藤岡陽子のレビュー一覧

  • むかえびと

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    大好きな作家さんのおひとりです。
    現役の看護師さんでいらっしゃる藤岡陽子さんの描く"新しい命"に向き合う助産師(むかえびと)の物語は、リアルで厳しい、でも、美しい。
    懸命に働く、ひたむきさ、高き志が、眩しくて羨ましくて。そして、わたしの心の底の清らかなるものを刺激します。
    藤岡陽子さんの医療小説を読むと、"誰かのために役に立つ自分でありたい"と、想うことしばしば。
    その気持ちがきっかけで、小さなボランティアを始めました。

    感動的シーンの一つを・・・
    七年間におよぶ不妊治療を経て妊娠に至ったが、胎児に異常が見つかった妊婦に、主人公・助産師の美歩の脳性小児

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    2021年11月22日
  • トライアウト

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    医療関係者が登場しない藤岡さんの本。プロ野球選手にそこまでしてもらえて、美人は得ですね。小学校2年生ながら年齢不詳に大人びている考太くんには頑張ってもらいたいけど、その年齢で将来性がそこまで分かるのかな?なかなかツッコミどころ満載の本でしたが、やっぱり読んで良かった本でした。

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    2021年11月04日
  • ホイッスル

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    題名からサッカーものかな?と思いましたが、夫不倫からの失踪、家を失い路頭に迷う妻、家族の絆、誠実な弁護士との出会い、不倫相手との法廷対決というサッカーとは遠く離れた物語でした。ホイッスル自体はサッカーと少し関係は有りましたが。
    若い女に絡めとられ家族をいとも簡単に捨てた夫。積み重ねた人生を「何もない」と言ってしまう所がしょうもないですが、結局は老境に若い女との恋愛を体験する事で、あっぱっぱーになってしまったという事なのでしょう。
    不倫相手もどんどん転落していきますが、その転落っぷりが非常に勧善懲悪な感じで、作者もそういう気持ちになっているんだろうなあと感じる位に、ごろんごろん転落していきます。

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    2021年10月14日
  • いつまでも白い羽根

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    看護師の方々からは現実はもっと違うとの批判もあるのでしょうが、医療現場の厳しさが私には感じられる作品でした。人柄の良い大人は登場せず、涙もありませんでしたが、これがデビュー作かと思うくらい読み応えがありました。日本人らしくない瑠美さん、今のままで頑張って!

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    2021年10月10日
  • この世界で君に逢いたい

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    十歳の時に同い年の従妹・美羽を亡くし、心に傷をもつ須藤周ニは、歳上の恋人の松川夏美と与那国島へと旅に出る。そこで、美しい少女・久遠花と出会ったことにより、思わぬ方向へと運命は動き出す。
    花が探しているものは何なのか?、線が細くなんだか煮え切らない(わたしのイメージです)須藤周ニが夏美の言うように、花によって変わっていくのか?

    島に残る伝説、ユタ、ユング、運命、等等、なんだか目に見えない大きな力に導かれるようにストーリーは進む。

    憤りたいほどの哀しみもあり、この物語はどこへ、どのように落ち着くのか、読めない。
    更に、わたしは、この題名『この世界で君に逢いたい』の意味も履き違えていた。

    ラス

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    2021年09月16日
  • ホイッスル

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    今まで読んだ著者の本とはかなり趣が異なる登場人物が多数登場。それでも根底のテーマはやはり同じなのかな。最後に醜態を晒し惨めに退場する総理大臣がまさに今いるが、この本でもどうしようも無い最低の爺さんが主人公のひとり。歳を取ってからの過ちはそれまでの人生を全て否定してしまう。変な女に引っかからないように気をつけよう。

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    2021年09月05日
  • 晴れたらいいね

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    看護師の紗穂は夜間見回り中に大きな地震に襲われ、見回り中の部屋にいた患者の雪野サエとなって1944年のフィリピンへとタイムスリップする。
    日赤の従軍看護婦として、友人の美津に助けられて過酷な日々を生きていくことになる紗穂。
    間もなく終戦がやって来る。それまでは何としても生き抜いて日本へ帰るのだと言う強い気持ち。

    タイトルの「晴れたらいいね」はドリカムの歌らしい。山中を歩いている時に紗穂が歌ったこの歌が、仲間たちの励みになった。
    友人の美津の日記の最後のページに書かれていたのは
    「わたしたちの未来は、晴れたらいいね」

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    2021年08月27日
  • 跳べ、暁!

