小池真理子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
こ、これは…!と唸らされる心霊系ホラー小説。
容赦がない!1988年というバブル期の作品だからなのか、男尊女卑だったり、恋愛に重きを置き過ぎていたり、主人公夫婦が最低な所業をしていたり、登場人物がいい人ばかりじゃなかったり。
逃げ場がない!いまなら、そんな超常現象起きるわけないとか、起きちゃったら大騒ぎになるよねという配慮(?)、理屈付けがなされそうなところを、そんなことしない。心霊に人間の理屈なんて関係ないと言わんばかり。
救いがない!途中でちょっと助けてくれそうな人が出てくるけれど、あっさり退場。連絡もとれないのね。物理的に干渉してくる系の心霊なので、パワーで対抗しようとするも歯が立 -
Posted by ブクログ
小池さん作品3冊目。回想や手紙、死へ向かう等、他の作品と同じ要素ありでしたが、この作品は魅力的な登場人物が多く、タイトル通り「欲望」とは何か考えさせられました。
三島邸もどきでの再会シーンの楓、書架、南の島での明るさ、ラストの陽の当たる庭、すべて美しい場面でした。フェティシズム等ではなく若者が誰しももつ思慕を描いていているのに薄ぺらくならないのが凄いです。(偏愛ものや禁欲、忍耐系を期待した読書には物足りないかもしれません)
乳児が母親に触れたがるような単純な接触欲、
親しい相手と手を繋いで寝るような信頼•安心感、
母性、父性への憧れ、尊敬、肉体美、フェロモン
妊孕性的な生殖欲、 -
Posted by ブクログ
松任谷由美デビュー50周年を記念して、6人の女性作家さんたちが書き下ろしたユーミン曲がテーマのオリジナル小説集。題名見るだけで惹かれるものがあり、即購入。
収録されている話は以下、
・あの日にかえりたい(小池真理子)
・DESTINY(桐野夏生)
・夕涼み(江國香織)
・青春のリグレット(綿矢りさ)
・冬の終り(柚木麻子)
・春よこい(川上弘美)
いずれの曲も知っていたが、あらためて思ったのは、その曲に対する偶像イメージは『人それぞれ』ということ。特にユーミンなどは僕らの年代は誰もが知っていて、その曲に対する絵が脳裏に自然と浮かぶ。
ただ、それをいざ物語化してみたら、作家が描くストーリーが -
Posted by ブクログ
小池さんの文章は本当に手触りの良い上質なガーゼケットのよう。
過去に読んだことのある本について、小池さんの目を通すとそう捉えるのかと新たな発見もあった。谷崎潤一郎を再読したくなった。
フランス映画の視点についても興味深い。
特に心に残った箇所
「本物のときめき」
私自身はもう若者ではなくなってしまったけど、若い頃から“なんとなく無難”を選んでしまっていたので痛いところを突かれたなーと感じた。何かとコスパ、タイパや断捨離など無駄を極力省いたものが好まれるけど、無駄こそ人生の楽しみというのもまた一理。
「至福のほろ酔い旅行日記」
オランダは自己責任の国。運河にはどこにも柵や手すりが設けられてい