小池真理子のレビュー一覧

  • 殺意の爪

    Posted by ブクログ


    私はミステリーを読む時は大抵、犯人を推理しながら読むのですが、この作品は出てくる登場人物が皆怪しい!
    一見すると怪しくは無いのですが、犯行理由や状況をふまえて考えると、この人なんじゃないか?いや、やっぱりこの人か?と二転三転する展開にハラハラしっぱなしでした。
    結局終盤まで犯人は分かりませんでしたが、面白かった!

    ミステリーの部分もですが恋愛小説?の要素もあり、とても楽しめました。
    今から30年程前の作品ですので、連絡先の交換は自宅の電話番号と住所(今だったらまだ親しくもない相手に、住所を教えたりなんて考えられない)その当時の人達の恋愛模様と現在とを比べながら読むと、何だか新鮮な気持ちにも

    0
    2021年05月26日
  • 妖し

    Posted by ブクログ

    以前読んだ妖のアンソロジーと同じかと思いきや少しテイストが違った。
    でもどれも一通り面白かった。

    その中でも武川佑さんの短編が素晴らしかった。
    日本史に明るくない私が読んでも目が離せない凄まじい熱量。読めない字も吹き飛ばすほどの強風がふく文章。本を持つ手が肘まで熱くなるような引き込まれ方をする物語に久々に出会った。まるでVRの映像を観たような読後感。

    うーん、アンソロジーにハマりそうだな。

    0
    2021年04月19日
  • 怪談

    Posted by ブクログ

    あちら側の世界とこちら側の世界はいつも、目に見えないところでつながっていて、そのつながっていることに気づくことができた人だけが、還ってきた人と再会を果たすことができる。

    ちょっと怖いけど理解不能ではない、な。

    0
    2021年03月28日
  • 妖し

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    特に「マイ、マイマイ」と「李果を食む」が印象に残った。

    マイ、マイマイ
    過去の体験は今の自分を作っている。その事実を物理的なものに例えて、体からぽろっと抜け落ちる表現がおもしろかった。
    自分が持っている価値観に案外無自覚だったりするよなと思った。

    李果を食む
    兄弟それぞれの事実に基づいた認識が、同じものを見ているはずなのに、捩れの位置みたいに全く違うものとして突き進んでいく感じ、徐々にどれが真実が分からなくなる奇妙さが読んでいておもしろかった。

    0
    2021年03月20日
  • 二重生活

    Posted by ブクログ

    「文学的・哲学的尾行」の話。
    いつも冷静で、取り乱さずありたいと願いそれを実践する珠だけど、本当は人並みに?それ以上に?いつも不安で、秘密の裏にある真実が気になって。
    ありもしない妄想をもくもくと膨らませてしまうの、めちゃ気持ちわかる

    210206

    0
    2021年02月07日
  • 欲望

    Posted by ブクログ

    幻想と現実
    そして肉体と精神の乖離…

    小池真理子さんの本は独特の世界観があるなぁと思いました。

    気だるいような感じもしますが、ダラダラしている訳じゃなく。

    精神で結ばれるのってすごく幸せなことなんじゃないかと私は思います。

    これを機にもっと小池真理子さんの本を読みたくなりました。
    もう一度『恋』を読み返そうかな。

    0
    2021年02月05日
  • 千日のマリア

    Posted by ブクログ

    今回の8つの短編ではまっとうではない歪んだ男女関係も登場しますが小池さんの美しい文章と淡々と静謐に流れる独特な空気感の中ではそれすらも自然に思えて来ます。

    表題作の「千日のマリア」では妻とその母との関係を持つ男、秀平が描かれていますが歪んだ関係の中にも人間の脆弱さや哀しみを感じ、切ない気持ちになりました。

    どの短編も決して派手ではないけれど趣があり会話1つ1つを取っても登場人物の表情が浮かび上がる様でした。

    装丁の美しさもいつも楽しみの一つとなっています。

    0
    2021年02月04日
  • ソナチネ

    Posted by ブクログ

    「鍵」「木陰の家」「終の伴侶」「ソナチネ」「千年萬年」「交感」「美代や」
    これらの短編7編が収録されています。

    小池さんの最近の作品は初期の頃のスリルで胸がドキドキする様な内容ではありませんが1編1編言葉を取りこぼしたくない様な味わい深い丁寧な作品になっています。

    読み始めた途端、自分のいる日常を忘れ、小池さん独特の世界へ入り込んでしまった様な錯覚に陥ります。

    決して派手な作品集ではないけれど一人ゆっくり物語をあじわえる素敵な本に仕上がっています。

    0
    2021年01月27日
  • 無花果の森

    Posted by ブクログ

    登場人物が少ない事もあり、主人公の泉には全篇通してかなり感情移入しながら読み進める事が出来ました。

    夫から理不尽な暴力を受けていた泉 無実の罪を着せられて逃亡する塚本。
    理不尽な事が許せない体質なので2人の逃げ隠れしなければいけない状況がもどかしく辛く可哀想で堪りませんでした。

    泉が身を寄せた家の画家、天坊八重子と塚本が世話になったおかまのサクラの2人の人物描写も見事で絶えず脳内映像で動いていました。

    泉と塚本の行く末が気になり一気に読み進めましたが、しっくりと来るラストで読後感も満足です。

    0
    2021年01月27日
  • 二重生活

    Posted by ブクログ

    全作品読んでいる小池真理子さんの長編小説です。

    大学院生・白石珠が講義の中でジャン・ボードリヤールの書籍のある一文に魅了される。
    それをきっかけに「文学的・哲学的尾行」が始まりそのターゲットとして近所に住む50代男性石坂、その不倫相手が選ばれる。

