小池真理子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
純粋な若者と時代の背景がそうさせた 、、とだけは簡単に括れない。
若者だった頃、意味もなく世間に逆らったり、親に干渉されたくなかったり。拠り所もないのに偉そうにしたり。そんなだった気持ちを思い出さされる。
ちょうど精神的疾患やら、エロスやら、気になってはいるものの話し合える友達もいなくて、どこか空虚で、それならばおとなしく勉強だけしていればいいのに、手につかず。そんなしょうもない学生時代だった自分に比べれば、最初は給金が目当てだった布美子のほうが、数段、自分の人生にまっすぐで、尊敬できる。雛子と信太朗の関係には驚かされた。いろんな事象をこうやってつなげていくのかとつくづく感歎させられた。 -
Posted by ブクログ
映画がよかったので原作に興味を持った。
尾行をめぐる一連の流れは映画とほぼ同じだが原作には桃子という女優が登場する。彼女と卓也の関係を疑う主人公の姿は、尾行対象者である石坂と妻、恋人の三角関係と二重写しになる。他人の秘密を覗き見るうちに自分の周囲の秘密に意識的になっていく。映画だと意味がわからなかったタイトルの意味はこれか、と合点がいった。
一方で、主人公が第二の対象者として教授を尾行するのは映画オリジナル。このエピソードのおかげで彼の孤独が浮き彫りになったと思う。原作、映画、どちらにもそれぞれのよさがある。
終盤、見る側にいた主人公が見られる側に回る、という展開はどちらも同じ。原作は恋人に、映画では教授に?
大層に聞こえる「文学的・哲学的尾行」を石坂が、生活に困らない娘の道楽的な物言いで見下すのは作品のバランスがとれていてよかった。俺にはその面白さがわからない行為だったが(自分も小学生の頃に友だちと、通りすがりの誰かを事件か何かの関係者に見立てて尾行するという探偵ごっこをした記憶はあるが)主人公は取り憑かれたか覚醒したかのようでラストは性懲りもなくまたやるのだろうことが暗示される。
石坂にせよ卓也にせよ、主人公があれこれ妄想するより現実はずっと陳腐だった、というのがいい。 -
Posted by ブクログ
#月夜の森の梟
#小池真理子 さん
少々言葉をまとめるのに時間がかかる。
ただひたすらに嘘偽りのない言葉たちが
心の奥深い部分に届くのが分かった。
喪失、絶望、そしてその先、
繰り返しの生活。
喪失を抱え、傷ついている人にこそ
届いて欲しいと思える一冊。
小池さんが直向きに向き合い続け
見つめ続けてきた言葉たち、
多くの人の胸に響いたんだろうと分かる。
本屋さんでたまたま目に入って購入したのだけど、
このタイミングでこの一冊に会えてよかった。
本との出会いも、人やものごとと同じように
タイミングがあるんだと思う。
その点で今この本に会えたこと、きっと意味がある。
心の深いところに引っかかった錘が
少しだけ軽くなった感覚。
私の拙い言葉では表現できないけど、
大切な一冊になった。
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Posted by ブクログ
長年連れ添った伴侶を亡くした小池真理子さんの喪失の日々を綴ったエッセイ。全50話、1話3ページほどの短いもの。軽井沢での静かな日々、夫婦喧嘩や2人で笑い合ったこと、自身の幼い頃の思い出、様々なことが書かれているが、それは全て失った寂しさにつながっていく。
時間は癒してくれないし、誰かと昔のように笑うフリはできても、昔と同じように笑うことはできない。
日常のどこを切り取っても、思い出と寂しさが詰まっている。
美しい文章で、時に豊かな自然の風景を描きながら、言葉にしない寂しさが切々と伝わってくる。
自分もいつかこんな思いをするのか、またはさせるのか。
まだ経験したことのない寂しさが怖くもあり、そんな夫婦でいられた夫妻を素晴らしいと思う。