小池真理子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
このエッセイは、作家同士の夫婦である小池真理子さんが、夫である藤田宜永氏の亡くなった後に綴った、50回にわたる朝日新聞の連載を一冊にしたものである。
「37年前に出会い、恋に落ち、互いに小説家になる事を夢見て、共に暮らし始めた」
という、前書きから始まる。
そして、「それにしても、さびしい。ただ、ただ、さびしくて、言葉が見つからない。」……
途中から、この本は、夜寝る前に読む事にした。
なぜなら日の光の明るい所ではなく、静けさの中でこそ伝わって来るものがあるように思えたから。
いっぱい話したい事があり、けんかする程話し合う。
面白い事が有ると、相手に報告したいと思う。
ふたりで過ごした時間が充実していて、苦しい事も楽しい事も数えきれず。
その「かたわれ」のいなくなった穴を埋めるものはない。
軽井沢の大自然の中で、ずっとふたりで暮らしてきて、残された 「かたわれ」は今、やっぱりさびしいのだろう。
それにしても、小池真理子さんの文章は、とにかく美しくて、上手いな! -
Posted by ブクログ
最後がちょっと駆け足すぎたり、途中から全く出てこなくなった美村が唐突に出てきたり、いろいろ詰め込むあまり焦点がボヤけてしまってるとこもありますが、まあ面白かったと思います。
ここ最近読んだ作品に女性主人公が多くてしかも皆完璧超人なんで凡人すぎる私からしたらちょっと感情移入しにくいとこもあったりします。
女性特有の生きづらさを抱えてても完璧超人じゃんって凡人男性は思ったりします。
40後半独身の身には耳の痛いお話でもありました。(女性に対する理解が足りないから独身なんですかね?もちろん左千夫には同情しませんが)
あと初登場時30代のたづさんが話し方のせいで最初から最後まで終始おばあちゃんのイメージでしたw
たづさん良い人すぎて泣けてきます。 -
Posted by ブクログ
静謐な空気の中で、果てしない喪失感に満たされた作品でした。というか、このエッセイ集の個々の作品はシチュエーションや時点が作品ごとに異なるのだけれど、どの作品を読んでも最後にはどうしようもない喪失感に襲われてしまいます。渦巻くような悲しみに沈んでしまい、結局最後まで読みきれませんでした。
小池真理子さんのエッセイ集です。
本屋さんの文庫の新刊を扱っているワゴンの中でひんやりと静かな表紙がその存在を主張しており、目が合ってしまったのでした。
久しく小池さんの作品は読んでいなかったのですが、この作品を読んで小池さんに対するイメージが大きく変わりました。
すでにかなり過去の話になりますが、小池さんの作品を読んで「少しツンとしていて、近寄りがたいお姉様」という印象を持ってしまっていたのですが、その印象を今まで引きずっていました。
しかし、この作品で小池さんが描いておられるのは「近寄りがたいお姉様」ではなく「長年連れ添った夫(人生の伴侶)を亡くしてしまい、喪失感から立ち上がれない女(ひと)」。
読んでいると、何だか自分自身が容赦ない月日の流れに押しつぶされそうになってしまいました。
しかし、このエッセイを書き続けることができた小池さんは、やはり私にとって「近寄りがたい」人なのですね。 -
Posted by ブクログ
江國香織さんの「夕涼み」と綿谷りささんの「青春リグレット」が読みたくて手に取った。夕涼みは、夫の行動にゾッとしたし、私だったらそんなズレた夫とは一緒にいられないと思った。「逃げたかったわけではない、が、逃げられないと思わされることは恐怖だった。竦むような、恐怖だった。」という言葉に共感。誰かに自分の選択肢を奪われたり、縛られたり、自分で自分を決められないことを、人は恐怖と感じるんだなと思った。そして誰にもその出来事は話せないことも、夫を含む周りにはいつまでも愛し合っている夫婦だと思われていることも、自分だけがこのザワザワした気持ちに気づかないふりをしていればいいんだと感じるのもわかる。老女たちの夕涼みを今になって理解できるようになってしまったことも、それを見て単に奇妙だと思うだけだった過去を無敵だったと表現したことも、妹にはそんな日が来ないでずっと幸せでいてほしいと思う姉の気持ちも、切なかった。
「青春リグレット」は、自分の何がそんなに好きかわからないくらいに愛してくれた人を、自分は愛せなかったことを夫に離婚を切り出された時に思い出す。愛される恋愛がどれだけ幸せだったか、それはその時には理解できなかったのだから仕方ないし、後悔しないでほしいなと思った。後になって気づくものってある、もう取り返しはつかないけれど。彼との時間を俯瞰で冷めた目でみてしまうところ、古傷が痛んだ。愛の重さは同じくらいがいい。