小池真理子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
心理小説っていうジャンルがあることを初めて知った。
起伏に富んだり、ものすごく突飛な出来事があるわけでもないけど、描写が細かく、読みやすくて、分厚い本だけど、読むのは苦ではなかった。
全編にわたって時代のせいか、昼ドラの雰囲気の漂よう本。
俊輔はどんな気持ちで酒に溺れていったのかなあとか、遺言書を書き換えたのは何故なのかなど、色々考える余地があるのは良かった。
ただ男たちがみんな死ぬのはどうなんだろう。
できたら生きてるうちに、いろんな問題を解決して欲しいと思う。
言葉にしないといけないことや、後悔先に立たずって感じの本だった。
ヒロインはネガティブ思考の持ち主で、被害者側のように思う描写が多いけど、読んでる方から見ると、そこで大胆になるんだ? 身から出た錆では? と思うところもちょいちょいあって、完璧でないところが物語を面白くしているのだと思った。 -
Posted by ブクログ
「怖がらせるホラー」というより、現実のすぐ隣にある異界を描いた幻想怪奇小説集。
『面』
般若の面をつけた女が現れるものの、怖さよりも不思議さが残る作品。
何が起きているのかはっきり説明されないまま、現実と異界の境目が曖昧になっていく。
「これのどこがホラー?」と思いつつも、じわりと残る奇妙な読後感。
『森の奥の家』
森の奥にある家をめぐる、不思議でどこか切ない物語。
怖さよりも、登場人物の抱える寂しさや、最後に訪れる安堵感が印象に残った。
静かで幻想的な雰囲気の中に、ほんのり哀しさが漂う一編。
『ゾフィーの手袋』
ここからは霊の存在がはっきり感じられ、じわじわとした怖さがある。
ゾクゾクするほどではないものの、この後どうなってしまうのかという不安が残る。
すべてを説明しきらないラストが、読後にも不穏な余韻を残す。
『日影歯科医院』
歯科医院という身近な場所が舞台だからこそ、霊の存在がより不気味に感じられる。
あの兄弟はなぜ主人公を治療したのか、少女や家族との関係も気になるところ。
説明されない部分が多く、「結局あれは何だったの?」という怖さが残る。
『山荘奇譚』
これは一番「ホラー小説らしい!」と感じた作品。
山荘の地下に潜む得体の知れないものが、じわじわと恐怖を煽ってくる。
これまでの作品とは違い、異形のものそのものの怖さをストレートに味わえる一編。
『緋色の窓』
現在と過去、現実と異界の境目が曖昧になっていく、不思議でノスタルジックなホラー。
夕暮れや湿った家の空気が、どこか懐かしくも不穏な世界を作り出している。
読み終えて「異形のものたち」というタイトルの意味が、ようやく腑に落ちた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ久々の小池真理子作品。相変わらずのなめらかな文体で、描かれているのはドロドロの人間模様だ。
舞台は鎌倉。後妻という立場でどこか孤立感を抱える眼科医師の主人公と、娘の友人である若者との恋。
登場人物はみな身勝手。亭主は秘書と浮気三昧だし、娘も私生活むちゃくちゃだし。
そんな中で、常識人として、また良き妻・良き母であろうとしながら、少しずつ壊れていく主人公。本当はやりたいようにやるしかないのだろうけど、そう単純にはいかないのが人生というものなの?
とはいえ、この主人公自身も、よくよく見ればけっこう身勝手。
若者が東京で働くロックバーの名は「アンジー」。
ストーンズ、ビートルズ、ニール・ヤング、さらにはトッド・ラングレンまで登場。タイトルの「ストロベリー・フィールズ」はもちろんビートルズの曲からとられているが、その歌詞に込められた意味こそが、この物語全体の背景。
中公文庫 650ページ -
Posted by ブクログ
辻堂環の死をきっかけに彼との蜜月を思い返す6人の女性の短編集
各編がそれぞれの女性からの視点で環との出会いからその終わりまでが語られ、流れは似たよっているけど、時系列に沿った構成になっており、環の年齢が徐々に上がっていくので彼の画家人生の横顔を見るような感触を味わうことができた。
小池真理子作品の中でも、終わった恋を中年期以降の年齢になり振り返る構成のものが大好きで、この本は全てそれに準じているので自分好みだった。
恋愛作品はあまり好みではないけど、小池作品のライト層向けの恋愛ものとは異なり、官能味や心理描写が濃厚でとても味わい深いものが多く、これからも読みたいと思う。 -
Posted by ブクログ
多分読み返しはしないから★3と迷ったんだけど、作者さんの別の作品も読んでみたくなったから★4にした。読み返しはしないけどどの短編もハラハラする展開で続きが気になって、オチも納得秀逸なものも多く面白かった。
手に汗握るサスペンス短編集。
贅肉→過食症になりぶくぶく太っていく姉。妹の世話無しでは生活できない、自分の人生は姉に食い潰されていくと気づいた時彼女が起こした行動は…。
ねじれた偶像→友人の夫が強盗殺人犯かもしれない。どんどん物的証拠が見つかり、やっとの事で妻を逃がすも友人の夫が訪ねてきて…。
一人芝居→どうにも弱気な主人公はとあるドラマのキャラに憧れ、セリフを真似たりする。ある日、向かいの家に住む憧れの人妻のゴミを漁ってしまい、何とか近づきたいために「あなたのことをよく知っている」と伝えて…。
誤解を生む法則→後輩をホテルに誘っただけでセクハラだと騒がれ会社を辞めた主人公は、むしゃくしゃした腹いせにドライブインで会った犬連れの女を山道の途中で車で煽ってしまう。そのせいで崖から女が落ちて死んでしまい、残された犬を連れて帰ってくるが、迷い犬として探されていて…。
どうにかなる→住む家をなくし、仕事もなくした老女はとある老女と出会い数日家に泊まらせてもらうことに。老女の息子が一緒に住もうと説得に来た次の日、家主の老女は布団で亡くなってしまう。次に老女が起こした行動は…。
いちばんハラハラして好みだったのはねじれた偶像だな。