藤岡陽子のレビュー一覧
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大好きな作家さんのおひとりです。
現役の看護師さんでいらっしゃる藤岡陽子さんの描く"新しい命"に向き合う助産師(むかえびと)の物語は、リアルで厳しい、でも、美しい。
懸命に働く、ひたむきさ、高き志が、眩しくて羨ましくて。そして、わたしの心の底の清らかなるものを刺激します。
藤岡陽子さんの医療小説を読むと、"誰かのために役に立つ自分でありたい"と、想うことしばしば。
その気持ちがきっかけで、小さなボランティアを始めました。
感動的シーンの一つを・・・
七年間におよぶ不妊治療を経て妊娠に至ったが、胎児に異常が見つかった妊婦に、主人公・助産師の美歩の脳性小児 -
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題名からサッカーものかな?と思いましたが、夫不倫からの失踪、家を失い路頭に迷う妻、家族の絆、誠実な弁護士との出会い、不倫相手との法廷対決というサッカーとは遠く離れた物語でした。ホイッスル自体はサッカーと少し関係は有りましたが。
若い女に絡めとられ家族をいとも簡単に捨てた夫。積み重ねた人生を「何もない」と言ってしまう所がしょうもないですが、結局は老境に若い女との恋愛を体験する事で、あっぱっぱーになってしまったという事なのでしょう。
不倫相手もどんどん転落していきますが、その転落っぷりが非常に勧善懲悪な感じで、作者もそういう気持ちになっているんだろうなあと感じる位に、ごろんごろん転落していきます。 -
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十歳の時に同い年の従妹・美羽を亡くし、心に傷をもつ須藤周ニは、歳上の恋人の松川夏美と与那国島へと旅に出る。そこで、美しい少女・久遠花と出会ったことにより、思わぬ方向へと運命は動き出す。
花が探しているものは何なのか?、線が細くなんだか煮え切らない(わたしのイメージです)須藤周ニが夏美の言うように、花によって変わっていくのか?
島に残る伝説、ユタ、ユング、運命、等等、なんだか目に見えない大きな力に導かれるようにストーリーは進む。
憤りたいほどの哀しみもあり、この物語はどこへ、どのように落ち着くのか、読めない。
更に、わたしは、この題名『この世界で君に逢いたい』の意味も履き違えていた。
ラス -
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小さな笑みを積み重ね幸せに生きたいものですが、人生はそう思う様にはいかない。
この七つの短編も、大きな『波風』が立った家族・夫婦・親友の物語。決して腐らず、諦めず一歩を踏み出す人々。爽やかな勇気と安堵感をもらえました。
デビューするきっかけとなった、第四十回日本文学賞選奨作でもある『結い言』が収録されています。
期間は十日間の着付け教室で出逢った年老いた男性、倉嶋さんの凛としたたたずまいに女性たちは「アルコールランプの炎のような人だ」と称し魅せられます。
「みんな、倉嶋さんへの最後の言葉は「さようなら」ではなく、「ありがとう」だった。私もまた、喉の奥でそう呟いていた。」
果たして私は人生最後 -
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「自分の頑張りに星をくれる人がいる。それだけで人は生きられるのかもしれない。」の『満天のゴール』でファンになりました。
『トライアウト』は二冊目です。どちらも感動をくれました。
新聞記者の平久可南子、息子の考太を取り巻くほとんどの人(一部ずるい人はいますが)が善良で温かい。特に担任の先生の台詞は、ちょっと素敵でした。
シングルマザーとして不器用なほど懸命に生きてきた可南子は、妹・柚奈に「人生を楽しまないと」と励まされ、また、崖っぷちのプロ野球選手・深澤翔介との出逢いにより、人生を大きく動かされてく、魅力的なストーリーです。そして、読後は
希望が湧き、爽やかです。
「ひとは気持ちのある限り -
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良かったです!
助産師という「命」に関わるお仕事について。
生まれてくる命はどれも尊い命に違いはないけど全てが喜びにあふれて迎えられるわけではない。悲しい現実も命の選別に苦悩する場面もある。
妊婦さんに寄り添い「命」を預かる「助産師」という職業の重みみたいなものを改めて感じました。
出産のリアルな現場だけじゃなくミステリー要素も楽しめます。
身勝手な男に気分の悪い思いや医療の闇の部分を見た気もしますが、今後も追っていきたいと思わせてくれる作品でした。
シリーズ化して欲しいなぁ♪
『仕事をするって、生きることなのよ。真剣に働くってことは、真剣に生きるってこと』
『真実を知って、ようやく動き -
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思いがけないことが我が身に降りかかったら、どうする?
主人公可南子は新聞社の記者。野球選手と不倫をして、別れた後に妊娠が分かる。しかも、不倫相手ではない人が不倫相手だと思われ、その人が野球の八百長で世間を騒がせてしまう。
そんな状況になっても、彼女は子どもの父親が誰かを誰にも言わない。仕事も辞めない。でも、シングルマザーで勤務時間の不規則な状況で子どもを育てることはできない。だから、息子を仙台で新聞店を営む両親に預ける。
可南子は自分を守るために肩肘を張って、依怙地になって、子どもを犠牲にしているように見えた。どうしてそこまで頑ななのか。そんな可南子が初めは好きになれなかった。何を -
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佳作を連発しているアベレージヒッター。どれもこれも外れが無くもれなく面白いです。
そしてアベレージヒッターつながりで野球を題材にした小説です。
シングルマザー、親子の確執、愛情。あきらめない、あきらめられない心。誰にでもある過去の傷、自分だけではないという気づき。いつまでも小さい子供ではない、成長していつか自分を追い抜いて行くという寂しさと喜び。
色々な要素が内包されていてとても奥深い本だと思いました。
主人公の父がとても頑固なおやじなのですが、孫との信頼関係が見ていてとてもうらやましかった。自分はほぼ祖父の記憶ありませんが、かなりのダメ男だったようなので頼りになる男が周囲に皆無だったので、こ