小池真理子のレビュー一覧

  • 夜の寝覚め

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    渡部淳一『野わけ』より、同じ不倫小説でも『夜の寝覚め』6つの短編すべてが圧巻であった。女性が描く不倫は凄い、主人公共通の人生折り返し終盤へ向かう45歳前後のリアリティを感じる。年齢が高くなるほど情熱と勢いは薄れ、恋愛風味な関係になる。つまらなそうでいて実は奥深いのだ、『野わけ』の様に破滅へ一直線とはならない。

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    2025年10月20日
  • 青い夜の底 小池真理子怪奇幻想傑作選2

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    2021年の第25回日本ミステリー文学大賞を受賞された小池真理子さん
    「これまでの作家活動・ミステリー分野への貢献」に対して贈られた「功績賞」的な意味合いのようですが、その受賞に充分な作品群だと思います。

    怪奇幻想傑作選 第2弾

    「鬼灯(ほおづき)」
    父の愛人とそのお手伝いに囲まれた、少女時代の微妙ながら居心地のよい擬似家庭。女たちの静かな共存が描かれる。

    「生きがい」 ★5
    高校生の息子と夫を飛行機事故で同時に失った妻。夫の残したアパートに住む大学生に息子の面影を見出し、世話を焼くうちに…。圧倒的な哀しみと叙述トリックが重なる傑作。

    「しゅるしゅる」
    仕事も恋愛も順調だった女性が、ある時すべての歯車を狂わせていく「しゅるしゅる」と遭遇する。隙間から忍び込む不気味な存在。

    「足」
    居心地の良い妹の嫁ぎ先へ通う姉。その姿に、かつて同じ境遇を生きた叔母の影が重なっていく。

    「ディオリッシモ」
    祭りの日に父を亡くした少女時代へと、ふと戻ってしまう女性。そこには懐かしく、温かな家庭の記憶が息づいている。

    「災厄の犬」
    仕事も家庭もうまくいかないのは、この犬のせいだ――そう信じ、妻子の留守に犬を捨てに行く夫。だが妻子は激怒し家出し、そして最後に夫を救ったのもまた…。

    「親友」
    死んでから毎晩のように訪れる親友。妻は怯え体調を崩していくが、男は「来るな」と言えない。やがて心に浮かぶ恐ろしい思考。

    「青い夜の底」(表題作)
    仕事を失い、愛する女性には病弱な夫がいる。ふたりが最後に選んだのは、深く沈む「青い夜の底」。

    あとがきにもあるように、作者は「自分が死んでいることに気づかない死者」を好んで描くという。
    異界とのあわい、異形との遭遇。怖み、切なみ、怪しみが同居する、味わい豊かな短編集。

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    2025年09月29日
  • 蜜月

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    ぐずぐずで、どろどろな人間関係。ほんっとうに魅力的な人間を前にしたらみんなこうなってしまうのかと震える… わたしも正常でいられる自信が無い

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    2025年09月08日
  • 狂王の庭

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    ネタバレ

    「出会ってしまった」人たち。
    杳子、青爾、美夜、佐高は全員罪深い……時代柄、夫の女遊びは許容されても妻の不倫は絶許だし、妻から離縁切り出すのも難しいし、使用人が主人へ恋心抱くとか以ての外。
    わかっていても抑えられるかといったらそうじゃないのが恋心とはいえ、青爾と美夜が婚約するのは誰かが止められたのでは!?と思います。出会った時点で妹の婚約者なら、おっと…とさすがになります。
    杳子視点なので霞んでいるけれど、美夜もなかなかだと思う。自分を好いてる佐高を「恋とかじゃないけど、寂しい私に優しくしてくれて、とっても感謝してる人」って言ってしまえる人ではあるので。残酷です。

    自分に降りかかってないから冷静に読めるんだと思う。

    恋に狂いながらも、回想だからか冷静な視点も入る情念が好みでした。
    全員罪深いけれど、全員弱いと思うので誰のことも憎めない。
    強いて言うなら杳子の夫の勇作かなぁ。でも、勇作だけが「現実」でした。
    佐々木てる、好きでした。この、始まったときに終わったような2人の物語を、てるさんも大事にしてたんだろうな。

