藤岡陽子のレビュー一覧
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家族愛や人を思う気持ち、命、教育など、テーマがいくつかありましたが、どれも他人事とは思われず、「あなたはどう思う?」と問われているような感じで、読み進めました。
次の恭平の言葉に、深く深く共感しました。私も、教育者のはしくれとして、そうしたことを強く危惧し、日々、子ども達と向き合っています。
「浅井がこのままの性根で社会に出たならもっと酷いことになりますよ。自分に非があるにもかかわらず、そのことを上司に叱責されたら、そこでもまたパワハラだと訴えるんですか。悪いのは自分だ、だから叱られて当然だ。そういう思考を身につけないまま社会に出たら、泣きをみるのは浅井自身ですよ。」
世の中には自分の -
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レストランの店長として働いていた笹本凌駕が突然ガン宣告を受ける。
弟の恭平、母親、祖母、
病院で偶然再会した高校の同級生、矢田。
レストランのバイトの高那。
様々な人たちの温かさに囲まれ、凌駕は命を燃やしつくす。
いつも人を思いやり、人の事ばかり気遣っていた凌駕が、矢田に対して「病気になってないのに俺の気持ちが分かるなんて言ってほしくない」と言い放った時は、私も心が苦しくなった。
たくさんの患者さんと向かい合っている看護師さんをされている藤岡さんだからこそのリアルな描写だろう。
登山靴のオレンジ、蜜柑のオレンジ、夕陽のオレンジ、レジャーシートのオレンジ。
命の炎のオレンジが沁みる -
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作者の作品がとても好きなり、続けて読んでいる。これで5作目。
特別養護老人ホーム「森あかり」で働く4人の視点から描かれている。介護士、入居者、それぞれの心情が細かく描かれていて、読んでいて辛く重い場面も多々あった。厳しい介護の現状…とざっくりした言葉では表せない。
でもそれが当たり前の現実に起こっていることだと、まずは知ることも大切だと思った。いつかは自分も当事者になる。親の介護かもしれないし、自分が先かもしれない。誰もが向き合わなければならないことなのに、あまりにも他人事でいてしまっていた。
辛い場面が多くある中にも、小さな優しさ・温かさ・思いやり・介護の未来についてもあり、希望が感じ取 -
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地震で意識を失い、気づいたら終戦間近のマニラにいた紗穂。そこで従軍看護婦の雪野サエになっていたというタイムスリップ作品
看護師さん目線の戦争のお話で涙が出てしまう場面もありました。国のために生きるのが当たり前で「自決なんて絶対にしません。命が尽きる最期まで、自分の命を守りますよ。敵が目前に迫っているのなら降伏します。捕虜になってでも生き延びて、日本に帰るんです。…誰がはじめたかわからない、誰のためなのかもわからない、こんな戦争なんかで死にたくないんです」と主張する紗穂が変わり者の時代。
最後の現代に戻ってきたところはあっけなかったなっ思いましたが、中学生くらいの子に読んで欲しい本です。 -
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看護師の紗穂が、2015年から1944年のマニラで看護婦として働く雪野サエの姿になってしまうという始まり。
戦時中の価値観と、平成の価値観が違いすぎて、怖かった。
兵士はもちろん、看護師も、そして戦場となった場所に住んでいた現地の人たちも本当に過酷だったんだ。。
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自分は命が生まれる手伝いをする看護婦だ。だから、命を簡単に掛ける戦争を決して許さない。命を生み出し、そして育むのに、女たちがどれほどの時間と力を費やすのかを、男は知らない。
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というところで、強い共感とともに、涙が出そうになった。
戦争について学び直ししたいなとなった。
あと、物語に出てくる看護師さんが全員本当に -
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いわゆる《親ガチャ》で、どちらかと言えば残念なほうに当たってしまった子どもの担任になった若い小学校教師が主人公。
今思うと、自分が小学生の時のクラスメイトだったあの子、もしかしてそうだったのかな(都内23区在住)というケースも
時代が令和になると、そういう環境の家庭も聞かなくなったな、いたとしても珍しいのでは、と思っていたが…。
《環境から生じる格差》
子どもにはなんの責任もない。
真冬の屋外、もこもこのダウンジャケットの子とお下がり何代目なの?の古いコートの子じゃ寒さの体感は違う。
でも、子どもはみんな親が大好きだ。
クソみたいな毒親でも子どもは親を庇うし親から好かれたい。
子