あらすじ
「僕が今、女を感じてるのは、夏子先生だけです」
出版社社長・月川の後妻となった夏子は、夫の連れ子・りえの継母として、そして自らもクリニックを開業する女医として、七年余りの月日を平穏に過ごしてきた。しかし、りえの友人でロック・バーでバイトをする青年・旬と出会い、その危険なまでの若さに触れた夏子は、目を背けてきた己の渇きに気づかされてゆく……。
ひとりの女性の陶酔と孤独を描く傑作長篇。
〈解説〉稲葉真弓
〔著者のことば〕
誰もが、あからさまに「家族」の大切さを叫ぶ時代になって久しい。「家族」は人間にとって、最小単位の砦であり、「家族愛」ほど、愛の深さにおいて意味のある、健全で価値の高いものはないと見なされている。
とてつもなく嬉しいことが起こる。真っ先に誰に知らせたいですか、と聞かれる。誰もが「両親」「夫」もしくは「妻」「子供」と答える。
その健全さは微笑ましく、未来永劫、消えることはないかのように思われて、しかし、同時に、その健全な場所でこそ、人は苛立ったり、憎んだり、絶望したり、孤独の淵をさまよったりするのである。そこに「家族」がはらむ「魔」の部分がある。
(読売新聞2009年1月13日付、連載完結インタビューより抜粋)
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Posted by ブクログ
小池真理子さんの小説は、読んでいてとても心地よく、癒される。上品で、自然に流れる文章に引き込まれ、気付くと物語の世界に自分が居る感覚・・何度も味わっている。大好きな作家さん。
Posted by ブクログ
久々の小池真理子作品。相変わらずのなめらかな文体で、描かれているのはドロドロの人間模様だ。
舞台は鎌倉。後妻という立場でどこか孤立感を抱える眼科医師の主人公と、娘の友人である若者との恋。
登場人物はみな身勝手。亭主は秘書と浮気三昧だし、娘も私生活むちゃくちゃだし。
そんな中で、常識人として、また良き妻・良き母であろうとしながら、少しずつ壊れていく主人公。本当はやりたいようにやるしかないのだろうけど、そう単純にはいかないのが人生というものなの?
とはいえ、この主人公自身も、よくよく見ればけっこう身勝手。
若者が東京で働くロックバーの名は「アンジー」。
ストーンズ、ビートルズ、ニール・ヤング、さらにはトッド・ラングレンまで登場。タイトルの「ストロベリー・フィールズ」はもちろんビートルズの曲からとられているが、その歌詞に込められた意味こそが、この物語全体の背景。
中公文庫 650ページ
Posted by ブクログ
お互い好意をもってはいるものの、愛の「形」が違う。求めてるものが違うってことかな。
夏子先生は旬の前で「女」にはなりきれなかった気がする。
今回そこまでドロドロでもなく、読後感もさらりとしているけど、物足りない感も否めない。
Posted by ブクログ
《本文より》
「おそるおそるというのではない。
ほしい獲物を悠然とくわえ、飛び去ろうとする、たかのように旬は自分の唇 で夏子の唇を慈しむように聞かせ、やわらかく湿った舌先をすべらせてきた。
その感触に酔いしれ、思わず夏子が緊張をといた途端、二人の唇はたちま ち温かく溶け合った。
口の中が蜜と化した。」
Posted by ブクログ
「一人の女性の孤独を描く傑作長編」「性愛よりも大きなラブ」の帯の惹句に惹かれて読んでみたが。45歳夏子・その旦那・義理の娘・旬、誰にもシンパシーは感じず。なんか怖いな、こういうの、という感じ。