藤岡陽子のレビュー一覧
-
-
Posted by ブクログ
服飾デザイナーの水樹が勤めるアパレルメーカーが、経営難からアパレル部門を閉めることになる。
デザイナーの物語かと思いきや、話は幼少期に遡り、現在と過去を行ったり来たりする。
水樹と信也たち兄弟の過去の話は、心がギュウっと締め付けられるような切ない気持ちになる。
藤岡さんは『青のナースシューズ』でもそうだが、弟を守る兄が強くて優しくて泣けてくる。
信也と水樹が小学6年生のとき、3年生の弟の悠人が、同級生にカメ虫を口に放り込んでいじめられ、信也が駆けつけていじめっ子を1人ずつ殴ったことがあった。
いじめっ子の親たちが家に押しかけて信也と母を責めるが、信也は怯むことなく、自分の口にカメ虫を放り込ん -
Posted by ブクログ
緩やかに登場人物がつながっている物語
『不思議なことに、歳を重ねれば重ねるほど、頭に留まる記憶は少なくなってくるもんでな。』
記憶の中で強く残っている記憶が、その人の人生の中で重大なエピソードなどだろう。
私のジイはどんな記憶が残っていたのだろうか。
ジイともっと会話をすれば良かった。
ジイが生きた世界の話が聞きたい。
もう、祖父とは会話ができないけれど、父とは会話ができる。
父と話がしたくなった。
胸がギュッと締め付けられたり、温かくなったりしました。
海は色々な顔をみせてくれる。
そして、多くの人からの声を受け止めたりもしているのだろう。
-
Posted by ブクログ
ネタバレリアルな介護現場の話だなと思う。
「もし、今の会社をクビになったら。。」という不安を払拭するために、介護福祉士実務者研修を受講したのだが、結局、自分はまだ介護業界ではないところにいる。
研修で出会った方々とは今も繋がっており、研修から3年、すでに何人かが職場を離れている現実がある。
つい最近、緩和ケア病棟や、在宅医療が舞台の本を読んだ。
その中でも言われていたのが、「最期まで自分として生きる」こと。
延命治療は、治療をして元気になるならば必要だろうが、最期を迎える線上にいるものには、苦痛ではないだろうか。
まあ、その方の家族として考えると、やはり、親はいつまでも元気でいてほしいよね。 -
Posted by ブクログ
同じ中学受験を描いている「翼の翼」のレビューで、こちらの本を薦めている方がおり手に取りました。
「翼の翼」では大号泣しましたがこちらは割とさらっとした描写で、ほろり、という感じでした。
倫太郎や俊介が6年生春というおそすぎる入塾にも関わらずA組に駆け上がっていった時、その裏では4年生から頑張り続けて途中で息切れしてクラス落ちして泣いている子がいるのだろうと、ついつい考えてしまいました…。
また、この1年の母親の体力精神力金銭的な負担はものすごいものだったろうに(専業主婦から仕事受験生の母1年生の壁の何重苦… 普通に考えて勉強する時間ないでしょう)、さらっと乗り切っているように見えてなんだ -
Posted by ブクログ
何方かの感想を見て気になっていたお話。
望んで入ったわけではない看護学校での学びと出会い。
瑠美は賢くて卒ないけど、人に対して決して器用ではない。むしろ相当不器用。特に恋愛。私は親友にはなるのは難しいかも。斜に構えていそうで実は真っすぐすぎて、それを受け止める正しさを芯に持っている人じゃなきゃ常に向き合うのは怖くなりそう。
ただ、絶対的にブレることのないという信頼感。遠野さんや出会った患者さん達、千夏はそこに安心出来ていたのかなと思う。千夏をはじめ、周りの人達や患者さんとの関わりで彼女も変化していく。
答辞も良かったし、変わりつつも、最後までらしい終わり方もよかったです。 -
Posted by ブクログ
なかなかに辛い介護の現場を、それでもあかりを灯そう、希望を見つけようとする物語。
看護師経験のある作者だけに、リアルな介護の現場が伝えられているように思う。
『ここまで介護職員を責め立てるのなら、もう二度と、自分の家族やあなた自身が施設に入ることはないですよね』
プロローグから重い。
本編で登場する特養スタッフたちは、元お笑い芸人の星矢、二児の母の古瀬、何か信念を感じさせる医師葉山や施設長福見など皆レジリエンスが高そうなのだが、徐々に疲弊し、肉体的、精神的に追い詰められていく。
それでも介護職に就く意味を考え、希望を探る。
介護の問題を少しだけ自分事として考えることができました。
藤岡陽 -
Posted by ブクログ
