あらすじ
「この庭をあなたに捧げる――。」昭和27年、東京都下国分寺。広大な敷地に、全財産を投じてルートヴィヒ二世さながら華麗でシュールな西洋庭園を造った異端児・青爾。妹の婚約者である彼に引きつけられる美しい人妻・杳子。没落する華族社会を背景に、虚無と孤独と耽美の極地で、激しく求め合う男と女を描ききった、世紀の恋愛巨編。
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Posted by ブクログ
小池真理子さんが描く主人公は、作品によって名前と年齢は違えど、基本的な人物像は同じだと思う。
だからつまらないという意見も散見するが、私にとっては逆でそこが魅力になっている。自分の考え方と似ているということもあると思うが、同じ人物と別の物語の中で一緒に試行錯誤していける錯覚に陥ることができるからだ。小池さんが、ブレることなく活動している証拠でもあると思う。そんな小池さんが大好きだから、作品を追いかけてしまうのかもしれない。
Posted by ブクログ
読んだのに、少しとまどって感想を書き忘れていました。
小池真理子にまだ馴染んでいなかった頃に読んだ。
何が書きたいのか、この作品だけでは分かりませんでした。
100冊くらい読んで、ようやく何が書きたいか、
分かりかけてきました。
人について書きたいのだと。
なぜ、ではなく、どうやって 生きて行くのかに焦点が当たっているのだと。
Posted by ブクログ
「出会ってしまった」人たち。
杳子、青爾、美夜、佐高は全員罪深い……時代柄、夫の女遊びは許容されても妻の不倫は絶許だし、妻から離縁切り出すのも難しいし、使用人が主人へ恋心抱くとか以ての外。
わかっていても抑えられるかといったらそうじゃないのが恋心とはいえ、青爾と美夜が婚約するのは誰かが止められたのでは!?と思います。出会った時点で妹の婚約者なら、おっと…とさすがになります。
杳子視点なので霞んでいるけれど、美夜もなかなかだと思う。自分を好いてる佐高を「恋とかじゃないけど、寂しい私に優しくしてくれて、とっても感謝してる人」って言ってしまえる人ではあるので。残酷です。
自分に降りかかってないから冷静に読めるんだと思う。
恋に狂いながらも、回想だからか冷静な視点も入る情念が好みでした。
全員罪深いけれど、全員弱いと思うので誰のことも憎めない。
強いて言うなら杳子の夫の勇作かなぁ。でも、勇作だけが「現実」でした。
佐々木てる、好きでした。この、始まったときに終わったような2人の物語を、てるさんも大事にしてたんだろうな。
青爾の庭園、わたしの乏しい想像力では想像できないのが悔やまれます。
ルードヴィヒ2世だからとリンダーホーフ城を検索してみましたがこれはすごい……
Posted by ブクログ
男は庭を造り、女に捧げ、女はすべてをかなぐり捨てた。
「僕があなたを恋していること、わからないのですか」昭和27年、国分寺。華麗な西洋庭園で行われた夜会で、彼はまっしぐらに突き進んできた。庭を作る男と美しい人妻。
Posted by ブクログ
予備知識なく、表紙がキレイだなぁと思い手に取った1冊。
不倫に全く興味はなく、そこに関しては何も感想はなし。
大変そうだなぁ、としか。
しかし物語の中に出てくる豪華な個人庭があるのなら、
是非行ってみたい。
Posted by ブクログ
亡くなった美貌の祖母の家の解体時に、「開封厳禁」という大量の書類が見つかった。そこには、義理の弟に当たる人物が作った、壮大な庭における、禁断の関係が克明に記されていた。
先に読んだエッセイから、ミステリ・ホラー作家という先入観があったのと、タイトルから、きっとなにか事件が起こるのだろうと読んでいくが、起こらない。内容もクラシックなロマン小説という感じで、読み慣れないジャンルともあり、なかなか読み進めることが難しかった。
