藤岡陽子のレビュー一覧
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ネタバレ瀬戸内海。初めて四国を旅したことを思い出しながら、三人のおじいさんとジイからのメッセージを受け取る人々の物語を読んだ。
漁師のジイも、医師のジイも、石の博物館館長のジイも、しなやかで豊かだ。
いじめから不登校に悩むひ孫も、長年一緒に働いていた看護師も、ケガをして進路に悩むランナーである孫も、ジイたちのおかげで生きる活力を得ていく。
ジイ達が闘って身につけてきたもの。包容力と芯の強さが孫やひ孫たちの傷んだ心をあたためる。
どの話もいいが、ことに第三話が好きだ。
ジイを救った十歳も歳下の青年のあくなき鉱石への思い。悩める陸上少年の親友田宮の手紙。
「人生は短いぞ、澪ニ。今日一日を限界まで生きろ」
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ネタバレ戦争末期のフィリピンの惨状と従軍看護婦の仕事を初めて知りました。
現代社会の戦争のない平和な世界に生きている。
そのため、戦争の悲惨さを学ぶには、とても大切な1冊だったように思える。
命が1番大事で、命より大切なものはないってことを改めて思い知らされる。
この今の社会では、当たり前の考えが、1944年頃は、とても、ユニークな考え方だと言われていた。
そのような現実からすると、今から100年後の世界は、どれくらい考えが変わっていくんだろうと思った。
とても感動する1冊で、何度も泣いてしまった。この本を読み終えてしまったのが悲しい。
ドラマを見てみたいなと思った。 -
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樹木に比べれば人の人生なんて短い。
「いまこの瞬間にある本当の心を大切にしなければ、なんのために生きているのかわからなくなってしまう」
本当の心を大切にして、それが叶わなくても後悔はしない。
水樹と信也はやむを得ない事情で遠回りしたが、いつまでも自分の中の真実を大切にしていた。そして家族を護り続けた。それだけにクライマックスが嬉しい。水樹が旧友との再会で、自分のやりたいことを投げ出さなかったことも嬉しい。
人はこれが最後の別れになると気付かずに出会いと別れを繰り返す。
ずっとこの時間が続くという錯覚を取り払って生活しなくては。そんな思いが強まった。
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「私は、自決なんて絶対にしません。命が尽きる最期まで、この命を守りますよ。敵が目前に迫っているのなら降伏します。捕虜になってでも生き延びて、日本に帰るんですっ。私には……私たち班員には、会いたい人が日本にいるんです。まだまだこの先やりたいことだってたくさんある。誰が始めたかわからない、誰のためなのかもわからない、こんな戦争なんかで死にたくないんです。」
戦時中だったら決して言えない言葉。でも平成からやってきた彼女だから言えた。時代を突き抜ける力強い言葉
先日『晴れたらいいね』のドラマを観た。
ドラマよりもフィリピンでの従軍看護婦が観た世界が細部まで深部まで描かれている。
『晴れたらいいね』
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様々な問題を抱えた子供が集結した6年2組。
そのクラス担任になったひかり先生と生徒のお話。
そこに元校長が亡くなったという事件も絡んできて、ミステリー要素も含まれた内容で、予測ができない展開も面白かった。
先生が真っ直ぐで子供達の未来を常に考えてくれていて、その優しさに心温まる。
また荒れたクラスであっても、子供達の純粋で無邪気な様子や、先生の頑張りに応えようとする様子はとても可愛らしい。
個人的には授業中や行事の様子で、自分の小学生の頃の思い出と重なるような描写が多く、鮮明に小学生の頃の感情を思い出すきっかけになったりして、懐かしさや切なさを感じ、グッとくるものがあった。
少し読み進 -
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佐治さんが言う⇨どうしてだろう誰一人戦争を止める声を上げるものはいなかったが異常だったのだね、岩代の様な人間が大量にいたから、白飯を毎日食べる上官がいたから、赤紙一枚で簡単に命を奪った奴がいたから戦争が起きた。現在でも中国にロシアに戦争になる可能性あるのに、自民党 公明党 維新に投票する我々はもっと深く考えようよ!
川でパニックの進藤さんにファンユーファと声を掛けてた場面がグッとくる、あと戦友会の写真で全員生きて帰れた事も どうして紗穂が送られた意味を教えてくれた。婦長と紗穂とやり方は違うけど同じ道を進んでいる雪野さんならあなたたちの命を守るという言葉は重いし命より大切なものはないと言い切れ -
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海神
トイレが原因でいじめを受けるようになった小学校四年の優生は、瀬戸内の島に暮らす曾祖父を訪ねる。死期が近いという曽祖父だったが、元気に優生と接した。そして入院した曽祖父と優生が約束を交わす。
夕凪
20年以上も70歳を超えた医師を支えてきた。
その医師がクリニックを閉院すると言って、いなくなってしまった。
看護師は医師を探しに瀬戸内の島へ渡る。
親子ほど年が離れた二人に流れる時間。
波光
島で「石の博物館」を運営している祖父を訪ねた。博物館のリニューアルの手伝いをしながら、祖父の話を聞いた。
祖父が語った若き頃の話しが、前の作品につながる。
年齢を重ねるということを深く考えさせられた -
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ネタバレ藤岡陽子さんの作品は3冊目。
教師になり5年めの澤木ひかりが、問題を抱える水柄小学校6年2組の、新しい担任になった時から約1年間の奮闘記。
子どもは、親を選べない。
家庭に入れば、子どもにとって親はすべてだと思う。子どもは過酷な状況でも、なんとか順応しようと試みるものだ。
ひかりのクラスには、学校給食で命をつなぐ子どもがいる。私は(たくさん食べてたくさん眠る)は子どもの特権だと思っている。もし日本のどこかでおきていることなら悲しすぎる。
子どもは先生も選べない。
理不尽なことをされても、抵抗できない。
自分のことを真剣に考えてくれる先生を、どこかで探している。
そこに「光」がさす。ひかり