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    中学二年で転校してきたバスケ少女、春野暁。
    仲良くなれた大人びたメガネ女子の吉田欣子と、それまでなかった女子バスケ部を立ち上げることに。
    色々な生徒が少しずつ仲間になり、少しずつ暁も強くなっていく。
    主人公の暁は比較的目立ったところのない少女に見えるのだが、周りの友達がバラエティー豊かで、もめたり、まとまったりが中学生らしい。
    それが試合になると、急に暁のエースぶりが際立って描かれるのも面白い。
    スポーツ以外に社会的な問題も絡めていたり、思春期の色々な思いも感じられて、学生さんに読んでもらいたい青春物語です。

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    2021年08月25日
  • 波風

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    小さな笑みを積み重ね幸せに生きたいものですが、人生はそう思う様にはいかない。
    この七つの短編も、大きな『波風』が立った家族・夫婦・親友の物語。決して腐らず、諦めず一歩を踏み出す人々。爽やかな勇気と安堵感をもらえました。

    デビューするきっかけとなった、第四十回日本文学賞選奨作でもある『結い言』が収録されています。
    期間は十日間の着付け教室で出逢った年老いた男性、倉嶋さんの凛としたたたずまいに女性たちは「アルコールランプの炎のような人だ」と称し魅せられます。
    「みんな、倉嶋さんへの最後の言葉は「さようなら」ではなく、「ありがとう」だった。私もまた、喉の奥でそう呟いていた。」
    果たして私は人生最後

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    2021年07月22日
  • トライアウト

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    「自分の頑張りに星をくれる人がいる。それだけで人は生きられるのかもしれない。」の『満天のゴール』でファンになりました。
    『トライアウト』は二冊目です。どちらも感動をくれました。

    新聞記者の平久可南子、息子の考太を取り巻くほとんどの人(一部ずるい人はいますが)が善良で温かい。特に担任の先生の台詞は、ちょっと素敵でした。

    シングルマザーとして不器用なほど懸命に生きてきた可南子は、妹・柚奈に「人生を楽しまないと」と励まされ、また、崖っぷちのプロ野球選手・深澤翔介との出逢いにより、人生を大きく動かされてく、魅力的なストーリーです。そして、読後は
    希望が湧き、爽やかです。

    「ひとは気持ちのある限り

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    2021年07月20日
  • むかえびと

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    良かったです!
    助産師という「命」に関わるお仕事について。
    生まれてくる命はどれも尊い命に違いはないけど全てが喜びにあふれて迎えられるわけではない。悲しい現実も命の選別に苦悩する場面もある。
    妊婦さんに寄り添い「命」を預かる「助産師」という職業の重みみたいなものを改めて感じました。

    出産のリアルな現場だけじゃなくミステリー要素も楽しめます。
    身勝手な男に気分の悪い思いや医療の闇の部分を見た気もしますが、今後も追っていきたいと思わせてくれる作品でした。
    シリーズ化して欲しいなぁ♪

    『仕事をするって、生きることなのよ。真剣に働くってことは、真剣に生きるってこと』

    『真実を知って、ようやく動き

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    2021年04月10日
  • いつまでも白い羽根

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    ネタバレ

    看護学生が看護師になるまで…のお話…と思って読み始めたが。

    家族、友情、恋愛、生き方、考え方…いくつものことが混ざり合って、目まぐるしい3年間を一緒に感じることができた。

    瑠美の視線で描かれているので、これはこれでいいのだが、拓海や駿也の心が単純過ぎるような気がした。

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    2021年03月09日
  • ホイッスル

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    ストーリーとしては、大変面白く一気に読んでしまいました。
    ただ、辛すぎて、気持ちが落ち込みます。
    看護師の母親は、そんなに悪者でしょうか?
    夫の愛情も金銭的な支援も無く、子育てしながら必死で働いて来たのに、最後の最後に全てを失ってしまうなんて。
    息子のうち1人でも母親の辛さをわかって、助けてくれてたら違ったと思いますが、所詮子どもは、あてにならず。
    結婚相手は、お互い 尊敬し、思いやれる人とでないと…ということですね。

