小池真理子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
角川ホラーアンソロジーの「堕ちる」です。
コンセプトが割としっかりしている短編って「長編で読みたいなぁ」と思うことが良くある。
同じシリーズのアンソロジーで「潰える」「慄く」では、短編だからこそできる潔さがあったけれど、「堕ちる」に収録されている作品は、後を引く感覚があった。その後の出来事、前日、話が飛んだ間には何があったのだろうかと。
怖さで言えば「潰える」が1番だったけど、読後の感覚だと今作が1番だと言える。
なお、以下に個人的なランキングを書きました。
『怖さ』ランキング
1位 潰える
2位 慄く
3位 堕ちる
『読み応え』ランキング
1位 慄く
2位 堕ちる
3位 潰える
『コン -
Posted by ブクログ
小池真理子さん大好きです。
三章構成、大きな事件があり、手紙のやり取り、最後へ。
小池真理子先生の巧みな表現方法で世界観にどっぷり浸かることができる。軽井沢の住み心地を体感できる。
人間の心情の浮き沈みに相乗りさせられ、作品の感情と自分と感情がシンクロしてくる。そしてそのまま結末へ。心拍数も上がるし上気してくる。
以下は好きなところを引用。
"「夏だった。よく覚えてる。忘れたこと、ない」
悠子はそう言った。
ふいに弾けるようにして二人の間で笑い声が途絶え、後には暖炉の中で薪が爆ぜる音だけが残された。"
悠子の確かな気持ちが漏れ出てきたところ。漏れたからこそその -
Posted by ブクログ
ネタバレ小池真理子読むのが多分初めてで、濃厚でちょっとずつ読んだ。怖かった。もっとドロドロした人間模様かと思ったら、こまやかな、小さな幸せや重たくない親しみの表現が好ましいだけに、それがブツッと切られていくのが穏やかに怖かった…。
著者が意識したという「黒衣の女」が、もともと一番好きな小説のひとつなので、たしかに、
全て終わった後・取り返しのつかないことが起きた後の回想、
幽霊はただ姿を現して人が死ぬだけ、というのが作中で物凄く怖いことである、
なぜなら主人公の人生をひたすら歪めていくから、かけがえのないものを失わせるから、
というの、似てる気がする。じゃあ好きなわけだ…となった。
ホラーだとお化 -
Posted by ブクログ
大変深く心に響く小説でした。
パーキンソン病を患った父、認知症で施設に入った母、ひとり娘である主人公は家族を持つ事なく離婚している。
父が不倫の末に母と離婚して新しい妻との間に娘が2人生まれた。
父の遺品整理の中から心情を知り想いを巡らす日々、母の心情を想像しながらかつての平和だった家族風景を風景画を見つめるように思い出す。
自分には家族がいない経済的には自立していて晩年の暮らしの保証もある、それが何だと言うのだ。長く走り続けてきて自分がいかに独りであったのか悟る、誰も追いかけて来ない静寂に満ち音もせず目を惹かれるものもない長く果てしなく伸びる道があるだけ。失望、絶望、うめき声をあげても誰も聞