すべての高評価レビュー
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Posted by ブクログ
なんて綺麗な本なのだろう。
この感想に多くの人に疑問を持たれるかもしれないけど、でもそれが私の率直な感想。
登場人物たちの心は本当に綺麗だった。ヤングケアラーのことや、愛への向き合い方、取り扱っているテーマは決して綺麗ではなく、重苦しいものたちばかりだった。でもそこに乗っかっている感情はとっても綺麗だった。
そして、個人的にはみんなへ共感をしてしまっていた。世間体とは大きくずれた彼らに共感をしているということは、きっと私も世の中のいわゆる”普通”とは違った感覚なのかもしれない。でもその自覚はあるし、この本の登場人物に誰よりも純粋な敬意を払えているのは私なんじゃないかとまで思う。
この物語は、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ尚成が「どうでもいい」と受け流して生きていることに、「そんな人がいるんだ〜」と衝撃だった。でも、読み進めるうちに「確かにそう考えるようになるかも」と納得できた。今まで、自分自身が何も考えず、これが当たり前で疑いなく生きてきた事に気付かされた。
共同体の拡大、発展、成長の中にいる。
そして、私も「自分自身を良きタイミングで新商品化させよう」と思ってきたし、何なら「毎日でも自分自身を新商品化させたい」と思ってきた。
こういうことだったのかと、なんだかとってもしっくりきた。
ストーリー内に描かれた思考や感情の動きは「確かに」と納得できる、けれど私の思考の範疇にはなく新鮮なものばかりだった。ただ1 -
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アイルランドの移動生活者(パヴィー)の青年ジムは、新しい学校に通うことになった。別に行きたくて行くわけじゃない。役人が行けと言うから行くだけだ。でも、母さんはジムに、文字の読み方を覚えてほしいと期待している。ジムの家族はみんな文字が読めないのだ。登校すると早速生徒たちからお馴染みの差別的な反応が返ってきた。ただ一人、キットという子だけは違った。
移動生活をしている人たちがアイルランドに今もいることを初めて知りました。家族全員文字が読めないということから、移動生活をしている人々が抱える困難が垣間見えるように思いました。この本は、差別などの問題について書かれた本であると同時に、美しい恋愛小説でも -
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ついに小市民シリーズ最終章。
冒頭でいきなり小鳩くんが轢き逃げに…大学受験もふいになり、文字通り動けない入院生活を強いられることに。
もて余す時間を埋めるかのように、小鳩くんの意識は3年前へと向かう。
小山内さんとの“馴れ初め”であり、また自身の封印したい過去でもある事件と向き合う。
過去の追想と現在を行き来する形で、物理的には動けない小鳩くんが躍動する。
全4作のうち、一番本格的なミステリーの印象。
過去のトラウマと向き合ったことで、小鳩くんの内面的な成長が感じられるラストも感慨深い。
過去の出来事が語られたことで、ここから1作目の「春期限定〜」を再読するのもまた味わい深そう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ青山美智子さんの本は、読むたびに
『今までで一番好き』
って思わせてくれます。
今回のは、いろんな世代の人達の
苦しかったり切なかったり…
その時々の気持ちを『物語』というよりは
『詩』のような軽い感じで読み進めることができました。
いろんな世代の人達の話し…
だと思っていたのに実は一人の女性のお話し。
これには、びっくり!笑
そして、後の章(BOX2)では、アナザーストーリーが
控えていました。
この構成は私の大好物!
途中に入る写真も抒情的でとても素敵。
また大事にしたい本に出会えました。
☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…
『転ばない人なんていない。そんな人生なんてな -
Posted by ブクログ
ネタバレ松永光弘は、自社の高層ビル建設現場に関する不審なツイートの真偽を確認する為に、地下へ向かった。異常な乾燥と嫌な臭気の中調査を進めると、図面には無い巨大な穴のある祭祀場に辿り着く。そこで一人の男性を発見してからというもの、怪異が日常を侵食し始める。
終始からっからで、臭い(笑)
いや、これは褒め言葉である。今まで触れたことのない独特の温度。言ってしまえば、臭い小説は結構ある。でも、こんなに乾燥を感じた小説は今までなかったかも。今が冬であることを差し引いても、読み進めるほどに喉が渇いていく。水を浴びるほど飲みたくなった。それだけ作品の雰囲気が確立されているということだろう。私が本作に高評価をつけ