藤岡陽子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ほんとに、藤岡陽子さんの書く小説は、人生に大切なメッセージをそこここに含んでいる。それも、上っ面じゃなくて、肚のなかから出てきた、経験した人にしか話せないようなこと。
主人公の情けなさに最初辟易しそうになるけれど、大丈夫。母は強いのです。
そうそう、看護師と医師の安易なラブストーリーにならないのも、藤岡さんの小説の好きなところ。仄かに良い感じ、くらいでね。
好きな台詞を覚えておくために一つだけここに記録。
トクさんは涼介くんに会えて嬉しかったんだ。罠を作ってる間、きっとワクワクしてたぞ。人が人と関わり続ける限り、相手を想う気持ちがうまれるんだよ。 -
Posted by ブクログ
3編のお話が、チェーンのように繋がる構成となっている。
『海神⋯⋯わだつみ』
真鍋優生は、小学3年生の時から不登校となって1年が経つ。
ある日、父方の曽祖父が危篤だと知らせがあり、父親に代わって母、妹、そして優生の3人は、瀬戸内海に浮かぶ小島へ見舞いに向かった。
港に出迎えてくれたのは百合子叔母さんだけでなく、傍にいよいよ危ないと伝えられていた真鍋清次ジイが立っていた。
この物語の海は、とても荒れていた。
『夕凪⋯⋯ゆうなぎ』
48歳になる看護師の志木は、月島診療所に勤めて21年が経つ。
月島先生が一人だけの小さな診療所なのだが、ある日突然に1ヶ月後に閉院すると伝えられる。
その先生が、閉 -
-
-
Posted by ブクログ
医療に携わる著者ならではの作品。
表紙に満天の星が輝き、読み終わると夜空にひらく美しい花火が見られた。タイトルの意味がわかった瞬間、思わず涙が込み上げてきた。
33歳の内山奈緒は息子を連れ11年ぶりに寂れた過疎の町に戻ってきた。
「私は幸せにはなれなかった」…
携帯の画面はまるで覗き穴だ。夫の相手のブログの幸福に満ちたコメントを覗くと自分が薄汚れた存在になった気がする。惨めだ!
虫好きの息子、涼介はとても良い子。10歳と思えない程大人びていて「お母さんも怖いと思ったら攻撃スイッチに切り替えろよ。そうすれば相手の思い通りにならなくてすむ」と母を庇い、離婚届を持ってやってきた父親を追い返す -
Posted by ブクログ
藤岡陽子さんの作品を読んだのは、本書『手のひらの音符』が初めてですが、大好きな作家さんとなりました。
これからも、藤岡さんの作品を読み進めることは間違いありません。
そう思わせるほど、本書はただ面白いだけではなく(読み始めてから、ほぼノンストップで読み終えました)、共感できることや深く感銘を受けること、更に、考えさせられることが丁寧に描かれており、とても心に残る作品でした。
物語としては、主人公の水樹と信也(同じ団地に住む幼馴染で、保育園から高校まで同じ)の関係が主ですが、それぞれの家族や同級生、高校の恩師も含めた様々な出来事が、仕事上の悩みを抱えている45歳になった現在の水樹の視点から -
Posted by ブクログ
藤岡さんの小説は大好きですが本書もやはり…好き。
婚約を機に仕事を辞め婚約者の実家のある京都へ…が、思いもよらぬ京都のしきたり、家業を継いだ婚約者の変貌、何の為に好きな仕事を辞め京都へ来たのか、戸惑う十川美咲32歳。
東京で仕事をしている頃には持てなかった【時間】を手にした彼女が元々好きであった物作りへの衝動に駆られミシンを動かし始めたところから美咲の人生が大きく変わって行く。
自分は何がしたいのか、どうやって生きていきたいのか、事あるごとに立ち止まりながら、臆病になりながらも自分の気持ちと向き合い一歩一歩自分の足で人生を歩き始める…そんな美咲の人生から目が離せませんでした。
誰だって傷付きた -
Posted by ブクログ
藤岡作品はハズレが無い。ですから毎回「今度はどんな物語だろう?」と楽しみに予備知識を入れずに読む事にしています。
そして今回も期待通り「当たり」でした。
とある有名漫画家が「漫画は右上から始まり、左下までの間に次のページを捲る衝動をかき立てる様に描くのが基本です。」と語ってました。
藤岡作品も漫画とは異なりますが、物語のエピソードが次々と変化していくので「その先を知りたい衝動」をかきたてられてページを捲る手が止まりませんでした。
ちょっとだけネタばれ。
主人公は春野暁、中学生2年生の女子。友情と絆と成長の物語。
物語としては出来過ぎ感はあるので、児童書か?とも思いましたが、相変わらず優し -
Posted by ブクログ
文句なく⭐︎5つ!
素晴らしい小説だった。
帯を見て新米教室が子供達に降りかかる困難に奮闘するお話…と思い手にしたが、そんな軽いものではなかった。
今や小学生の抱える問題はお友達と喧嘩しちゃった…勉強が難しい…ありきたりなものではなく不登校、ネグレクト、貧困、不法滞在、小児性愛者…そのどれもが紛れもなく社会問題である。
社会問題があどけない小学生の学校生活にまで入り込んでいる事が恐ろしい。
そしてそれらの問題から目を背ける事が当たり前のようになってしまう教師のあり方、そうせざるを得ない教師を取り巻く環境、教師ばかりではなく親の在り方、家庭環境、地域社会の子供への関わり方…波紋はどんどん広がるば