小池真理子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2009年12月4日。主人公と一緒に恋を体験できた気がする。だからこそ、切なく、苦しくなることも多く、特に読後は不安定な空虚さに襲われた。読後、再度冒頭を読み直して救われ、主人公のその後の人生を想像した。個人的に、この始まりかたや終わり方がいいなと思う。小池氏の文章は、普段人にはとてもさらせないようなみっともない、でも自然な感情や行動が書かれており、それによって作品と自分が近づけるのだと思う。
それにしても、1960年代の日本は今から考えると別の国のようだ。当時の若い世代も時代や環境というものがあるとはいえ、現代のそれとの違いについて考えてしまう。 -
Posted by ブクログ
「東京郊外に暮らす美術大学の講師、川久保悟郎。その娘でララという名の猫にだけ心を開く孤独な少女、桃子。そして、家庭教師として川久保家にやってきた画家志望の雅代。微妙な緊張を抱きながらもバランスのとれた三人の生活はそれなりに平穏だった。そう、あの日、あの女が現れるまでは…丹念に描かれた心の襞と悲劇的なツイスト、直木賞作家の隠れた名作」――どうでもいいですが、うちのおばあちゃんは凄い読書家で、押入れに入りきらないほど膨大な数の本があります。というのも、うちのおばあちゃんは軽い不眠症で、それを紛らわす為に夜いつも本を読んでたんです。それが積み重なって、渡辺淳一、平岩弓枝、曽野綾子、小池真理子、三浦綾
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Posted by ブクログ
二つの殺意、少女の繊細な心と殺人、すれ違い。 さまざまな複雑な背景を持った登場人物たちがお互いに、淡い恋心を抱いてはいるもののすれ違う。そのすれ違いはとても丁寧に構成されていて、これこそ芸術の領域に達しているといえるだろう。サガンや綿矢りさを思い出させる繊細な心理風景が、ララ(途中ママと関連付けられる)という猫や、殺人の舞台となる雪の麦畠と古井戸、そして、主人公たちが生活する過度にアメリカ的な雰囲気の住居などを舞台に展開される。小説には二つの殺害があり、そのどちらも怪しいまでに人間の心の真相に迫っている。幼い孤独な少女に芽生えた殺意を美しく描写した物語としては、世界文学のレベルに達しているだ