藤岡陽子のレビュー一覧

  • 跳べ、暁!

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    中学二年で転校してきたバスケ少女、春野暁。
    仲良くなれた大人びたメガネ女子の吉田欣子と、それまでなかった女子バスケ部を立ち上げることに。
    色々な生徒が少しずつ仲間になり、少しずつ暁も強くなっていく。
    主人公の暁は比較的目立ったところのない少女に見えるのだが、周りの友達がバラエティー豊かで、もめたり、まとまったりが中学生らしい。
    それが試合になると、急に暁のエースぶりが際立って描かれるのも面白い。
    スポーツ以外に社会的な問題も絡めていたり、思春期の色々な思いも感じられて、学生さんに読んでもらいたい青春物語です。

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    2021年08月25日
  • 波風

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    小さな笑みを積み重ね幸せに生きたいものですが、人生はそう思う様にはいかない。
    この七つの短編も、大きな『波風』が立った家族・夫婦・親友の物語。決して腐らず、諦めず一歩を踏み出す人々。爽やかな勇気と安堵感をもらえました。

    デビューするきっかけとなった、第四十回日本文学賞選奨作でもある『結い言』が収録されています。
    期間は十日間の着付け教室で出逢った年老いた男性、倉嶋さんの凛としたたたずまいに女性たちは「アルコールランプの炎のような人だ」と称し魅せられます。
    「みんな、倉嶋さんへの最後の言葉は「さようなら」ではなく、「ありがとう」だった。私もまた、喉の奥でそう呟いていた。」
    果たして私は人生最後

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    2021年07月22日
  • トライアウト

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    「自分の頑張りに星をくれる人がいる。それだけで人は生きられるのかもしれない。」の『満天のゴール』でファンになりました。
    『トライアウト』は二冊目です。どちらも感動をくれました。

    新聞記者の平久可南子、息子の考太を取り巻くほとんどの人(一部ずるい人はいますが)が善良で温かい。特に担任の先生の台詞は、ちょっと素敵でした。

    シングルマザーとして不器用なほど懸命に生きてきた可南子は、妹・柚奈に「人生を楽しまないと」と励まされ、また、崖っぷちのプロ野球選手・深澤翔介との出逢いにより、人生を大きく動かされてく、魅力的なストーリーです。そして、読後は
    希望が湧き、爽やかです。

    「ひとは気持ちのある限り

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    2021年07月20日
  • むかえびと

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    良かったです!
    助産師という「命」に関わるお仕事について。
    生まれてくる命はどれも尊い命に違いはないけど全てが喜びにあふれて迎えられるわけではない。悲しい現実も命の選別に苦悩する場面もある。
    妊婦さんに寄り添い「命」を預かる「助産師」という職業の重みみたいなものを改めて感じました。

    出産のリアルな現場だけじゃなくミステリー要素も楽しめます。
    身勝手な男に気分の悪い思いや医療の闇の部分を見た気もしますが、今後も追っていきたいと思わせてくれる作品でした。
    シリーズ化して欲しいなぁ♪

    『仕事をするって、生きることなのよ。真剣に働くってことは、真剣に生きるってこと』

    『真実を知って、ようやく動き

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    2021年04月10日
  • ホイッスル

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    ストーリーとしては、大変面白く一気に読んでしまいました。
    ただ、辛すぎて、気持ちが落ち込みます。
    看護師の母親は、そんなに悪者でしょうか?
    夫の愛情も金銭的な支援も無く、子育てしながら必死で働いて来たのに、最後の最後に全てを失ってしまうなんて。
    息子のうち1人でも母親の辛さをわかって、助けてくれてたら違ったと思いますが、所詮子どもは、あてにならず。
    結婚相手は、お互い 尊敬し、思いやれる人とでないと…ということですね。

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    2021年02月14日
  • むかえびと

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    「母親は自分の命を懸けて、新しい命を産むじゃないですか。でも命を葬る選択もする。その違いってなんなのかな?生まれる意味のある命、ない命、そういう違いがあるんでしょうか」
    毎日、産まれる命と真剣に向き合う助産師の心情を的確に表現している台詞だと思った。命を守りたい、そんな高い志で助産師となり、様々な現場に直面する。

