんの見事な表現力に脱帽です。