小池真理子のレビュー一覧
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世の中が浅間山荘事件一色の時代で、異端な恋をした4人の話
異常なほど仲が良い夫婦だが、互いに夫婦以外の相手と性的な関係を許している。広い世の中探せば、こんな夫婦結構意外といるかもしれないと思いつつ、実は兄妹でしたなんてパターンは異端すぎてないでしょうと思う。そんな二人に巻き込まれた女子大学生が最終的に夫婦の妻が本当に恋した男を射殺してしまうのだが・・・。異端な恋を神聖視までしてしまった女子大生。自分が彼女の立場だったら、果たしてどうしたか。女子大生の孤独感・虚無感が良く伝わってきた。
人を殺すのに理由は要らないという。そこに銃があったから引き金を引いた。その結果、人が死んだ。ただそれだけだという。人を殺す瞬間が本当にそんなに淡白なものなのだろうか。よく分かりません。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ連合赤軍が世を震撼させていた同じ時期、大学生の布美子は大学教授片瀬信太郎の翻訳の仕事を手伝うことになり定期的に彼の自宅に通ううちに片瀬夫妻を深く知ることになる。
彼の妻雛子は他の男と浮気(これは便宜的表現。)をしており、それを信太郎は咎めていなかった。
雛子も信太郎の浮気(同様)を咎め立てもしない。それで2人の関係はうまくいっていた。
布美子は片瀬夫婦に徐々に惹かれて行き、やがて信太郎とも雛子とも肉体の関係に至るが、この奇妙な男女の三角関係がもたらす至福の時はずっと長く続くかと思われた。
1972年、折しもあさま山荘落城の日、軽井沢の片瀬の別荘で、布美子は猟銃で若い青年を撃ち殺し、居合わせたもう一人に重症を負わせる。
彼女は14年の刑期を模範囚として10年で終え、社会の片隅で目立たぬよう暮らしながら95年、ガンのために45歳で早逝した。
この事件に関心を持ったノンフィクション作家鳥飼は、真相をまとめて上梓すべく、ようやく所在を突き止めた布美子に話を聞きたいと持ちかけるものの閉ざされた心を開くのは容易ではなかったが、不治の病を得て死を前にした心境の変化から、彼女は事件の真相を鳥飼に伝えた。
しかし長く匿されていた真相の重大さにおののいた鳥飼は、布美子に、その秘密は決して誰にも漏らさず、本にもせず、自分が背負ってゆくと答えた。
以上がこの物語の短い序章のあらすじだ。
このあと長大な本章が続き、短い後日譚である終章に挟まれている。
長大な本章は、死の床で布美子が鳥飼に語った内容である。
件(くだん)の「秘密」が物語を牽引するのではない。というより、たいていの読者はたぶんその「秘密」を誤解するのだろう。僕もそうだったが、これは作家による意図的なミスリードだと思う。奇妙な男女の三角関係そのものが十分に秘匿されなければならない。だからだ、少しずつ小出しにされる、猟銃発砲という劇的クライマックスがいつどういう経緯で展開されるのか、というミステリーの方に焦らされながら惹きつけられるのではないか。
そして、そこに至る事情として、妖しげな男女の愛憎劇は時に官能的な筆致も含んで展開される。
そのような仕掛けに満ちた物語であるので、読書の手が止まるということがなく、2晩で読み終えた。
文章が平易で明解で、ことさらに飾り立てたり奇を衒ったりすることころがなく、むしろ通俗的で既視感もところどころに感ずるくらいだから読みやすいということもその理由だ。
(僕はこの作家の本を読んだのは初めてだったが、人間的にも真摯で誠実な人ではないか、などと思いながら好感をもって読み進んだ。)
最後まで読み終えて思うに、なかなか良くできている。
これだけ長い(文庫約450p)と、どこかつじつまの合わない部分や不自然なご都合主義が顔をのぞかせてもおかしくないが、およそ感ずることはなかった(後述する一点を除いて)。
むしろ、すべての前振りや伏線、配置した小道具は、最後にキレイに整理・回収されるのだ。
中盤に登場する何気ないマルメロの木のエピソードなど、読み手の方ではすっかり忘れているのに、きちんと始末がついて、しかも少し感動的でさえあるのだから見事だ。
ただ、問題はある。
重箱の隅までもほじくってクリアにしてしまう、あまりに見事な整合性と説明ぶりに、読後に浸る余韻がないのだ。本を閉じてしまった時点でこの本から広がっていた世界も閉じてしまうのが残念だ。
タイトルは陳腐な「恋」であるが、確かにここではエキセントリックであるがゆえに純度の高い「恋」が描かれている。読者がしばし反芻しながらこの「恋」に思いを巡らす余韻が欲しいのだが、あれこれ全部説明されてしまってはもう本を措くしかないではないか。
この点については、文庫本解説の阿刀田高も同じようなことを指摘している。我が意を得たりだ。