    青爾の庭園、わたしの乏しい想像力では想像できないのが悔やまれます。
    ルードヴィヒ2世だからとリンダーホーフ城を検索してみましたがこれはすごい……

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    2025年08月30日
  • 映画は恋の教科書

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    タイトルが恋の教科書とあるけど、どちらかと言えば名優たちへのラブレターというか、そういったものに近い印象を受けた。

    映画の中の俳優・女優たちに対し、なんとなく素敵だな惹かれるな、この人オーラがあるな、とか漠とした印象を受けるけど、それを小池真理子さんが心地よい文章で言語化してくれている。
    女優や俳優に限らずとも自分の身近にいる素敵な人たちの魅力に当てはまる(ように感じる)部分もあった。

    映画を俳優・女優の魅力から観るのも良いなと思った。

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    2025年07月27日
  • Yuming Tribute Stories(新潮文庫)

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    ユーミンデビュー50年を記念して、6人の作家による短編書き下ろし。ユーミンの曲名と歌詞からイメージした短編はそれぞれ作者の個性が出てます

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    2025年07月21日
  • 堕ちる 最恐の書き下ろしアンソロジー

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    角川ホラー文庫オリジナルアンソロジー。ホラー界では有名な人ばかりで、どれも楽しめました。中に1作ゲームブック形式の話があり、ページに指を挟んで進んだり戻ったりするのが懐かしいというか、めんどくさいというか(笑) 最終的に、全部の部分を読むため最初から番号関係なく読んだりして、普通の小説の方がいいな、と思いました…。個人的には内藤了の函が一番怖かったかな。

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    2025年07月11日
  • 青山娼館

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    ネタバレ

    菜月さん 既婚男性との間の子どもを産んで働く
    自堕落で愛の感じられない母親
    自分の母親が子どもに預けなければ...と後悔してる
    麻木子さんがそばにいて生活できてる
    精神力がすごいと思う。
    その麻木子さんも高級娼婦として働きながら
    恋愛もして心に暗いものがー。
    菜月さんが強いのか麻木子さんが亡くなったときも
    悲しみの感情が淡々と書かれているのが余計悲しい
    恋人ができる訳でも、不倫する訳でもない
    新しい小池真理子さんの小説

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    2025年07月04日
  • 冬の伽藍

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    小池真理子さんの小説はお互い想いあってるのに
    切なくて最後まで愛し会っているように感じられる
    胸がぎゅっとなりながら、それでも相手のことを忘れられない。
    最後まで会いたいのは彼なんだと思いました。

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    2025年07月02日
  • 堕ちる 最恐の書き下ろしアンソロジー

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    豪華作家陣によるホラーのアンソロジージー。
    宮部さんの作品は、初期の頃を彷彿とさせるもので、なんだかとても嬉しくなりました。
    そして、もっと嬉しかったのは新名さんの作品。ロールプレイング的な小説はすごく久しぶりに読んだ。子供の頃、すごくワクワクしながら読んだのを思い出した。しかし、普通に読み進めるとたどり着かない章があるのは、何を意図したのだろう。

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    2025年06月22日
  • 見えない情事

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    読めばパートナーシップに陰りがさすかも?
    読むだけで疑心暗鬼になっちゃう本。
    疑心暗鬼になりたい人!?いたら読んでみて(笑)

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    2025年06月15日
  • ふしぎな話 小池真理子怪奇譚傑作選

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    物語は戦後から解放された豊かさに向けて走り始める頃の設定、大人は子供に媚びず子供には子供の世界があったし大人も見守るゆとりを持っていた時代。死者が見える少女の戸惑いと成長の(恋慕)事故で急死した恋人との(水無月の墓)他、梅雨時のこんな時期に似合うショートホラー小説でした。