    この世に産まれ出て、その手の中に1番最初に受け止めてくれる助産師。彼女たちのリアルな現場を覗き見たような、泣きながら夢中で読めた一冊でした。

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    2020年12月06日
  • トライアウト

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     思いがけないことが我が身に降りかかったら、どうする?
     主人公可南子は新聞社の記者。野球選手と不倫をして、別れた後に妊娠が分かる。しかも、不倫相手ではない人が不倫相手だと思われ、その人が野球の八百長で世間を騒がせてしまう。

     そんな状況になっても、彼女は子どもの父親が誰かを誰にも言わない。仕事も辞めない。でも、シングルマザーで勤務時間の不規則な状況で子どもを育てることはできない。だから、息子を仙台で新聞店を営む両親に預ける。

     可南子は自分を守るために肩肘を張って、依怙地になって、子どもを犠牲にしているように見えた。どうしてそこまで頑ななのか。そんな可南子が初めは好きになれなかった。何を

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    2020年09月25日
  • 波風

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    どの話も辛く、悲しく、切ないけれど、最後にぽっと心が暖かくなる(*^^*)これは人前で読んだらアカンやつ(T-T)

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    2020年09月14日
  • 跳べ、暁!

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    女子中学生のバスケ部活ものとは思えない濃度の高さ。ド素人なのに桜木並みの運動能力で活躍したり、アフリカの留学生(ではないけど)がいたり、部員それぞれの複雑な家庭事情が明かされたり、という約束事を踏まえつつ、バスケットの技術面や試合展開についてしっかりと描かれている。一見平凡そうな主人公が実はかなりのやり手である感じがするので、高校進学後のシリーズ化を待ち望む。

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    2020年09月03日
  • トライアウト

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    佳作を連発しているアベレージヒッター。どれもこれも外れが無くもれなく面白いです。
    そしてアベレージヒッターつながりで野球を題材にした小説です。
    シングルマザー、親子の確執、愛情。あきらめない、あきらめられない心。誰にでもある過去の傷、自分だけではないという気づき。いつまでも小さい子供ではない、成長していつか自分を追い抜いて行くという寂しさと喜び。
    色々な要素が内包されていてとても奥深い本だと思いました。
    主人公の父がとても頑固なおやじなのですが、孫との信頼関係が見ていてとてもうらやましかった。自分はほぼ祖父の記憶ありませんが、かなりのダメ男だったようなので頼りになる男が周囲に皆無だったので、こ

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    2019年12月19日
  • トライアウト

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    今年も11月13日に合同トライアウト開催、その前に元報知新聞記者藤岡陽子さんの小説を読んでみました。野球人生のやりきった感はとても厳しいようです。

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    2018年11月10日
  • ホイッスル

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    底知れぬ悪意に翻弄されながら、自分を失うことなく強く生きる人びとの姿を通して家族の在り方を問う家族小説。
    愛情とは人間の根幹から形成されるだけに、間違った経緯で誕生するとたちが悪い。長年連れ添った妻よりも、不幸な生い立ちの女性を守りたいという気持ちが、単純に誤っていると断言できないのが、この作品の怖いところ。関わる弁護士の言葉でタイトルを付けた巧さが光る。

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    2018年11月04日
  • トライアウト

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    最初の数頁で読むこと決めたのに、なかなか読み進めず、途中でやめようかと思ったのですが、中盤からは一気に読みました。

    考太の「辛い時はその場でぐっと踏ん張るんだ。そうしたら必ずチャンスはくる。チャンスが来ない人は辛い溶きに逃げる人なんだ」との言葉に涙が止まらなかった。

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    2018年08月20日
  • トライアウト

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    戦力外を通告されたプロ野球選手が、来季以降の現役続行を賭けて、12球団合同でおこなわれる入団テストに臨む「トライアウト」。毎年トライアウトに参加した選手のその後に密着したテレビ番組も制作されています。そんなタイトルが付いているので、主役はプロ野球選手だと思って読み始めたら、選手に取材することになった新聞記者が主人公でした。人生のトライアウトです。