ところが、内容に進展があるわけでもないが、2/3を過ぎたあたりからトリップをしたかのように読み進められるようになる不思議な感覚を受ける。
とにかく、お金持ちの男女の置かれている状況などが、すんなり受け入れられる人にとっては、マンガのようにスラスラと読める本であろう。
また、クラシックや庭のディテイル、その他周辺知識についても、非常によく調べられており、ストーリーにもじゃまにならない程度でしっかり組み込まれているため、それぞれの表現はストレートなものの、厚みが出ていると感じられる。
日記という建前もあるのだろうが、世間の動向などということはあまり考慮されない。だからこそ、少ない登場人物に集中させるあたりは、成功しているのではないか。
まあ、半分までは読むのが辛くて☆1にしたろか、などと考えていたが、途中のイベントなども、メリハリを考慮して配置されており、よく出来たストーリーである。
ただ、長い。疲れた。
Posted by ブクログ
杳子と青爾。妹の美夜。
青爾の頭の中には 広大で自分で手がけた庭と、杳子しかなかった それが全てだった
青爾と杳子は2人で一緒にいる時も 穏やかな時間というものは皆無だったのだろう
杳子が妊娠したのが青爾の子だったら状況はどうなっていたのだろう どちらにしても2人が幸せになることは考えるのは難しい
小池真理子さんは クールな何を考えてるかわからないような男性が好みのよう…
Posted by ブクログ
映画化された小池さんの「二重生活」がとても面白かったので、「青山娼館」に続いて3冊目。
少しどんなだろうと心ひかれる設定は、お上手。帯に書かれると、思わず手に取ってしまう気になる度。
でも、3冊にして、3冊とも不倫が関わってくる。私は、不倫を目の当たりにしたこともあり、その実際の不潔さを気持ち悪く思っており、安易に本で煽りたてるネタではないと思っているので、不倫が出てくるとよくある設定に感じて、がっかりしてしまう。
今度は、妹が惚れてやまない相手を奪うという人間的にも下衆な関係を描いていて、食傷してしまった。
もう小池さんは、しばらくいい。
Posted by ブクログ
既婚女性が実の妹の婚約者と不倫。が、夫との間に子供が生まれ、その関係は収束。
その子供が母親が亡くなった後事実を知る。その事のほうがストーリーとしては興味深いと思った。
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初見で読んでるときは、狂おしいほどの愛に胸が震えました。没落する華族。それを背景とした耽美でデカダンスとも言える雰囲気は、とても壮絶。波に呑まれるように読みきりました。小池氏の作品の中でも力強い方です。ああでも、デカダンスと思ってしまう。ですが読み返すのはよした方がいいかも…。
Posted by ブクログ
高等遊民として生きる資産家の末裔に、上流の暮らしをさせてくれる夫がありながらも惹かれていく主人公の恋物語。
時代は、まだまだ男女が社会のしがらみにしばられていた頃のことです。
小池真理子らしい、知性があり上品でありながらも、どうにもならない男女の恋愛の刹那を描いています。
ノイシュバンシュタイン城を築いたバイエルンの狂王を思わせるような、自らの屋敷の『庭』にあらゆる資材と情熱を注ぎ込んでいく彼を止めることは誰にも出来ず、主人公の妹までも巻き込んで破滅へと流れ込んでいきます。
どんな風に物語が流れていくのか、とても気になってしまい、一気に読みました。
登場人物の中で一番印象に残ったのは、資産家に仕える女中さんで、こういう自分の役所をわきまえ、分を守って生きているような見事な人が昔にはいたんだろうなあと思いました。
気分転換にお勧めします。
Posted by ブクログ
禁色と黄金の想いを抑制するがよい 瞼を閉じよリラの木の下で そして再び真昼の夢に耽るがよい−ゲオルゲ− 自称小池真理子ファンの曲に久々の活字。まだ読んでる途中。私の夢は覚めるかな。