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    2025年06月11日
  • エリカ

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    これってもしや私のこと!?って、そんなわけないんだけど。麻布台にマンションなんて持ってないし、起業なんてとんでもないし、独り身でもないんだけど、でもそれでも自分のことかと錯覚するくらい、女というものは、恋愛のその過程において考えたり悩んだり笑ったりときどきめらめらと嫉妬のような感情に支配されて自分にいらいらしたり、どんな環境でもそうはかわらないもんだな、と思う

    この男に落ちるなんて自分では思わない、そんなわけない、でも40歳のBDに400本のバラを送ってくる男、毎日のように電話してきていたのにふっと何日も音沙汰なしにして感情をゆすぶる男にどうしてこうもほろりとおちてしまうのだろう、

    「わかる!」と何度も膝をポンと打った。女の感情のこまやかな遷移やこころのひだを作者はとてもていねいに描いている。「そうなんだよね~」と同調したり、「あかん!あかんで!そこでそんなことしたら術中にはまるで!」とあたかもエリカの親友になったかのように忠告?したくなる。それは「あのときの」私に向けたアドバイスだ。もう遅いけど。

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    2025年05月31日
  • 堕ちる 最恐の書き下ろしアンソロジー

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    ホラーの多様性と作家の個性を堪能できる上質なアンソロジー。ただし、期待値次第で評価が分かれるかもしれない。
    宮部や小池の情感、三津田や内藤の伝統、新名や芦花公園の斬新さがバランスよく共存し、1冊で幅広い恐怖体験が味わえた。

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    2025年05月27日
  • 再生 角川ホラー文庫ベストセレクション

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    ネタバレ

    8篇のホラーアンソロジー。
    どの作品もすんなりとその世界に連れて行ってくれてとても楽しめた。
    「よけいなものが」(井上雅彦)では、短い会話文の中に違和感をするっと埋め込んできていて凄かった。気づいたときには役割がひとつズレて堂々巡り。抜け出せるきっかけが見つからない。
    「依って件の如し」(岩井志麻子)はバラバラに思えた話がひとつに繋がってゾッとさせられ、読後に余韻を残す話だった。
    「ゾフィーの手袋」(小池真理子)は主人公が何ひとつ悪くないのでひたすら気の毒だったのだが、あっさりした文章が好みだった。

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    2025年05月16日
  • 堕ちる 最恐の書き下ろしアンソロジー

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    有名作家が執筆したホラーアンソロジー。不思議な話、怖くない話もある。
    個人的に好きなのは三津田信三さんと小池真理子さんの話。
    三津田さんの話は想像するだけで怖くゾッとした。似ているかもしれない、って序盤で言われてる「竈の中の顔」を読んでみたいなと思った。
    小池さんのはほんわかする話から一変して困惑したまま終わるのが良かった。

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    2025年05月04日
  • 危険な食卓

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    JCOM 2025.4.30 「鍵老人」
    睦まじい夫と妻、恋人同士、女友達、父と娘、嫁と姑の間に巧妙に隠された嘘、過去、そして殺意。ありふれた日常に、突如開かれる戦慄の扉。幸福な人々に待ち受ける恐怖の陥穽。ホラーサスペンス8編。

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    2025年05月01日
  • 恋

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    学生の布美子と助教授の片瀬、妻の雛子の話。ドラマ見て深入りしたくて原作読み出したんやけど、え、めちゃくちゃ良かった。圧倒的な恋。この底なし沼かのようなドロドロ感と眩しい煌めきと疾走感に翻弄される。何やろこの共感とか反感とかじゃなくてずっと後に残る感じ。良かった。

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    2025年04月20日
  • 堕ちる 最恐の書き下ろしアンソロジー

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    内藤了の家ホラーが段違いで恐ろしかった。芦花公園の河童の話もここ最近の世相を反映したホラーという点で面白い。小池真理子の最後の作品は、アンソロジーの最後にふさわしい切なさがあってよかった。

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    2025年04月20日
  • 二重生活

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    この作家さんの作品はスルスル読めてしまう。適度にハラハラさせられて面白かった。
    「文学的・哲学的尾行」については、下卑た好奇心を美化させただけのようにわたしは思ってしまい、理解できなかった。また、それを崇高な行為のように考えているような主人公に幼さを感じた。

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    2025年04月19日