小池真理子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
私個人、本当に個人的な意見です。最初に言っておきます。
夫婦は愛だの恋だのを経て冷め切って同居人になり、同居人以下になり、邪険にまでなった。
挙げ句の果てには、この際別々に生きて行こうか…
などど考えてしまっている最中に出会った本でした。
我が家とは関係性も全く違うものの、今まで居た人が居なくなる…死という事実は想像を遥かに超えた
孤独と寂しさなのだと教えていただきました。
「今週はずっと雨だねぇ…」という呟きに何の返事も返ってこない、ご飯を食べても美味しいというわけでもない、何なら喋らないで1日が終われる自信があるくらい会話がなくても、存在があることこそが
幸せなことなのだ、気づかせてくれました。
失ってわかるもの、失わないとわからないもの。
全ては自分の甘えなのだと気が付きました。
藤田氏の「事故で彼女の内蔵が出ていたら自分の手で戻してやる…」という究極の愛情表現は
今の私にとってこれからの一本の太い柱になりました。 -
Posted by ブクログ
娘のために結婚し、平凡で幸せな生活が送れると思っていた。しかし、ほんの少しのボタンの掛け違いから、人の心理はこんなにも複雑に絡み合い、予想もしない方向へ進んでいくのかと驚かされた。まさかの展開に、一気に読み進めてしまった。
それぞれの登場人物が「守りたいもの」を抱え、その思いが長い人生を通して丁寧に描かれている。守りたいものがあるからこそ、人はうそをついたり、耐え忍んだりしながら時を重ねていく。そして、その積み重ねの先で、人は死を迎えるときに何を思うのかを深く考えさせられた。
『人生は無心に回り続けていて、今は一瞬の点を通過しているだけかもしれない。このまま時間が回り続けていけば、また会えるかもしれない。』
野々宮のこの言葉に、別れの先にも希望があるという温かさを感じ、読み終えたあとも長く心に残る作品だった。 -
Posted by ブクログ
壮大な大河ドラマでも見てるかのごとし
ページをめくる手が止まらなかった
夫を亡くし、再婚した女性の、淡いプラトニックな恋物語かと思いきや、そんな単純ではなかった。
後半で、様々などんでん返しが。
俊輔のモラ夫ぶりが言葉一つ一つですごく伝わる
主人公には、多々イライラさせられた
特に、最後の野々宮の決断に対してとった態度
普通、野々宮の決断には理解できると思うが、、
幼稚だよね
実写化するなら、、
さわ 森田望智、徳永えり、河合優実、中村ゆり
野々宮 ディーン・フジオカ、中村倫也、玉置玲央
森山未來、松村北斗、宮沢氷魚
俊輔 高嶋政宏、渡部篤郎、上川隆也、内野聖陽
で、どうでしょう
皆様のご意見は??
-
Posted by ブクログ
読み終わって思ったことは、小池真理子さんのファンであれば、この一冊は読まなくてはならないと云う程に秀作だった。
7編の短編集なのだが、どの物語もジワジワと胸に迫ってくる内容だった。
小池真理子さんが各短編に込めた主人公たちの心の迷いが、とても繊細に綴られている。
酸いも甘いも知り抜いた年配の方々ほど、登場人物たちの心の内の機微が理解できるのではないかと思った。
人は生きている限り、何かしら人には決して言えないような悩みや迷いを抱えていると思うが、歳を重ねるにつけ心の内には変化が生じるようだ。
そんな繊細な心の内を、分かりやすい丁寧な言葉で小池さんは綴られている。
7編中、私が特に印象深かった物語は「夜に庭」と「日暮のあと」だった。
どちらも人生で宿命的に背負ってきた重荷を、あるきっかけで重荷から自らを解放する年配の女性の物語だ。
この物語の婦人たちの気持ちを思うと、泣けた。
きっと若い時に呼んでも理解できなかっただろう。
人生の終焉が見えてきた時、人は何気に素直になるのではないだろうか。
迷いも悩みも、ましてや恋さえも、何となく達観したというのか余裕を持てるというのか、客観的な受け止め方をして寛大な気持ちで接するのだと思う。
余裕を持ちつつ、前向きな気持ちで晩期を迎えることができれば理想だ。
表紙の黒猫さんは、日暮れのあとにやってくる明日を見つめているようだ。
それにしても小池真理子さんは、短編の魔術師のような作品を生み出してくれる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ生まれて間もなく誘拐された実の弟が見つかり
