【感想・ネタバレ】呪文の言語学のレビュー

あらすじ

※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。

★作品社公式noteで「まえがき」公開中→「呪文の言語学 試し読み」で検索!
呪文もことばである。
ルーマニアには古い魔女文化がいまも残っているとされている――。東欧在住20年の言語学者が、魔女大国とも呼ばれるこの地の民間伝承や実体験をひもとき、“呪文の正体”に迫る。不思議でちょっと怖い呪文の世界をめぐる、まったく新しい言語学エッセイ。
◎附:「言語学者から魔女へのインタビュー」
◎カヴァー写真:スクリプカリウ落合安奈
〈ちちんぷいぷい〉、〈アブラカダブラ〉、〈ビビディ・バビディ・ブー〉……この世はさまざまな「呪文」で溢れている。(…)幼いころの私たちにとって身近なものであった呪文だけれども、そもそもあれは何だろうか。単なる語の羅列に過ぎないのだろうか。(…)本書では、(…)言語学者が「呪文という聖域」に片足を突っ込んで、先人たちの研究を足掛かりにさらに深いアプローチを試みる。――本書より

まえがき
1 魔女
100回ひゃっくりすると、ちぬの/あれから30年/ルーマニア留学/先生は魔女?/留学ないない/吸血鬼/トランシルバニアの呪われた森での儀式/魔女とキリスト教/魔女狩り/魔女の東西/キリスト教の東西/魔女大国ルーマニア/「魔女」と「魔女像」の落とし穴/キリスト教による魔術の禁止/ルーマニア正教会と魔女/魔術師の学校/ルーマニアの魔女
2 魔術
「魔術」の名称/「魔女」の名称/魔術の定義/ルーマニアの魔術/マナの魔術/雨乞いの儀式「パパルダ」/ルーマニア人の魔術におけるロマの役割/魔術の構成要素/魔術の構成要素①魔術の役者たち/魔術の構成要素②魔術行為者の性別/魔術の構成要素③詠唱条件
3 呪文
呪文の継承/魔術書と識字率/呪文の差異/呪文の「理解性」/「理解不能性」の心理/ルーマニアの意味のないことば/口調と復唱/沈黙という呪文/呪文の宛先/魔力発生源/神話的創造物/護符/呪文の効果/ことばと呪文/ことばによる類感魔術/呪文の類型分類/ことばと呪文の境目/呪文の最小単位/ぼくのかんがえたさいきょうのじゅもん
言語学者から魔女へのインタビュー 山田エリーザ
あとがき
注/参考文献/図版出典

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

一言で魔女、魔術といっても、ヨーロッパの各地で違う。ハリーポッタのような英国、魔女狩りのあった南ヨーロッパ、そんなイメージとは全く異なるのが本書、ルーマニア
そんな地域ごとの違いを知るだけでもこの本を読む価値がある

0
2025年10月20日

Posted by ブクログ

ルーマニアに根付く魔女と呪文を様々な面から解きほぐす興味深い一冊。周縁のカルチャーを程よくおさえ、専門的な箇所も分かりやすく解説しており読みやすい。もちろん言語学の視点も面白く、巻末のインタビューはリアルな呪文エピソードが満載だ。呪文好きには必須の好著!

0
2025年09月22日

Posted by ブクログ

 著者はルーマニア国立パベシュ・ボヨイ大学日本文化センターの所長で、言語学が専門である。高校卒業後にルーマニア政府の奨学生として、前述の大学に留学している。

 我々が魔女として思い浮かべつるのは、とんがり帽子帽子をかぶり、ほうきに乗って空を飛ぶ老婆である。しかしこれは、西欧の魔女のイメージである。ルーマニアの魔女は違っていた。妖しげな魔術、魔法を使うわけではない。といっても、日本人からするとやはり「怪しい」のだが。日本でも、占い、お祓い、或いはおまじないといったものがあり、それと同程度のものかもしれない。

 著者は言語学者なので、本書ではタイトル通り「呪文」について多くのページを割いている。本書は思っていたより、学術的な内容となっており。ちょっと難しいと感じた。最後に著者が考えた薄毛に効く(かもしれない)呪文が載っているところは、なにか面白と感じた。

0
2025年11月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ルーマニアに根付く呪文や魔術の文化について、主に言語学的観点から迫っていく本。読み始めてから「ロマニ・コード」の人だと気がついたけど、本書も軽妙な語り口で専門的な内容を面白く読ませてくれる。
中盤からの呪文についての専門的な議論は少し難しいところもあったが、呪われた森に残る儀式の痕跡やおまじない的な呪文が今も生きていることなど、著者の体験談や巻末インタビューなどで触れられる日常の魔術体験が興味深い。日常での呪文のあり方は、前に読んだ「呪われたナターシャ」のロシアでの呪術文化に近いかもしれないと思った。呪文の引き継ぎが文字ベースでないところなど、違いも結構あるけれど…。
本書では詳しく語られなかったロマの魔女の話なんかをもっと詳しく読みたいので、そのあたりをフォローした本を出してほしいなあ。

0
2025年11月17日

Posted by ブクログ

魔女の歴史から始まり、ルーマニアの魔術体系・呪文の言語学的分析と、かなり読み易く作られていました。
本書を読んで、まず1番驚いたのはルーマニアでは現代においても魔女が存在する(信じられている)という事、また呪いや魔術的儀式も行われているという事でした。現代日本では子供騙しの呪い(痛いの痛いの飛んでいけ等)すらあまり耳にしなくなったのに、ルーマニアでは大人でも呪いする(してもらう?)というのは驚きでした。
呪文の言語学的解説も例文を原文と日本語訳ありで解説していたので、原文の文字列や音でしか説明できない事、言葉の意味の方に意義がある等の説明もわかりやすくてとても良かったです。
最後に著者の茶目っ気も垣間見れて楽しく読めました。
また、本題が終わった後の山田エリーザさんへのインタビューもとても良かったです。

0
2025年10月19日

「雑学・エンタメ」ランキング