もう一点、阿刀田は指摘をしている。
決して明かさないと約束した秘密の物語を、結局、この本という形で明かしているのがおかしいから、文庫化に当っては辻褄が合うように布美子の言葉を書き足して欲しい、と書いている。
しかし、作者はそうはしなかった。その理由を作者は「文庫版あとがきに代えて」で書いているが、まあ、そんなところで良いのではないかと思う。
そこを問題とするなら、そもそも、この緻密に設計された小説の唯一かつ致命的な欠点は、「秘密」が布美子の口から「語られてしまった」というところにあるのであって、あとはどう繕おうとも本質的な解決にはならないのだ。
冥途まで抱えてゆくべき「秘密」を彼女をして語らせたという構成にいわば躓きがある。
彼女の死後、鳥飼が取材と推理で構成する物語にすればそこもきれいにクリアできたろう。
しかし、もしそのように書いたとしたら、本作のような身悶えする官能の悦楽も責め苦や葛藤も味気ないものになっていたと思えるのが悩ましいところだ。
----------1995年第114回直木賞受賞作 -
Posted by ブクログ
この時代(政治と思想)の小説がとっても好き。60年代70年代の大学生を描いたものがたまらなく好き。
私らの時代には時代の核とよべるものはもう何もないからなぁ。核の有無は単純な善し悪しでは測れないけど、ぼんやりとした憧れがある。
安穏としているうちに終わりそうな今も好きだけど。
小池真理子さんの作品は3作目。
「恋」(これも政治と思想の季節が描かれている)、「瑠璃の海」。
「恋」はひょっとしたら今まで読んだ恋愛を扱った小説の中でもかなり好きな作品になったんだけど「瑠璃の海」があまりにも陳腐なフリンものだったんで萎えてそれ以来読んでなかった。
「無伴奏」も「恋」と本作と同じような時代が描かれているらしいので次は「無伴奏」かホラー短編集を読む。 -
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うーん、これは究極の恋愛ドラマよね~。
『欲望』というタイトルからすると、ちょっとエロっぽい響きがあるけど、これはそのエロさがない。
だって、起たない男を軸にしたストーリーなんだよ。
インポな男に恋した『私』こと類子と、インポな男に愛された女・阿佐緒の三角関係。
こう言葉にすると安っぽく感じるけど、これがとーっても重い内容になってるわけです。
しかも、あの大作家・三島由紀夫の本も絡んでくるのでかなり重厚感あります。
女の私からすると「たたない」「セックスできない」って言うことは、読んで字のごとくそんなこととしか意味しないけど、男からすると言葉以上の重みと意味があるらくしくって、それは男でもなんでもないことを意味するらしい。
私は、別にセックスなしでも生きていける人間なので、そういうことについてはよくわからないんだけど、好きな人ができれば、「抱きたい」「抱かれたい」と思うのが普通なのかな~???
男の視点からの恋愛感をじっくり読んでみました~。
ただ、この本、登場人物が少ない上に、中間まで同じような調子の繰り返しでちょっと前半は退屈したけど、後半はだんだん追い上げでくる感じでとてももの悲しい話になってます。
最後、三島の本から楓の葉がヒラリと落ちてくるシーンがとっても印象的でこの本の刹那さを印象してる気がしました。
ただ体を合わせるだけでは恋愛じゃない。セックスをしなくても相手のことを本当に好きなのが本当の恋愛だと、ちょっとわかりました。
体の結びつきよりも心の結びつきこそが本当の本物の恋愛だと思うけれど、それは健全な体を持ってるセックスしたことある私だから言えるのかもしれない。。。。
正巳の悲しさ歯痒さは、たぶん一生私にはわからないのかもしれない。。。。 -
Posted by ブクログ
タイトルそのまま…恋愛感がたっぷり詰まった作品です。
主人公の恋愛は不倫なんですけど、“愛する”という気持ちは恋愛する人みんなおんなしですからね。
ものすごく共感できる部分が多くて、完全に感情移入してました。。
愛する人との出会い、愛する予感、愛される喜び、失う悲しみ、絶望・・・感情移入し過ぎて、なんだかおかしくなりそうでした。
不思議だったのは、別れが訪れたときの自然な感じ…なんなんでしょね。
相手が離れていくことが自然な流れのように感じて、それが逆に怖くなりました。。
自分に対して愛したように、誰かを愛することがあるわけじゃないですか??
そのとき自分はもう必要な存在じゃなくなって、相手の中から消えていく・・・それってものすごく恐ろしいことですよね。。
相手から全く愛されてないことがわかっていて、しかも相手には愛する人がいて、なのに相手を愛することをどうしてもやめられない
そんな状況になったら…どうするんだろ。。
愛することは、幸せなだけじゃない、、、ですね。