    かつて読んだ事がない斬新な内容で、派手な盛り上がりはないけれど登場人物の描写が丁寧で最後まで興味深く読み進める事が出来ました。

    今までの小池さんの作品とは毛色が違い面白く読み応えがありました。

    0
    2021年01月27日
  • 東京アクアリウム

    Posted by ブクログ

    「リリー・マルレーン」「風」「二匹の子鬼」「小曲」「モッキンバードの夜」「猫別れ」「父の手、父の声」
    8篇が収録された短編集。

    小池さんの作品を読んで一番強く感じるのは、読み始めたらたちまち異空間にいる様な錯覚に囚われる事です。

    日常から急に別の世界に放り込まれた様な、色合いも空気感も別な次元にいる様な何とも不思議な感覚に陥ります。

    どの作品も洗練された無駄の無い言葉で丁寧に叙情豊かに描かれていました。

    最後の2篇「猫別れ」「父の手、父の声」は切なくて余韻が残る作品になっています。

    0
    2021年01月23日
  • 異形のものたち

    Posted by ブクログ

    一つ一つが短いのでサクッと読むことができた.いろんな物語があるけれど,異世界とか怪異といったちょっと不思議な体験が多かったような気がする.最後の短編は美しかった.

    0
    2020年12月07日
  • 唐沢家の四本の百合

    Posted by ブクログ

    内容(「BOOK」データベースより)
    唐沢慎介の三人の息子たちの嫁と、後妻の美しい連れ子。四人の女性は雪に閉ざされた慎介の別荘で彼の到着を待っていた。そこに不吉な速達が届く。これまで他人同士だが仲良く幸せに暮らしていた彼女たちが、突然、恐怖のどん底に突き落とされる。美しい文章と卓越した心理描写で綴る極上の長編心理サスペンス!

    令和2年11月27日~29日

    0
    2020年11月29日
  • 沈黙のひと

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    別の女性と再婚し、パーキンソンに罹った父親の死後、遺品などから離れて暮らしていた時のことを知る娘。決して称賛できるものではないが、その生き方を理解していく。

    0
    2020年10月23日
  • モンローが死んだ日

    Posted by ブクログ

    還暦前の寡婦と精神医との恋、とばかりに読んでいてモンローとはなんぞや?モンローに付いた専従精神医との話が出てきたが、実はそうではなかった。まりりんが登場してから物語は一変した。
    ああ、これが小池真理子説!
    情景表現の豊かな作家さんだけに読み応えのあるページ数は然り、この顛末はハラハラさせた読者を一気に引き込んでしまう。ようやく鏡子さんが安静にしてくれたとホッと胸をなでおろしてしまいました笑

    0
    2020年10月21日
  • 危険な食卓

    Posted by ブクログ

    いわゆるどんでん返し物とは違う種類の
    そうきたか...な裏切りを豊富なバリエーションの鳥肌と共に味わえるハズレ無しの短編集。
    人間の根本的な恐ろしさと人間故の賢さの融合で産まれた「闇の部分」を、ライトで簡潔なボリュームで楽しむ事が出来る。

    ヒェッ:( ;´꒳`;): となるものから
    シュン(´・_・`) となるもの、
    ホッε-(´∀`*) と出来るものと
    怖いけど....( *´艸`)クスッ
    となる、飽きが来ない素晴らしいセットリスト。

    0
    2020年10月01日
  • 異形のものたち

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    この本との出会いは、友達と立ち寄った本屋でのジャケ買いでした。出版が角川ホラー文庫で、いかにも短編ホラー集です、と言わんばかりのタイトルから、即決で購入しました。結果、買って大正解でした。

    1つ目の短編である「面」は、冒頭の情景描写が少し長くて、「この短編集は、私の苦手な回りくどい作風なかもしれない」と、不安を感じさせられましたが、あっという間に昼ドラのようなドロドロとした空気感に飲み込まれ、いつの間にか優しく美しい文章の虜になっていました。

    2つ目の「森の奥の家」は、"静寂"という不気味な空間の中で、かつての楽しかった思い出を巡らせる女性の話しです。悲壮感を漂わせなが

    0
    2020年09月03日
  • 異形のものたち

    Posted by ブクログ

    ホラー的恐怖というより、じわりとくる妖しさ。「日影歯科医院」「緋色の窓」が特に好み。日本的な美しさのようなものを感じた。

    0
    2020年08月07日
  • 蠍のいる森

    Posted by ブクログ

    悲劇と悲劇で惨劇を作り出す、小池真理子王道の交差ミステリー。日常がゆっくり確実に悲劇のブラックホールに引き寄せられていきます。
    これが噂のビックバンか...

    0
    2020年07月23日
  • 妖し

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ゾクっときたのは「曇天の店」・「フクライ駅から」・「喪中の客」くらいだな。

    ちょっとイマイチ、って思いながら読んでいた最後に、めちゃゾクっとくる「喪中の客」。
    小池真理子さん、さすがです。

    恩田陸さんの「曇天の店」は良かったけど、余韻がありすぎて笑

    「フクライ駅から」は読み終わってから思わず作者を確認。
    朱川湊人さんだったか!

    窪美澄さんの「真珠星 スピカ」もよかったかな。
    コックリさん、懐かしい。

    あとは、イマイチな印象。

    0
    2020年04月11日