あらすじ
怒鳴り合う声、立ち去る男、長く続く女の悲鳴。――同じマンションで愛人を待つ木部比呂子はそのとき不審な思いにかられた。翌日、その部屋から布施夏美の死体が発見され、夏美の恋人が逮捕された。「彼はシロだ」真実を知る比呂子はしかし、不倫の恋の発覚を恐れて口を噤んだ。秘密に怯える彼女の前にあらわれた男は!? 赤いマニキュアの謎。日常の中にある恐怖。
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Posted by ブクログ
私はミステリーを読む時は大抵、犯人を推理しながら読むのですが、この作品は出てくる登場人物が皆怪しい!
一見すると怪しくは無いのですが、犯行理由や状況をふまえて考えると、この人なんじゃないか?いや、やっぱりこの人か?と二転三転する展開にハラハラしっぱなしでした。
結局終盤まで犯人は分かりませんでしたが、面白かった!
ミステリーの部分もですが恋愛小説?の要素もあり、とても楽しめました。
今から30年程前の作品ですので、連絡先の交換は自宅の電話番号と住所(今だったらまだ親しくもない相手に、住所を教えたりなんて考えられない)その当時の人達の恋愛模様と現在とを比べながら読むと、何だか新鮮な気持ちにもなれました。
真犯人も捕まり、謎を残す事なくスッキリ終わってくれて満足です。
Posted by ブクログ
【何度目かの再読】女流作家に目覚めたきっかけがこの一冊でした。何年も間が空いての再読で犯人やところどころ覚えていても忘れていることが多く新鮮でした。全体的にまとまっていてサスペンスの様で恋愛小説でもある。小池調の綺麗な表現と硝子のような言葉で鮮やかに斬っています。全ての人が怪しい。ラストはもうドキドキで肩に力が!思いもよらぬ犯人の不気味さと主人公の交差する思いとショックは計り知れない。久々に読んでやっぱり小池氏の表現の美しさ構成は素晴らしい。