小池真理子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
はじめて読んだ小池真理子さんの作品。
そして貧弱な私の読書経験のなかで最も私を震え上がらせた一冊。
早く続きが読みたくてたまらない、でも夜は怖くて本を開くことさえできない。
そのため通勤電車の中や、お昼休みに読み進めました。
現実がこうだとは信じたくありませんが、女の怖さを垣間見た気がします。
無知な私はタイトルからエロスを感じたのですが、開いてみると日常に潜み膨らむ殺意をリアルに読者に思い描かせる文章です。
タイトルで私を誘っておいて、内容で震え上がらせた小池さんは私にとっての魔女ですね。笑
また女性の怖さを知ると同時に、男性として殺意を抱く主人公にも共感してしまったので
私の中にもこう -
Posted by ブクログ
ネタバレ女子大生とある夫婦との3人の関係を描いた物語。活動家の男子学生と付き合っていた中で出会った、不思議な夫婦。とても仲はよいけれど、お互いにお付き合いをする彼女や彼氏がいるという夫婦。
よく言う三角関係とは異なり、三人で過ごす時を重ねる中で、三人がひとつとなり、結びつきが布美子の心を揺さぶり、悲劇へとつながっていく。
最後の最後に、夫婦の現在の姿が描かれていることで、今もまだ布美子の思いは息づいているんだと分かり、胸がいっぱいになった。読んで決して汚らわしい感じやいやらしい感じが一切そぎ落とされて、美しい「恋」の姿を見た気がした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ文学作品として,ここまで手が込んでいるものを見たことがない。
三島由紀夫の死になぞらえて,
一人の芸術家が死ぬ。
その過程に,詩人 壬生幸作 の詩がある。
「水には翼があるのだ,ときみは言ふ
青い地平の遥か彼方で
空の青
海の青
月の青とが解け合ひ
混ざり合ひ,滲み合ふためにこそ
水は今こそ翼を持ち,羽ばたいてゆかねばならぬのだ,と
在るものを壊し
無と共に受け入れ
まことの美が誕生する瞬間を静かに待つ
。。。。
」
文学作品の中に,文学作品を入れる手法はいろいろある。
木口木版画の作家とその弟子が登場する。
いろいろな脇役を配置している。
誰が,最後に亡くなるのか