藤岡陽子のレビュー一覧

  • この世界で君に逢いたい

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    花が母の男に殺された美羽の生まれ変わり、前世の怨念を晴らす高僧の運命を担って生きている、けど宗教的で無く、ミステリーでも無く感動与える作品。
    恋人の松川夏美と与那国島へ旅行に来た須藤周二は、民宿の手伝いをしている久遠花と出会った。花は本人にも分からない何かを探しているのだという。周二は彼女を十歳の時に亡くなった同い年の従妹・美羽と重ねていた。京都に戻って二ヵ月、花のことが気になって仕方ない周二に、彼女が姿を消したという連絡が――。本当に大切なものに気付かされる感動作!!

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    2023年09月20日
  • 晴れたらいいね

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    ヘイセイにいた看護師が重病患者の入れ替わり、終戦一年前のフィリピンに従軍看護師として、バツクツーザフイーチャー、反戦の看護小説。
    夜勤中に地震に見舞われ意識を失った看護師の紗穂。気がつくとそこは一九四四年のマニラで、さっきまで病室にいた老女の若き日の姿になっていた!困惑を抱えたまま、従軍看護婦として戦争に巻き込まれる紗穂。それでも、持ち前の明るさで数々の理不尽に抗いながら、過酷な日々を駆け抜けていく。反戦の意志と、命を背負った女たちのかけがえのない青春が紡ぐ圧倒的感動作。

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    2023年09月12日
  • ホイッスル

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    長年連れ添った夫が突然失踪し、思い出の詰まった家も失った。理不尽な状況に、園原聡子は戸惑い絶望の淵に立つが、娘や姪、誠実な弁護士たちの支えで、新たな生活に向かって歩み出す。そして、夫を奪った不倫相手・沼田和恵と、法廷で対峙する日がやって来た。底知れぬ悪意に翻弄されながら、それでも強く生きる人びとの姿を通して、家族、夫婦の在り方を問う感動の長編!

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    2023年08月29日
  • いつまでも白い羽根

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    大学受験失敗と家庭の事情で不本意ながら看護学校へ進学した木崎瑠美。毎日を憂鬱に過ごす彼女だが、不器用だけど心優しい千夏との出会いや厳しい看護実習、そして医学生の拓海への淡い恋心など、積み重なっていく経験を頑なな心を少しずつ変えていく…。揺れ動く青春の機微を通じて、人間にとっての本当の強さと優しさの形を真っ向から描いた感動のデビュー作。

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    2023年08月11日
  • トライアウト

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    シングルマザーの新聞記者・久平可南子は心に決めていた。息子のために仕事は辞めない。父親の名は誰にも明かさない。取材の折、彼女を見つめる戦力外通告を受けたプロ野球選手・深澤翔介。ふと気にかかり、インタビューを試みると、彼には可南子の秘密を知る素振りがあって…。仕事、育児、生きがい。今、前を向くことのリアルを、ひたむきな再起の物語に込める。

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    2023年08月09日
  • この世界で君に逢いたい

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    『もし本当に死後の世界があるとしたら、死者たちは生きていた頃の記憶を持ってそこに在るのだろうか』。

    私たちはこの世に八十余年の平均寿命を生きています。喜怒哀楽という言葉がある通り、長い人生の中では、誰もがさまざまな感情を経験します。残念ながら楽しいだけが人生ではありません。

    そんな私たちもやがて等しくこの世を後にする時がきます。それは私たちが生物である限り避けることはできません。では、この世を後にした私たちはその先、どこにいくのでしょうか?、どうなってしまうのでしょうか?、それは誰にもわかりません。しかし、もし、そんな先にも生きていた時の喜怒哀楽の感情が消えないままだとしたら…う〜ん、うら

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    2023年07月26日
  • トライアウト

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    『頑張る』ということは時に自分を追い込んでしまうことでもあるけれど、