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    2021年02月14日
  • むかえびと

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    「母親は自分の命を懸けて、新しい命を産むじゃないですか。でも命を葬る選択もする。その違いってなんなのかな?生まれる意味のある命、ない命、そういう違いがあるんでしょうか」
    毎日、産まれる命と真剣に向き合う助産師の心情を的確に表現している台詞だと思った。命を守りたい、そんな高い志で助産師となり、様々な現場に直面する。

    この世に産まれ出て、その手の中に1番最初に受け止めてくれる助産師。彼女たちのリアルな現場を覗き見たような、泣きながら夢中で読めた一冊でした。

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    2020年12月06日
  • トライアウト

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     思いがけないことが我が身に降りかかったら、どうする?
     主人公可南子は新聞社の記者。野球選手と不倫をして、別れた後に妊娠が分かる。しかも、不倫相手ではない人が不倫相手だと思われ、その人が野球の八百長で世間を騒がせてしまう。

     そんな状況になっても、彼女は子どもの父親が誰かを誰にも言わない。仕事も辞めない。でも、シングルマザーで勤務時間の不規則な状況で子どもを育てることはできない。だから、息子を仙台で新聞店を営む両親に預ける。

     可南子は自分を守るために肩肘を張って、依怙地になって、子どもを犠牲にしているように見えた。どうしてそこまで頑ななのか。そんな可南子が初めは好きになれなかった。何を

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    2020年09月25日
  • 波風

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    どの話も辛く、悲しく、切ないけれど、最後にぽっと心が暖かくなる(*^^*)これは人前で読んだらアカンやつ(T-T)

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    2020年09月14日
  • 跳べ、暁!

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    女子中学生のバスケ部活ものとは思えない濃度の高さ。ド素人なのに桜木並みの運動能力で活躍したり、アフリカの留学生(ではないけど)がいたり、部員それぞれの複雑な家庭事情が明かされたり、という約束事を踏まえつつ、バスケットの技術面や試合展開についてしっかりと描かれている。一見平凡そうな主人公が実はかなりのやり手である感じがするので、高校進学後のシリーズ化を待ち望む。

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    2020年09月03日
  • トライアウト

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    佳作を連発しているアベレージヒッター。どれもこれも外れが無くもれなく面白いです。
    そしてアベレージヒッターつながりで野球を題材にした小説です。
    シングルマザー、親子の確執、愛情。あきらめない、あきらめられない心。誰にでもある過去の傷、自分だけではないという気づき。いつまでも小さい子供ではない、成長していつか自分を追い抜いて行くという寂しさと喜び。
    色々な要素が内包されていてとても奥深い本だと思いました。
    主人公の父がとても頑固なおやじなのですが、孫との信頼関係が見ていてとてもうらやましかった。自分はほぼ祖父の記憶ありませんが、かなりのダメ男だったようなので頼りになる男が周囲に皆無だったので、こ

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    2019年12月19日
  • トライアウト

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    今年も11月13日に合同トライアウト開催、その前に元報知新聞記者藤岡陽子さんの小説を読んでみました。野球人生のやりきった感はとても厳しいようです。

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    2018年11月10日
  • ホイッスル

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    底知れぬ悪意に翻弄されながら、自分を失うことなく強く生きる人びとの姿を通して家族の在り方を問う家族小説。
    愛情とは人間の根幹から形成されるだけに、間違った経緯で誕生するとたちが悪い。長年連れ添った妻よりも、不幸な生い立ちの女性を守りたいという気持ちが、単純に誤っていると断言できないのが、この作品の怖いところ。関わる弁護士の言葉でタイトルを付けた巧さが光る。

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    2018年11月04日