小池真理子のレビュー一覧
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主人公の紗江は、親子ほど年の違う天才版画家、柚木の若妻である。二人は仙台のはずれに居を構え、世間の喧噪と隔たれた生活を送っていた。 ある時、柚木のファンという東吾という美青年が訪れる。柚木は天才的芸術家らしく気難しい。当然、この青年の訪問も喜んで受け入れない。しかし、東吾は弟子入りを乞い、ついには柚木から承諾を得る。東吾は内弟子ではないため夕方には自宅に帰るものの、昼間3人の生活が始まった。 その生活の中で、紗江は夫を愛しながらも、若い東吾に心惹かれていく自分に気づく。どこか近寄りがたい雰囲気をもつ東吾との距離を縮めようとする自分の情動に葛藤を覚え、悩み苦しむ。 そのような生活の中、柚木に大仕
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Posted by ブクログ
ネタバレ小池さん作品は大好きですが初めて読みました。ミステリー要素もあり、若さゆえの青くささもあり、そんなに明るいものではないけど恋模様もあり。
桃子と猫のララの不思議な関係や、悟郎と主人公の雅代との微妙な距離感。
ララが殺されてしまうシーンや、桃子が千夏を殺してしまうシーンは、息を呑むほど描写がすばらしくて、胸が苦しくなった。途中からじわじわ現れる恐ろしい予感に、そうならないでほしいと願いながらも、怖いもの見たさでページをめくる手が止まりませんでした!
最後のシーン、結局は蚊帳の外だった主人公の雅代、、、ぞくりとしました。
久しぶりに一気読み♡ -
Posted by ブクログ
小説だと思って読み進めていったら リアルさに気づき 著者のお父様がモデルということだ
『家族」という結びつきなどから遠ざかっていた衿子が 父親の死後残されたワープロから彼のことを知る
実際に「歌友」であった 友人とのうたのやり取りは なんて素敵なのでしょう! 途中からはワープロも使いこなせなくなってしまったが それまでのこんな心に響くお手紙を交わしていた関係は2人にとっても 本当に大切なものであった
それを知って衿子は 施設に入って思うように意識が伝えられない父親を想うなかでも 救われたのではないか
文章中の、「潜水服は蝶の夢をみる」という本を読んでみるつもりである