彼は大好きだった父の生き写しになっていた
主人公澪は愛人として自堕落な生活を送っていたが弟昭吾は澪の心を癒し
また昭吾も澪に惹かれていく実の弟との恋愛小説だ
オチが賛否両論と聞いていたが私はその直前の昭吾の希死念慮が幼少期からあったという話や
最後は別れるか死別だなと思っていたので昭吾からの無理心中という選択肢にある意味愛を見つけた
澪は愛人と決別しちゃんと未来を生きて行こうとして最後の一ページのオチだ
確かに賛否は出るだろう
でも私は世間で認められない近親相姦であり実の姉と弟未来がないと分かっていたけど未来に歩多かった澪と澪に惹かれたからこそ澪と無理やり死を選んだドライブ事故という形でというオチに美しさを覚えた
物語は必ずしもハッピーエンドじゃないといけないわけじゃない
普通の恋人たちの話だったら私もこのオチはあんまりだと思うだろう
でも姉弟として恋人になってしまった二人のオチとしてはなんて美しんだと思った
死を選んだ昭吾は育ちのせいで歪んでいたんだろう
澪も歪んでいた
歪んでいた二人が美しく花のように水中に落ちる話であった -
Posted by ブクログ
ネタバレ1963年11月9日、横浜で鶴見事故、福岡の大牟田で三井三池炭鉱大爆発があったその日、両親を殺害されたある少女が主人公。
小池真理子さんご自身が10年を掛けて紡ぎ上げた大作とあり、私のような素人がインタビュー記事を読み齧っただけで感想を述べるのもおこがましいのですが、喪失しながら歩み続けたからこそ書げられた作品だったのでは…と、胸がいっぱいになりました。
なぜそう思ったかの理由は、左千夫の描き方にあります。
映画館で間宮と対峙したあたりから立待岬での幕引きまでは、左千夫のことを陰鬱で臆病な自尊心の固まりのように容赦なく描写されていますが(実際に百々子を見つめる左千夫の視線と妄想は反吐が出そうになるほど)、終盤にある百々子と美村の会話の中では、百々子が左千夫を「あの男」と呼びながらも、ある一点でのみ血の繋がった叔父を赦すような、左千夫の心情をはかろうとするような発言を残しています。
ページをめくる時間すら勿体無いくらい物語にのめり込んでいた私にしてみると、断罪から赦しへ急転直下のような印象を受けましたが、おそらくこの間に、小池真理子さんの歩まれた時間による作品への向き合い方の変遷が詰まっているのでは。
自分に負けない、その思いで自分の人生に向き合い続けた百々子の再生を描いて、自らの日常からずっと逃げ続けた左千夫の未熟性と異常性を際立たせつつも、被害を受けた当事者・百々子以上に読者が左千夫を糾弾することのないよう、物語を動かす“神の手”を持つ作者として、小池先生は終章で左千夫への裁きにピリオドを打たれたように思いました。
--ここからは各登場人物について思ったこと--
たづ
出てくるだけで安心する。百々子への無償の愛。たづみたいなお手伝いさんって存在するんだろうか。いなさそう。その点ではこの作品唯一のファンタジー要素であり、癒しであり、薬箱で太陽。
紘一
分かってるのに、百々子を遠ざけた。ちゃっかり結婚、海外駐在。…と言い切っちゃうのは読者として無責任すぎるなと反省。自分の責任の取れる範囲で人と関わり、そこに全力を尽くそうとする真人間。
美佐
無念、ただ無念。律に会わせたかった。
清水
左千夫の同僚。左千夫が虚偽の退職理由を語った時、多分本音では気づいてだと思う。
間宮
定年前に謎が解けてどう思ったか知りたかった -
Posted by ブクログ
タイトルから抽象的でよくわからない話が多いのかなと思いましたが、展開自体はわかりやすく、続きが気になってどんどん読みたくなるような文章でした。背筋がぞっとした瞬間も何度かありました。
ですがやはり異形の正体はわからずじまいで、気になる所で終わるお話もあります。
「山荘奇譚」は王道のジャパニーズホラーという感じで良かったのですが、何があったのか?なぜそこに居着いているのか?など幽霊の背景がとても気になります。
「ゾフィーの手袋」は女性に感情移入してしまい、ゾフィーに負けるなと応援したくなりました。
「森の奥の家」の大切な帰る場所を舞台にした穏やかな雰囲気が好きだったので、社長との不倫の設定は特にいらなかったです。
浮気、不倫などが絡むお話が多いので、影のある成人を書く導入として使いやすいのかなと感じました。
雰囲気や文章が好みだったので、他の作品も読んでみたいと思います。