    可南子は東京の大手新聞社の勤務するシングルマザー。8年前、不倫相手と別れた直後に妊娠が判明。相手の名前は誰にも打ち明けることなく出産し、宮城に住む両親と妹の協力を得て、息子の孝太を育てている。孝太の妊娠がわかったころ、八百長疑惑で捕まった野球選手と

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    2017年05月10日
  • トライアウト

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    途中まで、中弛みしてどうなることかと思いましたが、最後は綺麗にまとまりました。
    注意して読めばいろんな矛盾や無理があるストーリですが、それを気にさせない爽やかさがあります。もっとも爽やかすぎますかね、その分、軽くなってしまった様に思えます。

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    2016年12月05日
  • 春の星を一緒に

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    シングルマザーの看護師である奈緒は、父親の死をきっかけに東京の病院へ行くことになる。共に仕事をしたことのある医師三上の勧めがあったからだ。
    緩和ケア病棟で死を迎える患者たちと向き合いながら仕事をする奈緒。
    そして息子の涼介は医学部を目指すと言い出す。
    母親として涼介のサポートをしながら仕事も頑張っていて、応援したくなる。
    なかなか進まない奈緒と三上の想いも、読んでいて焦ったくなった。

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    2026年08月22日
  • 跳べ、暁!

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    母を亡くし、父の故郷に越してきた中学生の暁。
    転校生として慣れない毎日を過ごしている。
    それまでのずっとミニバスをしていた暁は
    学校に女子バスケ部がないことを知り、自分で新たに立ち上げる。
    バスケに打ち込む暁とその友人の成長譚。
    女子中学生の、親や同級生との確執や未来に対する不安など様々な問題があるけれど、子どもなりに考えて解決していく。
    バスケ部のメンバーそれぞれのキャラクターがいい。未来に向けて歩み出す姿が清々しい作品。

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    2026年08月13日
  • 青のナースシューズ

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    藤岡陽子さん3作目。あの本、読みました?の番組内で、今作についてご本人が語っておられたのを拝見して。

    看護師は、世間的には珍しく、男性であることが不利になることも少なくない職業である。
    看護師を志す青年成道。同じクラスの男子学生は計5名。ストレートに看護師を目指した学生が多数であると思われる女子に比べ、彼等はそれぞれに事情を抱えている。なぜ看護師を目指したのかを聞かれてしまいがちな彼等は、順風満帆とは言い難い日々を過ごしながら、数少ない同期生同士、支え合いながら学んでいる。

    成道が実習で受け持つ患者は.ターミナル、術前の小児、切迫の妊婦、訪看/循環器。成道はとにかくひたすら真面目に取り組む

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    2026年08月02日
  • わたしの名店

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    実在の店について語られているから、ガイドブックにもなっています。

    書き手28名の中には物書きが本職の人もそうではない人も。中にはちょっと鼻につくなぁって感じであまり好きになれない人もいるけれど、総じて楽しい。

    余談ですが、数日前に『仮面ライダーゼッツ』でイカつ過ぎるミムラを見たばかりだったので、書き手の中に彼女の名前を見つけたときには笑ってしまった。ごめんなさい。

    私は大の酒好きゆえ、ついお酒の章に目が行きつつも、酒だけじゃアカン、美味しいものも食べたい。ほかの章との合わせ技で存分に楽しませてもらいました。

    コロナ下でアルコールの提供禁止になったとき、ノンアルコールの一人呑みじゃやっぱ

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    2026年08月02日
  • 青のナースシューズ

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    看護学生の成道が、ヤングケアラーとして大変な日々を送りながらも、夢を叶えるために懸命に頑張る姿に心を打たれた。男社会で奮闘する女性を描いた作品は多いけれど、その逆の立場を描いているのが新鮮だった。特に心に残ったのは、成道の「努力って消えないんだ。頑張ったことは一生自分の中に残る。生きる力になってるんだ」(p178)という言葉。子どもの患者に語りかけながら、成道自身にも言い聞かせていたのだろうと思う。

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    2026年07月27日