藤岡陽子のレビュー一覧
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藤岡陽子さんの作品の中で、今回初めて、「目には視えない何か」を扱った作品に出会いました。
でも、よく考えてみると、藤岡陽子さんは、いつも「目には視えないもの」=「人の想いや気持ちの大切さ」を大切にしながら、作品を創り出してきた作家であると、あらためて感じました。
この小説の設定が、荒唐無稽と感じる方もいるのかもしれませんが、「目には視えない何か」にこそ、実は真実が隠されているということを、おしえてくれる作品ではないのかと思いました。
物語の展開としては、いったいどんな結末になるのか、終盤までわかりませんでしたが、最後に解き明かされた事実にただ涙がとまりませんでした。
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24歳の看護師が、95歳の患者の24歳だった時にタイムスリップして、1944年から1945年の1年間をフィリピンに派遣された従軍看護婦として過ごす。
悲惨な体験をした従軍看護婦の物語を描くこともできただろう。しかしその時代の教育を受けていない主人公の、命に対する考え方の違いや、軍歌ではなく「晴れたらいいね」を歌わせるために必要だった設定。
この時代からすれば、今の普通がユートピアに見えるかもしれないけど、貧困も差別もあるのよ、とちゃんと言わしている。
皆が生き延びたことが描かれたラストが良かった。
ウクライナの人たちも死なないで欲しい。 -
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ネタバレ藤岡陽子さんの本にはまっている。今年は既刊分すべて読破するぞと静かに燃えている。
心に疼く傷が癒えずに息子の父親を誰にも明かすことが出来ないままでいるシングルマザーの新聞記者と、戦力外通告を受けたプロ野球選手がトライアウトの場で出会う。
故郷で祖父母と暮らす8歳の息子。
娘の生き方に同感出来ない父親。
姉の唯一の理解者でありながらも優等生の姉とは対照的で自由に生きる妹。
聴覚障害がありながらもひたむきに仕事を頑張るアルバイトの竹内君。
精神の発達が遅れていても清らかな心で周囲を癒す妹の婚約者。
不器用で時に世の中のはみ出し者となりえる境遇でも、ひたすらに信じるものを疑わない姿は美しくて尊い -
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大好きな作家さんのおひとりです。
現役の看護師さんでいらっしゃる藤岡陽子さんの描く"新しい命"に向き合う助産師(むかえびと)の物語は、リアルで厳しい、でも、美しい。
懸命に働く、ひたむきさ、高き志が、眩しくて羨ましくて。そして、わたしの心の底の清らかなるものを刺激します。
藤岡陽子さんの医療小説を読むと、"誰かのために役に立つ自分でありたい"と、想うことしばしば。
その気持ちがきっかけで、小さなボランティアを始めました。
感動的シーンの一つを・・・
七年間におよぶ不妊治療を経て妊娠に至ったが、胎児に異常が見つかった妊婦に、主人公・助産師の美歩の脳性小児 -
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題名からサッカーものかな?と思いましたが、夫不倫からの失踪、家を失い路頭に迷う妻、家族の絆、誠実な弁護士との出会い、不倫相手との法廷対決というサッカーとは遠く離れた物語でした。ホイッスル自体はサッカーと少し関係は有りましたが。
若い女に絡めとられ家族をいとも簡単に捨てた夫。積み重ねた人生を「何もない」と言ってしまう所がしょうもないですが、結局は老境に若い女との恋愛を体験する事で、あっぱっぱーになってしまったという事なのでしょう。
不倫相手もどんどん転落していきますが、その転落っぷりが非常に勧善懲悪な感じで、作者もそういう気持ちになっているんだろうなあと感じる位に、ごろんごろん転落していきます。 -
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十歳の時に同い年の従妹・美羽を亡くし、心に傷をもつ須藤周ニは、歳上の恋人の松川夏美と与那国島へと旅に出る。そこで、美しい少女・久遠花と出会ったことにより、思わぬ方向へと運命は動き出す。
花が探しているものは何なのか?、線が細くなんだか煮え切らない(わたしのイメージです)須藤周ニが夏美の言うように、花によって変わっていくのか?
島に残る伝説、ユタ、ユング、運命、等等、なんだか目に見えない大きな力に導かれるようにストーリーは進む。
憤りたいほどの哀しみもあり、この物語はどこへ、どのように落ち着くのか、読めない。
更に、わたしは、この題名『この世界で君に逢いたい』の意味も履き違えていた。
ラス -
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小さな笑みを積み重ね幸せに生きたいものですが、人生はそう思う様にはいかない。
この七つの短編も、大きな『波風』が立った家族・夫婦・親友の物語。決して腐らず、諦めず一歩を踏み出す人々。爽やかな勇気と安堵感をもらえました。
デビューするきっかけとなった、第四十回日本文学賞選奨作でもある『結い言』が収録されています。
期間は十日間の着付け教室で出逢った年老いた男性、倉嶋さんの凛としたたたずまいに女性たちは「アルコールランプの炎のような人だ」と称し魅せられます。
「みんな、倉嶋さんへの最後の言葉は「さようなら」ではなく、「ありがとう」だった。私もまた、喉の奥でそう呟いていた。」
果たして私は人生最後 -
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「自分の頑張りに星をくれる人がいる。それだけで人は生きられるのかもしれない。」の『満天のゴール』でファンになりました。
『トライアウト』は二冊目です。どちらも感動をくれました。
新聞記者の平久可南子、息子の考太を取り巻くほとんどの人(一部ずるい人はいますが)が善良で温かい。特に担任の先生の台詞は、ちょっと素敵でした。
シングルマザーとして不器用なほど懸命に生きてきた可南子は、妹・柚奈に「人生を楽しまないと」と励まされ、また、崖っぷちのプロ野球選手・深澤翔介との出逢いにより、人生を大きく動かされてく、魅力的なストーリーです。そして、読後は
希望が湧き、爽やかです。
「ひとは気持ちのある限り -
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良かったです!
助産師という「命」に関わるお仕事について。
生まれてくる命はどれも尊い命に違いはないけど全てが喜びにあふれて迎えられるわけではない。悲しい現実も命の選別に苦悩する場面もある。
妊婦さんに寄り添い「命」を預かる「助産師」という職業の重みみたいなものを改めて感じました。
出産のリアルな現場だけじゃなくミステリー要素も楽しめます。
身勝手な男に気分の悪い思いや医療の闇の部分を見た気もしますが、今後も追っていきたいと思わせてくれる作品でした。
シリーズ化して欲しいなぁ♪
『仕事をするって、生きることなのよ。真剣に働くってことは、真剣に生きるってこと』
『真実を知って、ようやく動き