小池真理子のレビュー一覧

  • ウロボロスの環

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    秘密がテーマの物語。
    秘密は秘すもの。なので物語に描かれている秘密は最早秘密ではない。
    読後、作者が描かなかった意図して秘したものを想像してみた。
    静子さんと俊輔さんを別れさせ、時期を見て俊輔さんと野々宮さんを出会わせ、野々宮さんと彩和さんの想いを利用して俊輔さんを追い詰めていく。
    影山さんと長谷部さん。長谷部さんは同業者だら俊輔さんに対するジェラシーはあっただろうし、影山さんは惚れたのは丘太郎さんであって息子の俊輔さんではないし服従は本当は辛かったのかもしれないし、もしかしたらふたりは恋愛関係?にあったのかもしれない…なんて我ながら妄想甚だしい。

    妄想をもうひとつ。
    俊輔さんは最初の遺言状は本当は破棄したのではないか…。ふたりには秘密にしておこうと考えて新しい遺言状を作ったのでは?
    彩和さんをにたかしなアンティークの相続をさせたのだって彩和さんのセンスを認めていたから(青磁の器にコーヒーを入れた)
    俊輔さんてそんなに悪人ではないような…。

    こんな妄想しなくても、彩和さんと野々宮さんのは想いは胸を打ちます。
    野々宮さんはもしかしたら離れた後も時々は遠くから彩和さんを見ていたのかもしれない。

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    2026年02月01日
  • ウロボロスの環

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    ネタバレ

    2025/11/13 42
    2度も死別する経験を持つ主人公の話は初めてかも。若くして先立たれシングルマザーとして娘を育て、年齢差のある裕福な俊輔と打算もあり再婚。生活の安定を求め結婚したのに夫の運転手に惹かれる気持ちはなんだか…でも彩和の夫を不機嫌にさせないように張り詰めた暮らしを送る様子は思い当たる節があるため読みながら辛くなった。誰も幸せにならない、なのにこのボリュームで書けるのは流石。無効の遺言書も読ませるのは俊輔の意地悪の最高潮、現実ではなかなかありえないシュチュエーションなので集中して楽しく読めた。

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    2026年01月31日
  • 月夜の森の梟

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    朝日新聞「be」で連載していた(2020~2021年頃)のを途中から読むようになって以来、いつか全編読みたいと思っていたのをようやく読んだ。しっとりと落ち着いたところで読みたいと思い、小池さんと夫の藤田宜永さんが暮らしていた軽井沢ではないけど、奥日光のホテルに泊まった冬の夜から翌朝にかけて読んだ。
    自分は伴侶をなくした経験はないしこのままだと今後もそんなことなさそうだけど、親や友人とは違う存在で長いこと人生をともにした存在が亡くなったときの悲嘆や戸惑いなど心のもちようが静かに伝わってくる文章だとあらためて思った。小池さんと藤田さんがかたちだけの夫婦として長く暮らしてきたのではなく事実婚の期間も長く文学を巡って論争したり音楽や映画や生活のこまごまとしたことでたくさん会話を交わしてきた積み重ねが生む小池さんの思いであり、それをまた物書きの技として静謐な筆致に落とし込むことができたのだろうと思う。感傷的にならず努めてかわいた感じでありながら、それでもにじみ出てくる哀しみ……というか懐かしさ、恋しさのようなものが漂っているような気がする。
    小池さんは常に最悪のことを考えてしまったり、幼い頃から欲しいものをねだるようなこともしない子だったとか。おとなびて考え過ぎてしまう人でありそれにあまのじゃくが絡んでいるような人ではないかなと思う。自分もそんな自分を自覚しているのでこの本はあまのじゃくな気持ちにならず素直な気持ちで染みてきたように思う。
    夫婦を表す言葉って「伴侶」とか「つれ合い」というのがいいなと思っていて、そういう類の存在をもつ人たちが主人とかかみさんとか相方とかしょうもない呼称をつかうもんだなと常々思っているんだけど、小池さんはこの本の最後のところで「かたわれ」という言葉で表していてこれもいいなと思った。夫婦的な関係以上に結びつきの強さを感じさせる。この本のなかで書かれている部分を読みながら「かたわれ」のイメージしたとき浮かんだのがオスカルとアンドレだった。読むなかで二人の思い出や関係性についていくつも書かれていてそれを思い返すと「かたわれ」どうしというのがぴったりであり、そういう存在が消えた思いはいかばかりかと。一方で、人生のなかでそういう存在と出会えることそれだけでも幸いなことではないかとも思ったり。

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    2025年12月30日
  • ウロボロスの環

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    運命の渦に巻き込まれていくかの様な、思いもかけない場所へと流れていく人々を、ハラハラしながら見ているようでした。
    後半は、自分も泣きそうになりながら活字を追っていました。

