藤岡陽子のレビュー一覧
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藤岡陽子さんのデビュー作。人間模様を分かりやすく伝えてくれて、文体も読みやすいのはこの頃からさすがだと思う。
迷いながらもひたむきにがむしゃらに進む、が藤岡作品の主人公たちに共通するキャラクターであり良さだと感じていて、その点は今回も同様だった。また、社会の不条理を織り込んで、ご都合主義にならないストーリー展開も好きだな。
後の作品をいくつか読んだ身からすると、恋愛の進展を安易にストーリーに絡めない(あっても恋愛はサブのサブくらい)作品が多かった印象で、好ましく思っていたので、本作品は恋愛絡みの分量がやや多かった点が惜しかったかな。これは好みの問題かとは思う。 -
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動物が好きで、動物に救われて生きてきた女の子が、獣医師になる物語。
好きだからこそ苦しいこともたくさんあって、可愛いとか尊いとかそんな事だけでは済まない残酷な命の選択も目の当たりにして心が折れて。でも友達の存在に励まされて。
実習には本物の命を犠牲にする検体もあって、でもそれにしっかり向き合ってその犠牲に見合う学びをする覚悟が印象的だった。
私も動物が好きで、動物を題材にした映画や物語はなかなか見れない(大抵の場合死がセットなので)くらいなのだけど、生きていくことと死ぬことの近さを恐れないでいられるようになりたいと常に思っている。聡里の成長を見ていると、動物へと愛情や関わり方のひとつの答えを見 -
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医療・介護の現場に長けている藤岡陽子さんならではの物語だ。
介護の現場で起こる様々な問題、従事する人達の悩みや困難さが描かれている。
主人公の溝内星矢は、福祉系の大学を卒業後にお笑い芸人として活動していたが、28歳の時にその夢を捨てて介護士として「森あかり」で働き始めた。
大学で学んだことと現場との差に戸惑いながら従事するのだが、施設長からは常に叱責される毎日だった。
そのために星矢は、介護士の仕事は自分に適していないのではと考えるようになり、自信を失ってしまう。
しかし入居者の人たちは親身に接してくれる星矢に対して理解を示し、温かい視線で見守っていた。
物語では介護士の人達の過酷な労働環境が -
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たまたま書店で目に入った本!
海とジイ というタイトルからでもなんだか潮風の匂いや懐かしさを感じるような感情を抱いた。
内容は違うが、似たような雰囲気の本でアンマーとぼくらという本を思い出した。
海が舞台になっているとそれだけで読んでいてほのぼのした、癒される気分になるが、そこにジイが混じるとより一層その感情が強まる。
私自身おじいちゃんおばあちゃんっ子で、二人とも数年前に亡くしており、今でもいろいろな教えを思い出す。
特におじいちゃんは常に人生の教訓のようなことを口にしているのが印象的だった。
◯
もうすぐ出産を控えていることもあって、私も自分の子供や孫になにか残せるような、教えられること -
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小学校教諭になって6年目の澤木ひかりの奮闘を描くお話。
現代の子どものバックグラウンドには、貧困、虐待、など、多種多様な問題が隠れていることも少なくない。澤木先生は、そういった生徒たちの問題に真正面から対峙し、「なんとかしたい!」という熱い想いを持って直感で行動していく。そして子どもたちやその問題と向き合っていく。その姿勢には本当に感銘を受けた。
でも、こうした複雑に絡み合う問題を解決していくには、先生たった1人の情熱だけではなく、他機関連携のもと、チームで解決していかないと、先生が潰れてしまう。子どもたちの未来はもちろんのこと、その子どもたちを支える、そこに関わる方々の未来も、明るいもの -
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藤岡さんのお話は大好きで
何冊か読ませていただいてますが
今回は、また雰囲気が違う感じがしました。
主人公の美咲が社会人になり心の奥に置いていた、美大で磨いたセンスを京都の西陣織りを見たのをきっかけに再燃。
むくむくとクリエイター魂がふくらみ一歩一歩、いろいろな縁と運と、信用が道を少しづつ広げてくれるのにわくわくしました。
反対に恋愛のほうは、お互いに余裕がなかったり、お互いの家族とそりが合わなかったり
相手を信じることが出来なかったり、その時は些細なことでも、
何度か、すれ違いや不信感で半年前には思いもよらなかった
方向に進んでいく。
夢ががあってもそれを捕まえることができる人はほんの一 -
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