単行本『闇から届く命』で既読。助産師の有田美歩には小児麻痺で亡くなった姉がいる。勤務先のローズ助産院のゴタゴタがリアル。看護師で助産師だと中絶のときの処置もある、仕事と割り切るには辛いだろうな。その一方、出生前診断する時代ならではの助産師のカウンセリングをしたり。産まれて幸せになれるかどうかを決めるのは親じゃなく子ども本人。親が自分のために子どもを産む訳ではない、そうだけど赤ちゃんは何年も育てないと本人で幸不幸を感じるところまでいかない。幸せのツールではないけど、産む以上子どもに幸せになってほしいと願う人しか出産してはいけないだろうな。出生前診断がパーフェクトではないしそれ以降元気にいられる保
-
Posted by ブクログ
夫の不倫で離婚騒ぎとなり、奈緒は逃げるように実家のある京都府の丹後地方に10歳になる息子の涼介とともに帰ってくる。
ペーパーナースだった奈緒は、地元の病院で働く事になる。病院で診療のほかに、地域の訪問診療を続ける三上先生と奈緒と涼介は知り合い、祖父の実家の近くに住む高齢者と仲良くなっていく。
好奇心旺盛で、明るく、いい子の涼介と、トクさん、早川のおばあさんらとの交流が微笑ましい。
病院でクダに繋がれて、長生きする事でなく、最後まで自分を持ち、人間として、生を全うすること。段々と当たり前なりつつあるが、そのためには、医療従事者の協力、信頼関係が欠かせない。 -
Posted by ブクログ
ちょっと勘違いしてて…看護師さんのお仕事小説かと思いきや、看護師さんを目指す看護学校でのお話でした。
都内の具体的な地名が沢山出てくるので…モデルになっている学校や大学病院があるのかと調べてリアリティを感じながら読むことができました。
あとがきで著者のプロフィールが紹介されていたのですが…実体験に基づく内容と知り、納得感がより一層深まりました。
舞台となる看護学校は女性だけの学校なのでしょうか?いろいろな経験・人生を歩んでこられた方が集まっているので、妬みや嫉みが渦巻いていて…そんなにお互いに足を引っ張らなくてもよいではないかと心配になる世界。
主人公の瑠美は望んで、看護学校に進学したわけでは -
Posted by ブクログ
ローズ産婦人科病院で助産師として働く美歩は、キャリア6年目。
産婦人科の過酷な現状の中で、生まれてくる命だけではなく、失われる命も目の当たりにしている。
同僚の理央が、堕胎処置のきつさ、辛さを語る生々しい話。
看護師たちは命の芽を摘む残酷さを、妊婦本人よりも感じているのかもしれないと思った。
胎児に染色体異常の疑いがあり、産むか産まないか悩む妊婦、産む前に知ることができることが良いことなのか考えさせられる。
美歩の3歳違いの姉美生は、生まれながらにして脳性麻痺で障害があり亡くなってしまった。
美歩は大人になるにつれ、家族にとって姉美生の存在は尊いものであり、障害を持って生まれること全てが不幸 -
-
Posted by ブクログ
「満天のゴール」という題名の意味するところが分からないまま読み始めました。読んでいる途中から「ゴール」の意味がわかり、満天になるまでの「星」一つ一つの積み重ねを経て「満天」になるという人生の歩みそのものだと徐々にわかってくる。
最後の方は「満天のゴール」を迎える圧倒的な、しかし、静かな感動で心が揺さぶられ、同時にジワリと涙腺が緩みそうになりました。(帰宅途中の通勤電車の中だったので、あわてて途中で読むのを止め、駅を出てからマックでアイスコーヒーを買い、マックの中のカウンタ一席で(マスクをして)続きを読み終えました。)
少子高齢化、地域医療、特に過疎化が進んでいる地域の医療現場の実態。これら -
Posted by ブクログ
藤岡陽子作品、二作目
この人の小説は何がどうなのか分からないけど、最初の数ページで掴まれる
特に個性的な文体でもなく、比較的平易な言葉を紡いでいる
でも、はじめから言葉が私に染み込んできて、あっという間にページを繰ってしまう
不本意ながら看護学校へ通うことになった瑠美が主人公
看護師は病院に勤務するし、人の命についての描写もある
でも、私にはいわゆる「人が死ねば悲しいよね、泣くよね」という最近ありがちなストーリーには思えず、とても良かった
私も家庭の事情で望む進路に進めなかったので、当初の瑠美の投げやりな感じはすごく分かったため、特に感情移入しやすかったのかも
でも瑠美が時折吐 -
Posted by ブクログ
ネタバレ45歳独身の水樹が大好きな服飾の仕事を失いそうになり、その道に進むきっかけになる高校時代の恩師を訪ね、過去を振り返る。
水樹の子ども時代は懐かしく尊い思い出でもあるが、苦しんだ記憶でもある。貧しさといじめは幼い彼女ではどうすることもできないことだった。ただそこにはいつも信也がいた。体育祭のリレーの場面、カメムシの場面、自転車にイタズラされる場面など、どの過去を見ても優しい信也がいるから、それを思い出している水樹と同じ目線で熱い想いを持ちながら読める。
現在と過去を行き来しながら物語は進むが、過去にはいつも信也がいて、現在にはいない。この構造は読者に時の残酷さを刻む。どんな人の中にも同じように