    久しぶりに「読んだーっ!」という感覚を味わいました。長編でしたしね。
    小池真理子さん、凄い。

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    2025年12月08日
  • 影牢 現代ホラー小説傑作集

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    様々な時代、年齢の登場人物、そして豪華なメンバー作家で贈られる短編集。じわっと怖いものから真に迫る恐怖まで。個人的には「浮遊する水」「影牢」「集まった四人」「山荘奇譚」が好きです。8編あるのでどれか一つは好きになる話があるんじゃないでしょうか。姉妹本もあるのでそちらも読んでいきたいと思います。

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    2025年11月13日
  • 月夜の森の梟

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    夫を亡くした喪失感が
    痛いほど伝わる
    軽井沢の森の景色の美しさ
    静謐な文章
    とても奥深くて
    多分、この先も何度も読み返すだろう

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    2025年11月06日
  • 再生 角川ホラー文庫ベストセレクション

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    綾辻行人の「再生」が読みたくて購入。もちろん面白くて(すごく怖い!)他の作品もどれも読み応えありました。ホラーは初心者ですが、だんだん好きになってきました。

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    2025年11月04日
  • 堕ちる 最恐の書き下ろしアンソロジー

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    角川ホラーアンソロジーの「堕ちる」です。
    コンセプトが割としっかりしている短編って「長編で読みたいなぁ」と思うことが良くある。
    同じシリーズのアンソロジーで「潰える」「慄く」では、短編だからこそできる潔さがあったけれど、「堕ちる」に収録されている作品は、後を引く感覚があった。その後の出来事、前日、話が飛んだ間には何があったのだろうかと。
    怖さで言えば「潰える」が1番だったけど、読後の感覚だと今作が1番だと言える。
    なお、以下に個人的なランキングを書きました。

    『怖さ』ランキング
    1位 潰える
    2位 慄く
    3位 堕ちる

    『読み応え』ランキング
    1位 慄く
    2位 堕ちる
    3位 潰える

    『コンセプト』ランキング
    1位 堕ちる
    2位 潰える
    3位 慄く

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    2025年11月04日
  • 異形のものたち

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    小池真理子さんの小説が大好きで 存在しないものが 蠢くような 文体に ゾクッとして ほろっとして 色んなものと一緒に この世は 生きているんだなと感じた

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    2025年09月19日
  • 冬の伽藍

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    小池真理子さん大好きです。

    三章構成、大きな事件があり、手紙のやり取り、最後へ。

    小池真理子先生の巧みな表現方法で世界観にどっぷり浸かることができる。軽井沢の住み心地を体感できる。

    人間の心情の浮き沈みに相乗りさせられ、作品の感情と自分と感情がシンクロしてくる。そしてそのまま結末へ。心拍数も上がるし上気してくる。

    以下は好きなところを引用。
    "「夏だった。よく覚えてる。忘れたこと、ない」  
    悠子はそう言った。
    ふいに弾けるようにして二人の間で笑い声が途絶え、後には暖炉の中で薪が爆ぜる音だけが残された。"

    悠子の確かな気持ちが漏れ出てきたところ。漏れたからこそその強さを感じることができる。

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    2025年09月01日
  • 妖し

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    電車の乗り換え時に構内の本屋で購入

    「妖し」という固有名詞を題材にするとこんなにも作者のカラーが出るのかと…!

    大好きな恩田陸さんの作品のじっとり感がたまらなかったです。
    バナナの話は、一生忘れないと思います。
    情景描写が秀逸で、主人公視点の光景が目に浮かびすぎて怖い。そして情景は目に浮かぶのに主人公の感情が絶妙に言語化されないままそこにある感じが凄かったです。

    たまたま手に取った本でしたが大好きな一冊になりました。

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    2025年08月24日
  • アナベル・リイ

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    ネタバレ

    小池真理子読むのが多分初めてで、濃厚でちょっとずつ読んだ。怖かった。もっとドロドロした人間模様かと思ったら、こまやかな、小さな幸せや重たくない親しみの表現が好ましいだけに、それがブツッと切られていくのが穏やかに怖かった…。

    著者が意識したという「黒衣の女」が、もともと一番好きな小説のひとつなので、たしかに、
    全て終わった後・取り返しのつかないことが起きた後の回想、
    幽霊はただ姿を現して人が死ぬだけ、というのが作中で物凄く怖いことである、
    なぜなら主人公の人生をひたすら歪めていくから、かけがえのないものを失わせるから、
    というの、似てる気がする。じゃあ好きなわけだ…となった。