    『自分は頑張っている』という気持ちが自分を強く生きさせてくれる。だから自分のために頑張れ。

    という主人公の言葉は、ほんとにそうだよなと思った。

    その場所で頑張り続けることと、こだわりを捨てて新しい場所に行くこと、どちらも大切で、その判断が人生そのものなんだよなぁと改めて思えた本だった。

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    2023年06月13日
  • 晴れたらいいね

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    明るい感じの表紙と題名に反して戦争もの。現代からのタイムスリップなので、スッとその世界に入り込めた。
    看護婦の紗穂が地震に巻き込まれて気を失う。目覚めたときには1944年のフィリピンのマニラにいて、従軍看護師として働く身になっていたという設定。
    終戦1年前の南方での戦いは泥沼化して凄惨な状況であったことは有名。直接の戦闘が描かれることはないのだけど、若い看護婦たちの任務の過酷さを通してその悲惨さが伝わってくる。傷ついた兵士の看護はもちろんのこと、転身する時の爆撃を避けながらのジャングルの移動も本当に過酷。
    こう書くととてもつらい小説のようですが、紗穂の持ち前の明るさとバイタリティーに勇気づけら

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    2022年11月14日
  • 晴れたらいいね

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    夜勤中に起こった地震で気を失った紗穂が目を覚ますと、そこは1944年のマニラで、雪野サエという人の中に入り込んでいたというタイムスリップ物語。
    1944年のマニラというと、そう、雪野サエは従軍看護婦で・・・という戦争の物語。

    「手のひらの音符」が素晴らしかったので、それと比較すると少し、残念な感じではあった。サエに入り込んでしまって、サエとして生きていくことを決意する(せざるを得ない)紗穂の感情の部分や、親友のサエが今までとは別人になっていると気づいた美津の感情の部分が伝わってきづらく、少し読者側の感情が置き去りにされているような感じがあった。
    それでも、戦況を考えると感情云々の前に生き延び

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    2022年11月10日
  • この世界で君に逢いたい

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    「人は前世でやり残したことを遂げるために、また現世に戻ってくる。」

    「転生」てあるのだろうか。

    主人公、須藤周二、27歳
    彼の同い年の従姉妹が、小学4年生の時に亡くなった。
    従姉妹、須藤美羽は、やり残したことを遂げるために現世に戻ってくる。
    新しい姿、久遠花となって。

    美羽も花も境遇というか、置かれていた環境がこちらが辛くなるほど酷い。そして、一生懸命、自分の居場所を求めていた。想像すると心が苦しくなる。

    物語全体は重い空気でどんよりしているのだけれど、久遠花となって現世に戻ってきた美羽が、やり残したことを遂げて、主人公や登場人物が前を向いて生きていこうと動き出した様は共感できた。

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    2022年11月08日
  • 跳べ、暁!

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    読みやすい本でした。
    バスケットが舞台だったので読みやすかったです。
    感情移入もでき、気持ちとか精神面とかの話も参考になりました。

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    2022年09月15日
  • むかえびと

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    主人公の美歩は6年目の助産師。むかえびととも呼ばれ、メインテーマは出産。後半はその中で巻き起こる同僚や院内の問題に話が移っていく。

    1年以内に9割が亡くなってしまう13トリソミーの赤ちゃんを出産した女性の話があった。中絶を悩んだが「悲しむ覚悟」を決め出産した。天くんと呼ばれ30時間を家族3人で過ごした。その後弟が産まれ「私たちは4人家族なんです」で涙が止まらなくなった。

    後半は問題を抱えた病院内での話に移る。出産の話からは若干遠のいたが、過酷な環境で働き続けた助産師と医師たち。改善させるツラいきっかけを作った後輩の理央だったがそれも若さ故。失敗を成功させて欲しい。
    先輩助産師の草間さんはカ

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    2022年08月06日
  • 跳べ、暁!

