小池真理子のレビュー一覧
-
-
Posted by ブクログ
自らの青春時代を振り返りつつ、楽しみながら執筆したと言う小池真理子の半自伝的作品「無伴奏」は、彼女が多感な時期を過ごした60年代終わりから70年代初めにかけての何処か張り詰めたような空気がヒシヒシと伝わってくる力作だ。主人公の響子が経験する胸が張り裂けんばかりの出来事には、思わず読んでいるこちら側も心を揺さぶられる。文中では、しばしばミック・ジャガーについて言及されるが、響子の恋人・渉と、彼と同居する友人・祐之介の関係性は、ミックとデヴィッド・ボウイのそれを彷彿とさせた。本編は、「恋」「欲望」と合わせ、著者の「恋愛三部作」と呼ばれるが、あとの二冊も久方ぶりに目を通したくなった
(新潮文庫版に -
Posted by ブクログ
最後がちょっと駆け足すぎたり、途中から全く出てこなくなった美村が唐突に出てきたり、いろいろ詰め込むあまり焦点がボヤけてしまってるとこもありますが、まあ面白かったと思います。
ここ最近読んだ作品に女性主人公が多くてしかも皆完璧超人なんで凡人すぎる私からしたらちょっと感情移入しにくいとこもあったりします。
女性特有の生きづらさを抱えてても完璧超人じゃんって凡人男性は思ったりします。
40後半独身の身には耳の痛いお話でもありました。(女性に対する理解が足りないから独身なんですかね?もちろん左千夫には同情しませんが)
あと初登場時30代のたづさんが話し方のせいで最初から最後まで終始おばあちゃんのイ -
Posted by ブクログ
静謐な空気の中で、果てしない喪失感に満たされた作品でした。というか、このエッセイ集の個々の作品はシチュエーションや時点が作品ごとに異なるのだけれど、どの作品を読んでも最後にはどうしようもない喪失感に襲われてしまいます。渦巻くような悲しみに沈んでしまい、結局最後まで読みきれませんでした。
小池真理子さんのエッセイ集です。
本屋さんの文庫の新刊を扱っているワゴンの中でひんやりと静かな表紙がその存在を主張しており、目が合ってしまったのでした。
久しく小池さんの作品は読んでいなかったのですが、この作品を読んで小池さんに対するイメージが大きく変わりました。
すでにかなり過去の話になりますが、小池さ -
Posted by ブクログ
江國香織さんの「夕涼み」と綿谷りささんの「青春リグレット」が読みたくて手に取った。夕涼みは、夫の行動にゾッとしたし、私だったらそんなズレた夫とは一緒にいられないと思った。「逃げたかったわけではない、が、逃げられないと思わされることは恐怖だった。竦むような、恐怖だった。」という言葉に共感。誰かに自分の選択肢を奪われたり、縛られたり、自分で自分を決められないことを、人は恐怖と感じるんだなと思った。そして誰にもその出来事は話せないことも、夫を含む周りにはいつまでも愛し合っている夫婦だと思われていることも、自分だけがこのザワザワした気持ちに気づかないふりをしていればいいんだと感じるのもわかる。老女たち