    ホラーだとお化けが出てぎゃーという話が好みなので、それが起きて全部変わってしまった後の長い人生の話は本当に怖くて、予想外に良かった。
    「なつかれた」という表現の、あくまで些細さと、結果の重大さとどうにもならなさ、
    そういう愛に付きまとわれて受け入れざるを得ない話だった(実際に何が起きてたかはともかく、主人公はその見方を受け入れざるを得なくなった)というの好きだった。

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    2025年06月23日
  • 沈黙のひと

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    大変深く心に響く小説でした。
    パーキンソン病を患った父、認知症で施設に入った母、ひとり娘である主人公は家族を持つ事なく離婚している。
    父が不倫の末に母と離婚して新しい妻との間に娘が2人生まれた。
    父の遺品整理の中から心情を知り想いを巡らす日々、母の心情を想像しながらかつての平和だった家族風景を風景画を見つめるように思い出す。
    自分には家族がいない経済的には自立していて晩年の暮らしの保証もある、それが何だと言うのだ。長く走り続けてきて自分がいかに独りであったのか悟る、誰も追いかけて来ない静寂に満ち音もせず目を惹かれるものもない長く果てしなく伸びる道があるだけ。失望、絶望、うめき声をあげても誰も聞いていない誰も気づきはしない、私はまた走り始める、それが私だと思う。
    自分にも母のように愛した男から指輪を贈られ老いても決して外さない、奈落の底と天国を繰り返し味わう別の人生があったかもしれないと夢想する。
    人は孤独と絶望の中で悟りを開き最後には受け入れるのかもしれない。
    主人公の父のワープロ修理を引き受けてくれた男性に感謝の葉書と娘をよろしくと頼むところ、父親としての誠実さ娘に対する感謝と謝罪を感じた。良い小説でした。

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    2025年06月21日
  • 懐かしい家 小池真理子怪奇幻想傑作選1

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    全編好きだったことに読み終わってから気づいて驚いた。どこか寂しくて怖い短編集。主人公たちは皆いき詰まっていたり孤独だったりして、その心の隙間につけ入るように怪異がやってくる。全部好きだけど一番を訊かれたら孤独の形が似ている子どもの怪異に好かれてしまう『ミミ』が一番好きと答えるかも。

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    2025年06月20日
  • Kiss

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    キスにまつわる大人の短編集。亡くなった元夫の亡骸にキスをする「夜噺」はしんみり。「オンブラ・マイ・フ」もひとつのキスを通して女の生き様を描いて作品でよかった。

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    2025年05月17日
  • 堕ちる 最恐の書き下ろしアンソロジー

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    SNSで話題に上がっていたのをたまたま覚えていて書店の棚で目に入って購入。
    執筆陣が限られた枠の中に物語を詰め込んだ作品集。枠の中にピッタリと収まった物語の心地よさと怖さが良かった。

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    2025年04月09日
  • 月夜の森の梟

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    ご自身のかたわれ的存在だった夫の死について書かれた喪失エッセイ。紡がれる言葉が本当に美しくて美しくて…隠しておきたい大事な宝物たちをそっと見せてもらった気持ちになりました。特に好きだったのは「悔やむ」。文庫版あとがきもとても良かった。

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    2025年02月05日
  • 夏の吐息

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    小池真理子さんが描く主人公は、作品によって名前と年齢は違えど、基本的な人物像は同じだと思う。だからつまらないという意見も散見するが、私にとっては逆でそこが魅力になっている。自分の考え方と似ているということもあると思うが、同じ人物と別の物語の中で一緒に試行錯誤していける錯覚に陥ることができるからだ。小池さんが、ブレることなく活動している証拠でもあると思う。そんな小池さんが大好きだから、作品を追いかけてしまうのかもしれない。

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    2025年01月18日
  • Yuming Tribute Stories(新潮文庫)

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    親の影響で耳馴染みのあったユーミン。
    各曲を元にしたアンソロジー。
    元々ユーミンの歌そのものがすでに完成された世界観があり、ストーリー性が強い。
    そこに作家それぞれが独自の視点から、新たな物語
    を紡ぐってかなり難しいことだと思う。し、実際ハマらないってレビューも見かけた。
    ともあれ雑食な私は、そのあたり全く気にせず楽しめた。
    選曲も非常にマニアック。よきかな。

    そしてドラマ化されてたってマ?みてみよー!

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    2025年01月17日
  • 懐かしい家 小池真理子怪奇幻想傑作選1

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    小池真理子さんの小説は、読んでいてとても心地よく、癒される。上品で、自然に流れる文章に引き込まれ、気付くと物語の世界に自分が居る感覚・・何度も味わっている。大好きな作家さん。

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    2025年01月17日