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    母の死がきっかけで、新しい土地へ転校することになった暁。
    そこでバスケットボール部を創設する。
    そのメンバーそれぞれが、困難な状況にあり悩みを抱えており、現代社会の縮図のよう。
    テーマは重たいけど、バスケットボールの描写も多く爽やかなので、暗くならずに読みすすめられた。

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    2022年07月18日
  • 波風

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    初読みの作家だったが、泣きのツボを知っている人だと感じた。重い内容でも爽やかな雰囲気を各話纏っていて涙腺を刺激するうまさに感心。波風から鬼灯、そして月夜のディナーまでの流れはすごい好きで完璧。

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    2022年06月18日
  • いつまでも白い羽根

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    「これ読んでみ。きっと色々思い出して懐かしく思うんちゃうかな。」と、母からこの本を渡された。

    私は自分には向いていないと思いながら、看護師を続けていた。
    だから、この本を読む事に気分が乗らなかった。

    しかし瑠美の姿勢と千夏の人柄に随分と心が救われた。
    気分が落ち込み仕事に行きたくない日も、、私を持ち上げてくれた。

    何か不思議な力を感じる作品。

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    2022年06月08日
  • 晴れたらいいね

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    戦争ものは今まで読んでこなかったからなのか、中盤までは中々スムーズに読み進められず。


    今現在も世界ではこんな事が起こっているのかと思うと信じられず。。結局自分事としては考えられていないのだなぁと、、
    自分は恵まれているという気持ちだけでは薄っぺらい

    何も悪くない沢山の人が亡くなるなんて、あってはならない
    ただ世界平和を願います

    読んで良かった

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    2022年05月14日
  • この世界で君に逢いたい

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    藤岡陽子さんの作品の中で、今回初めて、「目には視えない何か」を扱った作品に出会いました。
    でも、よく考えてみると、藤岡陽子さんは、いつも「目には視えないもの」=「人の想いや気持ちの大切さ」を大切にしながら、作品を創り出してきた作家であると、あらためて感じました。
    この小説の設定が、荒唐無稽と感じる方もいるのかもしれませんが、「目には視えない何か」にこそ、実は真実が隠されているということを、おしえてくれる作品ではないのかと思いました。
    物語の展開としては、いったいどんな結末になるのか、終盤までわかりませんでしたが、最後に解き明かされた事実にただ涙がとまりませんでした。

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    2022年02月28日
  • 晴れたらいいね

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    24歳の看護師が、95歳の患者の24歳だった時にタイムスリップして、1944年から1945年の1年間をフィリピンに派遣された従軍看護婦として過ごす。

    悲惨な体験をした従軍看護婦の物語を描くこともできただろう。しかしその時代の教育を受けていない主人公の、命に対する考え方の違いや、軍歌ではなく「晴れたらいいね」を歌わせるために必要だった設定。

    この時代からすれば、今の普通がユートピアに見えるかもしれないけど、貧困も差別もあるのよ、とちゃんと言わしている。
    皆が生き延びたことが描かれたラストが良かった。

    ウクライナの人たちも死なないで欲しい。

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    2022年02月27日
  • トライアウト

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    ネタバレ

    藤岡陽子さんの本にはまっている。今年は既刊分すべて読破するぞと静かに燃えている。

    心に疼く傷が癒えずに息子の父親を誰にも明かすことが出来ないままでいるシングルマザーの新聞記者と、戦力外通告を受けたプロ野球選手がトライアウトの場で出会う。

    故郷で祖父母と暮らす8歳の息子。
    娘の生き方に同感出来ない父親。
    姉の唯一の理解者でありながらも優等生の姉とは対照的で自由に生きる妹。
    聴覚障害がありながらもひたむきに仕事を頑張るアルバイトの竹内君。
    精神の発達が遅れていても清らかな心で周囲を癒す妹の婚約者。
    不器用で時に世の中のはみ出し者となりえる境遇でも、ひたすらに信じるものを疑わない姿は美しくて尊い

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    2022年01月25日
  • 晴れたらいいね

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    読みやすいはずなのになぜか、一気読みできず読み終えるのに2ヶ月ほどかかってしまった。
    現代にいきる看護師紗穂が、戦時中のマニラにタイムスリップし、従軍看護師として生きていく話。SF小説と思われるかもしれないが、そうではなく、現代を生きる女性の目を通してみた戦争の悲惨さ、そして無意味さを訴える小説である。
    しかしながら、主人公紗穂の持ち前の性格から、常に前向きに生きようとしている姿に心を打たれる。
    「晴れたらいいね」って、その「晴れたらいいね」だったんだね!と、途中、はっとさせられる。

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    2021年12月30日